ファクタリング活用法

不動産業によるファクタリングのメリットは?デメリットや注意点も合わせて紹介

不動産業として、ファクタリングをうまく利用できるか不安な方もいるでしょう。
結論から述べると、ファクタリングは不動産業でも有効活用できます。
賃料の滞納リスクの回避や、融資なしでの資金調達など、不動産業ならではのメリットにも注目です。
ただし手数料や掛け目などにより、取り分が少ないこともあります。
こうした注意点を踏まえながら、依頼先を慎重に決めてください。
今回は不動産業のために、ファクタリングのメリットやデメリット、注意点などをまとめました。

不動産業でもファクタリングの活用は可能

不動産業でも、ファクタリングを有効活用できます。
ファクタリングは売掛金を業者に売却して、資金調達できるサービスです。
不動産業の場合、毎月の家賃や管理費、共益費などが売掛金にあたります。
運転資金や経費などを支払わなければいけない場合も、家賃や管理費などを早期に得られるでしょう。
基本的に不動産業は、資金調達の手段としてファクタリングも選択肢です。
家賃や管理費などは、毎月一定額で、安定的に支払われます。
そのため従来の売掛金のように、支払期日に遅れるリスクが低いのです。
不動産業も資金繰りで苦しくなる場面があります。
たとえば空室率が高いと賃料が少なく、運転資金を調達しにくいでしょう。
さらに修繕費用やリフォームのように、まとまった費用もかかります。
こうした支払を解決するうえで、ファクタリングはおすすめです。
以上からファクタリングは、不動産業にとって利用しやすいといえます。

不動産業のファクタリングのメリット3つ

不動産業のファクタリングには、複数の利点があります。
審査に通過しやすくて、スムーズに資金調達できる点などが魅力です。
以下で3つのメリットを見ていきましょう。

1.審査に通過しやすい
2.賃料の滞納リスクを避けられる
3.融資なしで資金調達できる

1.審査に通過しやすい

不動産業がファクタリングを依頼すれば、審査に通過しやすいといえます。
家賃やテナント料は毎月一定なので、ファクタリング業者が買い取りやすいと判断するのです。
従来の売掛金は、取引先の支払能力が重要といえます。
たとえばBtoB取引では、サービスや商品によって代金が違います。
代金が高い場合、売掛金の期日までに取引先が支払えない可能性に要注意です。
そこでファクタリング業者は、依頼企業と取引先の関係性から、売掛金を慎重に審査します。
しかし不動産業は、従来の売掛金より審査しやすいのです。
賃料やテナント料といった固定費は毎月一定なので、滞納のリスクが比較的低いといえます。
そのため不動産業は、ほかの業種と比べてファクタリングを利用しやすいのです。

2.賃料の滞納リスクを避けられる

不動産業がファクタリングを利用すれば、賃料の滞納リスクを避けられます。
多くのファクタリング業者が、ノンリコース契約です。
ノンリコースなら、償還請求権が生じません。
ファクタリング後に取引先が不渡りを出しても、依頼企業は責任を負う必要がありません。
不動産業で想定されるのは、家賃やテナント料の滞納です。
仮に滞納が起きたとしても、業者が損失分を肩代わりします。
そのため不動産業は損失リスクを避けながら、ファクタリングの利用が可能です。
企業は経済的リスクを負わないので、安心できるでしょう。
不動産業ではファクタリング後に、賃料の滞納が起きるかもしれません。
しかし償還請求権がなければ、不動産業はトラブルの責任を負わないので、損失リスクを避けつつファクタリングできます。

3.融資なしで資金調達できる

不動産業にとってファクタリングは、融資なしで資金調達できる点もメリットです。
売掛金の安定性から、審査に通りやすいといえます。
さらに一部業者は即日入金を行うため、スムーズな資金調達が可能です。
短期間で現金化できる点で、不動産業にとってはお得といえます。
不動産業は融資よりもファクタリングの方が、資金調達に向いているでしょう。
融資を受ける場合、金融機関がさまざまな資料をチェックし、不動産業の信用力を確かめます。
そのため2週間~1か月程度の審査期間を要し、通過できないケースもあるのです。
一方ファクタリングは、売掛金の信用度が高ければ、審査に通過できる可能性が高いといえます。
そのため不動産業は、早期の資金調達に役立つでしょう。

不動産業のファクタリングのデメリット3つ

不動産業としてファクタリングを利用するなら、デメリットにも気をつけてください。
手数料の高さや、利用可能なサービスの制限などに要注意です。
ここでは3つのデメリットを解説します。

1.手数料が高い場合に要注意
2.2社間ファクタリングしか使えない
3.掛け目により取り分が少ない可能性

1.手数料が高い場合に要注意

最初のデメリットは、手数料が高いリスクです。
融資なら1%の手数料で済むことがある一方、ファクタリングは10%以上の手数料がかかるケースもあります。
手数料が高いほど、調達可能な資金額が限られます。
売掛金の買取額に対して、一定の手数料が差し引かれるため、想定より入金額が少ないかもしれません。
ファクタリング業者の手数料は、貸し倒れリスクへの対策です。
不動産業でも、家賃やテナント料の滞納に見舞われるかもしれません。
業者はこうしたトラブルを警戒して、手数料で最低限の利益を確保します。
そのため不動産業も、ファクタリングの利用コストとして、手数料を払わなければなりません。
ファクタリングが必要になったら、なるべく手数料の安いところに依頼しましょう。

2.2社間ファクタリングしか使えない

ファクタリングの次のデメリットは、2社間契約しか利用できない点です。
不動産業で売掛金として扱われるのは、賃料やテナント料などです。
しかし一般的には、賃料がファクタリング対象になりやすいといえます。
賃貸物件の運営中は、一般の住人から毎月賃料を受け取るしくみだからです。
ファクタリングには2社間契約と3社間契約があります。
このうち3社間は企業と業者だけでなく、取引先も契約対象です。
しかし3社間だと賃料が売掛金の場合、入居者に契約の同意を求めることになります。
個人である入居者には、そうした経済的負担を負わせられないでしょう。
以上から不動産業のファクタリングは、2社間契約が原則です。
3社間契約より2社間契約の方が、手数料が高いとされるので、依頼時のコストに注意してください。

3.掛け目により取り分が少ない可能性

ファクタリングを利用すると、掛け目で取り分が少なくなるかもしれません。
掛け目とは売掛金の相当額のうち、業者の買取額になる割合です。
たとえば売掛金が120万円で、掛け目が90%なら、買取額は108万円です。
そこからさらに手数料が引かれます。
不動産業は売掛金の売却後、支払期日までに相当額を回収し、ファクタリング業者へ渡さなければなりません。
業者は受取額から、掛け目で差し引いた分を不動産業へ返します。
以上でファクタリングの手続きは完了です。
このようにファクタリングを利用すると、最初の入金の時点で、売掛金の相当額から掛け目が差し引かれます。
多くの企業は最初の入金額から運転資金や、投資代金を捻出するでしょう。
掛け目が大きいほど、入金額が限られる点に気をつけてください。
ファクタリングの依頼先は、なるべく掛け目の大きいところを選びましょう。

不動産業によるファクタリングの注意点3つ

不動産業がファクタリングを利用するには、さまざまな注意点があります。
業者が償還請求権を持っていないか確かめてください。
さらにサービス内容を見極め、悪徳業者を避ける工夫も大切です。
ここでは3つの注意点を見ていきましょう。

1.償還請求権の有無を調べよう
2.サービス内容の比較検討から依頼先を決めよう
3.悪徳業者に引っかからないことが大切

1.償還請求権の有無を調べよう

最初の注意点は、償還請求権の有無の確認です。
償還請求権とは、取引先が不渡りを出した際に、ファクタリング業者が行使します。
取引先の未払い分を依頼企業へ請求できる権利です。
そのため償還請求権があると、不動産業も取引先のトラブルにより、経済的な損失を受けます。
不動産業の売掛金は家賃やテナント料で、オフィスや店舗として企業に貸している場合は滞納が起きるかもしれません。
ファクタリング後に滞納が起きれば、不動産業がそのぶんを業者へ払わなければなりません。
余分な損失によって、不動産業が資金繰りを悪化させるおそれがあります。
こうしたリスクを避けるには、償還請求権のないファクタリング業者へ依頼しましょう。

2.サービス内容の比較検討から依頼先を決めよう

次に大切なのは、サービス内容の比較検討です。
手数料や入金スピード、コンサルティングなどさまざまなポイントがあります。
たとえば手数料なら、複数社を比較検討して、なるべく安いところを選んでください。
入金スピードは、できれば即日か、数日中に入金できる形が望ましいでしょう。
一部業者は売掛金の買取だけでなく、コンサルティングのような付帯サービスを展開しています。
経営上のアドバイスを受ければ、資金繰りの安定化につなげられます。
以上を踏まえて、良質なサービスのファクタリング業者を見つけてください。

3.悪徳業者に引っかからないことが大切

ファクタリング業者には、悪徳なタイプもいるので、引っかからないようにしましょう。
たとえば一部業者は、相場よりはるかに高い手数料を求めます。
不動産業がファクタリングを利用する場合、手数料の相場は8%~18%です。
手数料が高いほど調達額が限られるので、取られすぎないように気をつけてください。
一方無登録の貸金業者が「偽装ファクタリング」を行う場合もあります。
ファクタリングと称しながら、企業への入金後に高金利での返済を求める形です。
このように貸付と同等のサービス内容は貸金業にあたり、正式な登録なしで提供すれば違法です。
悪徳業者に引っかからないためには、依頼先の公式サイトを調べましょう。
取引実績や運営企業を調べ、健全性を確かめてください。
こうした取り組みで、悪徳業者を避けられます。