ファクタリング可能な債権の種類とは。ファクタリングしやすい、しにくい債権を解説
目次
突然の資金不足に対応できるファクタリングは、多くの企業にとって頼りになる資金調達手段です。しかし、すべての種類の債権がファクタリングに適しているわけではありません。信頼性の高い債権を選ぶことで手数料を抑えられたり、逆にリスクの高い債権を選んでしまうと予想外のトラブルを招くことも。この記事では、ファクタリングに適した種類の債権や注意すべきポイントを具体例を交えてわかりやすく解説します。ファクタリングを賢く活用し、経営を安定させたい方は必見です！
ファクタリングの対象となる債権の種類とは
ファクタリングとは、売掛金などの債権をファクタリング会社に売却し、早期に資金を得る仕組みです。この際、ファクタリングの対象となる債権の種類にはいくつかの条件があります。本項目では、具体的な事例を挙げながら、ファクタリングで利用されることが多い債権の種類について解説します。
売掛金
ファクタリングの対象となる債権の種類1つめは売掛金です。売掛金は、取引先に商品やサービスを提供し、その代金を後日受け取る権利のことです。例えば、卸売業者が小売店に商品を納品した場合、その代金が支払われるまでの間に発生するのが売掛金です。この売掛金は、ファクタリングで最も一般的に利用される債権です。理由として、取引が明確であり、債務者（取引先）の支払い能力が安定しているケースが多いことが挙げられます。特に、大手企業との取引による売掛金は信頼性が高く、ファクタリング会社にとってもリスクが低いと評価されます。
請負代金債権
ファクタリングの対象となる債権の種類2つめは請負代金債権です。請負代金債権とは、建設業や製造業などで、特定の仕事を完了させた対価として支払われる債権を指します。例えば、建設会社がマンションを建設し、その完成後に支払われる報酬がこれに該当します。このような債権もファクタリングの対象となりますが、工事の進捗状況や支払い条件によっては、ファクタリング会社の審査が厳しくなることがあります。それでも、大型プロジェクトに関連する請負代金債権は高額であるため、資金調達の手段として注目されています。
診療報酬債権
ファクタリングの対象となる債権の種類3つめは診療報酬債権です。診療報酬債権は、病院やクリニックが保険診療を行った場合に、保険者（健康保険組合や国保連合会）から受け取る報酬を指します。例えば、医療機関が患者を診察し、その診療内容に基づいて後日保険者から支払われる金額が該当します。この債権は支払い元が公的機関であるため、信用度が高く、ファクタリングの対象として非常に適しています。特に、医療機関が運転資金を迅速に確保したい場合に利用されることが多いです。
介護報酬債権
ファクタリングの対象となる債権の種類4つめは介護報酬債権です。介護報酬債権は、介護施設や訪問介護サービス事業者が提供したサービスの対価として、保険者から受け取る報酬を指します。例えば、デイサービスを利用した高齢者のケア費用が後日支払われる場合、この報酬が債権となります。介護報酬債権は診療報酬債権と同様に、支払い元が公的機関であるため、ファクタリング会社から高く評価されます。介護事業者が運転資金を早期に得る手段として、特に利用価値が高いです。
補助金や助成金に基づく債権
ファクタリングの対象となる債権の種類5つめは補助金や助成金に基づく債権です。補助金や助成金に基づく債権は、国や地方自治体から支払われる補助金が対象となります。例えば、中小企業が設備投資のために補助金を申請し、その支払いが確定している場合、これを債権としてファクタリングに利用することができます。ただし、この債権は審査が必要となる場合が多く、支払い確定までのプロセスが複雑である点に注意が必要です。それでも、公的資金に基づくためリスクが低く、多くの企業で活用されています。
ファクタリングにおすすめの債権の種類
ファクタリングを活用する際には、特定の種類の債権が特におすすめです。これらの債権は信用度が高く、スムーズに資金調達が可能であることが特徴です。本項目では、具体例を挙げながら、ファクタリングに適した債権の種類について説明します。
大企業との取引による売掛金
ファクタリングにおすすめの債権の種類1つめは、大企業との取引で発生する売掛金です。大企業との取引で発生する売掛金は、ファクタリングに最適な債権の一つです。例えば、自動車部品メーカーがトヨタやホンダのような大手企業に部品を納品し、後日代金を受け取る場合、この売掛金が該当します。大企業の信用力が高いため、ファクタリング会社から見てもリスクが低いと判断されます。これにより、早期の資金化が容易になるだけでなく、手数料も抑えられる傾向があります。
医療機関の診療報酬債権
ファクタリングにおすすめの債権の種類2つめは、医療機関の診療報酬債権です。診療報酬債権は、病院やクリニックが保険診療を行った際に発生する債権です。例えば、患者が健康保険を使って診察を受け、その報酬を保険者が後日支払う形で発生します。この債権は支払い元が公的機関であるため、非常に安定しています。ファクタリング会社も安心して取引を行うことができるため、医療機関がスムーズに運転資金を確保する手段として適しています。
介護事業者の介護報酬債権
ファクタリングにおすすめの債権の種類3つめは、介護事業者の介護報酬債権です。介護報酬債権は、介護施設や訪問介護サービス事業者が提供したサービスに基づく債権です。例えば、デイサービスの利用者に対するケア報酬が後日支払われる場合、この債権が該当します。診療報酬債権と同様に、支払い元が公的機関であるため、信頼性が高いことが特徴です。介護事業者が安定した資金運用を行うために、ファクタリングの活用が推奨されます。
請負代金債権
ファクタリングにおすすめの債権の種類4つめは、請負代金債権です。請負代金債権は、建設業や製造業で発生する特定の仕事の完成に対する支払いに基づく債権です。例えば、建築会社がマンションの建設を受注し、完成後に報酬を得る場合に発生します。この債権は金額が大きくなることが多いため、短期的に多額の資金を調達したい事業者にとって有効です。ただし、プロジェクトの進捗状況が明確であることが条件になる場合があります。
安定した収入が見込めるリース契約債権
ファクタリングにおすすめの債権の種類5つめは、安定した収入が見込めるリース契約債権です。リース契約債権は、企業が機器や車両などをリースする際の利用料に基づく債権です。たとえば、IT機器をリースで提供する会社が、毎月一定額の利用料を受け取る場合に発生します。定期的な収入が保証されているため、ファクタリング会社にとっても信頼性が高い債権となります。このような債権は、設備投資を行う企業が資金調達をスムーズに行う際に活用されています。
官公庁向け取引で発生する債権
ファクタリングにおすすめの債権の種類の6つめは、官公庁向け取引で発生する債権です。官公庁向け取引で発生する債権は、公共事業に関連する売掛金が中心です。例えば、建設会社が自治体の依頼を受けて道路工事を行った場合、その報酬が該当します。支払い元が官公庁であるため、信用度が非常に高く、ファクタリング会社も積極的に対応する傾向があります。特に、中小企業が公共事業で発生する債権を早期に現金化したい場合に適しています。
ファクタリングにはおすすめできない債権の種類
ファクタリングを活用する際には、すべての債権が適しているわけではありません。債権の種類によっては、ファクタリング会社が買い取りを拒否する場合や、手数料が高額になる場合もあります。本項目では、ファクタリングにおすすめできない債権の種類の具体例を挙げ、その理由を解説します。
債務者の信用が低い売掛金
ファクタリングにおすすめできない債権の種類1つめは、債務者の信用が低い売掛金です。債務者（取引先）の信用が低い場合、その売掛金はファクタリングに適しません。例えば、経営が不安定な中小企業や、過去に支払い遅延が多かった企業が支払い元となる売掛金が該当します。このような債権は、ファクタリング会社にとって回収リスクが高いため、買い取りを断られるか、非常に高い手数料を設定されることがあります。結果として、資金調達の効率が悪くなりがちです。
回収見込みが不明確な債権
ファクタリングにおすすめできない債権の種類2つめは、回収見込みが不明確な債権です。回収見込みが不明確な債権も、ファクタリングには適していません。例えば、口頭で約束しただけの代金請求や、契約内容が曖昧な取引に基づく債権がこれに当たります。このような債権は、法的に有効であることを証明しづらいため、ファクタリング会社がリスクを懸念して買い取りを拒否する可能性があります。明確な契約書や請求書のない取引に基づく債権の利用は避けるべきです。
取引の発生から期間が経過した債権
ファクタリングにおすすめできない債権の種類3つめは、取引の発生から期間が経過した債権です。発生から長期間が経過した債権も、ファクタリングにはおすすめできません。例えば、6カ月以上支払いが滞っている売掛金は、ファクタリング会社にとって回収困難と判断される場合があります。支払いの遅れが長引くと、債務者が経営難に陥っている可能性が高まるため、こうした債権は避けるべきです。ファクタリングを検討する場合は、できるだけ発生から日数が経っていない債権を利用するのが望ましいです。
個人間の取引に基づく債権
ファクタリングにおすすめできない債権の種類4つめは、個人間の取引に基づく債権です。個人間の取引に基づく債権は、ファクタリングに向いていません。例えば、友人や知人との間で発生した貸し借りや、非公式な契約に基づく債権がこれに該当します。ファクタリング会社は、取引の信頼性や回収可能性を重視するため、こうした債権は基本的に対象外となります。個人間の債権を資金調達に利用する場合は、別の方法を検討する必要があります。
条件付きの債権
ファクタリングにおすすめできない債権の種類5つめは、条件付きの債権です。条件付きの債権も、ファクタリングには適しません。たとえば、「特定の条件が満たされた場合にのみ支払われる」といった契約に基づく債権がこれに該当します。このような債権は支払いが確定していないため、ファクタリング会社にとってリスクが高くなります。具体的には、契約内容が曖昧な場合や、条件が達成される見込みが低い場合に問題となります。ファクタリングを利用する際は、支払いが確定している債権を選ぶことが重要です。
ファクタリングで注意すべき債権とは
ファクタリングを活用する際には、債権の種類や状態によって注意が必要です。適切な債権を選ばないと、予想以上のコストがかかったり、トラブルが発生したりする可能性があります。本項目では、特に注意すべき債権の種類の具体例と、そのリスクについて解説します。
支払期限が迫っている債権
ファクタリングで注意すべき債権の種類1つめは、支払期限が迫っている債権です。支払期限が間近に迫っている債権は、ファクタリングを利用する際に注意が必要です。例えば、支払い期限が数日後の売掛金をファクタリング会社に売却しようとしても、契約手続きや審査に時間がかかる場合があります。その結果、期限内に資金を得られないリスクがあるのです。こうした事態を避けるためには、十分な余裕を持ってファクタリングを計画することが重要です。
債務者との関係が悪化している債権
ファクタリングで注意すべき債権の種類2つめは、債務者との関係が悪化している債権です。債務者（取引先）との関係が悪化している場合の債権も注意が必要です。例えば、過去にトラブルがあった取引先からの支払いが遅延している場合、この債権をファクタリングに利用すると、債務者との関係がさらに悪化する可能性があります。特に、債務者がファクタリングの利用に不満を持つ場合、今後の取引に影響が出ることも考えられます。ファクタリングを利用する際は、債務者との信頼関係を確認することが重要です。
多重債権の状態にあるもの
ファクタリングで注意すべき債権の種類3つめは、多重債権の状態にあるものです。同じ債権がすでに他の担保や契約に利用されている場合、多重債権状態となり、ファクタリング会社とのトラブルが発生する可能性があります。例えば、すでに銀行融資の担保として設定されている売掛金をファクタリングに利用しようとすると、債権の権利関係が複雑化します。このような債権を利用する際は、事前に権利状況を整理し、トラブルを回避するためにファクタリング会社と十分に相談する必要があります。
分割払いが含まれる債権
ファクタリングで注意すべき債権の種類4つめは、分割払いが含まれる債権です。分割払い契約に基づく債権は、ファクタリングで利用する際に注意が必要です。例えば、取引先が分割で支払うことを条件に契約している場合、ファクタリング会社はその回収リスクを慎重に評価します。特に、分割払いの途中で支払いが途絶えるリスクがある場合、ファクタリングの審査が厳しくなる可能性があります。このような債権を利用する場合は、支払い履歴や債務者の信用状況をしっかりと確認することが求められます。
海外取引に基づく債権
ファクタリングで注意すべき債権の種類5つめは、海外取引に基づく債権です。海外取引に基づく債権は、為替リスクや国際的な規制の影響を受けるため、ファクタリングには特に注意が必要です。例えば、海外の取引先との売掛金をファクタリングに利用する場合、取引先国の経済状況や為替変動がファクタリング会社にリスクと見なされることがあります。また、法的手続きが異なるため、債権回収が複雑になる場合もあります。こうしたリスクを考慮し、海外取引に基づく債権を利用する際は、国際取引に詳しいファクタリング会社を選ぶことが重要です。
ファクタリングを活用するための債権選びと注意点
ファクタリングは、企業が短期間で資金調達を行う有効な手段ですが、適切な債権を選ぶことが成功の鍵となります。本記事では、ファクタリングに適した債権の種類から、おすすめできない債権、そして注意すべき債権について具体的な事例を交えて解説しました。
まず、ファクタリングにおすすめの債権には、大企業との取引による売掛金や、医療機関・介護事業者が得る診療報酬や介護報酬など、支払元が信頼性の高い場合が挙げられます。これらはファクタリング会社にとってリスクが低いため、手数料も抑えめで、スムーズに資金化が可能です。しかし、逆に、支払期限が迫っている債権や、債務者との関係が悪化している債権は、回収リスクが高いため注意が必要です。また、多重債権や分割払い、海外取引に基づく債権は、その取り扱いにおいて慎重さが求められます。
ファクタリングを効果的に活用するためには、債権の選定だけでなく、その状態やリスクを十分に評価することが大切です。取引先の信用状況や支払い能力を把握し、無理なく回収できる債権を選ぶことが、資金調達を成功に導くポイントです。適切な債権を選ぶことで、ファクタリングをより有利に活用し、企業の資金繰りを安定させることができます。