ファクタリング情報

ファクタリングとは?貸金業との違いは?メリットやリスクを覚えて堅実に資金を集めよう!

ファクタリングとは、昨今注目されている資金調達の手法の一つを指します。
今現在企業で抱えている売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらい、手数料を引かれた金額を現金として受け取る方法です。
ファクタリング会社に売掛金を買い取ってもらうことで、支払期日よりも前倒しで現金として調達することが可能となります。

また、企業間での取引において平均して30日〜60日かかる入金日を待たずに債権を現金化することが可能ということから、「資金を回収できない」というリスクを低減させることにも繋がります。

このことから、従来の取引では売り上げを立てられていても資金繰りに困っていたという企業でも、ファクタリングを使用することによって経営面で健全化することができるようになりました。

ファクタリングと銀行などでの融資、売掛債権担保融資(ABL)との違いは何?

「では、ファクタリングと融資との違いって何?」と思った方もいらっしゃると思います。
イメージをしにくい方もいらっしゃるかもしれませんので私たちの身近にあるもので例え話をしましょう。

みなさんは今までにローンを組んで自動車や楽器、不動産を買ったことはありませんか?
先ほど述べたもの以外でももっと身近なもので言うとスマートフォンの本体代も昨今では分割払いという名のローンで購入している方も多々いらっしゃるのではないでしょうか。

それぞれ、前述のローンを組んで購入したものは、ローン会社がこの記事を読んでいるあなたの代わりに全額お店に支払い、自分の負担しやすい金額で月々返済する契約をして支払いをしていくシステム、ということはわかるかと思います。

これを資金調達に置き換えると、銀行などから受ける資金融資や売掛債権担保融資(以下、ABL)は、融資にあたるため、期限までに返済をしなくてはいけないという義務が発生します。
それに対して、ファクタリングの場合は売掛金をファクタリング会社に売買して現金化をするため、返済の義務はありません。
なお、先ほどご紹介したABLは、とてもファクタリングと似ているのですが売掛金に担保をかけての資金融資になるため返済が必要です。
ファクタリングを利用する際は誤ってABLを使用しないよう注意しましょう。

ファクタリングと手形割引の違いは?

融資とファクタリングとの違いがわかったところで、もう一つ気になるキーワードが思い浮かんだ人もいると思います。
「約束手形の手形割引とは違うの?」ということです。

結論から申し上げると、とても似ているのですが違います。
なぜなら、売買する対象がそもそも異なるからです。
ファクタリングの場合は売掛金を、手形割引は、決済日がまだの受取手形をそれぞれ売買し資金化を図ります。
手形割引は仕組みがファクタリングと似ていることから「約束手形ファクタリング」とも言われていますが、手形割引は、約束手形の裏書による支払い保証を行って資金化を行うため、振出人が不渡りを出した場合には裏書人にも支払い義務が生じてしまいます。
身近なものでイメージすると、借金をした本人と連帯保証人のような関係性といったところでしょうか。

一方、ファクタリングは売掛を行なった企業の倒産等により売掛金が支払われないリスクはファクタリング会社のみが負います。
ファクタリングをしたことによって負うリスクが手形割引より軽いというのはとても魅力的ですね。

ちなみに今まで企業間取引で使われていたこの約束手形、2026年を目処に取引を終了する予定のため、今後はファクタリングに移行する企業も多くなるのではないかと予想されています。
ファクタリングを活用して堅実に資金調達ができるように今のうちからしっかり学んでいきましょう。

知名度が低いのはなぜ?

そもそも、ファクタリング自体が知名度の低い資金調達の手法ではあるのですが…
そしてファクタリング会社と謳っておきながら実際は貸金業を営む違法業者であったために摘発されるケースも多く、マイナスなイメージを持っている方々も少なくありません。

なぜ知名度が低いのか、それは今まで売掛金に「債権譲渡禁止特約」という特約がついていた場合はファクタリングを使用できなかったからです。
ファクタリングそのものがファクタリング会社に権利を譲渡する行為にあたることから、この特約がついている売掛金についてはファクタリングができませんでした。

ですが、民法が2017年に改正され、2020年4月1日に施行されたことによってファクタリングのできる対象が先述の「債権譲渡禁止特約」がついている売掛金も対象となったため、徐々にではありますがファクタリングが普及してきています。

また、債権の譲渡がしやすくなったことによって、今後はますますファクタリングの活性化が予想されます。
経済産業省もファクタリング行為を奨励しているため、より安心して資金調達ができると言っても過言ではありません。

貸金業との違いは?

ここまで、ファクタリングの知名度や各種類似している資金調達サービスとの違いを説明してきましたが、最も注意が必要な業種があります。
それは「貸金業」です。
わかりやすく言うと、権利を売買する契約をするのか貸し借りする契約をするのか、というくらい明確に違います。
貸金業を営んでいる企業は、読んで字のごとく「資金を貸し借りする」会社です。
よく街中で見かける消費者金融が一番イメージしやすいかと思います。
貸金業では、「貸金業法」という法律の下に利用者にお金を貸付ける契約をし、利息をつけて返済してもらうサービス業のことを指します。

その点ファクタリングでは、売掛金を売買することによって資金調達をする方法であり、ファクタリング会社と売掛金の「売買契約」を行なってから現金化を行うため、お金の貸し借りではないと言うことがわかります。

しかしながら、ファクタリング会社と謳っておきながら実は貸金業であり、違法業者として摘発されているケースも少なくありません。
契約時の手数料が相場以上であったり、利息や金利の請求、売掛先からの売掛金入金がなかった場合に違約金の請求がある、悪質な取り立てを受けるといった、これらの項目に該当するファクタリング会社を見かけたら使用を控え、金融庁や警察など、然るべき機関に相談をしましょう。

なお、基本的にファクタリング契約を結ぶ際には売掛金を譲渡する側にリスクが及ばないように仕組み上なっておりますが、貸金業者として登録しているファクタリング会社もあるため、次章で説明します。

貸金業登録をしているファクタリング会社とは?

前章にて、「ファクタリングは売掛金の債権を売買して資金調達する」という旨を書きましたが、「貸金業者として登録しているファクタリング会社もある」とも書きました。
とても矛盾していますよね。
この矛盾が生じているのには理由があるので、実際にファクタリング会社に債権譲渡を依頼する際にはホームページや規約などを必ず「リコース(償還請求権)の有無」を確認してください。
売掛先から売掛金を回収できなかった場合の依頼した側としての対応、そしてファクタリング会社が貸金業の登録が必要なのかが変わってきます。
このリコースというのは、売掛金を掛先企業より回収できなかった場合にファクタリング会社が依頼企業に費用の返還を求める権利のことをいいます。
一般的にファクタリング会社はこのリコースを行わない、償還請求権なしの「ノンリコース契約」のもとファクタリングを行なうので、掛先企業から売掛金の入金がなくても依頼する側の返済義務は発生せず貸金業の登録は不要です。
しかしながら一部ファクタリング会社では償還請求権のある「リコース契約」を導入している企業もあり、リコース契約を結んだ場合、もしも売掛先企業から売掛金の入金が確認できなかったときには依頼した側に費用の返済を求められるため、「返済が発生する=利息が発生する」とみなされ、貸金業登録が必要となってきます。
ファクタリングを行う際は、必ず契約形態が償還請求権なしのノンリコース契約なのか償還請求権なしのリコース契約なのかを確認するのと同時に、リコース契約の場合は必ず貸金業登録がなされている企業なのかを確認しましょう。
中には貸金業登録をせずにリコース契約を行ない、ファクタリングを行なっている悪質な会社もあるので失敗して資金繰りが悪化しないようにこの2つは必ず確認しましょう。
前章の最後に書きましたが、万が一悪質なファクタリング会社と契約を結んでしまった場合は警察や金融庁の金融サービス利用者相談室、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター、消費者ホットラインといった相談体制が整っています。
少しでも早く相談して少しでも資金繰りが悪化しないよう自分達で防いでいきましょう。

ファクタリングの仕組み

ファクタリングには主に「買取型」と「保証型」の2パターンが存在しており、一般的には売掛金の早期現金化を目的とした「買取型」が普及しています。
保証型に関しては早期現金化というよりは売掛金が未回収となった際のリスク回避のために使用されます。
また、発生するコストや入金されるタイミングもそれぞれ異なります。
買取型は売掛金を譲渡する際の手数料が発生しますが、最短即日〜数日で入金が可能です。
それに対して保証型は主にリスク回避で使用されるという性質柄保証料が発生し、売掛先企業が倒産してしまったなどの貸倒れが発生した際に入金されます。
なお、買取型には依頼者とファクタリング会社が直接やりとりをする『2社間ファクタリンング』と、依頼者と売掛先企業の間にファクタリング会社が介入し、売掛先企業に承諾を得てファクタリングを行なう『3社間ファクタリング』と、よりファクタリングが企業によって細分化されています。
2社間ファクタリングは依頼者とファクタリング会社が直接やりとりを行うため、売掛先企業が関与しません。
また、売掛先企業からの信用も失われることはなく、契約もスピーディーに進められることから、最短即日で資金が入金される依頼者側にはとてもメリットのあるファクタリングです。
しかしファクタリング会社側からすると、直接売掛先企業に売掛金の存在を確認することができないため、架空債権や既に他者に譲渡済みの売掛金を買取をしてしまうリスクがとても高いファクタリングでもあります。
このことから、後述の3社間ファクタリングよりも手数料が高く設定されています。
対して、3社間ファクタリングは依頼者と掛先企業の間にファクタリング会社が介入し、売掛先企業の承諾を得てファクタリングを行ないます。
売掛先企業から承諾を得るまでに数日を要することもあるので、すぐにでも資金が欲しいという方には向いていないファクタリングです。
その代わり、売掛先企業から売掛金の存在を直接確認し、承諾を得てからのファクタリングとなるため、ファクタリング会社側からすると信用取引ともとれることから手数料は前述の2社間ファクタリングよりは低く設定されています。
少しでも発生するコストを抑えたい方は、3社間ファクタリングはとてもおすすめの契約方法なので付き合いの長い売掛先に対してファクタリングを行いたい場合に先方へ相談の上ファクタリングを行なっても一つの手法として良いでしょう。
なお、2社間ファクタリングの場合は売掛先企業から売掛金が入金されたらすぐにファクタリング会社に送金する必要がありますが、3社間ファクタリングはその手間がかかりませんので、支払いの流れについては注意してください。

ファクタリングの流れとメリットデメリット

前章でも述べた通り、一般的に普及している買取型ファクタリングは2社間と3社間のファクタリングに細分化されます。
ここではファクタリングを依頼してから入金されるまでの流れやメリットデメリットをおさえていきましょう。
ファクタリング会社と直接依頼者がやりとりする2社間ファクタリングでは、売掛先企業とのやりとりで売掛金が発生したらファクタリング会社と直接契約ののち、売掛金をファクタリング会社に売却し、売掛金の売却代金入金を待ちます。
このあとに支払期日に売掛先企業から売掛金が入金されたらファクタリング会社に送金する、というのが主な流れです。
売掛先企業に売掛金の存在をファクタリング会社が確認しないことから手数料が相場として8〜18%と高めに設定されていることや後から依頼者が売掛金をファクタリング会社に送金しなくてはいけないというデメリットがありますが、その代わりに最短で即日現金化が可能なため、すぐにでも現金が必要、という方におすすめのファクタリングです。
それに対して3社間ファクタリングは、2社間と同様に売掛金が発生すると、ファクタリング会社が売掛金の譲渡を売掛先企業に伝え、債権譲渡の承諾を得ます。
この承諾には数日を要する場合があります。
この承諾が掛先企業から下りると
① 依頼者
② 売掛先企業
③ ファクタリング会社
の3社間でファクタリング契約をして、依頼者が売掛金をファクタリング会社に売却すると、ファクタリング会社から売掛金の売却代金が振り込まれる仕組みです。
この3社間ファクタリングの場合、依頼者と売掛先企業の間にファクタリング会社が介入しているため、2社間では売掛先企業からの売掛金入金があった場合に依頼者がファクタリング会社に直接売掛金を送金する必要があるところ、3社間では売掛先企業からファクタリング会社に通常の支払い期日に直接送金される、というのが主な流れです。
ファクタリング会社から売掛先企業に直接債権譲渡の確認が入る関係で、依頼から契約・入金までに数日〜最大2週間を要することがデメリットですが、ファクタリング会社と売掛先企業が直接やりとりをして信用を得られると言うことから手数料が相場で2〜9%とリーズナブルなことや、支払い期日に売掛先企業から直接ファクタリング会社に送金がされるため、依頼者側の工数が一つ減るというメリットがあります。
このほかにもメリットとデメリットはそれぞれ2つずつありますので紹介いたします。

<メリット>
・ファクタリング=融資ではないため、信用情報に影響がないこと
・売掛先企業の信用力が大事になってくるので、依頼者側の状況が現在赤字や税金、社会保険滞納状態でも利用できること

<デメリット>
・権利がファクタリング会社に移動したことを証明するための債権譲渡登記が必要になる場合があり、登記には数万円の費用が必要となることに加え、登記情報を調べれば誰にでも売掛金の所有権が移動したことの確認ができてしまうこと
・ファクタリング=売掛金の売買契約のため、その金額内でしか資金を調達できない

どちらもメリットデメリットがありますので、今の状況を踏まえて判断し活用してくださいね。

ファクタリングをおすすめする状況

ファクタリングを行うメリット・デメリットをおさえたところで、ファクタリングをおすすめする状況をご紹介します。

①資金繰りが悪化している
→金融機関からの融資が受けられていなかったり、天候や天災などで一時的に仕事が減ってしまったとき、また新規事業を始めたり在庫過多を起こしてしまい、手元にまとまった現金が必要なとき

②短期的な資金調達が必要
→大幅な設備投資を行いたいときや事業拡大や別案件のための人件費・運転資金が必要なとき

上記2点において共通して言えることは、【短期的・一時的に現金が必要なときに有効】ということです。

しかしながらその一方で長期的な売り上げの減少による人件費の不足や事業の見通しについて将来的な展望が見えないなど、【長期的・慢性的に現金が必要な状況】である場合についてはファクタリングをおすすめできません。
銀行からの融資が受けられるようであれば長期的に融資を受けたり、そもそも会社の事業内容やコストの見直しをして資金を工面する方が賢明でしょう。

ファクタリングとは?のまとめ

いかがでしたか?
今回はファクタリングについて最低限おさえておきたいポイントや、メリットやデメリットを中心にご紹介しました。
「ファクタリング」と調べるだけでもたくさんの情報が出てきますが、初めてファクタリングに触れようとする側からすると覚えなくてはいけないのは重々承知にしてもとても難しいと感じた人も多いと思います。
しかし、しっかりコツをおさえずにファクタリングをしてしまうと償還請求権のあるリコース契約をしてしまったり、悪質なファクタリング会社と契約してしまう、自身の希望する期日までに売掛金の代金が入金されないなど、大きな失敗の代償も抱えてしまう原因にも繋がってきます。
まずは最低限の知識を得て現状ファクタリングが必要なのかどうかを判断していただき、その上でさらに調べた上で自身の企業にとって適切なファクタリングを使用していただければ幸いです。
ここまでとても長文でしたが読んでいただきありがとうございました。
読んでくださったみなさんにとってよりファクタリングが身近に感じていただけますように。