将来債権もファクタリングできる|メリットやデメリットを紹介
目次
従来の債権に限らず、将来債権でもファクタリングできるか不安な方もいるでしょう。
結論から述べると、将来債権のファクタリングは可能です。
業者に買い取ってもらえば、資金繰りを改善できるでしょう。
ただし取扱業者がまだ少なく、手数料がかかったり、審査が厳しかったりなどのデメリットに要注意です。
しかし将来債権のファクタリングは、今後需要拡大の可能性があるので、資金繰りを改善したい事業者は注目しましょう。
将来債権の定義と、ファクタリングによる譲渡のメリット、デメリットなどを紹介します。
将来債権とは定期的な債権
将来債権は将来において、定期的な取引の約束で発生する債権です。
2020年の法改正により、将来債権もファクタリング業者に買い取ってもらえます。
一般的なファクタリング対象である確定債権や、類似概念の想定債権との違いを踏まえつつ、概要を確かめてください。
将来債権は継続的取引で定期的に発生する
将来債権は定期的に発生する債権の一種で、企業と取引先での継続的取引により生まれます。
一回きりの取引だけでなく、定期的に同じサービスを提供することもあるでしょう。
そうした場合に将来債権が発生し、企業は定期的に新たな売掛金を持ちます。
たとえば毎月20万円のサービスを提供する場合です。
このとき提供や入金の日程が決まっていなくても、契約が締結されていれば、取引確定とみなされます。
つまり企業は毎月同じサービスを提供して、20万円を受け取ることが決まっており、将来債権の発生につながるのです。
以上から将来債権は、定期的な契約を結んでいるために、将来的に発生する債権という意味です。
2020年の法改正で将来債権も譲渡可能になった
2020年の民法改正により、ファクタリングでは将来債権の譲渡が可能になりました。
一般的な取引対象は、サービス提供と請求書発行の終わった確定債権です。
しかし民法改正の結果、定期的契約による債権も、ファクタリングできるようになりました。
以上から企業は、業者へ譲渡可能な売掛金が幅広くなりました。
民法の内容が変わったことで、資金調達の選択肢が広まったのです。
将来債権の特徴は、売掛金が確定していない点です。
法改正前は企業が保有していない限り、業者への譲渡は不可能でした。
しかし2020年の法改正の結果、将来債権に限り、企業が有していなくても譲渡できます。
以上からファクタリング業者も、売掛金について柔軟な対応が可能です。
最近の法改正の結果、将来債権からの資金調達もできるようになりました。
取扱業者はまだ少ないものの、対応可能なら助かる企業もあるでしょう。
確定債権との違い
確定債権との違いはサービスの提供や、入金条件の確定の有無です。
確定債権はサービス提供の完了が条件で、なおかつ入金額や入金日も決まっています。
企業は従来の売掛金を手にするとき、サービス提供は終わっていて、なおかつ支払期日も確定しているのです。
しかし将来債権は、サービス提供も入金条件も決まっていません。
定期的な取引契約に基づいて、将来的な取引が想定されているだけです。
たとえば毎月100万円分の同じ商品を取引先に与えるとしましょう。
1か月後や2か月後の100万円分の取引が、将来債権にあたります。
このように将来債権は、サービスの提供や支払期日が決まっていなくても、定期的な契約が結ばれていれば発生します。
想定債権との違い
想定債権は、将来債権よりやや近い将来を想定しています。
すでにサービスの提供は完了していながら、まだ請求書を発行していない状態です。
つまり支払期日だけが決まっていないので、想定債権と呼ばれます。
企業にとっては、サービス提供を済ませているので、あとは請求を完了させるだけです。
契約内容により支払の約束が決まっていれば、請求書を発行していなくても想定債権として、金銭受取の権利を有します。
一方将来債権は、請求書だけでなくサービスも完了していない状態です。
定期契約により、将来的なサービス提供と支払が約束されているだけです。
以上から想定債権より、遠い将来を想定することもあります。
将来債権はサービス提供と支払期日が決まっていないため、想定債権とも異なるのです。
将来債権ファクタリングのメリット3つ
将来債権のファクタリングへの活用には、さまざまなメリットがあります。
法改正により確定債権でなくても、キャッシュフローの改善に活かせます。
また定期的な債権譲渡の方が、資金回収もしやすいでしょう。
将来債権ファクタリングのメリットについて、以下の3つを紹介します。
1.確定債権でなくても資金調達が可能
2.資金繰りを早期に改善できる
3.資金回収もしやすい
1.確定債権でなくても資金調達が可能
最初のメリットは確定債権でなくても、資金調達ができる点です。
従来のファクタリングでは、サービス提供と支払期日の決まった確定債権を、業者へ譲渡します。
一方将来債権は未発生の状態でも、業者への譲渡が可能です。
そのため定期契約による売掛金があれば、将来債権として売却できます。
たとえば手元に通常の売掛金がなくて、資金繰りに困っている場合です。
取引先と定期的な契約を結んでいれば、将来債権の譲渡を検討できるでしょう。
毎月100万円分の商品提供の契約があれば、提供のたびに100万円の支払が確定している状態です。
これが将来債権であり、ファクタリング業者への売却もできます。
2020年の法改正により将来債権もファクタリング対象になったため、取引を待たずして資金調達に活かせます。
2.資金繰りを早期に改善できる
次のメリットは、早期の資金繰りの改善です。
従来のファクタリングでは、確定債権でないと業者に譲渡できませんでした。
そのため確定債権が手元になく、資金繰りに苦労する企業もあったでしょう。
しかし将来債権も売却可能になり、資金繰りを改善しやすくなりました。
将来債権の譲渡のメリットは、将来受け取る資金も、早めに手に入れられることです。
一時的な資金問題の解決だけでなく、支払と入金のサイクルの改善も期待できるでしょう。
企業にとっては、将来債権の譲渡により、資金力を回復させるチャンスです。
多額の資金調達をきっかけに、事業を拡大したり、新しい資金計画を立てたりできます。
ファクタリング業者によってはコンサルティングもしているため、資金調達をきっかけに経営改善のアドバイスも受けましょう。
アドバイスの実践で、キャッシュフローを大きく改善する企業もあります。
以上から将来債権をファクタリングに活用すれば、キャッシュフローの改善を望めます。
3.資金回収もしやすい
最後のメリットは、資金回収もしやすい点です。
従来のファクタリングは、確定債権の譲渡が通例でした。
たとえば毎月100万円の取引をしていて、取引ごとの支払期日が2か月後とします。
1か月目だけでなく、2か月目の取引でも、代価を受け取っていない場合があるのです。
このとき企業は、200万円分の売掛金を持っています。
そこでファクタリングを利用すれば、200万円分の売掛金を換金できます。
ただしファクタリングでは、複数の売掛金を一度に換金すると、そのぶんを取引先から回収しなければなりません。
取引先によっては、金銭的負担が大きいので、事業者によっては申し訳ないと思うでしょう。
しかし将来債権なら、毎月一定額をコンスタントに回収できます。
毎月100万円の取引をしている場合、1か月ごとに債権譲渡して、100万円ずつ取引先から回収すればよいのです。
2か月分の200万円を一気に回収するより、取引先の負担も軽いといえます。
将来債権ファクタリングは、企業の資金繰り改善だけでなく、取引先の負担も軽減できるでしょう。
将来債権ファクタリングのデメリット3つ
将来債権ファクタリングでは、注意すべきデメリットもあります。
手数料や審査の厳しさなどに気をつけ、対処法を考えておきましょう。
将来債権ファクタリングの注意点について、以下の3つを紹介します。
1.手数料がかかりやすい
2.確定債権より審査が厳しいこともある
3.取扱業者が少ない
1.手数料がかかりやすい
確定債権ではなく将来債権を譲渡すると、想定より手数料が高くなるかもしれません。
将来債権はまだサービス提供や、支払が確定していないからです。
サービス提供前に契約打ち切りが決まれば、債権としての実体もなくなります。
そのためファクタリング業者から見ると、買い取りのリスクが高いのです。
資金回収の失敗を想定して、高い手数料が適用されるかもしれません。
以上から手数料を抑えつつ資金調達するには、確定債権の譲渡が推奨されます。
2.確定債権より審査が厳しいこともある
将来債権は確定債権より審査が厳しく、場合によっては譲渡できません。
将来債権はサービスの提供も、支払期日も確定していない状態です。
そのため取引先の経営状況がよくないと、業者も買い取りづらいでしょう。
加えて企業の信用力も、従来のファクタリングより慎重に審査されます。
以上から将来債権を譲渡する場合、自社だけでなく取引先の経営状況も確かめ、審査通過の可能性を考えましょう。
3.取扱業者が少ない
将来債権を扱うファクタリング業者は、まだ少ないのが現状です。
2020年の法改正で将来債権がファクタリング対象になってから、まだ時間が経っていません。
そのため業者によっては、まだ将来債権に対応できないのです。
将来債権の譲渡を考えるなら、柔軟に対応してもらえる業者を見つけましょう。
将来債権ファクタリングは需要拡大の可能性がある
将来債権ファクタリングは、今後需要拡大の可能性があります。
企業間取引では、毎月のサービス提供が見られ、将来債権の存在もビジネスシーンで知られている状況です。
法改正でファクタリング可能になったため、活用したい企業も増えるでしょう。
継続的かつ安定した将来債権により、無理なく財務改善できる企業もあります。
以上から今後は、将来債権を受け入れるファクタリング業者が増えそうです。
これから資金調達計画を考える場合、将来債権の譲渡の需要拡大も踏まえましょう。
将来債権ファクタリングのまとめ
将来債権は、サービス提供や支払確定前に発生する債権です。
毎月100万円のように、継続的な取引によって、企業が保有します。
2020年の法改正で一般的な売掛金だけでなく、将来債権の譲渡も可能になりました。
資金繰りの厳しい企業はいつ現れるかわからないため、将来債権ファクタリングも今後需要が広がるかもしれません。
以上から資金調達の手段として、将来債権のファクタリングも考えられます。