ファクタリング活用法

ファクタリングに節税効果はあるのか?実際のメリットについて解説

法人としての納税額を抑えるため、節税を考える方もいるでしょう。
ファクタリングによる節税を模索する方もいるようです。
実際には節税効果を見込めますが、その規模は大きくありません。
ファクタリングで生まれる経費は、原則として手数料だけです。
そこで節税以外のメリットを踏まえながら、ファクタリングを使いましょう。
本格的な節税には、ほかの方法も取り入れてください。
今回はファクタリングの節税効果についてまとめました。

ファクタリングで節税効果が生まれる

ファクタリングでは、一定の節税効果が生まれます。
しかし効果は大きくないので、優先的な方法としておすすめできません。
実際の節税効果について、以下で解説します。

売掛金の売却時の手数料が経費になる

ファクタリングで生じる経費を、節税に活かせます。
主な経費は、売掛金の売却時の手数料です。
業者によっては債権譲渡登記をはじめとした雑費がかかり、こちらも経費になるでしょう。
しかし基本的には、手数料しかかからない業者が多いといえます。
ファクタリングの手数料は、売上債権売却損として仕訳に入れられます。
コストをそのまま経費として扱える形です。
以上から資金調達が必要なとき、ファクタリングで利益を圧縮する企業も見られます。
たとえばファクタリングの依頼先の手数料が10%なら、売掛金の10%が取引ごとに売上債権売却損として計上されます。
利益圧縮のために、あえて2ケタの手数料で、一定の利益圧縮を行う企業もあるでしょう。
このようにファクタリングでも、手数料を経費として計上できます。

ファクタリングは優先的な節税策としておすすめできない

ファクタリングでは手数料が経費となり、節税につながりますが、効果としては大きくありません。
多くの業者で、手数料は高くて10%~20%前後です。
さらに一部を除いて、売掛金の売却のコストは手数料しかかかりません。
そのため積極的な節税策として、ファクタリングを繰り返すのは推奨されません。
ファクタリングは売掛金を処分するだけで、現金以外は手元に残らないしくみです。
たとえば商用車や新規設備の投資なら、事業内容によって経費で計上できます。
なおかつ入手物を業務に活かせるでしょう。
しかしファクタリングは買取サービスなので、売掛金を手放すだけです。
効果が少ない以上、節税目的でのファクタリングの繰り返しはおすすめできません。

ファクタリングの調達資金は課税対象にならない

ファクタリングの調達資金について、税金対象になるのではと不安な方もいるでしょう。
結論から述べると、課税対象ではありません。
節税への影響もないため、企業は安心して利用できます。
法的にファクタリングは有価証券の譲渡にあたるので、所得税や消費税などの対象外です。
そのため売掛金の売却では、手数料による経費計上以外は、確定申告に影響しません。
ただしファクタリングを司法書士へ代行させ、報酬を払った場合は消費税の課税対象です。
こうした注意点はありますが、売掛金の換金額は所得税や消費税などに影響しません。

ファクタリングによる節税では貸倒引当金への理解が必要

ファクタリングで節税をする場合、貸倒引当金への理解が欠かせません。
これは財政リスク対策の一種で、ファクタリングを使えば関連の会計処理をせずに済みます。
貸倒引当金について、以下で詳しく見ていきましょう。

貸倒引当金とは財政リスク対策の一種

貸倒引当金は、財政リスク対策を目的とした勘定科目です。
取引先にお金を貸したり、商品を渡したりしたあと、返済や支払いが滞るかもしれません。
ファクタリングでは売掛金を業者に売ったあと、取引先が倒産して債務不履行になるケースに注意が必要です。
以上による損失に備え、企業は貸倒引当金を計上します。
つまり取引先が不測の事態を起こすかもしれないので、企業が将来的に可能性のある損失を見積もるのです。
本来の引当金は将来の支出に備えて、あらかじめキープしておく資産を指します。
貸倒引当金は未入金による損失に対し、引当金を定める形です。
リスクへの備えを記録し、投資家への有用な情報提供とします。
以上から貸倒引当金は、経営上の不測の事態に備えるものです。

ファクタリングで貸倒引当金の会計処理を省略できる

ファクタリングを利用すれば節税をしながら、貸倒引当金の会計処理を省略できます。
ファクタリング業者へ売掛金を譲渡すれば、取引先の債務不履行による損失を防げるからです。
取引先が期日までに売掛金の相当額を払えないと、債務不履行になります。
その場合、売掛金の所有者が損失を負う形です。
しかしファクタリング後、売掛金の所有者は企業から業者へ移ります。
取引先が期日までに決まった金額を支払えなければ、業者が責任を負うのです。
企業は売掛金を処分すれば、貸倒リスクをなくせます。
処分済みの売掛金について、貸倒引当金を用意しなくてもよいため、会計処理を簡略化できるのです。
ファクタリングで節税をしながら、会計処理を楽にできるので、企業の負担を軽くできます。

ファクタリングの節税以外のメリット4つ

ファクタリングを節税目的で使うなら、ほかのメリットも考慮してください。
売掛金の売却では多くの場合、手数料しか経費として計上できません。
以下のメリットも考えながら、ファクタリングを依頼すべきか判断してください。

1.柔軟な審査を受けられる
2.ノンリコース契約で利用可能
3.短期間での現金化で経費をカバーしやすい
4.経営のオフバランス化が可能

1.柔軟な審査を受けられる

ファクタリングの最初のメリットは、柔軟な審査を受けられる点です。
融資と違い、貸金業法や銀行法の規制対象外だからです。
そのため短時間の審査で、契約できる企業が多いといえます。
すぐに資金がほしい場合も、業者が柔軟に対応するでしょう。
ファクタリングの審査では、取引先の健全性が主要な基準です。
企業による売掛金の売却後、業者は取引先から資金回収をしなければなりません。
資金回収でトラブルがあると損失を受けるので、取引先の健全性が重要です。
一方取引先の信用度が十分なら、短時間で審査通過の可能性もあります。
ファクタリングは短時間で審査に通過できるので、節税への活用もしやすいでしょう。

2.ノンリコース契約で利用可能

ファクタリングはノンリコース契約が原則です。
ノンリコースとは、償還請求権なしでの契約を意味します。
業者が償還請求権を有していれば、取引先が債務不履行になったとき、企業へ未払い金を請求します。
企業は請求に応じなければならないので、損失リスクを負う形です。
一方ノンリコースなら取引先が債務不履行になっても、企業が経済的影響を受けません。
売掛金の所有者はファクタリング業者に移っており、彼らが責任を引き受けます。
企業は手数料を経費として計上しながら、ノンリコース契約で経済的リスクを防げるのです。
そのため貸倒引当金の記録も省略しつつ、節税にもつなげられます。

3.短期間での現金化で経費をカバーしやすい

ファクタリングは短期間で現金化できるため、経費のカバーがしやすいといえます。
企業の経費にはファクタリングの手数料以外にもさまざまです。
水道光熱費や設備購入費、人件費、通信費などが経費として計上できます。
このような経費は、運転資金にもあたります。
ファクタリングでは運転資金の調達が難しくなり、売掛金を売却する企業があるでしょう。
手元の資金を確保して、別の経費を支払う形です。
売掛金の売却で手数料はかかりますが、それ以外の経費のカバーにつながるのがファクタリングです。
企業の経営を続けるには節税だけでなく、資金繰りの安定化が欠かせません。
手元の資金が足りなくなったら、ファクタリングで解決できます。
手数料による節税だけでなく、ほかの経費のカバーにつながるでしょう。

4.経営のオフバランス化が可能

ファクタリングによって、経営のオフバランス化が可能です。
売掛金の処分により、貸借対照表の余分な情報量を減らせます。
売掛金を多く抱えると、貸借対照表が肥大化する点に要注意です。
情報量が多すぎると、経営上の問題があるため、取引や融資でマイナス材料になります。
節税にはさまざまな経費を要するので、経営の安定化が欠かせません。
そのため貸借対照表の整理として、売掛金の売却による資金調達は重要です。
また売掛金が多いと、取引先とのトラブルにいつ見舞われるかわかりません。
たとえば取引先が支払い期日を守らなければ不良債権化して、企業の信用にも関わります。
以上からファクタリングによって、取引先の決済を促す方法もあります。
ファクタリングで貸借対照表の余分な情報量を減らし、経営の安定性をアピールできるでしょう。
安定した経営状態で、節税もしやすくなります。

本格的な節税にはファクタリング以外の方法も大事

本格的に節税するなら、ファクタリング以外の方法も考えましょう。
たとえば役員報酬の損金計上があります。
定期同額給与のように一定条件を満たせば、経費として利益から引けるのです。
条件に応じて赤字を繰り越したり、健康診断の制度化をしたりなどでも、コストを経費として計上できるでしょう。
小売業なら不要な在庫を定期的に処分すれば、その際のコストを経費で落とせます。
このようにファクタリングの手数料以外にも、経費計上が可能な要素はさまざまです。
事業内容や経営状況を踏まえながら、節税につながるものを活用してください。

ファクタリングによる節税のまとめ

ファクタリングでは節税効果を見込めますが、その規模は大きくありません。
売掛金の売却でかかる経費は、原則として手数料のみです。
本格的な節税を行うなら、ほかの方法と合わせましょう。
ファクタリングでは節税以外のメリットも重要です。
たとえば短時間で審査に通過でき、早期に資金調達できます。
資金調達の結果、経営が安定して節税しやすくなる企業もあるでしょう。
節税だけでなくほかの目的も考えながら、ファクタリングを検討してください。