ファクタリング活用法

卸売業の資金繰り改善に役立つファクタリングとは│利用時の注意点についても解説!

卸売業が抱える資金繰りの問題

卸売業の資金繰りは他の業種と比べて難しい傾向にあります。
生産者と小売店の間に挟まれているという性質上、様々な問題が発生します。
本章では、卸売業が抱える資金繰りの問題について解説していきます。

手元資金が不足しやすい

卸売業は、生産者から仕入れた商品を小売店などに販売しています。
小売店の注文には柔軟に対応する必要があるため、需要予測に応じて商品の在庫を確保しなければいけません。
この際、卸売業では在庫の仕入費用の支払いが売掛金の回収前になってしまうことが多いです。
仕入費用が先行してしまうと、前の売上を上げるためにかかった仕入費用を回収する前に次の仕入費用を支払わなければいけなくなるため、手元資金が不足してしまいます。
手元資金が不足し、仕入先への支払いが滞るようになってしまえば、仕入先からの信用を失い、小売店に販売する在庫を確保できなくなります。
そのため、卸売業は何としても仕入にかかる資金を確保しておかなければいけません。
ただ、卸売業は経営規模や資金繰りが原因となって、融資などの資金調達方法を利用できないケースが多々あります。
そのため、卸売業では「売上はあるが手元資金を確保できない」という状態に陥り、黒字倒産という結果になってしまう事業者が多いです。
卸売業の資金繰りを改善するためには、仕入費用を賄うための手元資金を確保することが重要だといえます。

売掛金の貸し倒れリスクが高い

卸売業の資金繰りは、取引先である小売店の経営状況に左右されます。
小売店は、商品の最終地点である一般消費者と近く、景気の影響を受けやすい立ち位置にいるため、経営状況が不安定です。
昨今の新型コロナウイルスのような予測不可能な出来事にも大きな影響を受けるため、突然経営悪化や倒産に陥ってしまうこともあります。
小売店の経営状況が悪化してしまうと、卸売業は確保している在庫を販売することができません。
結果として過剰な在庫を抱えてしまい、損失を受けてしまう可能性があります。
また、卸売業者と小売店は基本的に掛け取引を行っているので、売掛金の回収前に小売店が倒産に陥ってしまった場合は、貸し倒れによる多大な損失を受けることになります。
最悪の場合、小売店の倒産に続いて卸売業者も倒産してしまう「連鎖倒産」になってしまうリスクがあるので、取引する小売店の与信に関してはしっかりと調査しておく必要があります。

利益率が低い

卸売業は、自社独自の商品を販売しているわけではなく、メーカが製造した商品を仕入れて販売しています。
生産者は、より多くの商品を販売してもらうために、複数の卸売業と取引を行っているため、卸売業者間では価格競争が起こりがちです。
生産者が製造した商品には「特許」というものがあり、途中で加工を加えて付加価値を付けることができないので、価格を安くして顧客を獲得するしか方法がありません。
このように、卸売業では価格競争によって年々利益率が低下しており、資金繰りに大きな影響を与えています。

卸売業の資金繰り改善に役立つ「ファクタリング」とは

上述したように、卸売業は資金繰りに問題を抱えることが多い業種です。
融資などの資金調達方法の利用も難しいため、資金繰り改善もそう簡単ではありません。
しかし、売掛金を現金化できるファクタリングであれば、資金繰りの問題を改善できる可能性があります。
本章では、卸売業の資金繰り改善に役立つファクタリングについて解説していきます。

ファクタリングとは

ファクタリングは、売掛金を早期に現金化できるサービスです。
取引先との間に発生した売掛金をファクタリング会社に売却することで、資金調達を行うことができます。
この際、ファクタリング会社の買取対象となる売掛金は、支払期日や支払金額が確定している「確定債権」です。
継続的な取引から将来的に売掛金の発生が予測される「将来債権」や、支払期日を過ぎてしまっている「不良債権」は買取対象にならないので、注意が必要です。
ファクタリングは融資やカードローンとは異なり「債権譲渡取引」に分類されています。
融資などで行う「金銭消費貸借取引」ではないため、それほど審査が厳しくありません。
また、融資やカードローンの審査では利用者の返済能力を重視するのに対し、ファクタリングでは売掛先の信用力を重視します。
なぜなら、ファクタリング会社は売掛先から売掛金を回収する必要があるからです。
このように、ファクタリングは融資やカードローンと異なる性質を持っており、卸売業の資金繰り改善に活用することができます。

ファクタリングには2種類の契約方式がある

ファクタリングには「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」の2種類の契約方式があります。
本章では、2つの契約方式について詳しく見ていきましょう。

2者間ファクタリング

2者間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2者間で取引を行う契約方式です。
2者間でスムーズに手続きを進められるため、素早い資金調達に期待できます。
また、債権譲渡通知を行わなくてよいため、ファクタリングの利用が売掛先に知られてしまうこともありません。
しかし、売掛金の返済をファクタリング会社に行う際は、一度売掛先から利用者に売掛金が入金されるため、ファクタリング会社としては利用者に売掛金を使い込まれてしまうリスクが発生します。
ファクタリング会社は、利用者に売掛金を使い込まれてしまうリスクに備えるため、通常よりも高めの手数料設定を行います。
そのため、3者間ファクタリングよりも手数料が高くなりやすい傾向にあります。
ただ、近年では「オンラインファクタリング」が登場しており、2者間ファクタリングでも手数料を抑えることが可能です。

3者間ファクタリング

3者間ファクタリングは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者間で取引を行う契約方式です。
売掛先が取引に参加することによって手続きの手間が増えるので、2者間ファクタリングよりも資金調達までに時間がかかってしまいます。
また、3者間ファクタリングを利用するためには売掛先の承諾が絶対条件なので、基本的にファクタリングの利用に理解を示してくれる売掛先との売掛金しか使用することができません。
しかし、ファクタリング会社への返済は売掛先が直接行うので、2者間ファクタリングと比べてファクタリング会社側のリスクが少ないです。
そのため、2者間ファクタリングよりも安い手数料で利用できます。

卸売業がファクタリングを利用するメリット

ファクタリングは、資金繰りに多くの問題を抱える卸売業にとって有効な資金調達方法です。
では、実際のところどのようなメリットがあるのでしょうか。
本章では、卸売業がファクタリングを利用するメリットについて解説していきます。

手元資金を確保できる

卸売業は、ファクタリングを利用することで手元資金を確保することができます。
卸売業では、商品の納品から代金の受け取りまでに長い期間を要することが多いです。
また、売掛金の回収よりも仕入費用の支払いが先行する特性もあり、手元資金が不足しやすい傾向にあります。
経営状況の不安定さから融資を利用することも難しいので、手元資金の確保が重要課題となっています。
しかし、ファクタリングを利用して保有する売掛金を早期に現金化すれば、手元資金を確保できます。
また、ファクタリングは他の資金調達方法と比べて審査スピードが早く、即日での資金調達も可能です。
このように、ファクタリングは卸売業が抱える資金繰り問題の一つ「手元資金不足」の改善につながります。

売掛金の貸し倒れリスクを回避できる

卸売業は、ファクタリングを利用することで売掛金の貸し倒れリスクを回避できます。
卸売業が行っている掛け取引は、取引を行う当事者同士の信用のもとに成り立つ取引です。
手形取引と比べて法的な強制力は弱く、売掛先の経営悪化や倒産が原因で貸し倒れになってしまうことも珍しくありません。
売掛金の貸し倒れが発生してしまうと、卸売業は多大な損失を受けることになり、連鎖倒産に陥る可能性も考えられます。
しかし、ファクタリングを利用すれば、売掛金の貸し倒れリスクを回避できます。
なぜなら、ファクタリング会社とは、基本的に償還請求権なしの契約を締結するからです。
償還請求権なしの契約では、債権譲渡後に売掛金の貸し倒れが発生したとしても、利用者に弁済義務が発生することはありません。
利用者はファクタリングを利用した時点で確実に売掛金を回収できるので、貸し倒れリスクを回避できます。
小売店など、倒産リスクが高い取引先を持つ卸売業にとって、売掛金の貸し倒れリスクを回避できることは大きなメリットだといえるでしょう。

経営状況が不安定でも利用できる

ファクタリングは経営状況が不安定でも利用できる資金調達方法です。
ファクタリング会社は売掛金を売掛先から回収する必要があるので、利用者ではなく売掛先の信用力を重視します。
利用者の経営状況や信用情報が審査に与える影響は少ないので、融資やカードローンの審査落ちを経験した方でも利用可能です。
卸売業は、支払いサイトの長期化による資金不足や、利益率の低下による売上の減少など、経営状況が不安定になりやすい傾向にあります。
商品の仕入費や従業員の人件費が足りない時に、融資を利用しようとしても審査に通過できない可能性が高いです。
しかし、ファクタリング審査で重要視されるのは「売掛先の信用力」であるため、経営状況が不安定な卸売業でも問題なく審査に通過できます。
利用できる資金調達方法が限られているなかで資金調達できることは、卸売業にとって大きなメリットだといえるでしょう。

卸売業がファクタリングを利用する際の注意点

上述したように、ファクタリングは卸売業にとってメリットのある資金調達方法です。
しかし、利用する際に注意しなければいけない点も存在します。
本章では、卸売業がファクタリングを利用する際の注意点について解説していきます。

手数料による資金繰りの悪化

ファクタリングを利用する際は必ず手数料が発生します。
手数料の相場は、2者間ファクタリングで10%~20%、3者間ファクタリングで1%~9%ほどです。
例えば、100万円の売掛金を手数料10%で売却する場合は、本来の額面から10万円の手数料が差し引かれ、実際に受け取れる金額は90万円となります。
ファクタリングを利用すると、支払期日に受け取る予定だった金額が少なくなってしまうので、資金繰りが悪化してしまう可能性があります。
「オンラインファクタリングを利用する」「未回収リスクが低い売掛金を使用する」など、手数料を抑えるための対策が重要です。

売掛金の額面以上を資金調達できない

ファクタリングでは、売却する売掛金の額面以上を資金調達することができません。
実際のところは、売掛金の額面から手数料が差し引かれるので、受け取れる金額は売掛金の額面以下となります。
これは、ファクタリングが売掛金を現金に変えるサービスだからです。
融資やABLのような貸借契約ではなく、債権の売買契約であるため売掛金の額面以上を資金調達することはできません。
売掛金の額面以上の資金が必要な場合は、融資やABLを活用する必要があります。
しかし、複数の売掛金を現金化することは可能です。
一つの売掛金で希望金額を調達できなくても、複数の売掛金で希望金額を調達できる可能性はあります。
ただ、複数の売掛金をファクタリングする場合は、ファクタリング利用後の資金繰り計画を入念に立てることをおすすめします。
複数の売掛金をファクタリングすることは一時的な資金需要を満たす役割でしかなく、利用後の資金繰りを悪化させてしまう可能性が高いです。
売掛金の額面以上の資金が必要な場合、可能であれば融資やABLを活用するようにしましょう。

卸売業の資金繰り改善に役立つファクタリングとは│利用時の注意点についても解説!のまとめ

今回は、卸売業の資金繰り改善に役立つファクタリングの概要と利用するメリット、注意点について解説させていただきました。
ファクタリングは幅広い業種の方から利用されている資金調達方法ですが、中でも卸売業とは非常に相性が良いです。
資金繰りの安定が難しい卸売業ならではの悩みを解決に導いてくれます。
ただし、利用する際は手数料が発生するので、事前に資金繰り計画や手数料による影響を考えたうえで利用するようにしましょう。