ファクタリングに限度額は存在する!?買取可能額の下限・上限を知り賢くファクタリングを使う方法を紹介
目次
銀行融資や公的融資、ビジネスローンには銀行や日本政策金融公庫、ノンバンクによって融資限度額が設定されています。
融資やビジネスローンと同じ資金調達方法であるファクタリングにも限度額がファクタリング事業者により設定されていると考えている方がいらっしゃいます。
この点を知っておくことは、希望する資金調達額の達成に関係する部分なのでとても大切です。
そこで、この記事では、ファクタリングに限度額があるのかどうか、買取可能額の下限・上限を知ってファクタリングを上手に利用する方法を紹介します。
ファクタリングに限度額の設定はある!?
結論から先に述べるならファクタリングにはファクタリング事業者による限度額の設定はありません。
なぜなら、ファクタリングで調達可能な資金の額は、事業者の設定する限度額で決まるのではなく、資金需要のある企業や個人事業主が買取依頼する売掛債権(売掛金)の額面により決まるからです。
融資やビジネスローンで高額な資金調達をする場合、融資限度額が高いところを探す必要がありますが、ファクタリングの場合は、基本的に保有している売掛金の額が資金化できる額の上限、つまり買取限度額になります。
その点が、限度額の面での融資とファクタリングの違いです。
買取限度額=売掛債権の額面ではない
ファクタリングで調達可能な資金の限度額は、買取を依頼する売掛債権の総額で決まりますが、厳密にいうと買取限度額=売掛債権の額面ではありません。
ファクタリング事業者は売掛債権を買取する際に、売掛金の額面に掛け目をかけ、さらにそこから手数料を差し引くからです。
具体的な数字を使ってその点を説明しましょう。
ファクタリングにおける掛け目と手数料、買取限度額
ファクタリング事業者は売掛金を買取する際に、売掛金の額面に一定比率の掛け目(買取率)をかけて買取金額を計算します。
さらに、計算した買取金額からファクタリング手数料を差し引きます。その金額が資金調達額です。
たとえば、売掛金の額面が100万円、掛け目が90%、ファクタリング手数料が10%の場合、入手できる金額は以下の通りです。
・買取限度額:売掛金100万円×掛け目90%=90万円
・ファクタリング手数料:買取限度額90万円×手数料10%=9万円
・早期に入手できる金額:90万円-9万円=81万円
掛け目は保証金と同じような役割です。したがって、売掛先から売掛金が回収できれば、掛け目で差し引かれた分が利用企業に返還されます。
最終的に入手できる金額は以下の通りです。
・売掛金回収後の返還額:売掛金100万円-買取限度額90万円=10万円
・最終的に入手できる金額の合計:早期に入手した金額81万円+返還額10万円=91万円
このように、ファクタリングにおける買取限度額の上限は、売掛金の額面そのものではなく、売掛金の額面に掛け目をかけ、そこから手数料を差し引いた分になります。
売掛債権がなければ資金調達できない
そもそもの話として、ファクタリングは売掛金がなければ資金調達ができません。さらに調達したい資金の額より売掛債権の額面が低い場合、売掛債権の額面を超える資金をファクタリングで調達することは不可能です。
売掛債権として保有しているのは商業手形である、売掛金がない、売掛金の総額よりも高い金額を資金調達したいといった場合、ファクタリング以外の方法を選んでください。
たとえば、手形があれば手形割引、それ以外なら銀行融資、公的融資、ビジネスローン、不動産担保ローンなどの方法で資金調達できるでしょう。
ただし、こうした資金調達方法には、金融機関などが設定した融資限度額がある点に注意してください。
ファクタリングに買取限度額の下限・上限の範囲がある!?
ファクタリングの場合、資金調達可能な額は企業が保有する売掛金の額面で決まります。
しかし、ファクタリング事業者によっては自社の経営方針や資金力に応じて、買取限度額に下限・上限の範囲を設定しているところがあります。
ファクタリング事業者を選ぶ際には、この買取可能額の下限・上限の範囲に注意してください。
たとえば、5,000万円の売掛債権を保有しており、5,000万円になるべく近い金額の資金調達を希望しているなら、買取限度額の上限設定が5,000万円以上や無制限の事業者を選ぶ必要があります。
一方、事業者によっては少額の売掛金の買取に対応していないところがあります。少額の資金調達を希望する場合は、利用を検討しているファクタリング事業者の買取可能額の下限設定がいくらから始まっているかに注意してください。
買取限度額の上限が高額なファクタリング事業者
ファクタリング事業者は親会社により以下の3種類に分類可能です。
・銀行系ファクタリング:銀行が親会社として出資し運営しているファクタリング
・ノンバンク系ファクタリング:消費者金融や信販会社、クレジットカード会社といったノンバンクが親会社として運営しているファクタリング
・独立系ファクタリング:銀行やノンバンク、大手企業が親会社として運営しておらず、独立的・専門的にサービスを提供しているファクタリング
買取限度額が数千万円、億以上なのは、銀行系ファクタリングです。親会社の資金力を背景に億単位の大口債権の買取にも対応しています。
ノンバンク系や独立系ファクタリングの買取限度額の上限は、一般的に数百万円から数千万円の範囲です。
売却を検討している売掛債権がある程度の高額ならば、買取限度額の上限設定が高額なファクタリング事業者を選んでください。
買取限度額の下限が低いファクタリング事業者
売掛債権の額が少額という場合、買取限度額の下限設定が低い事業者を選んでください。
たとえば、法人企業向けでは買取限度額の下限が10万円から、個人事業主やフリーランスであれば1万円から買取対応している事業者があります。
また、買取限度額に上限・下限の設定がそもそもないサービスもあります。
少額債権の買取に対応しているファクタリング事業者を探す際には、少額債権の買取を得意としている、もしくは専門に扱っている事業者を選んでください。
大手のファクタリング事業者に少額債権の買取を依頼した場合、対応してくることもありますが、売掛先の信用力が低い、あるいは事業者側の利益が少ないといった理由で利用条件が不利になる可能性があるからです。
買取限度額の下限・上限があるファクタリングを使う際の注意点
買取限度額の下限・上限の範囲を設定しているファクタリング事業者に売掛金の買取を依頼する際には以下の点に注意してください。
・銀行系ファクタリングは申し込みから資金調達完了までに時間がかかる
・高額債権の買取は事前相談するのがおすすめ
・小規模事業者は高額債権の買取が難しい場合がある
・掛け目や手数料に注目する
それぞれの注意点について具体的に何に注意すべきなのかを解説します。
銀行系ファクタリングは申し込みから資金調達完了までに時間がかかる
銀行系ファクタリングは親会社が銀行なので安心して利用できる反面、提出種類が多い、審査に時間がかかる、3社間方式によるファクタリングになるといった理由で、申し込みから資金調達完了まで時間がかかります。
ファクタリングにおける3社間方式とは、契約や取引に申し込み企業・ファクタリング事業者・売掛先の3社が関係する契約スタイルです。
売掛先に売掛債権譲渡の通知をおこない、承諾を得る必要があるので、2社間方式より資金調達完了までに時間がかかります。
銀行系ファクタリングの中には少額債権の買取には対応していない場合もあるので、少額債権を銀行系ファクタリングで買取依頼する場合は、事前に利用可能かどうか確認してください。
高額債権の買取は事前相談するのがおすすめ
高額債権を買取依頼する際には、利用を検討しているファクタリング事業者に事前に相談することをおすすめします。
ファクタリング事業者が高額債権を買取する場合、備えて前もって資金を用意しておく必要があるので、事業者によっては積極的に買取してくれるところもあれば、そうでないところもあるからです。
小規模事業者は高額債権の買取が難しい場合がある
独立系ファクタリングの中には事業規模の小さいところがあります。そうした事業者はその資金力ゆえに高額債権の買取には最初から対応していない場合があります。
小規模事業者で質の高いサービスを提供しているのでぜひ利用したいという場合、買取限度額の下限・上限を確認してください。
掛け目・手数料の割合にも注目する
ファクタリング事業者を選ぶ際には、事業者それぞれの買取限度額の下限・上限設定に注目することが大切です。それに加えて、掛け目や手数料の割合に注目してください。
掛け目や手数料の割合で資金調達額が違ってくるからです。
3社間・2社間方式それぞれの掛け目・手数料の相場は以下の通りです。
【掛け目の相場】
・3社間方式:80%~90%
・2社間方式:70%~80%
【手数料の相場】
・3社間方式:1%~10%
・2社間方式:5%~20%
買取を依頼する売掛金の額面、買取限度額の上限・下限の設定、掛け目、手数料から資金調達可能額のおおまかな金額を計算すれば、ファクタリングでどれくらいの資金が調達できるのかわかります。
ファクタリングの買取限度額についてのまとめ
ファクタリングの買取限度額はファクタリング事業者側で設定しているわけではありません。ファクタリングの買取限度額は買取を依頼する売掛債権の額面で決まります。
ファクタリング事業者ごとに資金力が違うので、ファクタリング事業者はたいてい自社で買取できる金額の下限・上限は設定しています。
買取限度額の下限・上限設定がない事業者であれば、売掛債権の額面に応じた金額での買取を期待できるでしょう。
多額の売掛債権を買取依頼するケースでは、銀行系ファクタリングといった資金力が高く、買取限度額の上限設定が高い事業者を選んでください。
一方、少額債権の買取依頼、少額の資金調達を希望するケースでは、買取限度額の下限設定が低く、少額債権の買取を得意とする事業者を選ぶのがおすすめです。
希望する資金調達額に応じたファクタリング事業者を選べば、効果的に資金調達でき資金繰りの悩みもすぐに解決するでしょう。