請求書のみでファクタリングの申し込みはできない?その理由と申し込みに必要な書類を紹介
目次
- 1 請求書のみでファクタリングの申し込みは可能?
- 2 ファクタリングを申し込む際の提出書類
- 3 一部のケースでは請求書のみでの申し込みが可能!?
- 4 ファクタリングを利用する際の流れ【2社間方式】
- 5 ファクタリングを利用する際の流れ【3社間方式】
- 6 提出書類が少ないファクタリング事業者はある
- 7 提出書類の少ないファクタリングを利用する方法
- 8 提出書類の少ないファクタリングを利用するメリット
- 9 提出書類の少ないファクタリングを申し込むデメリット
- 10 請求書のみで利用可能なファクタリング事業者は基本的にない
- 11 請求書なしでファクタリングの申し込みは可能?
- 12 売掛金の存在を証明できる請求書以外の書類
- 13 請求書なしでファクタリングを申し込む際の注意点
- 14 申し込みから資金調達までの流れ
- 15 提出書類の少ない事業者を選ぶときのポイント
- 16 注文書ファクタリングは請求書なしで利用可能
- 17 請求書なしで利用できる注文書ファクタリングのメリット
- 18 請求書なしで利用できる注文書ファクタリングのデメリット
- 19 注文書ファクタリングの利用例
- 20 請求書のみ・請求書なしのファクタリングについてのよくある質問
- 21 請求書のみのファクタリングについてのまとめ
初めてファクタリングで資金調達をするという方の中には、審査の申し込みをする前に「請求書のみで申し込み可能かどうか知りたい」「請求書のみでの申し込みが無理なら他にどんな書類がいるのか知りたい」という方がいらっしゃいます。
そこで、本記事では請求書のみでファクタリングの審査申し込みが可能かどうか、一般的にファクタリングの審査申し込みで必要な書類、ファクタリングを申し込むときの流れなどを紹介します。
一方で、請求書なしで申し込めるファクタリング事業者を探しているという方もいらっしゃいます。
この記事の後半部分では、請求書なしでファクタリングを申し込む方法や請求書なしで利用可能な新しいサービスである注文書ファクタリングについても取り上げます。
請求書のみで申し込みが可能なファクタリング事業者を探している、もしくは、請求書なしで申し込めるファクタリング事業者を使いたいという方は、この記事を参考にしてください。
請求書のみでファクタリングの申し込みは可能?
請求書のみでファクタリングの審査申し込みは基本できません。ファクタリング事業者が請求書のみでの申し込みを受け付けていないことにはいくつかの理由があります。
その理由は以下の通りです。
● 請求書のみでは売掛先の信用力が十分に判断できない
● 請求書のみでは二重譲渡や架空請求を避けるのが難しい
請求書のみでの申し込みができない理由について内容を詳しく説明します。
請求書のみでは売掛先の信用力が十分に判断できない
ファクタリングの審査で重要視されるのは、売掛債権の存在と売掛先の信用力、つまり売掛金の支払い能力です。
請求書のみでも売掛金の存在は証明できますが、売掛先の信用力については推し量ることができません。
ファクタリング事業者は、売掛金回収が見込める場合のみ審査を通し買取を実行します。
そのため、審査のときには売掛先の信用力を判断する必要があるわけです。
こうした理由から、ファクタリング事業者は請求書のみで審査を受け付けることはしません。
ファクタリング事業者は、売掛金回収の見込みが高い売掛先を選んで売掛金未回収のリスクを軽減するため、請求書のみで受け付けはせず、請求書に他の書類を加えて提出することを求めます。
請求書のみでは二重譲渡や架空請求を避けるのが難しい
請求書のみでファクタリングの審査申し込みを受け付けると、ファクタリング事業者が二重譲渡や架空請求の被害を受ける可能性が高くなるというのが2つ目の理由です。
ファクタリングにおける二重譲渡とは、すでにファクタリング事業者に買取してもらった売掛債権を、別のファクタリング事業者に買取してもらう行為を指します。
さらに、請求書などを偽造して架空債権をファクタリング事業者に買取させる詐欺もあります。
ファクタリング事業者がこうした犯罪行為に巻き込まれれば、売掛金が回収できず会社として甚大な被害を受けます。
こうしたトラブルを避けるために、ファクタリング事業者は請求書のみで審査することはありません。
ファクタリング事業者は、請求書以外の書類も提出してもらうことで、二重譲渡や架空請求ではないこと、売掛先の信用力、申し込み企業と売掛先との間に継続的な取引があることなどを確認し与信審査をします。
ファクタリングを申し込む際の提出書類
請求書のみでファクタリング審査を申し込むことはできません。
したがって、ファクタリングを申し込む場合は、請求書を含めファクタリング事業者の指定する書類をすべて揃えてください。
一般的には以下の書類が必要です。
● 決算書・試算表
● 売掛先との取引基本契約書
● 請求書・見積書・発注書・納品確認書など
● 登記簿謄本・開業届
● 本人確認書類
● 印鑑証明書
● 納税証明書
それぞれの書類の具体的な内容、入手方法などを紹介します。
決算書や試算表
決算書は申し込み企業が自社の経営状況を証明する資料として提出します。
決算書に含まれる書類は、賃借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表です。
財務三表と呼ばれる賃借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の3つは用意してください。
決算書は、事業年度ごとの事業収入や支出を計算し作成します。したがって、決算書からは記載されている事業年度の儲けと損失、会社の財政状況などがわかります。
決算書は、事業規模にかかわらずすべての法人に法律で作成が義務付けられており、税理士に決算書の作成を依頼するのが一般的です。
税理士に決算書の作成を依頼していれば、決算や確定申告が終了した後に、税理士から決算書や確定申告書の控えがもらえます。その控えをファクタリング事業者に提出してください。
一般的にファクタリングの審査申し込みでは、過去2、3期分の決算書を提出します。その期間の決算書の控えを申し込み前に用意してください。
試算表が必要なケースもある
決算月が申し込みよりも半年以上前といったケースでは、審査のために、その年の試算表の提出が求められることがあります。
試算表とは、仕訳帳から総勘定元帳への転記が正確になされているか検証するために作成する集計表です。
試算表には特定の期間について資産や負債、売上や経費、利益などが記載されているので、企業の経営状態や業績を把握できます。
決算書の方が信頼性は高いものの、年に一度しか作成しません。したがって最新の経営状態や業績の推移を把握するには試算表を使います。
こうした理由から、ファクタリング事業者の中には、申し込み企業の経営状態を把握するため決算書と試算表の提出を求めるケースがあります。
売掛先との取引基本契約書
請求書以外に提出が求められる書類として売掛先との取引基本契約書があります。
ファクタリングは、ファクタリング事業者が売掛債権を買取し、申し込み企業がその買取代金を受け取り、後日ファクタリング事業者は売掛金を回収するという仕組みです。
したがって、ファクタリング事業者は、買取対象となる売掛債権の存在を確認しなければなりません。
そのため、ファクタリング事業者は申し込み企業と売掛先との間で継続的な取引があることを証明する取引基本契約書の提出を求めるわけです。
請求書・見積書・発注書・納品確認書など
請求書のみでは売掛金の存在や金額を強力に裏付けることはできません。
そうした理由から、請求書の内容が正確であることを証明する補足資料として、見積書・発注書・納品確認書などの提出を求めるファクタリング事業者があります。
ファクタリング事業者は審査の際に、請求書の内容と見積書や発注書などの情報を突き合わせることで、売掛金の存在だけでなくその金額などについても正確であることを確認します。
登記簿謄本・開業届
法人の場合は登記簿謄本の提出が求められる場合があります。
法人の登記簿謄本とは、法人の登記情報が記載されている書類のことです。法人の存在を証明する重要な役割があり、法務局で取得します。
登記簿謄本は登記事項証明書と呼ばれることもありますが、両者の違いは紙か電子データかという点だけで実質的には同じ書類です。
電子データ化が進む前は、会社の登記情報は「登記簿」という紙で管理されており、その用紙を複写して登記事項を証明したものを「登記簿謄本」と呼んでいました。
電子データで保存されるようになった現在では、「登記事項証明書」と呼ぶことが一般的です。
次の3つの方法で登記簿謄本は入手できます。
● 法務局の窓口で交付請求
● 法務局に登記事項証明書交付申請書を郵送
● 登記・供託オンライン申請システムでネット請求
オンラインで法人の登記簿謄本を請求した場合、指定した法務局の窓口で交付を受けることができます。
指定した住所に郵送してもらうことも可能です。
郵送の場合、返信用封筒の送付は不要です。手数料はオンラインバンキングからの納付になります。
オンライン上で郵送請求をした場合、手数料は窓口よりも安くなりますが、到着まで2、3日ほどかかります。
ファクタリングを申し込むために登記簿謄本をオンライン請求する場合は、余裕を持って請求申請してください。
個人事業主は開業届
個人事業主は審査申し込みをする際に、開業届の提出を求められるケースがあります。
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。事業を開業したことを税務署に申告するための書類になります。
開業届を提出すれば、その控えをもらえるので、審査申し込みの際には控えを提出してください。
開業届の控えを紛失したとしても、税務署で「保有個人情報開示請求書」を提出し、開業届の開示請求をすればコピーがもらえます。
コピーには受領印があるので控えとして提出しても問題ありません。
本人確認書類
申し込み企業の代表者や個人事業主の身分を証明するために本人確認書類の提出が必要です。
本人確認書類としては自動車運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどが使えます。
印鑑証明書
ファクタリング事業者との契約で契約書に実印を押す場合、印鑑証明書の提出が必要です。
印鑑証明書は、登録された印鑑が本物であることを証明する書類で、印鑑登録の手続きが済むと取得できます。
契約の際に法人の印鑑を使用する場合、以下の方法で印鑑証明書を入手できます。
● 法務局の窓口で交付請求
● 証明書発行請求機による請求
● 法務局に印鑑証明書交付申請書を郵送
● オンライン請求
個人の実印を利用して契約する場合は、個人の印鑑証明書が必要です。個人の実印についての印鑑証明書は、以下の方法で入手可能です。
● 市区町村の役所の窓口
● 証明書自動交付機
● コンビニ交付サービス
● オンライン請求
印鑑証明書の交付請求には、印鑑登録証またはマイナンバーカードが必要です。
納税証明書
ファクタリング事業者の中には、審査申し込みの際に納税証明書の提出を求めるところがあります。
申し込み企業に税金の滞納があるとファクタリングを申し込めないというわけではありませんが、過剰な滞納がある場合、審査を通過することは難しくなります。
申し込み企業に高額の滞納金がある場合、売掛金が差し押さえの対象となるかもしれません。
そうなれば、ファクタリング事業者は売掛金の回収ができなくなり、多大の損失を被ります。
税金の未納がないことを確認すれば、こうした事態をあらかじめ避けることができるので、ファクタリング事業者の中には納税証明書の提出を求めるところがあるわけです。
一部のケースでは請求書のみでの申し込みが可能!?
基本的に請求書のみでファクタリングの審査申し込みはできません。
ただし、以下のケースでは請求書のみで審査申し込みができます。
● 利用経験のあるファクタリング事業者を再び利用する場合
● 以前買取してもらった売掛先の売掛債権について再び買取を依頼する場合
すでに利用経験のあるファクタリング事業者を再び利用する場合、ファクタリング事業者は申し込み企業の信頼性や申し込み企業と売掛先の取引、売掛先の信用力などについては前回の審査で確認済みです。
したがって、2回目以降は請求書のみの提出で問題なしという場合があります。
さらに、以前買取をしてもらった売掛先の売掛債権について再び買取を依頼する場合、前回の審査でその売掛先については信用力ありと判断しているので、今回は請求書のみで買取可能ということがあります。
ただし、こうしたケースでは、ファクタリング事業者が「前回の利用から6ヶ月以内」「当期中(現在の会計年度期間)」の請求書のみ受け付けるといった条件を設定していることが多いものです。
したがって、請求書のみで買取の申し込みが可能という場合、どのような条件でそれが可能になるのか確認してください。
ファクタリングを利用する際の流れ【2社間方式】
ファクタリングサービスは、請求書のみで申し込みはできません。申し込みの際には必要書類を揃えて提出する必要があります。
ファクタリングの契約形態は大きく分けると2社間方式と3社間方式がありますが、どちらの場合も、基本的に請求書のみで審査申し込みはできません。
この部分では初めてファクタリングサービスを利用する方のために、利用する際の流れを紹介します。
一般的に2社間方式によるファクタリング契約では以下の流れで物事が運びます。
1 ファクタリング事業者への相談
2 申し込み
3 必要書類の提出
4 審査
5 買取可能額や手数料率などの条件提示
6 契約
それぞれの手順について内容を詳しく説明します。
①ファクタリング事業者への相談
最初の手順は、利用したいファクタリング事業者を選択し、自社が所有する売掛債権が買取可能か相談することです。
できれば複数のファクタリング事業者を選択してください。
そうすることで、あるファクタリング事業者に買取を断られたとしても、別の事業者に依頼することができるからです。
さらに、対面式の相談があるなら、その際に担当者の対応を観察し、継続的に利用できるファクタリング事業者かどうか判断してください。
後ほど説明しますが、同じファクタリング事業者を継続的に使えば、請求書のみで申し込みできるかもしれないからです。
相談は多くのファクタリング事業者でサービスとして提供されています。複数の事業者に同時に相談しても問題ありませんのでぜひご利用ください。
②申し込み
2番目の手順は、利用するファクタリング事業者を決定しその事業者に申し込みをすることです。
次の4つが一般的な申し込み方法です。自社のニーズに合った方法を選んでください。
● オンライン
● 窓口
● 電話
● 郵送
オンライン
ファクタリング事業者の公式サイトやアプリからオンラインで申し込みできます。
時間や手間をかけたくないという方にはこの方法がおすすめです。ネット環境とデバイスさえあれば時間と場所を問わず空いた時間にすぐに申し込みができます。
経営以外の本業にも従事することが多い中小企業のオーナーや、個人事業主にはぴったりの方法です。
窓口
ファクタリング事業者の本社や営業所が会社や事務所の近くにあれば窓口で手続きできます。対面なので質問や相談があれば、直接担当者と話ができます。
ただし、窓口が開いている時間に訪問する、担当者との日程調整をするといった必要があるので、その点に注意してください。
電話
電話での申し込みも直接相手と話をして手続きができます。
注意点は、営業時間内に電話すること、電話対応の担当者と実際の担当者が違う場合があるという点です。
相手の顔が見えないので、窓口よりも話しやすいという方は電話での申し込みをお選びください。
郵送
ファクタリング事業者の窓口が会社やオフィスの近くにない、ネットでの手続きは苦手という方は郵送で申し込みができます。
郵送はファクタリング事業者に申込書が届くまでにある程度時間がかかる、申込書の内容に不備があった場合、修正の手間がかかるという点がデメリットです。
③必要書類の提出
契約までの流れの中の3番目の手順は、必要書類の提出です。
請求書のみでは申し込みできないので、請求書を含めた必要書類をすべて揃えなければなりません。中には請求してから入手までに日数がかかる書類があります。
したがって、ファクタリング事業者への相談や審査の申し込みをする前に、必要書類をすべて揃えておくことをおすすめします。そうすれば、すぐに次の手順に進めるでしょう。
④審査
契約までの流れの中の4番目の手順はファクタリング事業者による審査です。提出済みの書類に基づく審査と、場合によってはヒアリングによる審査がおこなわれます。
ファクタリング事業者は、提出された書類から売掛金の存在や金額、入金時期、売掛先の信用力などを確認します。
書類だけでは確認できない部分についてヒアリング調査がおこなわれます。一般的にヒアリングで質問される内容は以下の通りです。
● 自社の事業内容
● 売掛先の事業内容と自社との取引内容
● ファクタリングで資金調達したい理由
● 売掛先からのファクタリング利用についての承諾(2社間方式はなし)
審査の結果通知は早ければ即日、遅くても1週間程度です。
⑤買取可能額や手数料率などの条件提示
ファクタリング事業者が審査し売掛債権が買取可能と判断すれば、次の手順としてファクタリング事業者から申し込み企業に買取可能額や手数料率などの条件が提示されます。
買取可能額や手数料率などに納得できない場合、そのまま契約せずにキャンセルしても問題ありません。
買取可能額や手数料の金額を確認し納得できたなら、次の手順となる契約に移ります。
⑥契約
最後の手順はファクタリング事業者との契約です。
契約書に記載されている買取可能額や手数料率を含めすべての項目をきちんと確認してください。
一般的な契約では2通の契約書が作成され、ファクタリング事業者と申し込み企業の両方で契約書を1通ずつ保管します。
事業者によっては印紙代のコスト削減のため契約書の作成は1通だけという場合があります。
こうしたケースではトラブル回避のために、もう1通の作成を依頼する、もしくは作成済みの契約書のコピーをもらうことができるでしょう。
契約完了後には、買取金額から手数料を引いた金額が、自社の口座に入金されます。
相談から契約までの流れを見てきましたが、2社間方式の場合、売掛先からファクタリングの利用について承諾を得る必要はありません。
これは3社間方式にはない2社間方式の特徴です。
ファクタリングを利用する際の流れ【3社間方式】
3社間方式を選択する場合でも、請求書のみで審査申し込みはできません。ファクタリング事業者の要求する請求書以外の書類も用意してください。
3社間方式の手順は以下のようになります。
1 ファクタリング事業者への相談
2 申し込み
3 必要書類の提出
4 審査
5 買取可能額や手数料率などの条件提示
6 契約
7 売掛先への債権譲渡通知と承諾
2社間方式と3社間方式両方とも①から⑥までの手順と流れは同じです。3社間方式の場合、最後の手順に売掛先への債権譲渡通知と承諾があります。
この売掛先への債権譲渡通知と承諾について簡単に解説します。
売掛先への債権譲渡通知と承諾
3社間方式は、契約後に申し込み企業から売掛先に対し、債権譲渡の通知をおこない売掛金の支払先が自社からファクタリング事業者に変更になることを伝えます。
さらに、債権譲渡について売掛先からの承諾が必要です。
債権譲渡に同意した売掛先は、支払先変更の確認、売掛金に関係する資料の提供、債権譲渡承諾書の記入、ファクタリング事業者へ記入済みの債権譲渡承諾書を郵送するといった作業をおこないます。
この作業が完了すれば、申し込み企業・ファクタリング事業者・売掛先の3つが取引に合意したことになり、3社間方式によるファクタリング契約の完成となります。
3社間方式は、2社間方式の契約の流れの中にはない債権譲渡通知と承諾という手順を踏まなければならないのが特徴です。
この手順が必要なので、3社間方式は2社間方式よりも売掛債権の現金化までに時間がかかります。
提出書類が少ないファクタリング事業者はある
これまで説明してきたように、請求書のみで審査申し込みができるというファクタリング事業者は基本的にありません。
しかし、提出書類が少ない、用意するとしてもわずかというファクタリング事業者はいくつもあります。
提出する書類を少なくして、時間と手間をかけずにファクタリングを利用したいという中小企業の経営者や個人事業主は、そうした事業者を選択できるでしょう。
提出書類の少ないファクタリングを利用する方法
提出書類は請求書のみというわけではありませんが、提出する書類は、請求書にその他の書類を加えた数種類のみというファクタリング事業者はいくつもあります。
そうしたファクタリング事業者に審査を申し込むときは、以下の書類を提出するのが一般的です。
● 請求書
● 取引の証拠となる書類やメール
● 本人確認書類
それぞれの書類の内容や必要性を説明します。
請求書
これまで説明してきたように、請求書は売掛金の存在を証明する証拠として外すことができない書類です。
ファクタリング事業者は、請求書から売掛金の額や支払期日を確認します。
取引の証拠となる書類やメール
提出種類が少ない場合でも、請求書のみで受け付けはできません。したがって、請求書以外で取引の証拠となる書類やメールを提出することが求められます。
請求書以外で取引の証拠となるものの例としては、注文書、通帳のコピー、売掛先の担当者とのメールなどです。
本人確認書類
ファクタリング事業者は、会員登録のために本人確認書類の提出を求めます。運転免許証やマイナンバーカードなど身分証明書となるものを用意してください。
請求書・取引の証拠となる書類やメール・本人確認書類の3種類さえ揃えれば、審査の申し込みが可能なファクタリング事業者があります。
請求書のみというわけではありませんが、どの書類も用意するために時間や手間はかかりません。
ファクタリングの申し込みにたくさんの時間を割くことは難しいという経営者や個人事業主は、提出書類の少ないファクタリング事業者を選んで利用してください。
提出書類の少ないファクタリングを利用するメリット
この部分では、請求書のみではないが提出書類はわずかというファクタリング事業者を利用するメリットを紹介します。
メリットは以下の通りです。
● 手間と時間がかからない
● すべての手続きがオンラインで完結
● AI審査なら審査結果がすぐにわかる
手間と時間がかからない
請求書といくつかの書類だけで審査申し込みができるので、一般的なファクタリングの申し込みよりも用意する書類は少なく済みます。
たとえば、決算書や試算表、登記簿謄本・開業届などは提出する必要はありません。したがって、書類を揃えるための時間や手間を大幅に省くことができます。
用意する書類は、請求書・取引の証拠となる通帳のコピー、本人確認書類といったすぐ用意できるものばかりです。
提出書類が少ないので、急に現金が必要になったときにすぐに申し込めるという点もメリットになります。
すべての手続きがオンラインで完結
提出書類の少ないファクタリング事業者の多くが、すべての手続きをオンラインで完結できるサービスを提供しています。これもメリットの1つです。
オンラインでできる手続きには以下のものがあります。
● 審査の申し込み
● 必要書類の提出
● 審査
● 審査結果の回答と見積もりの提示
● 契約
● 振込
オンラインですべての手続きができるので、インターネット接続とパソコンやタブレット、スマホがあれば、24時間いつでもどこでも審査の申し込みができます。
さらに、請求書や本人確認書類など必要書類の提出は、ファクタリング事業者の公式サイト申し込みフォームやアプリからファイルをアップロードするだけなので簡単です。
対面式での書面契約ではなく、オンライン上の電子契約になるので、時間の節約だけでなく交通費や印紙代などのコストカットにもつながります。
AI審査なら審査結果がすぐにわかる
提出書類が少なく、かつオンラインで手続きが完了するファクタリング事業者では、審査を人ではなくAIによっておこなうところが増えています。
AI審査の特徴は以下の通りです。
● 人のおこなう審査よりも回答が早い
● 判断基準にブレがない
こうした理由から、AI審査を採用しているファクタリング事業者に申し込みをすれば、通常24時間以内に審査結果の通知をもらうことが可能です。
AI審査を採用しているファクタリング事業者の中には、審査から30分程度で結果を通知してくれるところがあります。
審査に通過すればすぐに契約できるので、最短で申し込んだその日に現金を手にすることができます。
請求書のみというわけではありませんが、提出書類が数種類だけのファクタリング事業者は、通常のファクタリング事業者を利用するより、さらに早く売掛債権を現金化できます。
提出書類の少ないファクタリングを申し込むデメリット
提出書類の少ないファクタリングを申し込むことのデメリットは、審査通過率が下がる傾向があるという点です。
提出する書類が多ければ申し込み企業と売掛先の与信調査の精度は高まり、ファクタリング事業者は売掛金未回収のリスクを軽減できるので、審査に通りやすくなります。
一方、提出書類が少なければ、売掛先の信用力や申し込み企業の信頼度を推し量るのは難しくなるので、結果として審査が厳しくなり審査通過率が下がるわけです。
とはいえ、取引実績が豊富なファクタリング事業者の場合、過去の取引データなどから売掛金未回収のリスクを判断できるので、それほど審査通過率が下がらないというケースも存在します。
提出書類の少ないファクタリング事業者に審査を申し込むときは、公式サイトで審査通過率を公表している事業者を選び、その中からふさわしい事業者を選ぶことができるでしょう。
請求書のみで利用可能なファクタリング事業者は基本的にない
ここまで請求書のみで審査申し込み可能なファクタリング事業者は基本的にないことを説明しました。
通常は、請求書に加え、取引基本契約書・見積書・発注書・納品確認書・登記簿謄本・本人確認書類などを提出するのが一般的です。
ただし、請求書のみというわけではありませんが、請求書に通帳のコピーと本人確認書類といった数種類の書類を提出するだけで審査申し込みが可能なファクタリング事業者も存在します。
請求書のみで手続きはできませんが、なるべく提出書類を減らしたいという方はこうしたサービスをご利用ください。
続く部分からは、請求書だけでファクタリングの申し込みが可能かどうかを解説します。
請求書なしでファクタリングの申し込みは可能?
請求書のみでのファクタリングの審査申し込みは不可でした。
一方、請求書なしでファクタリングの審査申し込みは可能です。
ただし、すべてのファクタリング事業者が請求書なしでの審査申し込みを受け付けているわけではありません。
請求書なしでファクタリングの利用を申し込む場合、請求書なしでの申し込みに対応している事業者を選んでください。
請求書なしでも申し込みが可能な理由は、ファクタリングの仕組みやファクタリングの審査における請求書の働きを理解すればよくわかります。
まずはファクタリングの仕組みについて説明しましょう。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングとは、資金需要のある企業や個人事業主が入金待ちの売掛債権をファクタリング事業者に買取してもらい、その買取代金を受け取ることで売掛金を現金化する資金調達方法です。
つまり売掛金の存在を証明するものがなければ、ファクタリングの申し込みはできません。
目には見えない売掛金の存在を証明する証拠となるのが請求書です。
そのため、ファクタリングの審査申し込みでは、これまで説明してきたように請求書の提出が必要となります。
ファクタリング事業者は、申し込み企業から提出された請求書を見て売掛金の存在を確認するわけです。
しかし、売掛金の存在は、請求書以外の書類でも証明することは可能です。
したがって、請求書の用意ができなくても売掛金の存在を証拠づけるものがあれば、ファクタリングの審査申し込みができます。
売掛金の存在を証明できる請求書以外の書類
売掛金の存在を証明する請求書以外の書類としては、以下のものが一般的です。
● 売掛先との取引基本契約書
● 納品書
● 通帳もしくは通帳のコピー
請求書の提出なしでファクタリングの審査を申し込む場合、売掛金の存在を証明するため上記の3つの書類を用意するようにしてください。
売掛先との取引基本契約書
取引基本契約書は、継続する個々の取引においてその都度契約書を交わすという手間を避けるために、あらかじめ共通する取引内容を定めておく契約書です。
ファクタリングの審査申し込みにこの書類を提出すれば、ファクタリング事業者は申し込み企業とその売掛先との間に継続的な取引があること、毎回の売掛金の支払日、支払方法などを確認できます。
こうした理由から、取引基本契約書は請求書に代わる売掛金の存在を証明する証拠となるわけです。
納品書
請求書が提出できない場合、納品書を利用できます。
納品書はサービスや商品の提供が完了したことを証明するための書類です。一般的には以下の内容が記載されています。
● 書類作成者の氏名または名称
● 取引年月日
● 取引内容
● 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
● 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
記載内容からわかるように、納品書からは取引内容や金額を確認できます。したがって売掛金の存在を証拠づけるものとして利用可能です。
さらに、納品書を発行しているということは取引が問題なく完了したということになるので、申し込み企業の信頼性を証明する書類にもなります。
納品書のみでは通用しない場合がある
納品書だけでは審査申し込みができない場合があります。
そうした場合、納品書の内容が正確であることを証明する書類として、見積書や発注書、注文書などを併せて提出してください。
通帳もしくは通帳のコピー
請求書が提出できない場合、売掛金の存在を証明する証拠として通帳もしくは通帳のコピーが利用できます。
ファクタリング事業者は、通帳から売掛先の名前、売掛金の入金日、売掛金の入金履歴が確認できるからです。
しかし、通帳の履歴はあくまで過去の情報です。したがって売掛先との取引が審査の時点でも継続しているということを証明する証拠にはなりません。
審査の時点で売掛先と継続的に取引があることを証明するため、先ほど紹介した取引基本契約書や納品書、発注書などの書類を揃えることをおすすめします。
請求書なしでファクタリングを申し込む際の注意点
請求書なしでファクタリングの審査を申し込むという場合、次の2点に注意してください。
● 請求書の偽造
● 極端に提出書類の少ない事業者は要注意
この2点について、具体的な注意点を紹介します。
請求書の偽造
請求書を偽造し、実在しない架空債権をあたかも実在するかのように装って、それをファクタリング事業者に買取させようとするなら「詐欺罪」が成立します。
詐欺罪は、刑法第246条で「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と刑罰が定められており、罰金刑の規定はありません。
有罪判決が下されれば懲役一択となり、最大10年にわたって刑務所に収監されてしまう可能性がある重大な犯罪です。
また、自社名義の請求書を偽造することも、内容によっては「有印私文書偽造罪」に該当する場合があります。
詐欺も有印私文書偽造も犯罪行為であり、発覚すれば資金調達ができないだけではなく、社会的地位を失い事業継続を危機に晒す重大な問題となります。
したがって、いかなる理由があっても請求書を偽造してファクタリングの審査に申し込むことはしないでください。
極端に提出書類の少ない事業者は要注意
提出書類が極端に少ないファクタリング事業者は、申し込みの時間と手間が省けるので便利と感じるかもしれません。
しかし、極端に提出書類の少ないファクタリング事業者は悪徳業者の可能性があるので注意してください。
たとえば、本人確認書類だけで大丈夫といったケースがそれに該当します。
「請求書なしでファクタリングが可能」と宣伝している事業者でも、一般的には売掛金の存在を証明するための書類や担当者とのメール、通帳のコピーといった書類の提出を求めます。
したがって、本人確認書類のみ提出すれば審査に申し込めるといった、提出書類が極端に少ない業者の利用は控えてください。
申し込みから資金調達までの流れ
この部分では、提出書類の少ないファクタリングについて審査申し込みから資金調達までの流れを紹介します。
そうしたファクタリングではオンラインで手続きするのが一般的です。その場合の流れは通常以下のようになります。
① 必要書類の準備
② 申し込みと登録
③ 審査
④ 見積もり/振込
それぞれの手順について説明を加えます。
①必要書類の準備
審査を申し込む前に以下の書類を準備します。
● 請求書もしくは発注書
● 売掛債権の存在を裏付ける通帳のコピーや担当者とのメール
● 本人確認書類
②申し込みと登録
ファクタリング事業者の公式サイトもしくはアプリから申し込みや利用者登録をします。必要書類の提出は、オンラインで書類をアップロードしておこないます。
ファクタリング事業者が対応可能なファイル形式(PDF/Excel/PNG/JPEG など)を指示しているので、対応したファイル形式で書類をアップロードしてください。
利用者登録のために、代表者の本人確認ができる書類として運転免許証やマイナンバーカードなどの写真をアップロードします。
オンライン手続きを提供している事業者の中には、パソコンだけでなく、スマホのカメラで必要書類や本人確認書類を撮影しアップロードできるところがあります。
そうした事業者を選べば、普段自分が使っているパソコン、またはスマホから申し込みや利用者登録が可能です。
③審査
ファクタリング事業者はアップロードされた書類の内容に基づき審査をおこない、売掛金の買取可否を判断します。
事業者の中には、審査の際に簡単なヒアリングを実施しているところと、ヒアリングなしで審査するところがあります。
審査結果が通知されるまでの時間も事業者により違います。
通知が早い事業者で待ち時間はおよそ30分です。大半の事業者は審査から24時間以内に結果を通知してくれるので、審査結果が出るまで何日も待つ必要はありません。
④見積もり/振込
審査に通過すれば、ファクタリング事業者から買取可能額や手数料の見積もりが提示されます。
買取金額に納得すれば契約手続きとなり、契約手続き完了後、口座に買取可能額から手数料を引いたものが振り込まれます。
契約完了後、即日口座に入金されるのが一般的です。
見積もり額や手数料に満足できない場合はキャンセルすることもできます。したがって、買取額の見積もりを取るために審査を依頼することも可能です。
提出書類の少ない事業者を選ぶときのポイント
請求書のみで審査申し込みが可能なファクタリング事業者は基本的にありません。
しかし、請求書といくつかの書類のみで申し込みができるファクタリング事業者、請求書なしでも売掛金の存在を証明する書類を提出すれば審査が申し込める事業者はいくつもあります。
したがって、早期資金調達を実現させるには賢く事業者を選ぶことが必要です。
提出書類が少ないファクタリング事業者を賢く選ぶ際のポイントは次の3つです。
● 提出する書類の数
● 提出する書類の入手しやすさ
● オンライン手続きの可否
提出する書類の数
提出する書類の数が増えれば、その数に比例して時間と手間がかかります。
提出する書類が、請求書と通帳のコピー、本人確認書類であれば用意するのに時間はかかりません。したがって、資金繰りに困ったときにすぐに審査の申し込みができます。
提出する書類の入手しやすさ
通常のファクタリングでは、審査を申し込むときに登記簿謄本、印鑑証明書などの書類を揃えなければなりません。
こうした書類は請求して取り寄せる必要があり、請求から取り寄せまでにある程度の日数がかかります。
したがって、なるべく早く資金調達したいというケースでは、ファクタリング事業者が提供を求めている書類がすぐに入手できるかどうか見極めることが必要です。
オンライン手続きの可否
請求書なしで審査可能なファクタリング事業者を利用する場合、オンラインでの手続きに対応しているかどうか確認することも大切です。
審査やヒアリング、契約は対面式のみでの対応という事業者なら、移動のための時間や費用が発生します。
オンライン手続きに対応していれば、時間やコストの削減が可能です。
なるべく早く売掛債権を現金化したいという場合は、オンラインで手続きできるファクタリング事業者を選ぶことをおすすめします。
注文書ファクタリングは請求書なしで利用可能
請求書なしで利用できる新しいファクタリングサービスとして注目されているのが注文書ファクタリングです。
注文書ファクタリングは、売掛先から案件を受注した時点で発行される注文書があれば申し込みできます。
これまでのファクタリングサービスは、サービスや商品の提供が完了し、納品書や請求書が存在するようになってから申し込み可能となります。
一方、注文書ファクタリングは、注文書の発行により案件の受注が正式に確定した時点、つまりサービスや商品の提供が完了する前の段階で申し込みが可能です。
したがって、注文書ファクタリングでは、これまでのファクタリングサービスよりさらに早く売掛債権の現金化ができます。
システム開発や建設といった仕事は納期が長く、請求書を発行できるようになるまでかなりの期間が必要です。
納期が長い仕事を受注しており、かつ資金繰りで悩んでいる企業は、注文書ファクタリングを利用することで資金繰りの改善ができるでしょう。
請求書なしで利用できる注文書ファクタリングのメリット
請求書なしで利用可能な注文書ファクタリングのメリットは以下の通りです。
● 納品前に資金調達ができる
● 入金サイクルが大幅に短縮できる
● 売掛先への通知や承諾は不要
● ノンリコース契約なので弁済責任がない
それぞれのメリットについて説明を加えます。
納品前に資金調達ができる
注文書ファクタリングのメリットは、売掛先に商品やサービスを納品する前に資金調達ができるという点です。
請求書をベースにした従来のファクタリングでは、売掛先にサービスや商品を納品した段階で、納品書や請求書を発行し、その請求書を使ってファクタリング事業者に売掛債権買取を依頼するという仕組みでした。
注文書ファクタリングは、注文書を使ってファクタリング事業者に売掛債権の買取を依頼するので、売掛先から注文を受けた段階でファクタリングの審査を申し込むことが可能です。
したがって、注文書ファクタリングでは、従来の請求書ベースのファクタリングよりも早い段階で資金調達することができます。
サービスや商品を納品する前に資金を入手できるので、受注案件に必要な設備や資材を購入する、次の案件受注に必要な資金を用意するといった目的で運転資金を確保することが可能です。
入金サイクルが大幅に短縮できる
請求書なしで利用できる注文書ファクタリングは、納品予定が6ヶ月先の注文書でも買取可能です。
したがって入金サイクルを最大6ヶ月短縮できます。
建設やシステム開発といった入金サイクルが長い仕事は、資金繰りが悪化しやすいのが特徴です。
しかし、注文書ファクタリングを利用すれば、請求書の発行まで待つ必要がなく、注文を受けた段階で資金を調達できるので資金繰りが安定します。
売掛先への通知や承諾は不要
注文書ファクタリングは、先ほど紹介した2社間方式でのファクタリングになります。
したがって売掛先にファクタリングの利用について通知をする、承諾をもらう必要はありません。
売掛先にファクタリングの利用が知られると、資金繰りに苦しんでいるという風評被害が起こるのが心配という企業も安心して利用可能です。
さらに、自社と売掛先の力関係において、売掛先の方に発言力がありファクタリング利用について承諾を得るのが難しいという場合でも、注文書ファクタリングなら問題なく利用できます。
ノンリコース契約なので弁済責任がない
請求書なしで利用できる注文書ファクタリングは、償還請求権なしのノンリコース契約です。
償還請求権とは、債務者が金銭債権の支払いをしない場合、金銭債権をさかのぼり直接請求できる権利です。
償還請求権がないノンリコース契約では、売掛先が倒産したなどの理由でファクタリング事業者が売掛金を回収できなくても、売掛債権の買取を依頼した会社が責任を問われることはありません。
注文書ファクタリングは、万が一売掛先が倒産した場合でも、弁済責任がないので安心して利用できます。
請求書なしで利用できる注文書ファクタリングのデメリット
注文書ファクタリングは、請求書を発行する前の段階でファクタリングの申し込みができるので、従来の請求書ベースのファクタリングよりも資金調達が早くおこなえます。
しかし、以下のデメリットがあるので利用する際には注意してください。
● 従来のファクタリングよりも手数料が高い
● 従来のファクタリングよりも審査が厳しい
● サービスを提供している事業者が少ない
それぞれのデメリットについて内容を説明しましょう。
従来のファクタリングよりも手数料が高い
注文書ファクタリングは請求書ベースの従来のファクタリングよりも手数料が高いというのがデメリットです。
その理由は、ファクタリング事業者にとって、注文書ファクタリングは従来のファクタリングよりも売掛金未回収のリスクが高いからです。
注文書ファクタリングは、ファクタリング事業者からすると、請求書ベースのファクタリングよりも売掛金回収まで長く待つ必要があります。
したがって、売掛先の倒産などの理由により売掛金未回収となるリスクも高くなるわけです。
売掛金未回収のリスクが高いので、注文書ファクタリングは従来のファクタリングよりも手数料が高めに設定されています。ご利用の際にはこの点に注意してください。
従来のファクタリングよりも審査が厳しい
注文書ファクタリングは従来の請求書ベースのファクタリングよりも審査が厳しくなります。
そのため、売掛先の信用力に問題があれば審査に通過できないことがあります。これが2つ目のデメリットです。
先ほど述べたように、注文書ファクタリングは請求書ベースのファクタリングよりも売掛金未回収のリスクが高いので、注文書ファクタリングを扱っている事業者は、売掛先について慎重に審査します。
たとえば、売掛先が個人事業主やフリーランスの場合、売掛金未回収のリスクが高いので審査に通過するのは難しいと言えます。
したがって、注文書ファクタリングでは、信用力が高い売掛先を選ぶことが審査に通過するためのポイントになります。
サービスを提供している事業者が少ない
注文書ファクタリングのサービスを取り扱っている事業者が少ないという点もデメリットです。なぜなら注文書ファクタリングは数年前に始まった比較的新しいファクタリングサービスだからです。
注文書ファクタリングを利用する場合、数少ない事業者の中から自社にふさわしいサービスや納得できる手数料を設定しているところを探す必要があります。
悪徳業者が紛れ込んでいる可能性もあるので、注文書ファクタリングを取り扱っている事業者を探す場合は、サービス内容や手数料を確認し信頼できる事業者を選択してください。
注文書ファクタリングの利用例
この部分では、請求書なしで利用可能な注文書ファクタリングの利用例として以下の業種について取り上げます。
● 建設業
● 製造業
建設業
建設業は長期間の工事を受注するケースが多く、受注した工事をおこなうために下請け会社に仕事を依頼するのが一般的です。
工事期間中に下請け会社の業績悪化や倒産があれば、工事を完成させるためにさらに人員を確保する必要が生じ、従業員に支払う給料も増えます。
さらに、工事に必要な資材の購入、工事期間中に起こる設備や機械の故障を修理するためのメンテナンス費や修理費が必要です。
受注後に運転資金を確保できれば、こうしたトラブルにも対処できます。
運転資金に余裕がない企業にとって、受注後にすぐに資金が用意できる注文書ファクタリングはとても便利です。
製造業
製造業も請求書を発行する前に資金調達できる注文書ファクタリングがよく利用される業種です。
大型案件を受注すれば材料費や人件費などのまとまった資金が必要になります。
さらに、売掛先ごとに入金サイクルにばらつきがあり、それぞれが請求書発行から入金までに比較的長い期間待つ必要があれば、資金繰りは厳しくなるでしょう。
受注後すぐに資金を入手できる注文書ファクタリングは、大型案件の受注がある製造業の会社や、運転資金を確保するのが難しいので新規案件の受注を控えていた会社にとってとても便利なサービスです。
請求書のみ・請求書なしのファクタリングについてのよくある質問
この部分では、請求書のみ・請求書なしのファクタリングに関する以下のよくある質問とその回答を紹介します。
● 請求書のみでファクタリングを申し込むことはできますか?
● 一般的にファクタリングの申し込みにはどんな書類が必要ですか?
● 提出書類をできるだけ少なくすることはできますか?
● 請求書なしでファクタリングを申し込むことはできますか?
● 注文書ファクタリングとは何ですか?
● 請求書ファクタリングと注文書ファクタリングの違いは何ですか?
請求書のみでファクタリングを申し込むことはできますか?
請求書のみでファクタリングの審査申し込みはできません。
請求書があれば売掛金の存在は証明できます。しかし、売掛先の支払い能力、つまり信用力については請求書だけでは判断することができません。
さらに、悪質な利用者は請求書を偽造し、架空債権でファクタリング事業者を騙すというケースも考えられます。
こうした理由から、請求書のみでのファクタリングの審査申し込みはできません。
審査の申し込みをするときには請求書に加えて、売掛先の信用力や自社と売掛先の継続的な取引を証明するその他の書類を提出しなければなりません。
ただし、例外として以下のケースでは請求書のみで審査申し込みができます。
● 利用経験のあるファクタリング事業者を再び利用する場合
● 以前買取してもらった売掛先の売掛債権について再び買取を依頼する場合
一般的にファクタリングの申し込みにはどんな書類が必要ですか?
一般的には以下の書類が必要です。
● 決算書・試算表
● 売掛先との取引基本契約書
● 請求書・見積書・発注書・納品確認書など
● 登記簿謄本・開業届
● 本人確認書類
● 印鑑証明書
● 納税証明書
スムーズに手続きを開始するため、これらの書類は申し込みをする前に準備しておくことをおすすめします。
提出書類をできるだけ少なくすることはできますか?
提出する書類は請求書・請求書の存在を裏付ける証拠(通帳のコピー、担当者とのメール)・本人確認書類だけで審査申し込みができるファクタリング事業者を選べば、提出書類をできるだけ少なくするこができます。
請求書なしでファクタリングを申し込むことはできますか?
請求書のみでのファクタリングの審査申し込みはできませんが、請求書なしでのファクタリングの審査申し込みは可能です。
ただし、申し込みの際には、請求書に代わり売掛金の存在を証明するものとして以下の書類を準備してください。
● 売掛先との取引基本契約書
● 納品書
● 通帳もしくは通帳のコピー
請求書がない場合、請求書以外の書類を複数提出することで、売掛金の存在、売掛先の信用力について証明することが必要です。
注文書ファクタリングとは何ですか?
注文書ファクタリングは、資金需要のある企業が、案件を受注した時点で売掛先から発行される注文書をファクタリング事業者に買取してもらい、その買取金額で資金調達する方法です。
従来の請求書ベースのファクタリングにおける審査申し込みは、サービスや商品の提供が完了し納品書や請求書を発行してからになります。
注文書ファクタリングは、請求書の発行を待つ必要がなく、受注した時点で審査の申し込みができるので、従来のファクタリングよりもより早いタイミングで資金調達できます。
請求書ファクタリングと注文書ファクタリングの違いは何ですか?
請求書ファクタリングと注文書ファクタリングは、先ほど説明したように資金調達できるタイミングが違います。
それ以外にも両者にはいくつかの違いがあります。
たとえば、請求書ファクタリングと注文書ファクタリングでは買取対象が違います。請求書ファクタリングは請求書の買取、注文書ファクタリングは注文書の買取です。
手数料も違います。注文書ファクタリングは請求書ファクタリングよりも売掛金回収まで時間がかかるので、売掛先の倒産などの理由で売掛金未回収になる可能性が高まります。
こうした理由から、注文書ファクタリングの手数料の相場は、請求書ファクタリングの手数料相場よりも比較的高く設定されています。
さらに、請求書ファクタリングで3社間方式を選択した場合、売掛先への通知や利用承諾は必須です。一方注文書ファクタリングは基本2社間方式なので、売掛先にファクタリングの利用を知られることはありません。
請求書のみのファクタリングについてのまとめ
この記事では請求書のみでファクタリングの審査申し込みが可能かどうか解説しました。
提出書類が請求書のみでファクタリングを申し込むことは基本的にできません。請求書のみでは、売掛金の存在を証明できても、売掛先の信用力は推し量れないからです。
一方、請求書なしでファクタリングの審査申し込みはできます。
その場合、売掛先との取引基本契約書・納品書・通帳もしくは通帳のコピーといった売掛金の存在を証明する書類を複数提出することが必要です。
注文書ファクタリングという請求書を必要としない新しいファクタリングサービスについても紹介しました。
請求書のみで申し込みはできませんが、請求書なしでも利用できるファクタリングサービスはあります。この機会に自社のニーズに応じたファクタリング事業者を選んでご利用ください。