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請求書買取とは?個人やフリーランスもOK?選び方や注意点を解説

目次

「今月はちょっと資金繰りが苦しい…だけど、これ以上借り入れはしたくない」

「請求書買取ってどうなんだろう?個人事業主でも利用できるの?」

売上や収入は多い時もあれば少ない時もあります。また売上があっても入金まで時間がかかるなど、フリーランスや経営者の方は資金繰りで頭を抱えていることも少なくありません。

そんな時に役に立つのが請求書を買い取ってもらい、債権を現金化する「請求書買取」です。請求書買取を利用すれば、通常の入金よりも債権を早く現金化することが可能となり資金繰りを改善できます。また個人事業主・フリーランスにも対応している会社もあり、利用しやすくなっています。

本記事では請求書買取とはどのようなものか、メリットおよびデメリット、請求書買取会社の選び方や注意点などを紹介しています。請求書買取を適切に利用して資金繰りの改善に役立てていきましょう。

請求書買取の概要

請求書買取は、債権を証明する請求書を請求書買取会社が買い取り、資金化するサービスです。ここでは、請求書とはどんなものなのか、請求書買取のしくみなどについて解説します。

請求書とは

事業を営めば必ず取引先との金銭の授受が発生します。取引先に支払いをしてもらうには請求書が必要です。

請求書は、請求する金額のほか請求先の会社名や振込先などの必要事項を記載し、支払いを求める書類です。実は請求書の発行は法律的に義務づけられているわけではありません。支払ってほしいという請求は、口頭で伝えるだけでも本来はOKなのです。ただし請求書の送付は慣習となっていること、また証拠になることからトラブルを避けるためにも発行するのが一般的です。

請求書を発行すると請求のし忘れや金額の認識違い発生の防止に役立ち、トラブルの予防になります。

請求書買取とは

請求書買取は入金期日前の売掛債権(請求書)を請求書買取会社に売却し、早期に現金化するサービスです。

請求書買取は一般的に個人事業主・フリーランスの方に向けたサービスを指すことが多く、少額の請求書の買い取りにも対応しているところが多いのが特徴です。銀行など金融機関から融資を受けるの難しく、資金繰りに悩む方におすすめのサービスといえます。

資金繰りに苦労する経営者は珍しくありません。その理由は、あてにしていた取引先からの入金が遅れ他社への支払いができない、また売上自体は増えていても売掛金が入金される前に支払わなければならない税金や費用がある、などです。手元の資金が足りない状態が続くと、最悪の場合経営が行き詰まる可能性もあります。

これら資金繰りの課題を解消するのが「請求書買取」です。入金がかなり先という場合でも売掛債権(請求書)を売却することで早めに現金を手にすることが可能です。
請求書買取によって資金繰りの改善ができ、必要な資金を必要なタイミングで確保できることでビジネスの成長をより加速させられるでしょう。

また、通常売掛先が倒産した場合売掛金の回収はできません。しかし請求書買取を利用した後に売掛先が倒産した場合は利用者が責任を負う必要はありません。請求書買取は未回収のリスクを回避することにもつながるのです。

法人向け請求書買取サービスでは、登記簿謄本や印鑑証明など多くの書類を準備しなければなりません。請求書買取では基本的に請求書と本人確認書類、確定申告書のみでOK(会社や条件によって追加の書類が必要な場合もあり)なことがほとんどです。請求書買取の中には、登録して請求書をアップロードするだけで資金調達できるサービスもあります。

請求書買取のしくみ

請求書買取は、取引先の企業から受け取る報酬(売掛債権)を請求書買取会社に売却し、請求額に応じた手数料を引かれた現金を受け取るしくみになっています。

審査はビジネスローンや金融機関の融資よりも通りやすいことが多く、フリーランス・個人事業主の方にもおすすめの資金調達方法です。

一般的に請求書買取は以下のような流れで行われます。

・利用者が取引先企業に請求書を発行する
・債権売却に関する取引先の同意を得る(3社間の場合)
・申し込み、審査を受ける
・請求書の買い取りが可能であれば買取金額が支払われる
・取引先から売掛金が入金される
・売掛金を請求書買取会社に振り込む(2社間の場合)

請求書買取には2社間の取引と3社間の取引があります。2社間と3社間の場合で流れが少し異なり、3社間の場合は取引先の同意を得る必要が、2社間の場合は請求書買取会社に送金が必要です。それぞれ解説します。

2社間の取引

2社間の取引は利用者と請求書買取会社間で行われます。2社間取引は入金までのスピードが早い、売掛債権を売却したことを取引先に知られずにできるというメリットがありますが、3社間取引よりも手数料は高くなります。

2社間取引では取引先に請求書を発行後、売掛債権(請求書)を請求書買取会社に売却します。その後、手数料分を引いた金額が入金されます。

取引先は債権が売却されたことを知らないため期日通りに売掛金の支払いは行われます。利用者は売掛金を請求書買取会社に支払うことで取引は完了です。

3社間の取引

3社間取引とは利用者と取引先、請求書買取会社間での取引です。

3社間取引は2社間取引と比較して売掛金の未回収リスクが低くなる分審査が通りやすく、2社間よりも手数料が安くなるというメリットがあります。しかし取引先の合意が必要であり、現金化までには時間がかかることが多いでしょう。また債権を売却したことが取引先に通知されるため、今後取引先との関係性に影響が出る可能性があります。

3社間取引では取引先に請求書を発行後、利用者が売掛債権を売却することを取引先に通知、承認を得ます。その後請求書買取会社へ債権を売却し、手数料を引かれた分が買取金額として入金されます。3社間取引では取引先が請求書買取会社へ直接売掛金を支払って完了となります。

請求書買取のメリット

ここでは、請求書買取のメリットについて解説します。

現金化までのスピードが早い

請求書買取は金融機関の融資やビジネスローンなどと比べ、資金を調達するまでのスピードが圧倒的に早いという特徴があります。申し込みをしてから早いところでは即日、遅くとも数日で入金が可能です。

請求書買取を利用すれば「新事業のためにある程度まとまった資金が必要」な場合や「想定外の支払いが発生した」といった場合にも対応できるでしょう。手元に資金がないことで事業拡大したくてもできない個人事業主の強い味方です。売掛金を早期に現金化することで、人件費、材料費といった当座の出費をカバーでき新規の事業に着手しやすくなります。また資金繰りを改善すればより良い条件での交渉がしやすくなるでしょう。

個人事業主・フリーランスも利用できる

請求書買取では売掛先の信用力が重要です。売掛先と継続して取引があるか、売掛先の経営状態、支払い能力を重点的に審査するため信用力がない個人事業主・フリーランスも利用しやすい資金調達の手段といえます。

金融機関の融資を受けられなかったという方でも請求書買取は利用可能です。赤字決算であったり、債務超過、税金滞納があったりしても利用できる会社もあります。

負債にならない

請求書買取は売掛債権の売却に該当します。そのため、借入や融資、借金にはなりません。
負債が増えたり信用情報に記録が残ったりということはなく、金融機関からの信用を悪化させません。将来的に融資を受ける場合やローンを組む予定がある場合にも安心でしょう。

未回収リスクを避けられる

万が一取引先が倒産してしまって売掛金の回収ができなくなった場合でも、利用者が請求書買取会社に支払う必要はありません。

基本的に請求書買取ではノンリコース(売掛債権が回収不能になっても請求書買取会社が利用者に代金の支払いを求める権利がないこと)契約となっているためです。ただし一部の悪徳業者は償還請求権ありの契約を勧めてくるため、注意してください。

担保や保証人が不要

融資ではほとんどの場合保証人あるいは担保が必要です。しかし請求書買取ではこれらは不要で、資金調達のハードルは低いといえるでしょう。

請求書買取は借金ではありません。仮に売掛先が支払えなくなった場合も保証人や担保がないため弁済は不要です。もし請求書買取で担保が必要と言われたら、その場合は売掛債権を担保にした「貸金業」の扱いになります。違法業者である可能性が高いため注意しましょう。

オンラインで完結できる

請求書買取はオンラインで申込み手続きを完結できます。会社によっては店舗に出向いて対面での手続きをしなければならないところもあります。しかし多くの会社ではWebを活用し、対面に比べ手続きを簡単にできるようにしています。

請求書買取会社はオンラインでの申込みを充実させることで事務所の家賃や人件費を削減できます。その結果利用者は手数料などの費用を抑えられるのです。

請求書買取のデメリット

資金調達に便利な請求書買取ですが、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

手数料が高め

デメリットの一つはそのほかの資金調達方法に比べ高めの手数料がかかることです。会社により異なりますが、数%から10数%、高いものだと30%以上の手数料がかかることもあります。請求書買取は一時的、短期的な資金調達や経営状況の改善に向いている方法です。

長期的に利用すると手元の資金が減ってしまう可能性もあるため、利用するタイミングや頻度には注意しましょう。

買い取りしてもらえないことがある

審査の結果、買い取りを断られることもあります。基本的には売掛先の信用度が重要視されますが、利用者の信用度もまったく影響しないわけではなく個人事業主・フリーランスの利用が難しい会社もあります。審査の基準はそれぞれ会社によって異なるため、どうしても利用したい場合は複数の会社に申し込んでおくのがよいでしょう。

債権譲渡登記が必要な場合がある

契約内容により「債権譲渡登記」が必要なケースがあります。債権譲渡登記は債権が二重に譲渡されるのを防ぐためのもので、債権譲渡したことを証明するものです。譲渡自体は口頭や書面でも有効ですが、それだけでは第三者に対し債権の権利があることを主張できません。

利用者が別々の請求書買取会社に同じ請求書を売却した場合、権利がどちらの会社にあるかわかりません。請求書買取会社はこのようなリスクに備え、権利があることを証明するために債権譲渡登記をします。

2社間取引では債権譲渡登記を原則求められます(手数料を上乗せして登記は不要としている会社もあります)。手続きが増えることに加え、登記費用が別に発生します。なお、債権譲渡登記の譲渡人は法人限定です。

資金調達は請求書の額面まで

請求書買取での資金調達は請求書の額面までに限られます。売掛債権を売却するため、売掛金を超える金額は集められません。

請求書の金額は少ない、しかし多額の資金を調達したいという方に請求書買取は不向きです。
融資や借入と異なり、請求書買取では希望する金額を調達できません。さらに入金される金額は請求書の金額から手数料が引かれるため、必要な資金額に満たないケースもあります。必要な資金はどれくらいなのかを確認し、希望する資金調達ができるのかよく検討する必要があります。

売上や利益に影響する

請求書買取は融資などほかの方法よりも比較的簡単に資金調達できるため、経営者によっては繰り返し使うこともあります。

手数料を引かれる分入る金額は減り、その分売上の金額や利益率は低下します。請求書買取は資金繰りが苦しい、急に資金が必要になったという場合のみ利用するのが望ましいでしょう。

会社選びが難しい

請求書買取会社は多数あり、またそれぞれ手数料や入金までのスピードも異なります。どの会社を使うのがいいのか選ぶのが難しく、時間がかかります。また中には悪徳業者がまぎれこんでいることもあるため、慎重に選ばなくてはいけません。

融資やローンに比べ歴史が浅い請求書買取業界は新規の参入業者も多く、貸金法などの法律の規制外であることから悪徳業者も存在しているため注意が必要です。

金額の制限がある

請求書買取では会社によって最低利用金額が決められています。金額はそれぞれ異なり、少額の請求書に対応している会社は手数料が高くなる傾向があります。利用を考えている会社の最低利用金額はいくらなのか確認し、加えて手数料とのバランスを考え選ぶようにしましょう。

請求書買取はいつ利用するのか

請求書買取を利用するのによいタイミングについて解説します。

入金までの期間を短縮したいとき

請求書買取を利用するのにおすすめのタイミングは入金までの期間を短くしたいときです。入金より前に支払いが重なるときや、資金繰りが悪化しているときに有効な手段です。具体的には一時的に仕事量が減少したときや余剰在庫を抱えたときなどに大変役に立つでしょう。

急に資金が必要になった時

急に資金が必要になった場合も請求書買取は便利です。
銀行の融資なら1か月程度かかりますが、請求書買取では最短で数時間〜遅くても数日で資金調達が可能です。

とくに2社間取引では入金までのスピードが早く、急に仕入れを増やさなければならないとき、人件費や外注費など運転資金が必要になったときなどに利用するとよいでしょう。

借入れ以外で調達したい

請求書買取の利用がおすすめなのは、借入れ以外の方法で資金を調達したいときです。請求書買取は借り入れではなくあくまで売掛債権を現金化する方法であるため、負債は増えません。経営状況が赤字決算や債務超過でも利用可能で、融資が通らない場合でも資金調達できます。

請求書買取会社の選び方

自分に合った請求書買取会社は、経営状況や支払いの状況を考えて選びます。
支払期限が迫っているなど早く資金が必要なら2社間取引や審査通過率が高い会社を、時間に余裕があるなら手数料で選ぶのがよいでしょう。

手数料の安さ

請求書買取の手数料は会社によって異なり、数%~数十%までさまざまです。
請求書買取は資金繰りを改善するために利用するものであり、利益を減らす・圧迫するものであってはなりません。そのためには手数料率をできる限り抑えることは重要です。

少額債権の買い取りの場合は上限の、高額あるいは信用度が高いと判断された売掛債権を買い取る場合は下限の手数料率に近い見積もりになることが多いでしょう。

2社間取引と3社間取引、どちらも提供している場合それぞれ手数料率が異なることがあります。基本的に3社間のほうが手間がかからない分手数料は安めになります。手数料の違いを認識しておくことが必要です。

入金スピードの速さ

請求書買取を利用するのはできる限り早く資金調達が必要であるときでしょう。入金されるまでの時間や日数は重視したいところです。よく見る「即日」の表記は最短の場合です。自分が申し込んだ場合には何日かかるのか口コミや審査の流れなどから予想し、判断しましょう。AIによる審査を取り入れている会社は入金までのスピードが早い傾向があります。

入金が早ければ資金繰りを改善しやすくなり、取引先への新たな提案ができるなど事業活動をより広げられ、信用度も高められるでしょう。

個人間取引の請求書に対応しているか

請求書買取会社によって買い取りの対象になる請求書の範囲は変わります。個人間取引の請求書でも買い取りOKな会社もあれば、法人との取引に限るという会社もあるでしょう。

フリーランス・個人事業主の場合、取引先が個人であることは少なくありません。しかし請求書買取会社によっては個人間取引の請求書は対象外としている会社は多いため確認が必要です。

とくにAIによる審査が導入されている場合、支払い能力に問題があると判断されると機械的にはじかれてしまうため資金調達ができません。

審査通過率

請求書買取の審査通過率も手数料率同様、会社によって違いがあります。
AIによる審査のみの会社は審査通過率が厳しい傾向にあり、電話などで聞き取りがある会社は審査のハードルが低い傾向があります。

審査通過率を上げるには複数社に見積もりを取る、買い取ってもらいやすい請求書を選ぶ、審査に積極的に協力することが大切です。審査の基準は会社ごとに異なります。そのため、ある会社では買い取ってもらえなかった請求書が別の会社では買い取ってもらえることがあります。2〜3社で見積もりを取ってみましょう。

また、同じ金額でも買い取ってもらいやすい請求書とそうでないものがあります。買い取ってもらいやすいのは継続して取引がある会社の請求書、売掛先の信用度が高い場合、支払期日までの期間が短い請求書です。

請求書買取では基本的に売掛先の信用度が重視されますが、利用者が不誠実である場合は審査に響きます。請求書買取会社からの質問には誠実に答えましょう。

運営会社の信頼度や実績

フリーランス・個人事業主向けの請求書買取は歴史が浅く、さまざまな会社が存在しています。ほとんどの会社は正当な事業をしていますが、残念ながら一部悪質な企業もあるのは否定できません。

信頼できる会社を探すためには口コミやホームページだけでなく親会社や実績もチェックしましょう。運営母体が大手の会社であれば悪徳業者の可能性はほぼないといえます。新規参入が多く、また撤退も多い請求書買取業界で10年以上の実績があれば信頼できる会社と考えてよいでしょう。

2社間に対応しているか

請求書買取には、前述のとおり2社間と3社間取引の2種類があります。資金調達をそれほど急いでいない、手数料を抑えたいという場合は2社間・3社間の選択ができる会社がよいでしょう。

オンラインで完結するか

早く資金が必要な場合や申込み・契約にかかる時間を減らしたい場合はオンラインで完結する請求書買取の利用がおすすめです。

オンラインで完結する請求書買取なら、書類はアップロードで審査から契約まで完了するため郵送で送る手間や店舗に出向く時間を省け、資金調達までのスピードを早められます。またオンラインで完結する会社であれば提出する書類の種類も少ないことが多いでしょう。

オンライン完結型でも会社によって使いやすいサービスもあればそうでないものもあります。手続きがスムーズにできるかといった、使用感も重要でしょう。

土日祝日に対応しているか

多くの請求書買取会社は土日祝日や平日の夜間に申し込みはできませんが、数は少ないものの24時間365日申込みや入金に対応している会社もあります。平日の営業時間内に忙しくて申し込めないという方におすすめです。

請求書買取がおすすめの業種とは

請求書買取の利用をおすすめする業種にはIT業界(プログラマー、エンジニアなど)、建築・建設業(建築士、工事監理など)、クリエイティブ業(イラストレーターなど)、サービス業全般などがあります。

これらの業種は売掛金が発生しやすく、また支払われるまでの期間が長くなりがちで資金繰りが難しくなりやすい傾向があります。請求書買取を利用すれば現金化を早められ、資金繰りを改善し事業運営が安定するでしょう。

とくに法人が顧客である可能性が高いIT業界は審査も通過しやすくおすすめです。

IT業界

IT業界の資金の流れは遅いことが多く、納品後入金までに2〜3か月かかることも珍しくありません。もちろんこの間も従業員に給料は払う必要があり、その他の出費もあるため資金繰りが難しい業界であるといえます。

請求書買取は入金までの期間を短縮する効果があります。請求書買取を資金調達方法として考えておくべきでしょう。

建築・建設業

建築・建設業では取引先からの支払いの多くが売掛金です。入金が2〜3か月先、長くなると半年や1年後なのに対し、外注費や材料費は先払いする必要があります。大口案件のチャンスがあっても資金繰りがネックとなって獲得できないケースが多いでしょう。

建築・建設業では天候や工期の延長にともなう資金繰りの悪化や、下請け・孫請けといった構造により支払いまでのサイクルが長くなることがたびたび起こります。計画的な資金調達のために、請求書買取を積極的に活用しましょう。

クリエイティブ業界

フリーランスのクリエイティブ職、デザイナーやライター、カメラマンやイラストレーターなどの場合金融機関からの融資が受けられないことが多い傾向があります。また取引先からの支払いサイトも長く、資金不足に悩まされている方も少なくありません。

制作物を納品しても発注元の事情などにより商品やサービスのリリースが遅れ、報酬の受け取りがさらに遅れるといったケースもあります。支払いが請求書発行から2か月以上かかることが多い業界であることから、請求書買取はおすすめの資金調達方法です。

サービス業全般

サービス業も全般的に請求書を取引先に渡しても入金が2〜3か月先であることが多い業種です。また人件費などは基本的に先払いであることが多く、資金繰りが悪化しやすいといえるでしょう。サービス業のうち景気に左右されやすい人材派遣業や、季節や気候に左右されやすい業種の場合融資の審査も通りにくい傾向があります。請求書買取を適宜利用し必要資金を確保することが必要です。

請求書買取の注意点

請求書買取を利用する際に注意することは、繰り返しになりますが売掛金の現金化を早めているということ、手数料の分利益は減っていることを忘れないようにすることです。

入金を早めていることを忘れない

請求書を発行してすぐ売却(譲渡)して現金化するのは、売掛金の回収を早めていることになります。一見するとキャッシュフローは良くなったかのように見えますが、その分売掛金は減少し、かつ手数料分の入金金額は減ります。

新たにほかの仕事が入り、売掛金が増える予定があるなど経営が軌道にのっていないと後になって資金繰りが悪化する可能性があります。請求書買取を利用しても一時しのぎにしかならない、結局行き詰まると予想できる場合は、債務整理や事業譲渡などそのほかの手段を検討したほうがよいケースもあります。

手数料分の利益が減少することを忘れない

大きな売掛金が発生し、次の仕入れなど事業資金を安定的に確保するため、請求書買取を一時的に利用するのは問題ないでしょう。

しかし常に請求書買取を利用する場合、毎回手数料を支払うことになります。請求書買取の手数料は一般的な金融機関の融資などと比べ高いものです。
事業の利益率が20%の場合、5%の手数料を毎回支払っていれば利益率は15%に減少します。手数料が10%であれば利益は半分になる計算です。

悪徳業者もいる

請求書買取を利用するときの注意点として悪徳業者の存在があります。請求書買取には貸金業のような登録制度がないため、新規参入しやすく業者のレベルもまちまちです。

さまざまな業種の会社が新たに請求書買取を提供する会社を設立したことで競争が激化し、結果悪徳業者が増えてしまったという背景があります。一見普通の請求書買取会社であるように見せかけ、実際は高金利で金銭を貸し付ける闇金業者もいます。

正規の請求書買取会社がほとんどですが、悪徳業者にだまされてしまうケースも発生しています。闇金業者にだまされると、法外な利息を請求され倒産や廃業になることもあるため注意が必要です。

こうした会社は、請求書買取と称して契約書に債権譲渡契約であることが定められていない、受け取る金額(買取代金)が債権額よりもかなり安いなど何かしら契約時に問題点があることがほとんどです。契約時には慎重になり、注意深く契約書をチェックしましょう。

利用しても問題がないか

請求書買取を利用しても一時しのぎにしかならない場合、利用したあとどうなるのかまでを考えてほかの方法も考えましょう。

たとえば利用しても問題ないケースには次のようなものがあります。

・融資が行われる前のつなぎ資金としての利用
・大きな売掛金があり、原価の支払いに資金が必要
・新しい仕事や副業を始めたが、入金がある月まで資金繰りが大変

このように後で問題を解消できる場合は利用しても問題ないでしょう。

計画的に利用する

前述の通り、請求書買取の手数料は安いものではありません。とくに何度も利用するとなれば負担はかなりのものとなります。目先の現金が必要なときには便利ですが、将来の入金の先取りであることを忘れないようにしましょう。利益率が手数料率より低くなる場合、長期の利用はできないことを理解しておく必要があります。

契約内容に注意

請求書買取を装った貸金ではないか、売掛債権の買取でも回収ができなかった場合保証を求められないか契約する前に内容をチェックしておきましょう。口コミなどで評判の悪い業者は避けます。

債権譲渡登記の有無

債権譲渡登記をすると、請求書買取会社にとっては二重譲渡されるのを防げるため手数料が低くなることもあります。可能性は低いですが、登記が行われると2社間取引であっても取引先に知られる可能性があります。

担保設定や償還請求権の有無

請求書買取では担保や保証人は必要ありません。償還請求権は売掛債権の相手である取引先の倒産リスクについて請求書買取会社が利用者に対しリスクを負わせるもので、請求権のないノンリコース契約が一般的です。契約する前にはノンリコース契約であるかどうか確認しておく必要があります。

請求書買取についてのまとめ

請求書買取は一般的に個人事業主・フリーランスでも利用可能であることが多いでしょう。また手続きや必要書類も法人向けの場合と比較して簡単であることが多く、おすすめの資金調達方法の一つです。

請求書買取は売掛債権を売却することで現金化を早める取引であり、借り入れとは異なります。そのため担保や保証人が不要、負債が増えないというメリットがあります。請求書買取はうまく活用すれば資金繰りの改善に役立ち、経営を安定させられます。しかし後先考えず利用回数を増やしてしまうと手数料の分利益を減らしてしまうことになるため注意が必要です。

請求書買取会社を選ぶポイントは、手数料の安さや会社の信頼性、入金までのスピードなどさまざまです。自分が何を一番優先したいのかをよく考え、目的に合った請求書買取会社を選ぶようにしましょう。