在庫ファクタリングとは?メリットやデメリットなどを解説
目次
会社を経営していて、不良在庫に悩んでいませんか。
そこで選択肢になるのが、在庫ファクタリングです。
利用すれば在庫処分が楽になり、資金繰りの改善にもつなげられます。
一方取扱業者は少なく、在庫の売却額が安くなる点などに気をつけてください。
今回は在庫処分をすぐに済ませたい方へ、在庫ファクタリングを紹介します。
メリットやデメリットなどを詳しく解説するので、問題解決の参考にしてください。
在庫ファクタリングとは何か?
在庫ファクタリングとは、ファクタリング業者への商品在庫の売却です。
従来のファクタリングは売掛金を売りますが、ここでは商品在庫を買い取ってもらいます。
また売掛金のように取引先が関わらないため、形態は2社間契約のみです。
在庫ファクタリングの基本的な定義を、以下で見ていきましょう。
ファクタリング業者への商品在庫の売却
商品在庫をファクタリング業者へ売る場合は、在庫ファクタリングと呼ばれます。
自宅でいらないものを買い取ってもらうように、企業では在庫の売却が可能です。
そのため融資と違う形で、資金調達ができます。
必要な資金が足りない場合、在庫を売って解決できるかもしれません。
商品の管理を楽にしながら、手元の資金を増やせるのが魅力です。
在庫ファクタリングで売れるのは、あくまでも商品のみです。
原材料は商品として扱わない限り、ファクタリング業者に売れません。
そのため商品用の在庫スペースを確保し、徹底的に管理してください。
商品の状態が悪いと、買い取ってもらえない可能性があります。
このようにファクタリングには、在庫を売る形式もあります。
一部業者は売掛金に限らず、在庫も買い取るのです。
従来のファクタリングとは売るものが違う
従来のファクタリングとは、売却対象が違います。
在庫ファクタリングは、商品の在庫を買い取ってもらう形です。
従来の形式は、売掛金を売却します。
売掛金を得るのは、取引先にサービスや商品を提供し、後払いが決まったときです。
つまりお金を受け取る権利となり、ファクタリング業者に売れば相当額を換金できます。
以上から商品を直接売るのではなく、その対価を受け取る権利の売却です。
一方在庫ファクタリングは、商品在庫自体を売ります。
売却対象の在庫は、取引先や顧客に売っていないことが前提です。
在庫ファクタリングに売掛金は関係なく、余った商品を直接買い取ってもらいます。
在庫ファクタリングは2社間契約のみ
在庫ファクタリングの契約形態は、2社間のみです。
売掛金の売却と違い、取引先は関係ありません。
従来のファクタリングでは売掛金の売却後、取引先から売掛金の相当額を回収する必要があります。
2社間契約なら企業が期日までに資金を回収して、ファクタリング業者に渡す形です。
3社間契約ならファクタリング業者が、取引先から資金を直接回収します。
しかし在庫ファクタリングでは、資金回収がありません。
売却対象となる在庫は、取引先に提供されていないからです。
ファクタリング業者へ売却できれば、そこで手続きは完了します。
そのため売掛金の売却より、手軽に取引を済ませられるでしょう。
以上から在庫ファクタリングは、企業と業者の2社間契約で決まります。
取引先に知られない形で、資金調達をしやすいのです。
在庫ファクタリングの流れ
在庫ファクタリングの流れは以下のとおりです。
1.企業がファクタリング業者へ申請
2.業者が企業の在庫商品を査定し、買取価格を決定
3.売却成立
4.業者が企業へ買取額を支払う
このように在庫ファクタリングの流れは、不用品の買取と変わりません。
従来のファクタリングは、売掛金を売却するため、取引先からの資金回収が必要です。
しかし在庫を売る場合は、企業は代金を受け取った時点で、すべての手続きが完了します。
そのため売掛金の売却より、シンプルな形での資金調達が可能です。
在庫ファクタリングは、手軽な在庫処分と資金調達ができます。
在庫ファクタリングのメリット3つ
在庫ファクタリングには、さまざまなメリットがあります。
在庫が長期間残っていると、品質低下や管理コストの負担などが問題です。
しかし売却できれば、そうした問題を改善できるでしょう。
在庫ファクタリングについて、以下の3つのメリットを確かめてください。
1.品質劣化の予防になる
2.在庫管理コストの削減が可能
3.資金繰りの改善ができる
1.品質劣化の予防になる
最初のメリットは、品質劣化の予防です。
売れない在庫を抱え続けると、品質劣化が想定されます。
売り物としての価値が下がると、取引先や顧客に提供しづらいでしょう。
しかし在庫ファクタリングができれば、品質劣化の前に買い取ってもらえます。
以上から在庫処分は、企業価値を守る選択肢です。
劣化したままの商品を提供すると、悪い口コミやクレームが増え、企業の信頼に関わります。
今後の経営を考えると、そうしたトラブルは避けたいところです。
どうしても売り手が見つからない場合は、ファクタリング業者へ在庫の買取を依頼してください。
長期間残り続けた在庫があれば、品質が劣化する前に決断しましょう。
2.在庫管理コストの削減が可能
在庫ファクタリングができれば、管理コストの削減も可能です。
在庫処分によって管理が楽になり、経済的負担を減らせます。
余った在庫は劣化を避けるべく、適切な状態で管理しなければなりません。
在庫が増えるほど余分なスペースを要したり、新しく借りた倉庫の賃料がかさんだりします。
ほかにも棚卸の人件費がかさみ、経営上の負担になるのです。
こうした問題を解決するには、在庫ファクタリングが選択肢になります。
たとえば複数の倉庫をレンタルしている場合です。
倉庫内の在庫を一掃すれば、倉庫をひとつ解約して賃料を抑えられるかもしれません。
このように不用品のファクタリングは、企業の経済的負担を減らせます。
3.資金繰りの改善ができる
最後のメリットは、資金繰りの改善です。
企業によっては運転資金がかさんで、資金不足に悩むこともあるでしょう。
そこで在庫ファクタリングができれば、取引先に知られない形で、手軽な資金調達が可能です。
手元の資金を増やすうえで、重要な選択肢といえます。
在庫ファクタリングは資金の潤沢化だけでなく、運転資金の節約にもつながります。
管理コストを減らすだけでなく、不要在庫の現金化ができるからです。
在庫ファクタリングは企業の資金を増やすだけでなく、業務の効率化にもつながります。
お金に困っているときも、在庫ファクタリングでさまざまな負担を減らせるのです。
資金調達だけでなく経費削減によって、資金繰りを改善できるでしょう。
在庫ファクタリングは、財政状況を見直すきっかけになります。
在庫ファクタリングのデメリット3つ
在庫ファクタリングには、注意点もあります。
取扱業者を見つけにくく、売却先が決まらない可能性に要注意です。
さらに資金化までのタイムラグや、買取価格の安さにも気をつけてください。
在庫ファクタリングのデメリットについて、以下の3つを解説します。
1.取扱業者が少ない
2.資金化まで時間がかかる
3.商品価格より安く買い取られる
1.取扱業者が少ない
最初のデメリットは、在庫ファクタリングの取扱業者が少ないことです。
ファクタリングは、売掛金を売るイメージが強いといえます。
そのため在庫処分へ協力するファクタリング業者は、少ないのが実情です。
企業にとっては、在庫処分の相手を見つけにくいでしょう。
在庫ファクタリングは、オンライン対応が難しいといえます。
売掛金と違い在庫を売る場合は、業者による実地査定を要するからです。
そのため在庫を買い取る業者が、企業の近くにいることが望ましいといえます。
ただし地方拠点だと、該当の業者が近くにいないこともあります。
在庫ファクタリングができない場合は、値下げセールで在庫一掃するか、別の買取業者を探す形がおすすめです。
在庫ファクタリングを扱う業者は全国で少ないため、近くにいない場合は別の処分方法を計画してください。
2.資金化まで時間がかかる
在庫ファクタリングは、資金化まで時間がかかる点に要注意です。
売掛金を売った場合は、即日入金を受けられます。
しかし在庫処分だと、申請から1週間~3週間程度かかるケースが多いのです。
そのため必要なときに、在庫売却の資金を得られない可能性があります。
すぐに資金が必要なら、在庫ファクタリング以外の方法も検討しましょう。
たとえば売掛金が手元にあれば、通常のファクタリングの方が、早期の資金調達へつなげられます。
ほかにもビジネスローンや手形割引など、さまざまな選択肢があるのです。
在庫ファクタリングは現金化までのタイムラグがあるので、売掛金の売却のように即日入金は期待できません。
すぐに資金が必要なら、別の方法も検討しましょう。
3.商品価格より安く買い取られる
最後のデメリットは、商品価格より安く買い取られる点です。
買取相場は、商品価格の10%~50%とされます。
つまり在庫ファクタリングは、手軽に資金調達できる一方、その金額は限られているのです。
すぐに資金が必要でも、十分にカバーできない可能性もあります。
不良在庫は自分でさばいた方が、収益が多くなるかもしれません。
たとえば値下げでセールをした場合でも、在庫ファクタリングの買取額より多くの資金を得ることがあります。
またオークションサイトで売る方が、高額買取につながるかもしれません。
このように高く売れるルートは、商品によって違います。
在庫の商品を詳しく分析し、在庫ファクタリングで十分な資金調達が可能か検討しましょう。
在庫ファクタリングのまとめ
在庫ファクタリングなら、不良在庫をファクタリング業者に買い取ってもらえます。
取引先に知られない形で資金調達できる点から、便利な選択肢です。
在庫の管理コストを抑えながら、資金を増やせる魅力があります。
一方在庫ファクタリングは、取扱業者が少ない点に要注意です。
加えて買取価格は限られており、資金化まで時間がかかります。
状況次第では、在庫ファクタリング以外での資金調達も選択肢です。
このように慎重な検討は必要ですが、在庫ファクタリングは経営状態を改善する可能性があります。
不良在庫で困っているなら、取扱業者に依頼してみましょう。