ファクタリングで高額債権の買取は可能?高額債権をファクタリングする方法やその際の注意点を紹介
目次
ファクタリングは中小企業や個人事業主の間で資金調達手段のひとつとして浸透しつつあります。
ファクタリングの利用を考えている経営者の中には、ファクタリングでの買取可能額はいくらなのか、高額債権のファクタリングに対応している事業者があるのかどうかを知りたいという方がいらっしゃいます。
そこで、本記事では、ファクタリングの買取可能額はどのように決まるのか、ファクタリングで高額債権の買取は可能なのか、高額債権のファクタリングでおすすめの事業者、その際の注意点などを紹介します。
ファクタリングの買取限度額はいくらまで?
ファクタリングは、資金調達を希望する企業が所有している入金待ちの売掛金(売掛債権)を、ファクタリング事業者に買取してもらい、ファクタリング事業者は買取代金を企業に支払うことで、企業は資金調達ができるというサービスです。
したがって、ファクタリング買取してもらえる額は、企業や個人事業主が保有している売掛債権の額によって決まります。
しかし、企業や個人事業主が、ファクタリングを利用しても売掛債権の額面全部を受け取ることができません。
ファクタリング事業者は、売掛債権を買取する際に、売掛債権の額に一定の比率の掛け目(買取率)をかけて買取金額を計算します。
そして、その買取金額からさらに手数料を差し引きます。
たとえば、1,000万円の売掛債権、掛け目が80%、手数料が10%の場合、早期に入手できる金額は以下の通りです。
● 買取限度額:売掛債権1,000万円×掛け目80%=800万円
● 手数料:買取限度額800万円×手数料10%=80万円
● 早期に手に入る金額:800万円-80万円=720万円
掛け目は保証金と同じような役割なので、売掛先から売掛金が無事回収できれば、掛け目で差し引かれた金額が利用企業に返還されます。
したがって、最終的に入手できる金額は以下の通りになります。
● 売掛金回収後の返還額:売掛債権1,000万円-買取限度額800万円=200万円
● 最終的に入手できる金額:早期に入手した金額720万円+返還額200万円=920万円
ファクタリングで高額債権の買取は可能?
結論から先に言えば、ファクタリングで高額債権の買取は可能です。
ファクタリング事業者には、高額債権のファクタリングに対応しているところとしていないところがあります。したがって、高額債権の買取を検討しているなら、高額債権の買取に対応できるファクタリング事業者を選んでください。
融資の場合、事業規模が小さければ、高額な借入が難しいです。一方、事業規模が小さくても高額債権を保有していれば、ファクタリングなら高額な資金調達が見込めます。
中小企業が「大型案件を受注するために設備投資をしたい」といった場合でも、高額債権があればファクタリングで必要な資金を集めることができます。
高額債権の買取でおすすめのファクタリング事業者
ファクタリング事業者は大きく分けると以下の3種類があります。
● 銀行系:銀行が親会社として出資しているファクタリング
● ノンバンク系:消費者金融や信販会社、クレジットカード会社といったノンバンクが運営しているファクタリング
● 独立系:銀行やノンバンク、大手企業が親会社として運営していない独立的・専門的にファクタリングサービスを提供する会社
高額債権の買取におすすめなのは銀行系のファクタリング事業者です。銀行が親会社として出資しているので、ノンバンク系や独立系のファクタリング事業者よりも資金力があります。
資金力があるので、数千万円から数億円規模の高額債権の買取にも対応しており、高額債権のある企業は銀行系ファクタリングを利用すれば多額の資金調達が見込めます。
高額債権をファクタリングする際の注意点
高額債権を銀行系ファクタリングでファクタリングする場合、以下の点に注意してください。
● 審査が厳しい
● 申し込みから資金調達完了まで時間がかかる
● 売掛先にファクタリング導入が知られる
● 将来の融資に影響を及ぼす可能性がある
審査が厳しい
銀行系のファクタリング事業者は、時間をかけて審査をすることで、売掛金回収不能になるリスクを出来るだけ正確に割り出すようにします。
したがって、銀行系ファクタリングは、ノンバンク系や独立系のファクタリングと比較すると審査が厳しいといえます。
通常のファクタリングの審査で重視されるのは、売掛先の信用力、つまり売掛先に売掛金を支払う能力があるかどうかです。
したがって、申し込み企業が、債務超過や赤字経営の状態でも、売掛先の信用力に問題がなければ審査に通過できます。
しかし、銀行系のファクタリングでは、売掛先と申し込み企業の両方が審査対象です。したがって、申し込み企業の経営状態が芳しくなければ、審査に落ちる可能性が高くなります。
申し込みから資金調達完了まで時間がかかる
銀行系ファクタリングは3社間ファクタリングでの契約です。2社間ファクタリングには対応していないので、申し込みから資金調達完了までに時間がかかります。
3社間ファクタリングは、申し込み企業・ファクタリング事業者・売掛先の3つが取引に関係するスタイルです。
したがって、3社間方式での契約を成立させるには、売掛先へファクタリングの導入について通知し承諾を得なければなりません。
2社間ファクタリングでは、売掛先への通知や承諾は不要です。
したがって、高額債権買取のために銀行系ファクタリングを利用するなら、2社間方式の場合よりも、申し込みから資金調達完了までに時間がかかります。
一般的には、申し込みから資金調達完了までに1週間から3週間程度の期間が必要です。
売掛先にファクタリング導入が知られる
先ほど説明したように、銀行系ファクタリングで高額債権の買取を依頼した場合、3社間ファクタリングでの契約になります。
2社間ファクタリングは、ファクタリングの導入について売掛先に通知し、利用承諾をもらうという作業がいりません。
したがって、売掛先に知られることなくファクタリングを利用することが可能です。
一方、3社間ファクタリングの場合は、契約前にファクタリングの導入について通知し承諾をもらう必要があるので、場合によっては、売掛先に「資金繰りが悪い」と思われ、今後の取引に影響が出るかもしれません。
将来の融資に影響を及ぼす可能性がある
銀行系ファクタリングで高額債権を買取してもらうと、その情報が親会社の銀行に共有されます。
情報が共有されることで、親会社の銀行に融資を申し込んだときに、ファクタリングの申し込み回数などが影響し、「資金繰りに問題がある」と判断され、与信審査に通過できないかもしれません。
近い将来、銀行からの融資を検討しているなら、銀行系ファクタリングの利用は控え、ノンバンク系や独立系のファクタリングで高額買取に対応しているところを探すことをおすすめします。
独立系ファクタリングでも高額債権の買取はできる?
答えを先に述べれば、独立系ファクタリングでも高額債権の買取は可能です。
独立系ファクタリングは、資金力のある親会社がいないので少額債権の買取に特化しているところが多いです。
とはいえ、中には高額債権の買取にも対応しているところがあります。
銀行系ファクタリングに高額債権のファクタリングを依頼をしたが断られた、見積もりの買取可能額が予想より低かった、手数料が高かったという場合は、高額債権の買取に対応している独立系ファクタリングに見積もりを依頼できます。
高額債権のファクタリングは事前相談が大切
高額債権のファクタリングを申し込む場合、ファクタリング事業者に事前相談することをおすすめします。
なぜなら、高額債権の買取のためにファクタリング事業者もある程度のお金を用意する必要があるからです。
したがって、高額債権を積極的に買取してくれるファクタリング事業者もあれば、一定額以上になれば慎重に検討する、もしくは対応していないファクタリング事業者も存在します。
ファクタリング事業者への申し込みを始める前に、高額債権の買取が可能かどうか相談することをおすすめします。
申し込み手続きを開始してから買取できないということになれば、申し込み準備のための手間や時間が無駄になるからです。
高額債権のファクタリングに関するまとめ
本記事では、ファクタリングの買取限度額を決める要素、高額債権のファクタリングができるかどうか、高額債権の買取でおすすめのファクタリング、高額債権の買取についての注意点などを取り上げました。
銀行系ファクタリングは、資金力があるので高額債権のファクタリングが可能です。
しかし、銀行系ファクタリングは審査が厳しいので、審査に通過できない場合があります。
さらに、ファクタリングの利用について売掛先への通知と承諾が必要とされる3社間ファクタリングのみ対応しているので、申し込みから資金調達完了までに時間がかかります。
ファクタリングの利用について親会社の銀行に情報が共有されるので、ファクタリングの利用頻度が多ければ、銀行に融資を依頼しても、経営状態に問題があると判断され、審査に通らないかもしれません。
ファクタリング事業者を賢く選べば、高額債権で売掛金の入金期日より前に資金が手に入ります。ファクタリングを上手に活用すれば資金繰りの悩みは解決できるでしょう。