ファクタリング情報

下請企業もファクタリングできる?下請法を踏まえながら解説

親事業者との取引で、ファクタリングを利用できるか悩む下請企業もあるでしょう。
結論から述べると、下請企業も利用可能です。
下請法の規制により、親事業者はファクタリングの妨害や報復を原則禁止されています。
そのため下請企業は安心して売掛金を業者へ売却できますし、万が一トラブルに遭ったときは、下請法に基づいて対処できます。
今回は下請企業に向けて、ファクタリングの重要性をまとめました。

親事業者の売掛金はファクタリング可能

基本的に下請企業は、親事業者の売掛金のファクタリングが認められています。
親事業者は下請代金の支払期日について、商品やサービスの受領から60日以内としなければなりません。
つまり下請企業への売掛金が発生してから、60日以内に支払期日を決め、それまでの決済が必要です。
下請企業はこの売掛金を、ファクタリング業者へ売却してもかまいません。
業者は売掛金の買取後、親事業者から資金回収をすれば、一連の手続きが成立します。
一方親事業者が下請企業のファクタリングを拒否すると、下請法違反に問われます。
以上から下請企業は、親事業者が出した売掛金の譲渡を認められるのです。
下請企業にもファクタリングを利用する権利があるので、専門業者へ依頼できます。

下請企業によるファクタリングのメリット3つ

下請企業によるファクタリングのメリットは、早期の資金調達です。
下請法規制により、親事業者によるファクタリング阻止のリスクもありません。
まとまった資金を調達できれば、事業拡大にもつながるでしょう。
ファクタリングのメリットを、以下で3点解説します。

1.親事業者への下請法規制により売掛金を換金しやすい
2.早期の資金調達が可能
3.事業拡大へつなげやすい

1.親事業者への下請法規制により売掛金を換金しやすい

下請企業も従来と同じく、ファクタリングの利用で売掛金を換金できます。
法規制により、ファクタリングで親事業者から介入を受けるリスクがありません。
親事業者は売掛金の条件について、勝手な変更を禁じられています。
たとえば売掛金の金額を減らしたり、意図的に支払期日を延ばしたりなどは不可能です。
下請企業は、売掛金を原則自由に扱えるため、ファクタリング業者にも譲渡できます。
下請企業について、社会的立場が弱く、親事業者の許諾なしでファクタリングできないと思う方もいるでしょう。
実際の下請企業は、下請法によって一定の権利を守られています。
以上から売掛金の売却も、下請企業の自由です。
親事業者にファクタリングを知られたくない場合は、下請企業と業者の2社間契約を結び、売掛金を譲渡しましょう。
以上から下請企業でも、従来の企業と同様に、好きなタイミングでファクタリングを利用できます。

2.早期の資金調達が可能

下請企業でもファクタリングを使えば、早期の資金調達が可能です。
一部の下請企業は、親事業者からの委託が業務の中心になるでしょう。
一定期間において委託が少なく、資金繰りが厳しい方もいます。
しかし手元に売掛金があれば、早期の資金調達で経営を改善できるでしょう。
ファクタリング業者によっては、申請日当日に売掛金を買い取り、入金まで終えます。
審査が短時間で済む結果、即日で売掛金の相当額を入金できるからです。
下請企業にとって、業者の即日入金は助かるでしょう。
足りない資金をすぐに補えるので、経営状況を素早く改善させられます。
以上からファクタリング業者を利用すれば、短時間でまとまった資金調達が可能です。
下請企業も金銭的な見通しを立てやすくなるでしょう。

3.事業拡大へつなげやすい

下請企業でもファクタリングを利用すれば、事業拡大へつなげられます。
親事業者の経営が安定していれば、そこから出た売掛金を買い取ってもらえる可能性が高いからです。
売掛金の金額が大きいほど、一度にまとまった資金を調達できます。
経費のカバーに加えて、余った分は別の用途に使えるでしょう。
たとえば下請企業でも、新事業の開始や設備投資をしたいときがあります。
ファクタリングによる早期の現金化で、新しいビジネスへつなげられるでしょう。
売掛金の売却で得た資金は、返済義務がないので、経営に余力を与えられます。
下請企業も適切な時期にファクタリングをすれば、資金力を高め、成長のきっかけをつかめるのです。
ファクタリングを活用すれば、資金の余力ができ、今後の展望が明るくなるでしょう。

下請法とは?

下請法は下請企業を守る法律です。
下請企業が親事業者から不利益を受けないように、ルールが整備されています。
そのため親事業者への規制がメインです。
ここでは下請法の基本的な定義に加え、該当する取引や、親事業者の義務を見ていきましょう。

親事業者と下請企業の関係性を守る法律

下請法は親事業者が下請企業に不利益を与えないため、健全な関係性を守る法律です。
下請企業は、資本金の小さい場合が多いといえます。
場合によっては個人事業主が下請になり、親事業者から仕事を受けるでしょう。
その過程で親事業者が不当な要求を出し、下請が損失を受けるかもしれません。
このようなトラブルを防ぐため、下請法が設けられているのです。
下請法では主に、親事業者のさまざまな行動が規制されています。
たとえば親事業者から下請企業への発注商品について、不当な代金減額や返品などは認められていません。
また発注商品の代価について、不当な支払遅延も許されないのです。
このように下請企業が不利益を受けないため、親事業者が規制を受けています。
下請法を知れば、親事業者とのトラブルを防げるほか、起きた場合の適切な対処にもつながります。

下請法に該当する取引4つ

下請法に当てはまる取引として、以下の4つを確かめてください。

1.製造委託
2.修理委託
3.情報成果物作成委託
4.役務提供委託

基本的に親事業者は下請企業へ、商品の製造や修理を委託します。
情報成果物とはコンテンツやプログラム、デザインなどが代表例です。
つまりIT企業や、アート系の企業による下請への委託が見られます。
たとえば親事業者が下請企業にアプリ開発をまかせれば、コンテンツやプログラムの作成委託にあたるのです。
役務提供委託はメンテナンスや倉庫管理、情報処理、運送などが当てはまります。
親事業者が自社サービスを下請企業にまかせれば、この種類の委託にあたります。
ただし建設業者の建設工事は、役務提供委託に該当しません。
このように下請法は、親事業者から下請企業へのさまざまな委託業務が対象です。
下請企業は該当業務で売掛金を得た場合、親事業者の意向を問わずファクタリングに使えます。

下請法における親事業者の4つの義務

親事業者は下請法において、4つの義務を負います。

1.書面交付
2.支払期日の決定
3.書類の作成や保存
4.遅延利息の支払

書面交付で対象になるのは、3条書面です。
親事業者は下請企業への発注後、すぐに3条書面を交付しなければなりません。
また支払期日は給付受領後の60日以内に決め、実際に期限を守る必要があります。
書類の作成や保存では下請取引の書類を作り、2年間保存しなければなりません。
必要な支払が万が一遅延すれば、下請企業へ遅延利息を払うことになります。
このように下請法では下請企業の損失を防ぐため、親事業者にさまざまな義務が課せられているのです。

親事業者は下請業者のファクタリングの妨害を禁止されている

下請業者のファクタリングについて、親事業者の妨害は禁止されています。
下請法で以下の規制が設けられているので、それぞれ確かめましょう。

1.支払期限を守らなければいけない
2.下請代金の減額も認められない
3.返品も規制されている
4.報復措置も禁止
5.有償支給原材料の早期支払も禁止
6.割引できない手形の交付も不可能
7.注文内容の不当な変更ややり直しもできない

1.支払期限を守らなければいけない

親事業者は下請企業への委託について、支払期限を守らなければいけません。
商品やサービスを受け取ってから、60日以内に支払期日を定める義務があります。
一度決めた期日は、実際に守らなければなりません。
つまり下請企業は親事業者から売掛金を受け取り、期日内に代価を受け取ります。
ファクタリングで売掛金を業者へ譲渡すれば、親事業者の支払分は期日内に業者へ渡るしくみです。
以上から親事業者は下請企業に対し、売掛金の支払期日を守る義務があります。

2.下請代金の減額も認められない

親事業者は下請代金について、発注後の減額はできません。
たとえば下請企業が売掛金をファクタリングで売却したあと、親事業者はその金額を安くできないのです。
ファクタリング業者も一度売掛金を買い取れば、その分の全額を回収します。
そのため一度下請代金が発生すれば、親事業者は期日までに全額支払わなければなりません。

3.返品も規制されている

親事業者は一度納品した商品に関して、勝手に返品してはいけません。
下請企業は親事業者に商品やサービスを一度渡せば、返品請求を受けないのです。
ただし下請企業の明らかな責任で、親事業者が不用品を受け取った場合は返品可能になります。
このように下請法では、親事業者の返品にも規制が設けられているのです。
下請企業は勝手な返品で困っている場合、弁護士事務所のような信頼できる機関へ相談しましょう。

4.報復措置も禁止

下請法では親事業者による報復措置も禁じられています。
たとえば下請企業のファクタリングを知り、親事業者が取引数量を減らしたり、一方的に関係を絶ったりしてはいけません。
下請企業も資金調達が必要なので、それを理由とした親事業者の報復措置は認められないのです。

5.有償支給原材料の早期支払も禁止

親事業者は、有償支給の原材料の代価についても規制を受けています。
下請代金の支払期日の前に、原材料の代価を相殺したり、支払わせたりしてはいけません。
たとえば下請代金が500万円で、原材料代価が200万円の場合です。
親事業者が原材料代価を勝手に差し引き、下請代金を300万円しか払わない可能性があります。
しかし下請法では、原材料代価の一方的な差し引きは禁止です。
これが認められると、下請企業の売掛金が不当に差し引かれ、ファクタリングによる資金調達へ影響します。
以上の背景から、下請企業は原材料の受取後も、売掛金については全額受け取る権利があります。

6.割引できない手形の交付も不可能

親事業者は、一般金融機関で割引不可能な手形も、下請企業へ交付できません。
親事業者によっては、下請企業へ手形決済をします。
しかし手形の決済までの期間が長すぎると、下請企業には渡せません。
決済までの期間が長すぎると、下請企業の資金調達に悪影響を及ぼすので、下請法では親事業者の手形交付に関する規制もあります。

7.注文内容の不当な変更ややり直しもできない

親事業者は下請企業に対し、注文内容の不当な変更ややり直しも求められません。
下請費用を払わずして、勝手に注文内容を変えたり、サービス成立後に作業のやり直しをさせたりできないのです。
注文内容の変更や作業のやり直しで、下請企業が不利益を受けることは、下請法で認められません。
以上から一度売掛金が発生すると、サービス内容の変更や手直しの要求は無効です。

下請企業によるファクタリングのまとめ

ファクタリングは下請企業でも利用できます。
親事業者は下請企業のファクタリングを妨害したり、利用を理由に報復措置をしたりできません。
以上から下請企業も、親事業者の意向を問わず、好きなタイミングでファクタリングできます。
下請法では親事業者に対し、下請企業の不利益につながるさまざまな行動が認められません。
そのため下請企業は不利益を受けた場合、親事業者に正当な権利を主張したり、法律相談で得た解決手段を使ったりできます。
下請企業でも資金調達が必要になったら、ファクタリングを検討しましょう。