ファクタリング情報

ファクタリングは小売業者におすすめの資金調達手段―利用可能なファクタリングの種類を紹介

これまで、小売業は「日銭商売」といわれるように、日々の売上のほとんどが現金で入ってくるのが一般的でした。

したがって、小売業は手元にいつも現金があるので、支払いに必要なお金を用意するために資金調達するという苦労があまりない産業といわれていました。

しかし、カード決済や決済アプリの利用などにより、売上がすぐに手に入るという状況が変化してきたという事実があります。

その影響を受けて小売業を営む会社でも資金繰りの悩みを持つところが増えるようになりました。

資金繰りの悩みを持つ小売業の会社におすすめの資金調達方法がファクタリングです。

そこで、この記事では小売業を営む会社で資金調達が必要なシーン、小売業が利用できるファクタリングの種類を紹介します。

小売業で資金調達が必要になるシーン

小売業を営む会社は以下のシーンで手元の資金が不足し支払いに必要なお金が足らなくなる、いわゆる資金ショートすることがあります。

・繁忙期に備えた仕入れや増員
・一括仕入れ
・大量の在庫を抱えている
・取引先から大口の依頼があった
・クレジットカード債権が増えた

季節商品を扱う小売店では、シーズンを迎える前に在庫を確保するために大量に商品を仕入れる、販売員を追加することがあります。

こうしたシーンで、必要な資金が足らなくなり資金調達することがあるでしょう。

さらに、売上増加を狙い商品を一括仕入れしようと思うが、そのための資金が足りない場合、資金調達が必要です。

他にも、一括仕入れをしたものの思うように売上が伸びず大量の在庫を抱えるようになれば、現金化できない商品が増えることで資金繰りが悪化するので資金調達をしなければなりません。

取引先から大口の注文依頼があったが、卸売り業者に支払う仕入れ費用が不足しており、仕入れが難しいので資金調達が必要というシーンもあります。

さらに、お客様のクレジット決済が増えてクレジットカード債権が増加することで、手元の資金が不足することがあります。

クレジットカードの回収サイト(売上が確定してから実際に入金されるまでの期間)は売上の確定から1ヶ月です。

たとえば、ある小売店が1月に販売したものを2月に売上確定している場合、お金が入ってくるのは3月になります。

このケースでは、現金で売上を回収していた時よりも、2ヶ月以上お金が入ってくるのを待つ必要があるわけです。

このようにクレジット債権が増えればすぐに現金を手にする機会が減り、手元に現金が入るのを待つことが増えるので、それが原因で支払いのための資金が不足するということがあります。

小売業者が利用できるファクタリング

小売業者は仕入れや大口注文への対応、クレジット債権の増加により手元にすぐに現金が入る機会が減ったなどの理由で、急いで資金調達しなければならないことがあります。

そうしたシーンで活用できるのがファクタリングです。ファクタリングにはいくつかの種類がありますが、小売業者が活用できるファクタリングは一般的に以下の3つがあります。

・売掛金ファクタリング
・クレジットカード債権ファクタリング
・在庫ファクタリング

それぞれのファクタリングサービスについてどのように資金調達できるのかその内容を解説します。

売掛金ファクタリング

小売業の顧客に法人の企業があれば、掛取引で商品を販売することがあるでしょう。その場合、売掛債権の1つである売掛金が発生します。

売掛金ファクタリングは、売掛金の証拠となる請求書や発注書、取引基本契約書などの書類をファクタリング事業者に提出し、審査に通過すれば、売掛金を買取してもらい、売掛金の入金期日より前に資金が手に入るというサービスです。

クレジットカード債権ファクタリング

ファクタリングは売掛債権を譲渡してその買取代金を受け取ることで資金調達する方法です。

クレジットカード債権は、カード会社から売上を現金で受け取る権利ですから、売掛債権とみなすことができ、ファクタリングの買取対象となります。

しかし、クレジットカード債権は債権譲渡禁止特約があり、ファクタリング事業者に譲渡できないのではと思う方もおられるでしょう。

その点については問題ありません。なぜなら、2020年に施行された民法改正で債権譲渡禁止特約があっても、債権譲渡が有効とされたからです。

改正後の民法第466条2項は、その点を次のように説明しています。

2.当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

債権譲渡禁止特約があっても債権譲渡ができるとはっきり示されています。

このように、クレジットカード債権の譲渡は法的にも問題ないので、ファクタリング事業者の中にはクレジットカード債権の買取に対応しているところがあります。

小売業者でもECサイトでの売上が多く、お客様の大半が決済をクレジットカードでおこなっているなら、クレジットカード債権のファクタリングを利用し資金繰りの改善を図れるでしょう。

在庫ファクタリング

ファクタリングサービスは基本的に資金需要のある会社が保有する売掛債権をファクタリング事業者に持ち込み、それを買取してもらうことで資金調達するというものです。

在庫ファクタリングは、売掛債権ではなく在庫商品を買取してもらうサービスになります。

したがって、在庫ファクタリングは、売掛債権やクレジットカード債権がなくても利用可能なファクタリングです。

在庫ファクタリングで資金調達するまでのおおまかなプロセスは以下の通りです。

・小売業者が在庫ファクタリングを取り扱う事業者に利用の申し込みをする
・ファクタリング事業者は在庫商品の価格や数を確認し査定をして買取額を決定する
・小売業者は買取価格に合意したなら、在庫商品をファクタリング事業者へ売却する

ファクタリング事業者は買取した商品を独自ルートで販売し、そこから利益を獲得します。

売れ残ってる在庫でも企業の資産として扱われるので法人税などの課税対象となります。さらに、在庫が大量にあればそれを管理するための場所や費用が必要です。

在庫ファクタリングを利用すれば、売れ残り在庫を一掃できるだけでなく、節税やコストカットにもつながります。

小売業者にファクタリングを推奨する4つの理由

小売業者が利用可能なファクタリングの種類を3つ紹介しました。小売業者に資金調達方法としてファクタリングをおすすめするのは次の4つの理由によります。

・最短即日で資金調達が可能
・担保や保証人が不要
・審査がそれほど厳しくない
・信用情報機関の情報を参照されることがない

それぞれの理由についてその内容を解説します。

最短即日で資金調達が可能

売掛金ファクタリングやクレジットカード債権ファクタリングの大きな特徴は申し込みから資金調達完了までの期間が短いという点です。

ファクタリング事業者によっては申し込んでから即日審査・即日入金に対応しているところがあるので、申し込んだその日、もしくは翌日には売掛金を資金化できます。

資金ショートのピンチなので今日明日中にお金が欲しいというケースでは、ファクタリングの利用を検討してください。

担保・保証人が不要

ファクタリングは担保・保証人なしで利用可能です。小売業者の中には担保になる資産や保証人を用意できないという方がおられるでしょう。そうした方でもファクタリングは利用できます。

ファクタリングの契約は債権譲渡契約であり、金銭消費貸借契約ではありません。

金銭消費賃借契約なら担保や保証人を用意し契約することがありますが、ファクタリングは売掛債権という資産の売却であり、融資ではないので利用の際に担保や保証人を用意する必要はありません。

もし、貸金業者として登録していないファクタリング事業者が、契約の際に担保や保証人を要求するなら、貸金業法に違反する行為なので、そうした事業者は悪徳業者とみなすことができます。

審査がそれほど厳しくない

ファクタリングの審査は銀行融資を受ける際の与信審査より厳しくないという点が、小売業者にファクタリングをおすすめする別の理由です。

銀行から融資を受ける場合、綿密な事業計画書を作成し、事業の信頼性や将来性、融資希望額、返済方法、返済期間について綿密なデータを提出する必要があります。

申し込み企業が赤字経営や債務超過の場合、もしくは起業から1年未満という状況なら返済能力が低いとみなされ審査に通過するのは困難です。

ファクタリングの審査で重要なポイントとなるのは、売掛先の信用力です。売掛先が売掛金をきちんと支払う能力があると判断できるなら、ファクタリングの審査には通過できます。

申し込み企業が赤字経営、債務超過、起業から1年未満という状況でも、売掛先の信用力に問題がなければ、ファクタリングを利用できる可能性は十分にあります。

売掛先の信用力が審査に通過するポイントになるわけですが、この点クレジットカード債権ファクタリングは売掛先がカード会社です。

カード会社の信用力、支払い能力についてはほぼ疑う必要がないので、ファクタリング事業者はクレジットカード債権については優良債権とみなし積極的に買取してくれることを期待できます。

クレジットカード債権がたくさんあり、現金が不足気味という小売業者は、クレジットカード債権ファクタリングの利用を前向きに考えてください。

ちなみに、ファクタリングの審査で事業計画書の提出は基本的に必要ありません。これも小売業者の方に資金調達方法としてファクタリングを推薦する理由です。

信用情報機関の情報を参照されることがない

ファクタリングを申し込んでも信用情報機関に情報が登録される、審査の際にそこから登録情報を参照し利用されるということはありません。

これも小売業者に資金調達手段としてファクタリングをおすすめする理由です。

銀行、消費者金融などで融資やローンを申し込むなら、銀行や消費者金融は信用情報機関に申込者の情報を問い合わせします。

銀行や消費者金融などが利用する信用情報機関には、返済の長期延滞や代位弁済、債務整理といった金融事故の記録が一定期間登録されています。

金融事故の記録が登録されているなら、融資やビジネスローンを申し込んでも、信用力に問題があるので審査に通過するのは困難です。

一方、ファクタリングの審査では、銀行や消費者金融が登録している信用情報機関に情報の照会を求めることはありません。

ファクタリングの審査で注目するポイントは売掛先の信用力だからです。

したがって、申し込み者が過去に金融事故を起こした記録が信用情報機関に登録されている状態でも、売掛先の信用力に問題がなければ、審査に通過できる可能性があります。

小売業者がファクタリングを利用する際の注意点

ファクタリングを利用する際には手数料が発生する点に注意してください。したがって、ファクタリングを利用して売掛債権の全額を資金化することはできません。

ファクタリングで資金化できるのは売掛債権の額から手数料を引かれた分だけです。

短期間で何度もファクタリングを利用するなら、資金繰りをさらに悪化させる可能性があります。ファクタリングは急な仕入れに対応する、資金ショートを回避するといった必要な状況でのみ使うようにしてください。

小売業者が活用できるファクタリングについてのまとめ

この記事では、小売業者が活用できるファクタリングの種類、小売業者にファクタリングをおすすめする理由を解説しました。

小売業者は、資金繰りの悩みがあれば売掛金ファクタリング、クレジットカード債権ファクタリング、在庫ファクタリングという3つのファクタリングが利用できます。

ファクタリングは申し込みから資金調達完了までのスピードが速いので、急な仕入れに対応する、支払いに使うお金が足りないといったシーンで利用可能です。

ファクタリングで手元にある資金を確保しておけば、シーズン前に在庫を確保する、セール前に必要な人員を確保することができます。

資金繰りの悩みがある、融資以外の資金調達方法を確保したいという小売事業者の方は、この機会にぜひファクタリングの利用を考慮してください。