ファクタリングの契約書はどこを確認すべき?トラブルに遭わないためのポイントについて解説!
目次
ファクタリングの契約書で確認すべき点
ファクタリング会社と契約を締結する際は、必ず契約書の内容に目を通すようにしてください。
契約書の内容に関して認識が異なっていた場合、思わぬトラブルに発展してしまう危険性があります。
本章では、ファクタリングの契約書で確認すべき点について解説していきます。
①:償還請求権の有無
償還請求権とは、売掛金の未回収が発生した際にファクタリング会社が利用者に対して弁済を求めることができる権利のことです。
償還請求権ありの契約を締結するためには貸金業登録を行う必要があるため、通常のファクタリング会社では「償還請求権なし」の契約が締結されます。
しかし、利用するファクタリング会社が貸金業者であり、契約書に「償還請求権あり」と記載されていることもあります。
償還請求権ありの契約は「売掛債権を担保とした融資」とみなされますが、売掛金の未回収リスクは利用者側が負うことになります。
このように、償還請求権の有無によってファクタリング利用後の売掛金の未回収リスクは異なります。
償還請求権ありの契約は、ファクタリング本来の「売掛金を確実に回収できる」というメリットを失ってしまう可能性があります。
そのため、ファクタリング会社と契約を締結する際は「償還請求権の有無」に関して必ず確認するようにしましょう。
②:債権譲渡通知
債権譲渡通知とは、債務者に対して債権者が変わったことを通知することです。
ファクタリングでいうと、売掛先に対して利用者がファクタリング会社に債権譲渡した事実を通知することになります。
3者間ファクタリングでは、ファクタリングの利用に関して売掛先から承認を得る必要があるため、必ず債権譲渡通知を行う必要があります。
しかし、2者間ファクタリングの場合は売掛先が取引に関与しないので、必ずしも債権譲渡通知を行う必要はありません。
ただ、2者間ファクタリングでも債権譲渡通知を条件としているファクタリング会社も存在します。
これは、債権の所有者を第三者に対して明らかにし、トラブルを回避するためです。
ファクタリングに対してあまり良い印象を持っていない売掛先に対して債権譲渡通知が行われると、関係性が悪化してしまう可能性があります。
そのため、契約書を確認する際は「債権譲渡通知の有無」を見るようにしてください。
③:債権譲渡登記
債権譲渡登記とは、債権の所有者を第三者に証明するために行う法的な手続きのことです。
3者間ファクタリングでは、利用者からファクタリング会社に債権譲渡された事実を売掛先が把握しているので、わざわざ債権譲渡登記を行う必要がありません。
しかし、2者間ファクタリングでは売掛先が取引に関与しないため、利用者からファクタリング会社に債権譲渡が行われた事実を知っている第三者が存在しないのです。
利用者が問題なく取引を行ってくれれば良いのですが、なかには売掛先から支払われた売掛金を使い込んでしまう方もいます。
この際、ファクタリング会社が損失を受けてしまう可能性がありますが、債権譲渡登記によって所有者を明らかにしておけば、スムーズに法的な手続きに進めます。
また、利用者による二重譲渡を事前に防ぐ役割もあります。
債権譲渡登記を行えば、債権を買取った後に利用者が第三者に債権譲渡を行ったとしても、ファクタリング会社が債権の所有者であることを証明できるのです。
ただ、実は債権譲渡登記は利用者にとってデメリットになることがあります。
登記にかかる費用は利用者の負担になりますし、登記情報は法務局で誰でも確認できるのでファクタリングの利用が売掛先に知られてしまう可能性があります。
債権譲渡登記自体は契約よりも前の段階で行われることが多いので、申し込みを行う際に確認しておくようにしましょう。
④:手数料
ファクタリングを利用する際は、必ず手数料が発生します。
手数料の相場は、2者間ファクタリングで10%~20%、3者間ファクタリングで1%~9%ほどですが、実際には買取対象の売掛金が持つ未回収リスクに応じて設定されます。
というのも、上述したようにファクタリングでは「償還請求権なし」の契約が基本なので、売掛金の未回収が発生した際はファクタリング会社側が損失を受けることになります。
この手数料も契約書に記載されているので、事前に説明された通りの手数料になっているか確認するようにしましょう。
申し込み前の見積もり時点で伝えられた手数料と審査後の手数料では相違が出ることが一般的なので、理解が必要です。
⑤:担保・保証人の設定
ファクタリングは融資やカードローンのような「金銭消費貸借契約」ではないので、利用する際に担保・保証人を設定する必要がありません。
もし担保・保証人を要求してくるファクタリング会社がいたら、それは「売掛債権担保融資」の可能性が高いです。
担保・保証人を設定したうえでファクタリングを利用してしまうと、売掛金の未回収が発生した際に担保・保証人から弁済が行われてしまうことになります。
「売掛金の未回収リスクを回避できる」というファクタリング本来のメリットが失われることにもつながるので、利用者にとっては不利な契約といえるでしょう。
一般的にはファクタリング会社から担保・保証人の設定を要求されることはないので、もし契約書に担保・保証人の条項があった場合は、契約中止を申し立ててください。
⑥:売掛先に関する報告義務
利用するファクタリング会社によっては、売掛先に関する報告義務が契約書に記載されている場合があります。
2者間ファクタリングの場合、ファクタリング会社は売掛先の実態を直接的に確認することができないため、経営悪化に気づきにくいです。
利用者は売掛先と直接的に取引を行っており、状況を把握しやすいのでファクタリング会社から売掛先に関して報告義務を設けられることがあります。
もし契約書に報告義務が記載されているにも関わらず実行しなかった場合、報告義務を怠ったことによる損失はファクタリング会社から損害賠償請求されることになります。
契約書に売掛先に関する報告義務の条項がある場合は、必ず実行するようにしてください。
⑦:契約期間
ファクタリングは単発での契約が一般的ですが、長期間に渡り利用することを前提とした契約も存在します。
もし単発の契約と認識していたにも関わらず、長期間の契約になっていた場合は、その期間に発生した売掛債権をファクタリング会社に譲渡しなければいけません。
ファクタリングは便利なサービスですが、資金需要がないときに利用してしまうと手数料によって資金繰りを悪化させてしまう可能性があります。
そのため、契約書に記載されている「契約期間」に関しては、確認しておく必要があります。
長期間の契約を希望している場合は、契約期間の終了年月日、更新料なども併せて確認するようにしましょう。
⑧:損害賠償請求・違約金の条件
ファクタリングに限らず、取引を行う両者間で取り決めたルールを守らなかった場合、損害賠償請求や違約金を要求されることがあります。
この際、契約書に記載されている損害賠償請求・違約金が発生する条件を確認しておかなければ、知らないうちにルールを破ってしまう可能性があります。
そのため、契約書を見る際は、損害賠償請求・違約金が発生する条件を確認しておくことが重要です。
契約書に記載されている発生の条件が常識を逸脱している場合は、契約中断を申し立てた方がよいでしょう。
契約書で見抜く!トラブルに遭わないためのポイント
ファクタリングを利用する際の「契約書」は、悪徳業者の利用やトラブルを回避するためにとても重要です。
契約書を読まずに契約してしまった場合、トラブルに巻き込まれ取り返しのつかない事態に発展してしまうかもしれません。
本章では、契約書で確認できるトラブルに遭わないためのポイントについて解説していきます。
①:契約書の内容が説明とは違う
契約書の内容が事前に説明されていた内容と異なっている場合、後にトラブルに発展してしまう可能性が高いです。
例えば、上記で解説した「売掛先に関する報告義務」。
説明上では知らせずに契約書に記載することで、実質的な売掛金の未回収リスクを利用者に背負わせることができます、
このように、自社のリスク回避のために、利用者に対して虚偽の説明を行う悪質なファクタリング会社も存在するので注意が必要です。
説明を行ったかどうかは契約を締結している両者間でしか分からないことなので、証拠としてボイスレコーダーを活用して説明を録音するようにしましょう。
②:融資に該当する契約になっている
償還請求権ありや担保・保証人の要求など、貸金業登録が必要となる契約を要求してくる場合は、必ずファクタリング会社側が貸金業登録を行っているか確認するようにしてください。
貸金業登録を行っていないファクタリング会社が、上記のような契約を締結することは「違法」に該当するので、後にトラブルに発展してしまう可能性があります。
場合によっては、違法業者からの悪質な取り立てに苦しめられてしまう可能性があります。
もし誤って契約してしまった場合は、ファクタリング分野に強い弁護士に相談するようにしましょう。
③:手数料が説明時よりも高い
説明を受けた際に伝えられた手数料と契約書に記載されている手数料に相違がある場合は要注意です。
高額な手数料がかかると知らずに契約してしまうと、資金繰りの悪化を引き起こしてしまう可能性があります。
ただ難しいのが、ファクタリングの手数料が高いこと自体に違法性はありません。
なぜなら、ファクタリングは利息制限法の適応外であり、どれだけ高額な手数料を請求しても違法にならないからです。
高額な手数料と知らずに契約をしてしまったとしても訴訟を起こすこともできないので、利用者にとっては多大な損失となってしまいます。
そのため、契約書を確認する際は、手数料をはじめとする諸経費を必ず把握しておくようにしてください。
ファクタリングの契約書はどこを確認すべき?トラブルに遭わないためのポイントについて解説!のまとめ
今回は、ファクタリングの契約書で確認すべき点と、トラブルに遭わないためのポイントについて解説させていただきました。
ファクタリング会社と契約を締結する際は、必ず契約書の内容を理解できるまで読むようにしてください。
もし理解が難しい場合は、ファクタリング会社の担当者やファクタリングの専門家に尋ねるようにしましょう。
契約書を確認せずに契約してしまうと、高額な手数料やファクタリング会社への弁済義務を負うこととなり、トラブルに発展しかねません。
契約書を全て読むことは非常に労力がかかる作業ですが、トラブルを事前に防ぐためには不可欠です。