ファクタリング情報

ファクタリング契約と会計処理方法に関して分かりやすく解説

ファクタリングとは、売掛債権を譲渡し売掛金の早期現金化を図る資金調達法です。
近年利用する企業も増えています。
そこでファクタリング利用において、ポイントとなるのが会計処理の方法です。

ファクタリングの会計処理に関しては、そこまで難しいものではありません。
しかしファクタリングという資金調達法における現金の流れは、しっかりと理解する必要があります。
理解が足りないと、会計処理でも悩んでしまうかもしれません。

この記事では最も一般的である買取型、2社間ファクタリングの会計処理を、分かりやすく解説します。

ファクタリングの基本的な流れ

ファクタリングにはさまざまな契約方法があります。
それぞれの契約方法により、会計処理にも違いが発生するので注意しましょう。

しかしそれぞれを細かく解説すると長くなり、かえって分かりにくくなってしまいます。
この記事ではもっとも基本的なファクタリング契約である、買取型・2社間ファクタリングを例にとります。
その形態にて、会計処理を理解していきましょう。

まずは買取型・2社間ファクタリングにおける、手続きの流れを確認しておきましょう。

• 売掛債権が発生する
• 売掛債権をファクタリング会社に持ち込み事前相談(見積もり)を行う
• ファクタリング契約を申し込む
• ファクタリング会社が審査を行う
• ファクタリング契約を締結する
• ファクタリング会社から入金される
• 売掛先から売掛金が入金される
• 入金された売掛金をファクタリング会社に入金する

買取型のファクタリング契約とは、売掛債権の譲渡契約です。
手元にある売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、売掛金の早期現金化を図る形になります。

上記の流れのなかで、会計処理が発生するタイミングと、そのタイミングで行う会計処理に関して詳しく解説していきます。

ファクタリングで会計処理が必要になるタイミング

日本国内で買取型・2社間ファクタリングを利用した場合、会計処理が発生するタイミングは基本的に5回です。
上記の契約の流れを参考にすると、以下のタイミングになります。

• 売掛債権が発生する
• ファクタリング契約を締結する
• ファクタリング会社から入金される
• 売掛先から売掛金が入金される
• 入金された売掛金をファクタリング会社に入金する

それぞれのタイミングで必要になる会計処理に関して、細かく解説していきましょう。
ここでは分かりやすく、額面金額200万円の売掛債権をファクタリングし、手数料が10万円だったケースで紹介していきます。

売り上げ発生時

まずは売り上げが発生したタイミングの会計処理です。
これはファクタリングを利用してもしなくても、発生する会計処理です。
そのため会計処理担当者の方は、通常通りに会計処理を行えば問題ありません。

• 貸方 → (勘定項目)売掛金 → 200万円
• 借方 → (勘定項目)売上 → 200万円

会計処理を行うタイミングは売り上げが発生し、請求書を起こしたタイミングです。
会計処理担当の方であればご存じかもしれないので、そちらの会計の認識で問題ありません。

ファクタリング契約締結時

次に会計処理が発生するのは、ファクタリング契約が成立したタイミングです。
ファクタリング契約が締結するのは、この時点で手元にあった売掛債権の所有権が、ファクタリング会社に移行することです。
この債権の動きに合わせて、会計処理を行いましょう。

• 貸方 → (勘定項目)未収入金 → 200万円
• 借方 → (勘定項目)売掛金 → 200万円

ファクタリング契約が締結され、ファクタリング会社からの入金があるまでの期間における、会計処理が上記の通りです。
貸方にあった売掛金は債権譲渡とともになくなります。
しかしその売掛債権を譲渡して得られる金額が、未入金でしょう。
そのため貸方は、未収入金として会計処理しましょう。

貸方は勘定項目が売掛金に変わります。

ファクタリング会社からの入金時

ファクタリング契約が締結されると、ファクタリング会社から売掛債権譲渡の費用が支払われます。
現金が入金されるタイミングになるため、このタイミングでも会計処理が必要です。

• 貸方 → (勘定項目)現金・預金 → 190万円
• 貸方 → (勘定項目)売掛債権売却損 → 10万円
• 借方 → (勘定項目)未収入金 → 200万円

ファクタリング契約では手数料の支払いが必要となります。
この条件では売掛債権の額面金額が200万円で、手数料が10万円というケースです。
そのためファクタリング会社から入金されるのは、190万円になります。

この190万円は現金・預金、もしくは普通預金という勘定項目で貸方に起こします。
手数料にあたる10万円は、売掛債権売却損として会計処理しましょう。
売掛債権売却損とは、文字通り売掛債権を売却するにあたって発生した、損失のことを指します。

借方の勘定項目はこのタイミングで、未収入金となります。
取引先への売掛金200万円が未収入のため、この勘定項目で会計処理をしていきましょう。

売掛金入金時

後日取引先から売掛金が入金されます。
買取型・2社間ファクタリングの場合、売掛債権自体はファクタリング会社に譲渡します。
しかし売掛金の入金先は、利用企業の口座のまま変わりません。

2社間ファクタリングは利用企業を、ファクタリング会社の2社の間で結ばれるファクタリング契約です。
売掛先には知られずに契約しますので、売掛金の入金先の変更もありません。

売掛先から入金期日までに売掛金が入金された場合の、会計処理を紹介していきます。

• 貸方 → (勘定項目)現金・預金 → 200万円
• 借方 → (勘定項目)預かり金 → 200万円

利用企業は、形として売掛債権を持つファクタリング会社に代わって、売掛金の回収を行うことになります。
そのため入金された売掛金は現金として貸方に起こしましょう。

貸方にはこの売掛金は、ファクタリング会社に代わって回収したものです。
ファクタリング会社から預かっている現金という形になります。
そのため勘定項目、は預かり金で会計処理を行いましょう。

売掛金支払い時

売掛先から売掛金が入金されたら、利用企業は速やかにこの売掛金をファクタリング会社に支払います。
この支払い時の会計処理を確認しておきましょう。

• 貸方 → (勘定項目)預かり金 → 200万円
• 借方 → (勘定項目)現金・預金 → 200万円

前の段階と勘定項目が入れ替わります。
預かっていた売掛金をファクタリング会社に支払い、その分現金が減るという形の会計処理です。

これで基本的なファクタリング契約における会計処理は完了です。

3社間ファクタリングの場合の会計処理

買取型のファクタリング契約には、3社間のファクタリングという形もあります。
これは利用企業とファクタリング会社に加え、売掛先である企業も含めた3社間で交わされる契約です。

2社間ファクタリングとは違い、ファクタリング利用時に売掛先にもファクタリングを利用することを伝えます。
そして契約に参加してもらう必要があります。

ファクタリングを利用することは、何らかの理由で至急現金が必要な状況であるという印象を与えるかもしれません。
取引先である売掛先が「あの会社は資金繰りが厳しい」という、イメージをもつかもしれないのです。

どういった企業も、資金繰りが厳しい企業とはできるだけ取引をしたくないものでしょう。
つまりファクタリングの利用を他社に知られることは、それだけ自社の信用が落ちる可能性があることにもなりかねません。

そのため掛け取引が主流である日本国内においては、他社に知られる可能性が低い2社間ファクタリングがメインとなっています。

ただし3社間ファクタリングにはメリットもあります。
大きなメリットはファクタリング手数料相場が安いという点です。

会計処理の勘定項目を見てもわかる通り、ファクタリング契約における手数料は「売掛債権売却損」で、つまり「損」となります。
この損の金額を大幅に減らせるのが、3社間ファクタリングです。

3社間ファクタリングは会計処理がシンプルに

3社間ファクタリングの場合、売掛先もファクタリング契約を了承しています。
売掛金の入金先は利用企業の口座ではなく、ファクタリング会社の口座に変更されるのです。
そのため以下のふたつのタイミングでの会計処理が、不要となります。

• 売掛金入金時
• 売掛金支払い時

このふたつのタイミングで、利用企業は関わらないことになるため、会計処理も不要です。
必要な会計処理は、ファクタリング契約を結んで売掛債権が譲渡されたタイミングの会計処理です。
さらにその売掛債権譲渡に対する入金があったタイミングの、会計処理のみとなります。

ファクタリングの会計処理で注意すべきポイント

ファクタリングの会計処理に関しては、その都度行われる現金の動きや契約内容を把握していれば、そこまで難しいものではありません。
しっかりファクタリングの内容を理解していれば、混乱せずに会計処理できるでしょう。

それでもファクタリング契約の会計処理では、注意すべきポイントがいくつかあります。
以下ではこのポイントを、まとめて紹介しておきましょう。

ファクタリング手数料は「売掛債権売却損」で計上

まずは売掛債権を譲渡した代金が入金されたタイミングで、会計処理すべきファクタリング手数料に関してみていきましょう。

売掛債権の譲渡は株券や債券と同様に、金融商品の取引として扱われます。
この金融商品の取引にあたって発生した損として、売掛債権売却損として扱います。

ただしファクタリングというシステム自体が、日本国内で増えてきたのは比較的最近のことです。
会計処理に使用しているソフトがある程度古い場合、勘定項目に売掛債権売却損という項目がないケースもあります。

もし勘定項目に売掛債権売却損の項目がない場合は「雑損失」や「支払手数料」でも、会計処理は可能です。
これらの項目を利用しましょう。

ファクタリング契約で消費税は発生しない

ファクタリング契約とは売掛債権の譲渡契約であり、金融商品に関する取引という形になります。
こうした金融商品の取引は非課税取引であり、消費税も非課税となります。

一部悪徳業者の中には、ファクタリング契約で消費税を徴収する業者もいるようです。
契約の段階でしっかりチェックし、騙されないようにしましょう。

ただしファクタリング契約において、債権譲渡登記が必要である場合、この登記を依頼する司法書士に支払う報酬は課税対象です。
この報酬に対しては消費税が発生しますので、覚えておきましょう。

ファクタリング契約と同時に入金があった場合

ファクタリングを利用する大きなメリットとして、現金化のスピードが早いという点があげられます。

同じ資金調達法でも金融機関から資金融資を受ける場合は、申し込んでから実際に融資を受け取るまで最低でも数週間必要です。
多くの場合は1か月単位で時間がかかります。
しかしファクタリングの場合は長くても1~2週間以内、最速では即日現金化も可能という契約になります。

ここで会計処理上覚えておきたいのが、ファクタリングの契約締結です。
さらに売掛債権譲渡の代金の入金が、同日に行われた場合の会計処理です。

まずはファクタリング契約時とファクタリング会社から、入金があったタイミングでの会計処理を再確認しておきましょう。

<ファクタリング契約時>
• 貸方 → (勘定項目)未収入金 → 200万円
• 借方 → (勘定項目)売掛金 → 200万円

<ファクタリング会社からの入金時>
• 貸方 → (勘定項目)現金・預金 → 190万円
• 貸方 → (勘定項目)売掛債権売却損 → 10万円
• 借方 → (勘定項目)未収入金 → 200万円

ファクタリング契約とファクタリング会社からの入金が同日に行われた場合、このふたつの会計処理を、ひとつにまとめて行えます。

<契約と入金が同日の場合の会計処理>
• 貸方 → (勘定項目)普通預金 → 190万円
• 貸方 → (勘定項目)売掛債権売却損 → 10万円
• 借方 → (勘定項目)売掛金 → 200万円

ファクタリング契約と入金まで期間が空く場合、入金を待っている金額に対し「未収入金」という項目が必要となります。
しかしこのふたつが同時に行われる場合、未収入金の項目は不要です。

貸方では入金された金額を普通預金に、かかった手数料を売掛債権売却損として計上します。
貸方は売掛金として会計処理すればOKです。

ファクタリングの会計処理についてのまとめ

ファクタリングは比較的新しい資金調達法です。
そのため会計処理に関して疑問に感じる会計処理担当者も多いでしょう。

しかしファクタリング契約の内容や流れをしっかりと把握していれば、会計処理自体はそこまで難しい処理ではありません。
これからファクタリングというシステムの利用を考えている経営者の方は、会計処理の担当者にもその旨を伝えましょう。
ファクタリング契約の流れなどを理解しておいてもらいましょう。

せっかくファクタリングを利用して現金を手にできても、会計処理でミスがあっては後々問題に発展しかねません。
しっかりと会計処理を行っていきましょう。