ビジネスローンと当座貸越の違いは?使い分けも解説

目次
ビジネスローンは融資枠の範囲内でいつでも借りることができる、便利な資金調達方法です。
これは、銀行の当座貸越によく似ています。
「ビジネスローンと当座貸越の違いは?」
「自社に適しているのはどっち?」
このような疑問を抱く人も少なくありません。
この記事では、ビジネスローンと当座貸越の違いと、違いを踏まえた使い分けをて詳しく解説します。
当座貸越とは?
ビジネスローンと当座貸越の違いを知るために、まずは当座貸越の基本を知ることが大切です。
当座貸越は、銀行融資の形式のひとつ。
銀行融資の形式は、証書貸付、手形貸付、商業手形割引、そして当座貸越の4種類があります。
当座貸越は、融資限度額をあらかじめ設定し、その範囲内で自由に融資を受けたり、返済したりできるものです。
この限度額を極度額ともいいます。
当座貸越には、専用当座貸越と一般当座貸越の2つがあります。
専用当座貸越
普通、当座貸越といえば専用当座貸越を指す場合が多いです。
専用当座貸越は、一定の極度額の中で自由に融資と返済ができるもの。
例えば、銀行から専用当座貸越として極度額3000万円の枠を受けたとします。
この場合、3000万円の範囲内で自由に使えるのが専用当座貸越です。
仕入れの支払いのために500万円必要、しかし手元資金がないという場合、専用当座貸越で500万円借りる。
その後、売上などにより預金が500万円増えたとき、専用当座貸越で借りた500万円を返済する。
このような使い方ができるのが専用当座貸越です。
なお、専用当座貸越から借りる際に審査は必要ありません。
極度額を設定する時点で審査は完了しているため、会社が必要なタイミングでいつでも自由に調達できます。
一般当座貸越
専用当座貸越は不足資金の調達を目的とするのに対し、一般当座貸越は不足資金の補填を目的とするものです。
一般当座貸越は当座預金と連動しており、当座預金の残高が不足した場合に自動的に貸越しとなります。
単に当座預金口座を保有しているだけでは、一般当座貸越は利用できません。
当座預金口座を保有し、なおかつ銀行と当座貸越の契約を結ぶことで、当座預金残高をマイナスの状態(貸越し)にできます。
例えば、一般当座貸越の極度額を3000万円に設定したとしましょう。
当座預金の残高が500万円のタイミングで、1000万円の支払手形を決済する場合、当座預金が500万円のマイナスになります。
普通は残高不足で不渡りになるところですが、一般当座貸越があることにより、自動的に貸越しとなって不渡りにはなりません。
当座預金が△3000万円になるまでは、このように補填を続けることができます。
ビジネスローンとは?
普通融資は、銀行が独自の基準(信用格付け)をもとに融資するものです。
融資先には担当者が付き、事業を評価したうえで融資を行います。
多額の資金を低金利で、長期的に借り入れることも可能です。
これに対し、ビジネスローンはいわば普通融資の簡略版です。
融資先に担当者はつかず、事業ではなく決算書の評価に基づき融資します。
普通融資よりも調達できる金額は小さく、金利は高め、返済期間は短期~中期がメインです。
ビジネスローンの形式
ビジネスローンの融資には主に二つの形式があります。
極度型(カードローンタイプ)
現在、ビジネスローンで一般的なのは極度型です。
決算内容を踏まえて極度額を設定し、その範囲内で自由に調達できるものです。
専用のカードローンを使い、ATMなどで自由に引き出せるものも多く、カードローンタイプとも呼ばれます。
例えば、ビジネスローンで極度額500万円の枠を確保したとしましょう。
この場合、事業資金であれば資金使途は問わず、500万円の範囲内で柔軟に借り入れることができます。
つまり、ビジネスローンの極度型は、銀行融資の専用当座貸越と類似の仕組みです。
条件や返済方法などは異なるものの、仕組み的には「ビジネスローンの極度型≒専用当座貸越」と考えて差し支えありません。
証書貸付型
ビジネスローンの中には、証書貸付型も存在します。
これは、銀行の証書貸付と同じ仕組みと考えてください。
証書貸付は、金銭消費貸借契約書に借入金額・金利・返済期間・返済方法などを記入し、会社や連帯保証人の署名・捺印を行った上で、融資を受けるものです。
極度型(≒専用当座貸越)とはまるで異なる仕組みといえます。
極度型の場合、極度額の中から自由に使うわけですから、枠だけ確保して一切使わないこともできます。
一方、証書貸付型には「枠」という概念がなく、一定額を融資するものです。
それだけに、極度型と証書貸付型では使い方も異なります。
もっとも、極度型と証書貸付型の使い分けは、あまり考える必要はないでしょう。
ビジネスローンが誕生した当初、極度型ではなく証書貸付型が主流でした。
しかし最近では極度型が主流になっており、証書貸付型はあまりみられません。
この記事でも、極度型のビジネスローンを前提に解説していきます。
銀行系とノンバンク系
ビジネスローンには、銀行系とノンバンク系があります。
どちらも極度型が主流ですから、銀行の当座貸越と同じイメージで利用できます。
それぞれの特徴を簡単にみていきましょう。
銀行系ビジネスローン
銀行系ビジネスローンは、その名の通り銀行が提供するビジネスローンです。
銀行は多くのローン商品を取り扱っています。
個人向けに住宅ローンや自動車ローンなどを取り扱うほか、事業者向けにビジネスローンも提供しているわけです。
普通融資やビジネスローンなど、銀行の貸付けは預金が原資となります。
預金者保護のために強い規制を受けることから、安全性・健全性を重視するのが特徴です。
したがって、銀行系ビジネスローンはノンバンク系よりも審査が厳しい傾向があります。
ノンバンク系ビジネスローン
ノンバンク系ビジネスローンは、ノンバンクが提供するビジネスローンです。
ノンバンクとは、銀行以外の金融業者全般を指します。
例えば、消費者金融・信販会社・リース会社などです。
それらのノンバンクが取り扱うビジネスローンをノンバンク系ビジネスローンといいます。
何をもって銀行・非銀行を分けるかといえば、預金業務です。
銀行は預金業務を行っているのに対し、ノンバンクは預金業務を行っていません。
預金者保護のために規制を受けないため、ノンバンク系ビジネスローンはリスクに積極的であり、審査にも通りやすいのが特徴です。
ビジネスローンと当座貸越の違い
ビジネスローンの主流である極度型と、銀行融資の一種である当座貸越(専用当座貸越)は、仕組み的に非常に似通ったものです。
では、ビジネスローンと当座貸越は、どちらを選んでも大差ないのでしょうか。
実際のところ、ビジネスローンと当座貸越には様々な違いがあり、同じように使えるものではありません。
ここからは、ビジネスローンと当座貸越の違いを様々な角度でみていきます。
審査方式の違い
ビジネスローンと当座貸越の大きな違いは、審査方式にあります。
当座貸越は人の手で審査
まず当座貸越ですが、当座貸越は銀行融資の一種です。
他の銀行融資と同じように、人の手で慎重に審査します。
他の融資との違いは、当座貸越が融資先との密接な関係を前提としていることです。
実際、当座貸越に「取引歴〇年」などの要件を設ける銀行もあります。
証書貸付や手形貸付などであれば、付き合いのない銀行から融資を受けることもできます。
経営が良好な会社は、銀行側から融資の提案を受け、取引が始まることも多いものです。
明確な資金需要がある上で、返済力に問題がないことを前提に、一定額を一定条件で融資するわけです。
しかし当座貸越は、「この枠の範囲内で自由に使っていいですよ」というスタンス。
それなりの付き合い(取引実績)と信頼がなければ、当座貸越はできません。
また、後述の通り、当座貸越は定期預金を担保とするケースが多いです。
定期預金の多さは、銀行との関係の深さのバロメーターになります。
「定期預金が多い→銀行との関係が深い→当座貸越も可能」ということです。
銀行と会社が深く付き合うということは、銀行員と経営者が深く付き合うということでもあります。
銀行の担当者は、経営者と付き合う中で融資先の事業と状況を把握し、資金需要をくみ取り、当座貸越の相談にも応じるわけです。
もちろん、当座貸越の審査は融資担当者の手で慎重に行われます。
さらに、融資担当者が作成した稟議書を支店内で回覧し、支店長が最終決定を下す「稟議制」を取ることも、当座貸越の審査の特徴です。
ビジネスローンは機械的に審査
ビジネスローンの審査は、当座貸越とはまるで違います。
人の手で審査することはなく、ほとんどコンピューター任せです。
決算書の数値をコンピューターが採点し、融資の可否や条件を機械的に判断します。
これをスコアリング審査といいます。
審査自体はコンピューターが行い、銀行員は事務手続きを行うだけです。
人間の判断が介入する余地はほとんどありません。
そもそもビジネスローンの場合、当座貸越のように担当者がつかないのです。
ビジネスローン部門が、全ての融資先を一律で管理しています。
したがって、ビジネスローンには稟議という仕組みもありません。
銀行と会社の関係が浅くても(初回取引でも)、決算書の情報によって極度額を設定し、当座貸越のように融資できるのがビジネスローンです。
担保の違い
担保の有無は、資金調達を大きく左右するものです。
ビジネスローンと当座貸越の担保設定の違いをみていきましょう。
ビジネスローンは原則無担保
ビジネスローンは原則無担保です。
仕組み自体、無担保を前提として設計されています。
担保を用いる場合、担保評価や登記手続きなどによって手続きが複雑になります。
例えば、不動産の担保評価には専門知識が必要となり、機械だけで完結できるものではありません。
スコアリング審査でスピーディに融資するには、無担保でなければならないのです。
担保が不足している会社でも融資を受けられるのが、ビジネスローンの強みといえます。
当座貸越は担保が重要
当座貸越は無担保・有担保のいずれも可能です。
しかし実際には、無担保の当座貸越は極めて難しく、担保が重要となります。
当座貸越の担保は、定期預金や有価証券(日本国債)が主流です。
当座貸越は、一定期間にわたり、一定の枠(極度額)を設定するわけですから、契約期間中に担保価値が極度枠を下回ることを避けなければなりません。
そのためには、価値が安定している資産を担保にする必要があります。
定期預金や日本国債の価値はほぼ一定ですから、担保として非常に使いやすいものです。
当座貸越において、不動産担保は一般的ではありません。
不動産は、定期預金や日本国債よりも価値の安定性が低く、当座貸越の担保には適さないのです。
当座貸越は、担保の有無が大きく影響する資金調達方法といえます。
保証の違い
ビジネスローンと当座貸越は、保証の考え方が違います。
この違いを比較してみましょう。
ビジネスローンは代表者個人の連帯保証
よく、ビジネスローンは無担保・無保証といわれます。
しかしながら、保証が全く不要というわけではありません。
ここでいう無保証とは、主に第三者の連帯保証が不要ということです。
その代わりに、多くのビジネスローンは代表者個人の連帯保証を求めます。
一部には代表者の保証を不要とするものがありますが、その場合には保証会社の保証付きです。
第三者の連帯保証・代表者個人の連帯保証・保証会社の保証が全て不要ということはあり得ません。
代表者が連帯保証人になる場合、代表者個人の保証力・信用力が問われます。
個人信用情報に傷があれば審査に落ちる可能性が高いです。
当座貸越は信用保証協会の保証
当座貸越は、信用保証協会の保証を付けることもできます。
無担保では当座貸越の審査に通らない会社も、信用保証協会の保証付きならば審査に通ることがあるのです。
保証の仕組みは、通常の融資と変わりません。
無担保ならば8000万円、有担保ならば2億8000万円を上限として、月商の3ヶ月分が保証枠の目安です。
この保証枠がそのまま当座貸越の極度額となります。
月商1000万円の場合、信用保証協会の保証枠は3000万円、当座貸越の極度額も3000万円です。
審査難易度の違い
一般的に、ビジネスローンの審査は易しい、当座貸越の審査は厳しいといわれます。
しかしながら、この考え方は正確とはいえません。
次に、ビジネスローンと当座貸越の審査難易度の違いをみてみましょう。
ビジネスローンは決算書次第
ビジネスローンの審査は、決算書が大きく影響します。
決算が悪ければ審査に落ち、決算が良ければ審査に通るのです。
決算が悪い場合、機械的に「融資不可」と判断します。
特に、銀行系ビジネスローンは決算書で決まるといっても過言ではないでしょう。
実際に、赤字決算では審査に通りません。
普通融資であれば、会社の状況や経営者の説明を踏まえて赤字補填資金を出すこともありますが、ビジネスローンにはそのような柔軟性がないのです。
逆に、決算が良い場合、機械的に「融資可」と判断します。
もっとも、ノンバンク系ビジネスローンはやや柔軟です。
決算書を重視するものの、回収可能性を軸に判断します。
赤字などの問題を抱えていても、回収の見込みがあれば融資することが多いです。
したがって、ビジネスローンの審査難易度は決算書次第、ノンバンク系は銀行系よりも審査難易度が低いと考えてください。
審査難易度を当座貸越と比較した場合、決算書が良ければビジネスローンのほうが簡単、決算書が悪ければビジネスローンのほうが難しいといえるでしょう。
当座貸越は条件次第
当座貸越の審査は、担保などの条件次第です。
一般的に「当座貸越の審査は厳しい」というのは、無担保の当座貸越を指します。
そもそも、銀行の無担保融資は審査が厳しいものです。
証書貸付のように、資金使途や返済計画が明確な場合でさえ、無担保で貸すには高いハードルがあります。
当座貸越は、極度額の範囲内で自由に使えるものです。
自由に使えるということは、資金使途が自由であることを意味します。
借りた資金をどのような目的で使い、どのような結果につながり、どう返済されるかが不明です。
さらに、当座貸越は「契約期間内は自由に使える」というもので、いつにいくら返済という計画もありません。
それを無担保で貸す、つまり信用だけを頼りに貸すとなれば、当座貸越の難しさが良くわかるでしょう。
実際に、無担保で当座貸越を利用できるのは、ごく一部の優良企業に限られます。
銀行が「無担保・当座貸越でもいいから借りてほしい、付き合いを一層深めたい」と考えるような会社でなければ審査に通りません。
無担保の当座貸越と、無担保のビジネスローンでは、当座貸越のほうがはるかに難しいといえるでしょう。
前述の通り、当座貸越は担保付きが主流です。
無担保の当座貸越は審査が非常に厳しいため、担保付きが現実的であり、主流というわけです。
担保付きの当座貸越は、極度額を担保価値の範囲内で設定します。
銀行の貸倒れリスクはほぼゼロですから、審査に通ることは極めて容易です。
特に、定期預金を担保とする場合、当座貸越の審査通過率はほぼ100%といわれるほどです。
有担保の当座貸越は、ビジネスローンよりも審査難易度が低いといえます。
返済方法の違い
ビジネスローンと当座貸越は、返済方法も違います。
資金繰りの負担にも関わることですから、この違いは重要です。
ビジネスローンは約定返済
ビジネスローンは約定返済が基本です。
極度額の中で自由に借り入れ、一定の日(約定返済日)に一定額(約定返済額)を返済していきます。
最低返済額が決まっているため、時間とともに元金が減っていく仕組みです。
会社の資金繰りが苦しい場合も、一定のペースで返済しなければなりません。
ビジネスローンは、「借入は自由・返済は不自由」と考えてください。
当座貸越は自由に返済
当座貸越には、特に返済の取り決めがありません。
極度額の中で自由に借り入れ、自由に返済していきます。
返済の期日やペース、最低返済額は特に決まっていません。
元金をどう返済するかは会社次第。
借りるだけ借りて、元金を返済せずに利息のみを支払い続けることも可能です。
ただし、当座貸越には契約期間があります。
契約期間の満了に合わせて、一括で返済するのが基本です。
したがって、元金の返済を永遠に据え置くことはできません。
とはいえ、苦しい時期に元金の返済を先延ばしできるのですから、柔軟性は高いといえます。
「借入は自由・返済も自由」というのが当座貸越の特徴のひとつです。
金利の違い
ビジネスローンの金利が高いことは周知の事実です。
では、当座貸越の金利はどうでしょうか。
ビジネスローンと当座貸越の金利の違いをみていきます。
ビジネスローンは金利が高い
ビジネスローンは、金利が高いことで有名です。
ビジネスローンの仕組み上、これは致し方ないことです。
上記の通り、ビジネスローンは機械的に判断し、スピーディに融資します。
さらに無担保が原則です。
最近はAI審査の導入も進み、スコアリング審査の精度は高まっています。
とはいえ、機械の審査には限界があります。
人間ならば容易に見抜ける問題を見落とすこともあるのです。
機械で審査することによるリスクを、金利に反映するというわけです。
また、無担保は有担保に比べて明らかにリスクが高いことから、これも金利を高める要因となっています。
実際の金利は、決算内容や偏差実績、銀行系・ノンバンク系によって違います。
ビジネスローンの金利は固定金利、目安は銀行系ビジネスローンが年2~9%、ノンバンク系ビジネスローンが年6~18%です。
ただし、ビジネスローンの金利は借りた部分に対してかかるため、実際に借りなければ利息は発生しません。
当座貸越は金利が安い
当座貸越は、ビジネスローンとは違い低金利で調達できます。
銀行融資の金利は、年2~3%が目安です。
当座貸越は変動金利を前提とし、担保などの条件によっても金利が変わります。
無担保の当座貸越は、「短期プライムレート+〇%(銀行所定の利率)」という設定が一般的です。
例えば短プラが1.5%、銀行が定める利率が1.5%の場合、当座貸越の借入金利は年3%となります。
担保付きの当座貸越は、銀行側のリスクが低いだけに金利も低く設定されることが多いです。
定期預金を担保にする場合、「定期預金の利率+〇%(銀行所定の利率)」が基本となります。
例えば、定期預金の金利が0.1%、これに0.5%を上乗せして年0.6%で貸し付けるイメージです。
銀行は返済原資を確保した上で融資するようなものですから、このような低金利でも十分に成り立つわけです。
注意したいのが、金利以外のコスト。
特に信用保証協会の保証付きで当座貸越を利用するケースです。
当座貸越の金利は、借入金額に対してかかります。
当座貸越を契約しただけで、実際に借りなければ利息は発生しません。
しかし保証付きの当座貸越は、保証枠に対して保証料がかかります。
例えば、保証料率1%で極度額3000万円の当座貸越を利用する場合、実際に借りずとも30万円の保証料が発生するのです。
当座貸越は金利が安いものの、このような落とし穴もあるため注意してください。
極度額の違い
ビジネスローンと当座貸越は極度額が違います。
極度額の根拠が違い、調達可能額も異なるのです。
最後に、ビジネスローンと当座貸越の極度額の違いをみていきます。
ビジネスローンの極度額
ビジネスローンの極度額は、決算書の違い、銀行系・ノンバンク系の違いによって大きく変化します。
銀行系ビジネスローンの場合、黒字であることが前提です。
利益を返済原資とみなすため、黒字の金額が大きいほど極度額も大きくなります。
逆に、黒字の金額が小さければ極度額も少額です。
赤字では審査に通らない理由もここにあります。
赤字、つまり利益が出ていない状態では、極度額もゼロとなり融資できないのです。
決算は毎年変わるものですから、それに応じて極度額も変わります。
ただし、契約年数は業者によりけりです。
「毎年更新」であれば毎年の決算内容が極度額に反映され、「三年で更新」の場合には直近三年の決算内容が極度額に反映されると考えてください。
ノンバンク系ビジネスローンの極度額は、回収可能性を中心に考えます。
利益やキャッシュフローを総合的に考えて、「これくらいの金額なら回収可能」というところで極度額を設定します。
このほか、取引歴・返済実績も重要です。
初回取引の会社に、最初から十分な極度額を設定することはなく、少額からスタートします。
極度額の目安は、銀行系ビジネスローンは数百万~数千万円、ノンバンク系ビジネスローンは数十万円~数百万円です。
当座貸越の極度額
当座貸越の極度額は、資産状況と保全によって決まります。
無担保・無保証の当座貸越は、担保という保全がありません。
そこで、口座預金を実質的な保全とみなすケースが多いです。
銀行員から「口座の残高を平均で○○万円以上に保つようにしてください」といわれることがあります。
経営が安定していて手元資金が潤沢、なおかつ口座にいつも多額の現金があるならば、それに応じた極度額を設定することで当座貸越のリスクは大幅に下がります。
担保・保証付きの場合、極度額の設定は単純です。
担保付きの当座貸越は、担保価値の範囲内で極度額を設定します。
定期預金は預金額の90%、日本国債は時価の80%程度に設定することが多いです。
信用保証協会の保証付きの場合、保証枠と極度額はイコールです。
当座貸越の極度額に、ビジネスローンのような目安はありません。
ビジネスローンと当座貸越をどう使い分ける?
ビジネスローンと当座貸越の違いについて詳しくみてきました。
この違いから、ビジネスローンと当座貸越の使い分けを考えていきます。
当座貸越がおすすめの会社
まず、ビジネスローンよりも当座貸越がおすすめのケースを解説します。
基本的には、「当座貸越を利用できる会社は、あえてビジネスローンを選ぶ必要はない」という考え方です。
具体的なケースをいくつかみてみましょう。
業歴が長く経営が安定
当座貸越は、融資の中でもハードルが高いものです。
誰でも簡単に使えるものではありません。
当座貸越の中には、一定の業歴を求めるものもあります。
それなりに業歴があって、はじめて当座貸越を検討できるのです。
もちろん、いくら業歴が長い会社でも、経営が安定していなければ審査に通りません。
担保・保証のいずれかによって当座貸越を利用することになるでしょう。
当座貸越が最もおすすめといえるのは、無担保で当座貸越を利用できる会社です。
この場合、会社側は「無担保で当座貸越を利用したい」と考え、銀行側としても「無担保の当座貸越でも借りてほしい」と考えるわけですから、好条件で調達できる可能性があります。
業歴が長いことに加えて、長期にわたって経営が安定している会社は、無担保の当座貸越に挑戦する価値があります。
あえてビジネスローンを選ぶ必要はありません。
銀行との関係が良好
銀行との関係が良好な会社も、当座貸越がおすすめです。
無担保の当座貸越は、いわば信用貸しですから、よほど信用がある会社でなければ審査に通りません。
信用は担保によって補完できますが、当座貸越の主な担保は定期預金です。
定期預金は、関係が良好な銀行に集めるのが普通ですから、その意味でも関係良好な会社ほど当座貸越は利用しやすいといえます。
複数の銀行と取引している場合、当座貸越を申し込むのはメインバンクが最適です。
メインバンクとは、自社と最も密接な関係にある銀行を指します。
サブバンクよりも積極的に支援してくれるため、当座貸越の審査にも通りやすいです。
良好な関係を築き、当座貸越の枠を獲得するためにも、普段から融資その他の取引を特定の銀行に(メインバンクを中心に)集めておくとよいでしょう。
担保資産が豊富
無担保の当座貸越は非常に厳しいため、大抵は担保付きで当座貸越を利用することになります。
したがって、定期預金などの担保資産が豊富な会社も、当座貸越がおすすめです。
そもそもビジネスローンは無担保が原則ですから、担保を活用できません。
とはいえ、単に豊富なだけでは不十分です。
せっかくの定期預金も、複数の銀行に散らばっていれば効果が低下します。
定期預金を担保とする場合、その90%程度が当座貸越の極度額になります。
複数の銀行に分散して預けるよりも、関係が最も良い銀行にまとめて預け、好条件で当座貸越を利用すべきです。
担保資産が豊富な会社は、その有効活用のためにも当座貸越を活用しましょう。
信用保証協会の保証を受けられる
信用保証協会の保証を受けられる会社も、当座貸越を検討してみてください。
一部の銀行系ビジネスローンを除き、ビジネスローンは信用保証協会に対応していません。
信用保証協会の保証枠を活用する場合、選択肢は当座貸越だけです。
保証枠には上限があり、他の融資で活用することもできるだけに、使いどころを良く考える必要があります。
例えば、経営良好でプロパー融資を受けられるが、担保資産が乏しい、あるいは担保を温存したい会社。
この場合、通常の資金調達はプロパー融資で対応しつつ、予備の調達枠として当座貸越を利用することになります。
ただし、無担保の当座貸越は審査が厳しいため、ここで信用保証協会を活用するのです。
このように、すでに資金繰り・資金調達が安定しており、信用保証協会の保証枠を持て余している会社は、保証付きの当座貸越を利用するのが良いでしょう。
調達コストを抑えたい
ビジネスローンと当座貸越は、金利に大きな違いがあります。
調達コストを抑えたい会社は、迷わず当座貸越を選びましょう。
当座貸越の金利は、高くても普通融資と同じくらい、担保付きであれば普通融資よりもはるかに低金利です。
低金利の当座貸越を利用できる会社は、あえて高金利のビジネスローンを選ぶ必要はありません。
これまでの経営実績、銀行との取引実績、担保などをテコに当座貸越を利用し、調達コストを抑えましょう。
ビジネスローンがおすすめの会社
当座貸越よりもビジネスローンがおすすめのケースは単純です。
融資枠を確保したい、しかし当座貸越を利用できないという場合、ビジネスローンをおすすめします。
業歴が短い
業歴が短い会社は、当座貸越の対象外です。
銀行側の申し込み水準に達しないため、当座貸越は利用できません。
また、銀行側が業歴に寛容であっても、審査に通ることは困難です。
融資の種類を問わず、業歴が短いほど利用しにくいものです。
新規取引の場合、業歴が短いというだけで門前払いされることも珍しくありません。
業歴が短い会社は、業歴が不安定で脆弱、そして担保資産も乏しいのが普通です。
無担保の当座貸越はもちろん、担保付きの当座貸越も利用できないでしょう。
一方、ビジネスローンは当座貸越と違い、業歴にそれほどこだわりません。
業歴が短いほうが不利になるのは事実ですが、スコアリング審査に通りさえすればよいのです。
開業後、1年目は赤字、2年目はギリギリ黒字、3年目は黒字拡大といった場合、業歴わずか3年でありながら、銀行系・ノンバンク系ともに審査に通る可能性が高いです。
中には、ネット銀行などのビジネスローンは、決算書よりも口座の動きを重視するものがあります。
審査基準は業歴よりも決算書、決算書よりも口座ということですから、業歴が短い会社でも調達しやすいでしょう。
創業したばかりの会社は、業歴不問のビジネスローンを選ぶ必要があります。
当座貸越はまず不可能ですから、ノンバンク系を中心にビジネスローンで調達しましょう。
担保・保証が不足している
担保・保証が不足している場合、無担保・無保証で当座貸越を利用することは非常に難しいです。
それよりも、無担保・無保証のビジネスローンがおすすめです。
当座貸越もビジネスローンも、融資枠を確保できるのは同じです。
金利や返済条件は異なるものの、いざという時の備えになります。
ただ備えるだけで借りなければ、利息が発生することもないのです。
当座貸越は担保・保証に大きく影響され、ただ黒字というだけでは審査に通りません。
しかしビジネスローンは、担保・保証に関係なく、ただ黒字というだけで審査に通ります。
決算内容をテコにするなら、当座貸越よりも断然ビジネスローンがおすすめです。
資金調達を急いでいる
資金調達を急いでいる場合、たとえ当座貸越の審査に通る状況でも、ビジネスローンを選んでください。
ビジネスローンと当座貸越は、資金調達スピードが違います。
当座貸越は、申し込んでから極度枠が設定されるまで、早くて数週間、大抵は1ヶ月程度を要します。
銀行との関係が良好、なおかつ担保が十分という場合、2週間程度で調達できることもありますが、それでも緊急の調達には不向きです。
当座貸越の審査を待っている間に資金繰りがショートし、融資どころではなくなるでしょう。
その場合、当座貸越はひとまず置いてビジネスローンを選ぶのが賢明です。
当座貸越の審査に簡単に通る状況であれば、銀行系ビジネスローンの審査にも通るはず。
銀行としては、当座貸越もビジネスローンも貸越しという形は変わりません。
銀行系ビジネスローンは数日~1週間程度で調達できます。
ビジネスローンで資金繰りを維持しつつ、急場をしのいだら改めて当座貸越に申し込めばよいのです。
決算に問題がある会社や、即日中~数日中に調達したい会社は、ノンバンク系ビジネスローンで調達しましょう。
まとめ:ビジネスローンと当座貸越の違いを知り活用を
この記事では、ビジネスローンと当座貸越の違いと、それを踏まえた使い分けを詳しく解説しました。
銀行の当座貸越も、極度型のビジネスローンも、一定の融資枠を獲得できる点は同じです。
しかし、審査方法と難易度、担保・保証のあり方、条件・返済方法など、多くの点で違いがあります。
この違いを踏まえた上で、当座貸越を利用できる場合には当座貸越を、利用できない場合にはビジネスローンを選ぶのが基本です。
ビジネスローンは、銀行融資の枠組みにとらわれず、当座貸越に近い仕組みで調達できるのが魅力といえます。
ビジネスローンなびでは、当座貸越のように使えるビジネスローンについても情報を発信しています。
ビジネスローンを活用するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
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