ファクタリングのノンリコースとは?ウィズリコースとの違いを解説
目次
- 1 ノンリコースとウィズリコース
- 2 ノンリコースとウィズリコースのメリット・デメリット
- 3 ノンリコースファクタリングをスムーズに進めるために
- 4 ファクタリング以外の資金調達方法
- 5 ファクタリングとノンリコースのまとめ
ファクタリングを利用する際によく見かけるフレーズに「ノンリコース」があります。
ファクタリング以外ではほとんど聞くことがない「ノンリコース」とは何でしょうか。
「ノンリコース」は「償還請求権がない」という意味です。
ノンリコースであることによって、利用者は安心してファクタリングを利用できます。
しかしすべての業者が提案する契約が、ノンリコースとは限りません。
中にはウィズリコースの契約を迫る違法業者もあるため、契約時には慎重に内容を確かめておくことが必要です。
ファクタリングの目的は迅速に資金調達することですが、ファクタリングによって損をしてしまっては元も子もありません。
ファクタリングを検討するなら、ノンリコースやウィズリコースについての理解を深めておく必要があるでしょう。
そこでこの記事ではファクタリングのノンリコースについて、基本的な知識やメリットとデメリットなどについて解説します。
ノンリコースについての知識を深め、効果的な資金調達につなげましょう。
ノンリコースとウィズリコース
ファクタリング会社のサイトを見ると「ノンリコース契約」という文字をよく見ます。
ここではノンリコースという言葉の意味と、ファクタリングがノンリコース契約である理由をみていきましょう。
またノンリコースの逆である「ウィズリコース」についても解説します。
ノンリコースとは?
ノンリコースはもともと「Non Recourse」(非遡及)という意味の英語です。
遡及=償還請求権ととらえてよいでしょう。
リコースとは償還請求権のこと
ノンリコースとは、非遡及である、償還請求権がないという意味です。
通常融資には担保が必要です。
もし担保を売却しても債権の金額に足りない場合、担保の金額以上の部分に関しても返済義務があります。
これは「遡及権がある」状態です。
また手形を使った取引の際にも遡及権(償還請求権)は関わっていきます。
手形の不渡り(債務不履行)が起きた場合、債権者は、元の振出人および裏書人に対して債権回収を請求できる遡及権があります。
ノンリコース契約とはこの遡及権(償還請求権)がない契約のことです。
ノンリコース契約のファクタリングでは、売掛債権を売却したあと不利になりえます。
売掛先の経営不振や倒産により売掛金の回収ができなくなったとしても、ファクタリング会社は売掛金の金額分を利用者に請求できません。
回収できなかったことによって、ファクタリング会社には損失が生じます。
しかしノンリコース契約では、これがすべてファクタリング会社の負担となります。
リスクを背負う分、ファクタリングの手数料は高めなのです。
ウィズリコースとは?
一方遡及権(償還請求権)がある契約は、ウィズリコース(またはリコース)契約と呼ばれています。
ウィズリコース契約では、ファクタリング会社が売掛債権を回収できない場合、利用者に請求が及ぶことになります。
ウィズリコースは銀行や貸金業者が扱うファクタリングに多いものです。
「償還請求権特約」や「買い戻し特約」といった名称で、契約に特約として含まれるパターンがみられます。
売掛金が回収できない場合、売却した売掛債権を買い戻すことになります。
通常のファクタリングとは異なり「売掛債権を担保にして、資金の借り入れをする」というイメージです。
つまりウィズリコース契約のファクタリングは、融資の意味合いが強くなります。
融資をするには貸金業登録が必要です。
もし貸金業登録されていないファクタリング会社が、ウィズリコースで融資をするのは違法となります。
通常のファクタリングで結ぶ契約は「債権譲渡契約」です。
「金銭消費貸借契約」となっていないか、契約時に確認する必要があります。
ウィズリコース契約の例
ウィズリコースで行われる契約には、どのようなものがあるのかについて解説します。
・手形
ウィズリコース契約の代表例が、手形を使用した取引です。
ファクタリングは売掛債権を売却(譲渡)する資金調達方法ですが、手形もシステムは似ています。
手形は「裏書き」をすると、振出人以外の第三者への支払いに充てられるのが特徴です。
裏書譲渡することによって、支払いなどの資金繰りに利用できます。
支払い期日になっても振出人がお金を払えない不渡り(債務不履行)が起きるのです。
手形の現金化ができなくなった場合、債権者である金融機関や裏書譲渡を受けた会社は、元の振出人および裏書人に対して債権回収を請求できる遡及権があります。
また裏書きされた手形はさらなる裏書きが可能です。
裏書人が複数いても債権者は裏書人全員に対し、請求できます。
請求を受ける順番は裏書人が先で、不渡りを起こした振出人の方が後です。
・手形割引とファクタリングの違い
手形割引は支払い期日前の手形を銀行に持ち込み、手数料として割引料の支払い融資を受けることです。
手形と売掛金の違いは、手形は法的な契約であり、売掛金は法律で定められたものではないという点にあります。
手形には資産としての価値があり担保にできます。
ファクタリングと手形割引は、売掛債権を期日前に現金化するという点は同じといえるでしょう。
違いは手形割引が融資、ファクタリングは融資ではなく売掛債権の売却であることです。
ABL(動産・債権担保融資 )
ABL(動産・債権担保融資)は、在庫や売掛債権などを担保にして融資を受けることです。
通常融資では、担保に土地・建物などの不動産を設定します。
融資されたお金の返済ができなくなると、担保である不動産は取られます。
しかしとくに中小企業の場合、経営者が全員不動産を持っているわけではありません。
そこで登場したのが動産を担保にするABLです。
ABLでは不動産以外の資産価値があるものが担保の対象となるため、その範囲は幅広くなります。
例をあげると病院なら医療機器、農業を営んでいる場合は農業機器が対象です。
また運送会社ならトラック、介護施設なら介護報酬、アパレル業なら洋服の在庫などが対象です。
ファクタリングは売掛金が対象となります。
在庫や高額な設備などの資産となるものがあっても、調達できる金額は変わらず、売掛金の額面以上の金額は調達できません。
ABLは銀行の融資同様、借り入れとなります。
そのためABLは売掛金よりも高い金額を調達できる点がメリットです。
融資と同様の扱いとなるため利子が発生します。
またABLはファクタリングに比べると、審査の基準が厳しくなります。
ファクタリングでは売掛先の経営状況が重要視されるものです。
利用者の会社の状況は問題にならず、赤字や債務超過状態でも、税金を滞納していてもファクタリングは可能です。
ABLは借り入れと扱いは同じで、審査基準も借り入れ同様厳しくなります。
ファクタリングは問題なく行えても、ABLでは審査を通過できないこともあるでしょう。
そのほかファクタリングにかかる手数料とABLの金利を比較すると、ファクタリングよりABLのほうが安くなります。
2社間ファクタリングでは一般的に手数料は10~30%ほどかかります。
ABLは不動産を担保とする融資のように、1~3%代の低金利では借りられません。
しかし利率は5~10%程度であることが多いでしょう。
一般的な融資よりは高めですが、ファクタリングよりは下がります。
そのため資金調達を急いでいない場合や、手続きに手間がかかっても問題ない場合には、ABLが向いているでしょう。
ファクタリングが原則ノンリコースである理由
前述のように、ファクタリングは基本的にノンリコース契約で行われています。
本来であればファクタリング会社にリスクが多いノンリコースではなく、ウィズリコースの方がファクタリング会社にとって都合がよいはずです。
これには法律が関係しています。
今後どうなるかはわかりませんが、現在ファクタリング会社を開業するための免許や登録は必要ありません。
多くの業種が登録や免許が必要で、さらには自治体の許可も必要となっているなか、こうしたものが必要ないファクタリング業界は新規参入業者にとって魅力的です。
ウィズリコースを採用する会社は、売掛金の買取業とはみなされず「貸金業」とみなされる可能性が高くなります。
貸金業の場合、登録や認可が必要です。
またウィズリコースのファクタリング=違法ではありません。
貸金業登録をしたうえで法律を遵守して営業すれば、ウィズリコースのファクタリングを行ってもよいのです。
ウィズリコースのファクタリングについて、金融庁は明確に言い切ってはいません。
しかしファクタリングで契約書に「債権譲渡契約」とあっても、貸し付けと同じように債権を買い戻し、ファクタリング会社に支払う場合は「貸金業に該当するおそれがある」としています。
実際にはウィズリコースのファクタリングは行われる可能性は低いでしょう。
その理由は登録や認可を受けるための手間や時間に対して利益が少なく、メリットが少ないためです。
「利息制限法」によって利息の上限は制限されています。
元本が10万円未満の貸付では上限金利は20%、10万円~100万円未満では18%、100万円~では15%です。
たとえば期日が1か月後の100万円の売掛金がある場合を考えます。
ウィズリコースでファクタリングすると仮定すると上限金利は15%ですから、1か月あたりの金利は15÷12=1.25%です。
貸付期間が1か月であり、ファクタリング会社が受け取る利息は100万×1.25=1万2,500円です。
貸金業としてウィズリコースでファクタリングしても、利益はあまり増えません。
ノンリコースでのファクタリングは、ファクタリング会社にとってリスクがあるものの、登録の必要がなく手数料も自由に決められます。
このように一般的なファクタリング会社はノンリコースで行わざるをえません。
しかしウィズリコースでファクタリングする会社が存在します。
そしてウィズリコースのファクタリングを行う会社は、違法業者である可能性が高いため注意が必要です。
新規参入しやすいファクタリング業界には、残念ながら違法業者も存在します。
いわゆる闇金業者がファクタリング会社の仮面をかぶってまぎれこみ、ウィズリコースでファクタリングし法律も守らないのです。
本来ノンリコースよりも安くなるはずの手数料も、ノンリコース以上に設定していることがほとんどです。
実際に、年利数百~数千%といった法外な手数料を取ってファクタリングを行い、取り立てをする違法業者の例が報告されています。
ノンリコース契約のファクタリング会社を選べば、それだけで違法業者を避けられる可能性が高まるでしょう。
ファクタリングと貸金業の違い
上記のように、ファクタリングは貸金業ではありません。
このふたつの間には明確な違いがあります。
ここではその違いについて解説しましょう。
ファクタリングは「売掛金の売買」、貸金業は「金銭の貸付」がそれぞれのサービス内容です。
そのためファクタリング会社は貸金業の登録は必要なく、貸金業では登録が必要になっています。
ファクタリング業とは
ファクタリングは利用者が保有する売掛金をファクタリング会社へ売却し、期日よりも先に売掛金を資金化するサービスです。
入金されるまで数か月かかる売掛金をファクタリング会社に売却すると、手数料を引かれた分の代金を受け取れて、入金日を待たずに資金が得られます。
もともとの入金日になれば、売掛先からの入金があるはずでしょう。
それをファクタリング会社に支払うのがファクタリングの一連の流れです(2社間の場合)。
ファクタリングは「売掛金を買い取る」契約であり、金銭の貸し付けではありません。
金融庁のサイトでも明記されています。
つまりファクタリングは貸金業に登録する必要はありません。
貸金業とは
貸金業は利用者にお金を貸し、利息分をつけて返済してもらうことで利益を得る業種です。
金銭の貸し付けを事業として行うのが貸金業です。
銀行や信用金庫以外の貸金業者のことを、ノンバンクともいいます。
貸金業をするためには、財務局、各都道府県に登録を受ける必要があります。
また3年ごとに更新しなければなりません。
貸金業法では利息の上限や取り立て方法などが決められており、貸金業者はそれらを守る必要があります。
ノンリコースとウィズリコースのメリット・デメリット
ファクタリングのメリットはさまざまですが、ノンリコース契約であることによって利用者側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ノンリコースファクタリングのメリット
売掛金の金額が高額の場合リスクが大きくなるため、ノンリコースファクタリングの利用がおすすめです。
回収不能になった場合のリスクを回避できる
ノンリコースファクタリングの最大のメリットは、売掛金が回収できなくなったときのリスクを回避できることです。
支払われるべき代金が回収できないのは、とくに資金繰りに苦労している中小企業にとっては大きなダメージでしょう。
黒字倒産の原因のひとつでもあります。
自社に非がないものであり避けたいものでしょう。
ノンリコースファクタリングを利用することで、売掛金の回収不能リスクを回避できます。
「ノンリコース」は償還請求権が「ない」という意味です。
請求する権利がないため、ファクタリング会社はたとえ売掛金が回収できなくなっても、利用者に損失分の支払いを求められません。
損失を被らないようにファクタリング会社では、ファクタリング契約の際に売掛先の審査をして、売掛先の信用度を調べています。
ほとんどのファクタリング会社では審査をしっかりと行っているため、回収ができなくなるケースは少ないでしょう。
また売掛先の倒産を気にする必要がなくなると、売掛債権の管理にかかるコストを、それ以外の注力したい部分に使えるようになります。
突然の売掛先の倒産があっても請求されることがないため、安心して業務に集中できるでしょう。
ノンリコースファクタリングの利用により、売掛金が回収不能になるリスクを回避しながら、期日前にスピーディーな資金調達が可能になります。
資金繰りを改善できる
ノンリコースファクタリングを利用することによって、資金繰りを安定させられます。
資金繰りがうまくいかなくなる大きな原因は、資金(現金)が不足することです。
手元の資金(現金)が足りなくなり、借入金の返済や仕入先への支払いなどができなくなることを資金がショートする、資金繰りが回らなくなるという表現をします。
中小企業の多くは資金(現金)が不足し、資金繰りが安定しません。
毎月ギリギリの資金で回しているところも少なくないでしょう。
そのような状態で売掛先のひとつが突然倒産すれば、たちまち資金ショートの状態に陥ります。
最悪の場合、連鎖倒産となる可能性も否定できません。
しかし売掛金を前もってファクタリングしていれば、その心配は無用です。
ノンリコース契約により、買い戻しの請求をされることもなく、ファクタリングで調達した資金で支払いが可能です。
ノンリコースファクタリングの利用は資金不足の解消と売掛金の回収不能リスク回避が同時にでき、資金繰りを安定させられる手段といえるでしょう。
与信管理にかかる手間やコストを削減できる
一般的に事業取引は、商品やサービスを納品や提供したあと代金を請求し受け取る与信取引で、 回収できていない代金は売掛金となります。
取引先企業を「売掛金を支払ってくれるだろう」と信用することにより、与信取引は成り立っているのです。
一方で与信取引は、代金を回収できないかもしれない可能性があります。
そこで与信取引のために「与信管理」が必要となるのです。
与信管理は、まず取引先に代金を払う能力があるのか調べます。
そして取引額に限度額を設けたり取引条件を設定したりして、売掛金が回収できなくなるリスクを管理し、代金を確実に回収できるようにするのです。
比較的予算に余裕がある企業ならば、与信管理を専門的に行う部門を設けられます。
しかし人材や資金など、リソース不足の中小企業には難しいでしょう。
無理に与信管理に資源を集中しても、その他の業務が手薄になり十分な与信管理もできない可能性があります。
この場合もノンリコースファクタリングを利用することで、与信管理の不十分さを解消できます。
与信管理の目的は、売掛金が回収できなくなることを防ぐことです。
ノンリコースファクタリングを利用すれば、ファクタリング会社が売掛先(取引先)の与信審査をします。
そのため自社で行う必要がなくなり、与信管理にかかるコスト削減につながります。
・与信管理の必要性
与信管理は資金繰りを安定させるため、倒産につながる大きな損失を防ぐために重要です。
具体的には連鎖・黒字倒産を防止するため、また貸し倒れ損失を回避するために必要です。
・連鎖倒産の防止
連鎖倒産は売掛先の倒産により、売掛金の回収ができなくなることで資金繰りが悪化し、結果的に自社も倒産に追い込まれることを指します。
与信管理で取引先の経営状態を把握しておくことが大切です。
・黒字倒産の防止
黒字倒産は売上があって黒字決算であるにもかかわらず、手元の資金(現金)が不足し資金繰りがうまく回らなくなることで起きる、倒産のことです。
与信管理において適切な売掛金の管理をすることで、黒字倒産を防ぎます。
・貸倒損失の回避
貸倒損失は売掛金が回収できなかった分を損失として計上することです。
利益が減り赤字決算となる原因にもなります。
与信管理で売掛先の信用力をはかっておくことが、貸し倒れを防ぐためには大切です。
違法業者の回避
基本的に正規のファクタリング会社は、ノンリコースでのファクタリングを提供しています。
ウィズリコース契約のファクタリングをあえて選択する必要はありません。
正規のファクタリング会社はこれまでのデータを持ち、審査を専門に行うスタッフがいるため信頼のできる審査が可能です。
売掛先のリスクが高ければ買取は行わないため、ノンリコースでのファクタリングが可能です。
違法業者は審査のノウハウはありません。
そのためリスクが高い売掛金を買い取ることとなり、ノンリコースでは利益が出ません。
ウィズリコースでファクタリングすることで、リスクの高さをカバーしているのです。
ウィズリコースでのファクタリングは違法業者の特徴といえます。
ウィズリコースを避ければリスクを避けられるでしょう。
ノンリコースファクタリングのデメリット
メリットが多いノンリコースファクタリングですが、デメリットもあります。
ここではノンリコースファクタリングのデメリットについて解説しましょう。
手数料が高くなりやすい
ノンリコースのデメリットは手数料が高くなる傾向があることです。
ノンリコースファクタリングでは、ファクタリング会社が売掛金の未回収リスクを背負うことになります。
背負うリスクの分、ファクタリング会社は手数料を高く設定するのです。
ウィズリコースファクタリングの手数料はABL (動産・債権担保融資)の金利と、同じくらいに設定されています。
ABLの金利は担保の信用度によりますが、大手金融機関の場合年2~3%ほどです。
ノンリコースファクタリングの手数料は、ファクタリングの方式と売掛先の信用度により変わります。
ファクタリングの方式には2社間、3社間の2種類があり、一般的に2社間のほうが手数料は高めになっています。
・2社間ファクタリング
利用者とファクタリング会社の間での取引方式です。
手数料は売掛金の10~30%程度が多くなっています。
・3社間ファクタリング
利用者・ファクタリング会社・売掛先の間での取引方式です。
手数料は売掛金の1~10%程度が多くなっています。
さらに最近は2社間ファクタリングに関する手続きを、申し込みから入金までオンラインで完結できる「オンラインファクタリング」もあり、対応する会社が増加しています。
人件費などをカットできることから手数料は通常の2社間に比べて低く、10%以下に設定されていることが多いでしょう。
ノンリコースファクタリングでは、手数料は年利ではなくその取引ごとに変わります。
融資と比較すると全体的に高めであるのは否めません。
手数料の負担を減らすには複数のファクタリング会社を比較し、手数料が安い会社を選びましょう。
優良なファクタリング会社は、手数料率が低めの設定になっている傾向があります。
またオンライン完結型のファクタリングもおすすめです。
オンラインファクタリングは人件費や家賃など、ファクタリング会社がコストをカットできることで手数料を安くできます。
そのため2社間ファクタリングでも、3社間ファクタリングと同程度の手数料で利用できる会社もあります。
計画的な利用が必要
手数料が高いノンリコースファクタリングは、計画的に利用しなければなりません。
もし適当にファクタリング会社を選び、無計画にファクタリングを利用すれば手数料によって利益を圧迫し、資金繰りに悪影響を及ぼします。
前述のようにファクタリング会社により、手数料の設定はまちまちとなっています。
会社選びを間違うと割高な手数料を支払う恐れがあり、その分手元に入る金額は減ってしまうでしょう。
ファクタリングを利用すると期日よりも早くお金が受け取れるものの、その金額は売掛金の額面どおりではないことを忘れてはいけません。
入ってくるお金は減少し出ていくお金は変わらない、つまりキャッシュフローは悪化しているのです。
キャッシュフローの悪化は、資金繰りの悪化を意味します。
ノンリコースファクタリングの無計画な利用により、手数料が利益を減らし、赤字決算になることもめずらしいことではありません。
なお、赤字となった分は手元の資金でまかなう必要があります。
計画性のないノンリコースファクタリングを連発する→赤字になる→手元の資金が流出する→資金繰りがさらに悪化する、という悪い流れにならないよう注意する必要があります。
ノンリコースファクタリングは、計画的に利用してこそ価値があるものです。
便利だからといって使いすぎて、利益が減ってしまっては元も子もありません。
ファクタリングをうまく使って資金繰りの改善に活かすためには、資金繰り表を作りしっかりと資金管理を行うことが何よりも大切です。
資金管理の大切さは理解していても、自分ではなかなかしっかりできない部分があるかもしれません。
その際は資金繰りについて信頼できるサポートやアドバイスを受けられる、コンサルティングなどを頼るという手もあります。
ノンリコースファクタリングの計画的な利用
ノンリコースファクタリングを計画的に利用するには、ファクタリングを利用するタイミングを知ることが大切です。
ここではノンリコースファクタリングを利用するのに、おすすめのタイミングを紹介します。
・事業を拡大したいとき
それまでなかった大きなビジネスチャンスがめぐってきても、資金不足のために案件を受けられないかもしれません。
または融資が受けられず、必要な資金が準備できないという話はよくあります。
大型の案件を受けるには準備のための出費があり、豊富な資金が必要です。
ノンリコースファクタリングを利用することですばやい資金調達ができ、大きなチャンスが来てすぐに資金が必要な場合も対応できるでしょう。
ノンリコースファクタリングの利用により、スピーディーな資金調達が可能となります。
それまで資金に余裕がなく大型案件を逃してきたのであれば、早期に資金調達できるメリットを活かしてチャンスをものにしましょう。
・売掛先からの入金が遅れるとき
売掛先からの入金が期日通りではなく、遅れた場合にもノンリコースファクタリングの利用は適しています。
入金が遅れることで資金不足になりそうな場合は、ノンリコースファクタリングを利用すべきタイミングです。
ノンリコースファクタリングにより早期の現金化が可能となり、手元に資金がないという状況を避けられ結果的に資金繰りを改善できるでしょう。
・支払いが近いとき
融資の審査は通過できなくても、ノンリコースファクタリングにより資金調達できる可能性があります。
ファクタリングの審査では利用する会社ではなく、売掛先の支払い能力が重要視されるのです。
もし売掛先が大手や信用力の高い企業、あるいは国や自治体の場合、たとえ赤字であってもノンリコースファクタリングなら業績関係なく利用できます。
資金調達できる可能性は高いでしょう。
従業員の給与や家賃などの支払いがあり、手元の資金がピンチという場合、ノンリコースファクタリングを利用して必要な資金を手に入れましょう。
ノンリコースファクタリングにより、差し迫った支払いに対応できます。
一度利用するともとの入金サイクルに戻しづらくなる
ノンリコースファクタリングは数か月先に入金予定の売掛金を資金化します。
もともと入金される時期に入金される分については、2社間ファクタリングならファクタリング会社に支払う必要があり、手元には残りません。
慢性的な資金不足の場合は、ふたたび資金が不足することになります。
ノンリコースファクタリングが有効なのは「短期的」「単発的」、つまり一時的に資金が不足している状況です。
今は手元の資金が不足しているために短期的に資金調達が必要ではあるが、数か月先の入金が減っても問題がないという状況です。
場合によっては融資などが受けられず、慢性的な資金不足ではあるがノンリコースファクタリングを利用するしかないこともあるでしょう。
その場合は長期的な計画を立て、ファクタリング利用を考える必要があります。
ウィズリコースファクタリングのメリット
ここまで解説したとおり、ファクタリング契約のほとんどがノンリコースファクタリングです。
しかしウィズリコースファクタリングが行われていないわけではありません。
ファクタリング会社は親会社によって、銀行系・ノンバンク系・独立系の3つに分けられます。
このうち銀行系・ノンバンク系は、ウィズリコースファクタリングを採用しているところがあります。
ウィズリコースファクタリングのメリットのひとつは、手数料が安いことです。
もし売掛先が倒産して売掛金が回収できなくなっても、ファクタリング会社は利用者に請求できます。
その分通常のファクタリングに比べ、手数料を高くする必要がないのです。
もうひとつは信頼感があることです。
リコースファクタリングが提供可能なのは、貸金業登録した業者だけとなります。
貸金業登録は貸付けの業務に3年以上従事したことがある、資産額が5,000万円以上などさまざまな条件をクリアしなければならず、登録していれば信頼度が高まります。
そのため悪徳業者は簡単に参入できないでしょう。
どうしても手数料を抑えたいという場合は、ウィズリコースファクタリングを選択するのもひとつの手です。
売掛先が国・地方自治体などの場合、上場企業などの場合は信頼度が高くなっています。
債務不履行になる可能性が極めて低いため、ウィズリコースを選択したほうが手数料を安くできます。
ただしウィズリコースファクタリングの場合3社間ファクタリングであることが多く、売掛先にファクタリングを利用したことの通知がいく点には、注意が必要です。
ウィズリコースファクタリングのデメリット
ウィズリコースファクタリングの大きなデメリットは売掛金が回収できなかった場合、利用者に返済の義務がある点です。
売掛金の全額が損失となるのは、規模の小さい中小企業にとって大きなダメージになり、経営状態が悪化するおそれがあります。
ファクタリング会社を選ぶ際に違法業者を選ばないよう、たとえば手数料の低さだけで選ぶことのないように注意しましょう。
また、ウィズリコースファクタリングを提供するファクタリング会社が少ないこと、現金化するまでに時間がかかることもデメリットです。
現金化には3社間ファクタリングと同様、平均1~2週間程度かかります。
違法業者のウィズリコースファクタリングに要注意
過去の判例でも、償還請求権ありのウィズリコースファクタリングは、債権譲渡契約ではなく「金銭消費貸借契約」を結ぶ「融資」であると判断されております。
ファクタリング会社に支払う費用も、手数料ではなく「利息」です。
利息という扱いであれば、金利は利息制限法に基づき借入金額に応じて年15~20%で設定しなければなりません。
しかし違法業者はこうした法律は守りません。
ファクタリングを利用するときには、必ず契約書をよく見て「金銭消費貸借契約」になっていないか確認しましょう。
またウィズリコースファクタリングを選択するなら、業者が貸金業登録をしているのかを確認し、違法業者であれば決して契約しないことが大切です。
違法業者を利用するリスク
違法業者を利用した場合のリスクは以下の通りです。
•高額な手数料
•売掛金を入金する際、利息を要求される
•売掛金を回収できなかった場合、違約金を請求される
•悪質な取り立て
違法業者はファクタリング会社を装い、実際はお金を貸し付けて儲けようとします。
法律を無視し利益だけを求め、利用者からお金を奪おうとします。
注意していないと利用者は多額の借金を抱えてしまったり、信用を失ったりする可能性があるでしょう。
違法業者の実際の被害例
違法業者による具体的な被害は、以下の通りです。
・手数料を安く設定し、のちに法外な金利を要求
この場合は他のファクタリング業者よりかなり安い手数料を設定し、利用客をおびき寄せていました。
そして実際の契約では、ファクタリング契約にみせかけた「金銭消費貸借契約」を契約し、代金を利用者に振り込みます。
利用者が入金された売掛金をこの業者に振り込もうとしたところ、代金と合わせ利息も要求されたというケースです。
ファクタリングでは貸し付けではないため利息は発生せず、手数料が発生します。
ファクタリングでは、買取金額から手数料を引いた金額が調達できる金額です。
利息は貸したお金に対し支払われるもので、利息を求めるのは貸金業です。
・売掛先から代金を回収できず、利用者に代わりに支払いを求める
ファクタリング契約を結んで、代金を利用者に振り込んだところ売掛先が倒産、回収不能になりました。
その後利用者に代金を支払うように要求し、合わせて違約金も請求してきたケースです。
ファクタリングでは売掛債権の権利はファクタリング会社に移ります。
回収できなくてもノンリコースなら、利用者がリスクを背負うことはありません。
しかしこの場合は利用者が支払うことになっていました。
どちらの場合でも違法業者は利用者が要求に応じない場合、法律で禁じられている取り立てをしたり、売掛先に知らせるといって脅してきたりといったことをしてきます。
トラブルを避けるために違法業者は利用してはいけません。
違法業者を見抜くには
違法なファクタリング業者と判断するために、注意すべきポイントについてまとめました。
違法ファクタリング業者の特徴は以下の通りです。
•契約書に債権譲渡契約ではなく「金銭消費貸借契約」になっている
•手数料が高すぎる、あるいは安すぎる
•償還請求権ありの契約
・契約書が債権譲渡契約(売買契約)ではなく「金銭消費貸借契約」になっている
繰り返しになりますがファクタリングとは「売掛金の売買」であり、契約は「債権譲渡契約」になっている必要があります。
契約書が「債権譲渡契約」となっている場合でも内容をよく読んで、お金を貸すという内容になっていないか確認しましょう。
内容が「金銭消費貸借契約」の場合、売掛金をあとで振り込むときになって利息を要求される可能性があります。
通常ファクタリングでは、手数料を支払うのは売掛金を買い取るとき1回だけです(買取金額から差し引かれる)。
そのため利息の発生があるのは、正しくありません。
契約書は証拠となるものであり重要です。
記入する前、記入後も慎重に取り扱いましょう。
•記入前、記入後も最後まで目を通す
•不明な点については担当者の説明を受ける
•契約書の控えは捨ててしまわない
•口約束はしない
・手数料が高すぎる、あるいは安すぎる
違法業者はファクタリングの手数料を、相場よりもかなり高く設定する傾向があります。
手数料率の相場は、ファクタリング会社や売掛先によって変わります。
しかしおおむね2社間ファクタリングであれば10%~30%の間、3社間ファクタリングでは1%~9%の間です。
これよりもかなり高い手数料率を示された場合は、不当に高い手数料を設定されている可能性が高いでしょう。
一般的に手数料については、その他の事務的な経費も含めて提示されるのが一般的です。
これらの項目が別の請求になっていないか、不明な項目はないか確認しましょう。
また1社だけではなく複数のファクタリング会社に見積もりを出せば、おかしな点に気づきやすくなります。
とくにファクタリングの利用がはじめての場合は、何社か(2~3社)に見積もりを依頼し比較することをおすすめします。
・償還請求権ありの契約(ウィズリコース)
先に解説したように、償還請求権とは回収できなかった売掛金をファクタリング会社が利用者に請求できる権利です。
ファクタリングは売掛債権の売買であり、債権のリスクもファクタリング会社に移るのが、ノンリコース契約のファクタリングです。
ウィズリコースは売掛金を回収する権利だけがファクタリング会社に移り、リスクは利用者が負うという契約となっています。
ウィズリコース契約は債権譲渡契約でも、実質的に売掛債権を担保にした貸付であると見られる向きが強くなっています。
契約時にウィズリコース契約になっていないか確認しましょう。
ノンリコースファクタリングをスムーズに進めるために
事業経営においては、早急に資金調達が必要なときもあります。
銀行の融資やビジネスローンも借りられなかった場合、最終的な手段としてファクタリングを考えることもあるでしょう。
ノンリコースファクタリングを利用するなら、会社選びなどの事前準備をしっかりとしておきましょう。
準備が万全であれば契約までスムーズに進められ、より早い売掛債権の現金化が可能です。
スムーズなノンリコースファクタリング契約に必要な準備について解説します。
ファクタリング会社選び
どのノンリコースファクタリング会社を利用して、ファクタリングを申し込むのか選択します。
ビジネスローンなどは融資であり、複数の会社へ同時に申し込みが可能です。
しかしファクタリングは売掛債権の売買です。
同時に複数の会社に売却できないため、最終的には1社に決めなくてはなりません(手数料などよりよい条件のファクタリング会社を探す目的で、見積もりを取ることは可能です)。
各ファクタリング会社のサイトなどを参考にしたり、実際に電話やメールなどで問い合わせたりして、感触や印象が悪くないかなど確かめてみましょう。
状況を整理する
ファクタリングの申し込みが完了すると、ファクタリング会社によるヒアリング(聞き取り)の段階に入ります。
主に聞かれるのは会社の経営状態と売掛債権についての質問で、申し込み前に質問の準備をしておくとよいでしょう。
このとき聞かれるのは以下の内容です。
•いつまでにいくら必要か
•何のための資金なのか
•売掛先はどこか、売掛金の期日および金額
•自社の資金繰り状況
•売掛先に通知が可能か
•借入金はどれくらいあるのか
ヒアリングでは自社の現況についてこういった質問をされます。
嘘をいったりごまかしたりはせず、正直に答えることが大切です。
ヒアリング時には以下の情報が必要です。
•会社の概要(会社名や住所、電話番号や事業内容など)
•代表者の情報
•財務状況(年商や利益、資産状況、借入金額など)
•売掛先の情報(基本情報、売掛金の内容や金額、支払期日など)
また面談時に必要な書類には商業登記簿謄本や印鑑証明書、決算報告書・資金繰り表、売掛金を証明する請求書や注文書、売掛先との契約書などがあります。
必要な書類はファクタリング会社によって変わります。
ノンリコースファクタリングの利用を考えるのであれば、時間があるときに準備しておくと、申し込み時に慌てなくてもよいでしょう。
ヒアリング時にもし疑問に感じることがあれば、ささいなことでも聞いておきましょう。
手数料などについては審査が終わっていない段階のため正確な数字は伝えられなくても、目安となる数字は答えてくれるはずです。
面談~審査の流れ
ヒアリングおよび仮審査が済んだあとは、書類を提出して面談に進みます。
オンラインで完結するファクタリング以外は、ファクタリング会社へ行かなければなりません。
面談の後、本審査から契約へ移りますが、このときも自社の現況をありのまま伝えましょう。
もし書類に嘘がありトラブルになると、詐欺罪などで訴えられる可能性もあります。
ファクタリング会社は審査内容を見て売掛債権の買い取りを決めます。
加えて面談時の印象も加味されるため、面談時には資金繰りや不安なことがあるなら相談してみましょう。
一時的な手元の資金不足解消が目的のノンリコースファクタリングであれば、問題ありません。
しかしファクタリングしたことによって、資金繰りが悪化するような利用はしていけません。
ファクタリングの目的は資金繰りの正常化です。
今後の資金繰りも不安があるようなら、相談しておくべきでしょう。
余裕をもって申し込みをする
ノンリコースファクタリングは現金化までのスピードが速く、最短で即日資金が受け取れるため、申込みを急ぐ方はあまり多くありません。
ただし資金が必要なその日に申し込むのと、少しでも事前に申し込むのとは違いがあります。
ファクタリングは融資などに比べ、手数料が高めに設定されています。
これはファクタリング会社が負うリスクの大きさが原因です。
ノンリコースの場合、売掛先が倒産すればファクタリング会社が損失を被ります。
ファクタリング会社は今日中に資金が必要という利用者がいれば、審査やほかの手続きも最短時間で対応してくれるでしょう。
ただし何日か前に申し込みをしてしっかり審査した場合と、最短時間での審査とはリスクの大きさが変わっていきます。
はじめての取引では手数料に差が出ないかもしれません。
しかし2回目以降は手数料が変わる可能性があります。
今後もファクタリングの利用を予定しているなら、できる限り早めにファクタリングの申し込みをしておきましょう。
ファクタリング以外の資金調達方法
ノンリコースファクタリング以外にも、資金調達の方法は公的融資や金融機関からの借り入れなどがあります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握し、自社にあった方法はどれなのか探してみましょう。
公的融資制度
公的融資は「日本政策金融公庫」や「商工中金」などの公庫からと、「信用保証協会」からの融資に分けられます。
利息は金融機関の借り入れに比較すると安く抑えられており、また据え置き期間などもあって借り入れをする事業者に、有利な制度であるといえるでしょう。
信用保証協会は金融機関からの融資を受けやすくしてもくれます。
金融機関からの借り入れ
銀行や信用金庫などの金融機関からの借り入れは、一般的によく知られた資金調達の方法で、実際に多くの会社が借り入れをしています。
利息などを含めたコストは比較的低めで、返済も分割が認められているのが特徴です。
それだけに審査は厳しくなっており、期間も通常1か月~2か月ほどかかります。
赤字決算や債務超過の場合、なかなか審査を通過できないといわれています。
ベンチャーキャピタルからの出資
ベンチャーキャピタル(Venture Capital)は、上場していないベンチャー企業に出資して株式を取得し、将来上場した際に株式を売却し利益を狙う会社です。
融資ではなく出資であるため、ベンチャーキャピタルに将来性を提示できれば資金調達できるでしょう。
コストは融資やファクタリングのような利息や手数料ではなく、配当で支払うこととなり売上に比例します。
結果が出るまでに時間がかかること、プレゼンテーションをしなければいけない、資料を用意しなければならないなど大変な面も多い資金調達の方法です。
ただし出資が決まれば大きな金額の調達が期待できます。
助成金、補助金など
国や自治体はさまざまな助成金や補助金を用意しています。
募集があってから申請し、採用されればお金がもらえるのです。
返済の必要がないのが大きな特徴です。
その一方で支払いされるのは事業完了後で、6か月~1年ほどかかります。
早く資金を調達したいという希望がある場合には向いていません。
長期的に新たな事業を始めたい、事業を拡大したい場合などの資金調達に向いている方法です。
ビジネスローン
銀行融資の審査の基準よりは低いとされていますが、その分銀行よりも利息は高くなっています。
ファクタリング同様、即日の融資を売りにしている業者もあるなど審査のスピードは銀行より早いでしょう。
一時的な資金不足の解消に向いている方法です。
資金調達方法の選び方
ファクタリング以外の資金調達方法をご紹介しました。
自社の現状を考え適した方法を選択しましょう。
その際目安になるのは、いつまでに資金が必要なのかという緊急性です。
必要なのは今すぐなのか、それとも1~2か月先なのか、半年先なのかを冷静に考えてみましょう。
もし時間的に余裕があるならば資金を手にするまでに時間がかかるものの、返済しなくてもよい補助金・助成金や、利息の安い公的融資の利用がおすすめです。
資金が必要になるのが1~2か月先なら、銀行からの借り入れを検討しましょう。
とにかく早いほうがよいという場合は、ビジネスローンかファクタリングのどちらかになります。
借り入れか、売掛債権の売買なのかという違いでしょう。
ビジネスローンの場合細かな点で違いはありますが、基本的に銀行からの借り入れとほぼ同じと考えます(利息は高め)。
ビジネスローンにもファクタリングにもそれぞれにメリット、デメリットがあります。
それを踏まえ、最適な資金調達方法を選びましょう。
ノンリコースファクタリングが資金調達方法としておすすめの理由
以前よりはファクタリングという資金調達方法が浸透してきたため、ネガティブなイメージを持つ人も減っていきました。
しかし未だに銀行やビジネスローンの融資を受けられない会社が、ほかに手段がなくて利用するものというイメージを持っている人が多いのも事実です。
最短で即日の現金化が可能であることで、そのほかの方法での資金調達ができなかった場合最後の手段に、ファクタリングを考える企業はあります。
ところが欧米では日本とはイメージがかなり異なり、ファクタリングは一般的な資金調達方法として定着しています。
その理由は欧米ではファクタリングが正しい使い方をすれば、資金調達方法として優れているという考えが浸透しているからでしょう。
ここではノンリコースファクタリングがなぜおすすめの資金調達方法なのかについて、解説します。
資金化の早さ
銀行融資の場合、審査に1か月~2か月かかります。
会社の経営をしていれば支払いに追われ、そこまで待てない、時間の余裕はないという方は少なくないでしょう。
また期日通りに売掛金が支払われないこともあります。
そのようなときでもノンリコースファクタリングを利用することにより期日より早く、また即日で現金化も可能です。
会社の信用を守る
すべての企業にとってダメージとなるのは「信用がなくなる」ことです。
一時的に売掛金の入金が遅れたことによって、借入金の返済がストップしたり遅れたりした場合もあるでしょう。
その際も自社が悪いわけではないのに、その後の融資が受けられなかったり融資を打ち切られたりすることがあります。
そのようなリスクを回避するために借り入れで資金調達するのではなく、ノンリコースファクタリングを利用するのも一手です。
ノンリコースファクタリングは売掛債権の売買であり、借り入れではありません。
借り入れは負債です。
負債ではないことは財務状況に影響を与えないため、大きな利点となります。
ファクタリングを利用すれば、貸借対照表に影響なく資金調達が可能です。
貸借対照表に影響がないと、審査でマイナスになる部分が減るため将来的に金融機関や公庫からの借り入れがしやすくなるでしょう。
貸借対照表の負債が増えず、自己資本比率が変わりません。
債務超過である、あるいは信用度が低い会社にとって信用力の回復に役立つでしょう。
つまりノンリコースファクタリングの利用で信用度を高められるのです。
一時的な資金不足にはノンリコースファクタリングを利用し、新たな事業を始めるのも一手です。
また事業拡大などでまとまった資金が必要なときには、借り入れを利用するというのも信用力を下げないためのひとつの考え方でしょう。
貸倒れを回避する
銀行からの融資が受けられる場合を考えてみましょう。
当然ですが借りたものは返済する必要があります。
返済の2か月後に入金予定の売掛金をあてるつもりでいたところ、思いもよらず売掛先が倒産しました。
売掛金の回収はできず、銀行への返済もストップしてしまいました。
こうなると連鎖倒産になる可能性があります。
これはノンリコースファクタリングを利用していれば防げたリスクです。
たとえ銀行へ返済ができた場合でも、会計上貸倒引当金や貸倒損失を計上する必要があり、損益計算書に影響が出ます。
黒字倒産の回避
資金繰りに行き詰まり、帳簿上は黒字なのに黒字倒産する会社は少なくありません。
売上はあっても手元の資金が足りない場合もあります。
そこで銀行に借り入れを申し込んだが融資を断られてしまい、結局支払いができなかったため倒産してしまうというパターンが多いのです。
この場合も売掛金を期日前に現金化できるファクタリングを利用していれば、倒産しなくても済んだかもしれません。
繰り返しファクタリングを利用し続けるのは考えものですが、緊急の事態は防げたでしょう。
ファクタリングを利用して危機を回避しながら、資金繰りの根本的な改善をしていくことが大切です。
ファクタリングは、改善をしていく間のつなぎの資金を調達するために有効な手段です。
節税対策になる
借り入れを行った場合、経費として認められるのは利息の部分のみとなります。
元金は税引き後の純利益からの返済となり、純利益(手元の資金)がその分減るのです。
ファクタリングの場合、手数料は利息と同じように経費として扱われます。
借り入れと異なるのは、税金がかかる税引前利益の部分です。
手数料が差し引かれた金額が税引前利益として扱われるため、借り入れの場合より税金の計算対象となる税引前利益の金額が少なくなります。
つまり税金は安くなるのです。
大きな金額の資金調達も可能
ノンリコースファクタリングは融資ではないため、売掛債権の金額と売掛先の信用度で調達できる金額が決まります。
売掛債権の金額が多額でも、売掛先の信用力が高い場合は資金化できます。
ファクタリング会社によっては数億円の規模まで対応可能な会社もあるほどです。
ファクタリング会社の信用調査を活用できる
ファクタリングの審査は融資と異なり、審査対象は売掛先の会社です。
これによって取引先(売掛先)の会社の信用度や評価がわかります。
詳しい内容まではわかりませんが、審査が通れば信用度があるといえるでしょう。
たとえば取引先(売掛先)の経営状態がよくないという話が耳に入った場合、取引のある会社の実情を確かめるのは難しいでしょう。
そういった場合でもノンリコースファクタリングを利用すれば、ファクタリング会社の審査によって状況がわかります。
貸し倒れのリスクを回避するための対策が取れるでしょう。
ファクタリング会社のコンサルティングを受けることで資金繰りの改善ができる
一度のノンリコースファクタリング利用で資金繰りが正常化すればよいのですが、資金繰りに苦しむ中小企業の多くは、上手くいかないことが多いでしょう。
入る予定の売掛金を先に現金化することは、期日になって入金された代金をファクタリング会社に支払う必要があります。
その際また資金が足りないのであれば、また同じパターンの繰り返しです。
このサイクルが毎月続けば、いつかかならず行き詰まります。
できる限り早く資金繰りを改善し正常化しなければなりません。
とはいってもどうしたらよいのかわからないという経営者の方も多いのではないでしょうか。
おすすめはプロのアドバイスを受けることです。
ファクタリング会社では、資金調達コンサルタント業務を行っている会社も多くあります。
コンサルティングを受けることでノンリコースファクタリングを利用しながら資金繰りを正常化し、安定させる具体的なアドバイスがもらえるでしょう。
プロに資金の流れや資金管理全体を見直してもらい、コストのかけ方や在庫など資金繰りを悪化させる原因を見つけてもらいましょう。
プロならではの目線で、資金繰りを健全にするためにはどうしたらいいのか具体的な解決方法を示してくれます。
ノンリコースファクタリングが向かない場合
これまで解説してきたように、ノンリコースファクタリングは多くの企業にとってメリットが多い資金調達方法です。
しかしファクタリングを利用するのに慎重になったほうがよい場面もあります。
それは慢性的な資金不足に陥っている場合です。
ファクタリングは、短期的な資金不足の際にとくに有効な資金調達方法です。
しかし常に資金不足になり、融資も受けられないのであればファクタリングを利用するしかありません。
資金繰りがなぜうまくいかないのかをコンサルティングなどを利用して原因を突き止め、ファクタリングを計画的に利用しながら、資金繰りを改善していく方法を探っていく必要があります。
ノンリコースファクタリング利用の注意点
ノンリコースファクタリング利用の際に知っておきたい注意点について解説します。
2社間ファクタリングの場合、売掛先から代金を受け取った後、利用者はファクタリング会社へその代金(売掛金)を支払う必要があります。
その際分割はできません。
融資の場合は分割での返済が可能ですが、ファクタリングは売掛債権の買取です。
売掛金が支払われたら契約に従い、ファクタリング会社に一括で支払わなくてはならないと覚えておきましょう。
またファクタリングでは、売掛債権の金額以上の資金調達はできません。
売掛債権を売買する契約であるため、あくまでもその金額範囲内の買い取りとなります。
ファクタリングとノンリコースのまとめ
ファクタリングにはノンリコースとウィズリコースの契約があります。
ノンリコースとは「償還請求権がない」という意味です。
仮に売掛先が倒産などの理由によって売掛金が回収できなくなったとしても、売掛債権の売却先であるファクタリング会社は、利用者に請求できない契約となっています。
一方ウィズリコース契約では売掛金が回収できない場合は、利用者に対しファクタリング会社が請求できる契約です。
ノンリコースファクタリングではファクタリング会社が回収不能になるリスクを背負う分、手数料は高めに設定されています。
ほとんどのファクタリング会社ではノンリコースファクタリングを採用しており、利用者は安心して取引できるでしょう。
なかにはウィズリコースファクタリングを契約させるなどの手口を使って、利用者から高額なお金を取ろうとしている業者もいます。
また違法な取り立てをする悪徳業者がまぎれこんでいることもあるため、注意が必要です。