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廻し手形はファクタリングと何が違うのか?どちらがおすすめか解説

資金調達の選択肢としてファクタリングだけでなく、廻し手形もあります。
廻し手形は手形の譲渡方法のひとつで、手数料をかけないで取引が可能です。
一方で、支払い先の許可がないとできず、資金調達に時間がかかりやすいといえます。
今回は廻し手形の定義や、ファクタリングとの違いをまとめました。
以上を踏まえながら、おすすめの資金調達方法を紹介します。

廻し手形とは?

廻し手形とは手形の譲渡方法のひとつで、裏書手形や裏書譲渡とも呼ばれます。
期日前の手形を譲渡すれば、代金の支払いに充てられるのです。
ここでは廻し手形の基本的な定義と、やり方をまとめました。

期日前の手形の譲渡で支払いに充てる

廻し手形は、期日前の手形を他社へ譲渡する方法です。
本来の手形は満期を迎えない限り、換金できません。
しかし企業によっては特段の事情で、期日前に手形を換金したいでしょう。
そこで廻し手形を使えば、早期の資金化が可能です。
たとえば満期前である50万円分の手形があったとします。
企業が他社との取引で、50万円の支払いを控えているとしましょう。
廻し手形を使えば、50万円の手形を代金の支払いに充てられます。
以上から廻し手形は、必要な支払い分を、手形でしのぐ方法のひとつです。
必要に応じて使えば、手形の有効活用とともに、資金繰りを改善できるでしょう。

廻し手形のやり方

廻し手形は以下の3ステップで進めます。

1.支払い先に廻し手形の同意を得る
2.対象の手形で裏書する
3.廻し手形を譲渡して、現金の代わりとして支払いが成立する

廻し手形を使うなら、支払い先の同意を事前に得なければなりません。
手形の裏面に譲渡日付や譲渡者の情報、会社印など必要事項を記します。
裏書の内容が間違っていると、裏書不備として不渡りになるので、慎重に手続きを進めてください。
ここまでできれば、支払い先に廻し手形を渡し、決済完了です。

廻し手形とファクタリングの違い6つ

廻し手形は資金調達方法の一種ですが、ファクタリングとの違いが多いといえます。
取引の対象物や資金調達の早さ、企業の信用リスクなど、さまざま点で違うのです。
ここではファクタリングとの違いについて、以下の6つを見ていきましょう。

1.取引の対象物の違い
2.資金調達の早さの違い
3.企業の信用リスクの違い
4.資金調達コスト
5.資産分割の可能性
6.償還請求権の有無

1.取引の対象物の違い

廻し手形とファクタリングでは、取引の対象物が異なります。
廻し手形は受取手形が取引対象です。
受取手形とは取引先から受け取れる手形で、満期を迎えれば金融機関で手形分の金額を受け取れます。
つまり受取手形で、後払いの約束が証明される形です。
廻し手形は満期を迎える前の手形を、支払い先に渡して決済に使えます。
一方ファクタリングでは、売掛金が取引対象です。
売掛金とは取引先へのサービス提供で生じた、後払いの約束です。
企業は専門業者に売掛金を買い取ってもらい、買取額を受け取れます。
売掛金の売却後は、取引先から後払い分を受け取り、それを業者へ渡さなければなりません。
以上でファクタリングの取引は成立します。
廻し手形は手形で支払う一方、ファクタリングは売掛金の売却で資金を得られます。

2.資金調達の早さの違い

資金調達の早さも、方法によって異なります。
廻し手形は支払い先との交渉が必須なので、同意に時間がかかるかもしれません。
支払い先によっては、手形での決済を嫌います。
現金で回収できないと、資金繰りの計画に影響が及ぶからです。
そのため企業は廻し手形を使おうとしても、支払い先の説得に時間がかかるかもしれません。
一方ファクタリングは売掛金を専門業者に売ることで、スピーディに資金調達できます。
業者によっては、即日で買取額を入金するのが特徴です。
とくに2社間契約なら、取引先に知られないで売掛金を買い取ってもらえるので、スピーディに手続きを進められます。
以上から手軽な資金調達方法として、多くの企業が利用する状況です。
必要な支払いが迫り、すぐに資金調達をしたいと思ったら、廻し手形よりファクタリングが推奨されます。

3.企業の信用リスクの違い

次の違いは企業の信用リスクです。
信用リスクとは取引先や金融機関、支払い先など、外部から見た企業の信用度が損なわれる可能性を指します。
廻し手形は取引先へ通知しなくてもよいのですが、支払い先への信用リスクに注意してください。
手形で決済しようとすると、支払い先は現金を得られないことで、資金繰りに影響を受けるからです。
さらに支払い先は企業に対し、現金での支払い能力を疑うかもしれません。
これにより取引規模を縮小したり、打ち切ったりすることもあります。
一方ファクタリングは、企業と業者による2社間契約なら、信用リスクが低いでしょう。
しかし取引先を交えた3社間契約だと、信用リスクに要注意です。
3社間契約では、取引先からファクタリングの同意を得なければいけません。
このとき取引先は企業に対し、支払い能力を疑うことがあります。
期日前に資金調達を急ぐことで、経営状態がよくないと判断するからです。
廻し手形は支払い先、ファクタリングは取引先への信用リスクに気をつけましょう。

4.資金調達コスト

資金調達コストも、方法によって変わります。
廻し手形では、基本的に資金調達のコストがかかりません。
手形を裏書譲渡するだけなので、実質的に手数料をともないません。
手形の管理や取り立てのコストもかからないので、廻し手形が得になる企業も見られます。
ファクタリングは売掛金の売却ごとに、手数料が必要です。
業者や契約形態により異なり、買取額の1〜30%が差し引かれます。
ただし3社間ファクタリングやオンラインの活用で、一定の手数料の抑制が可能です。
しかし手数料がかかるぶん、想定どおりに資金を調達できない可能性があります。
廻し手形では余分なコストがかからない一方、ファクタリングでは手数料に注意しましょう。

5.資産分割の可能性

資金調達方法によって、資産分割の可否も異なります。
廻し手形で対象になる受取手形は、分割譲渡が不可能です。
たとえば100万円分の手形を持っている場合、50万円分だけを廻し手形に使うことはできません。
記載金額の全体を一度に使うため、計画的な利用が大事です。
ファクタリングは売掛金が対象で、一部業者が分割買取を行います。
たとえば300万円分の売掛金がある場合、200万円分を買い取ってもらってもよいのです。
必要資金に応じて、計画的に売掛金を活用できるのがポイントです。
売掛金を分割できれば、企業もファクタリングを有効活用できます。
廻し手形は分割できませんが、ファクタリングの売掛金は分割が可能です。
必要資金に応じて、調達方法を使い分けてもよいでしょう。

6.償還請求権の有無

償還請求権の有無も、資金調達の方法によって違います。
廻し手形では、償還請求を受けるリスクに要注意です。
手形の差出人である取引先が不渡りを起こすかもしれません。
不渡りが起きれば、廻し手形を使った企業は、額面分の金額を支払うことになります。
そのため取引先のトラブルで、企業が損失を受けるかもしれません。
ファクタリングは多くの業者で、償還請求権なしでの契約です。
売掛金の売却後に取引先が不渡りを出しても、業者が責任を負います。
売掛金の持ち主が、企業から業者へ移っているからです。
そのため償還請求権なしで契約できれば、取引先のトラブルの影響を受けません。
廻し手形では償還請求のリスクをともないますが、ファクタリングは原則としてそうした懸念がありません。

ファクタリングが廻し手形よりおすすめの理由3つ

手軽な資金調達を目指すなら、廻し手形よりファクタリングがおすすめです。
早期に資金を得られるほか、さまざまなリスクを回避できます。
ファクタリングが推奨される3つの理由を、廻し手形との違いを踏まえながら見ていきましょう。

1.早期の資金調達が可能
2.資金回収ができなくてもリスクを負わない
3.未払いリスクを回避できる

1.早期の資金調達が可能

ファクタリングが推奨されるのは、早期の資金調達ができるからです。
売掛金を出した取引先が健全なら、審査に通れる可能性が高いといえます。
一部業者は即日入金を行うため、計画的な資金調達が可能です。
早急に現金が必要でも、ファクタリングですぐにカバーできるでしょう。
廻し手形を使う場合、支払い先の同意に時間がかかりがちです。
しかしファクタリングの売掛金は、すぐに現金化できるため、支払いにもつながりやすいでしょう。

2.資金回収ができなくてもリスクを負わない

ファクタリングの2つ目のメリットは、資金回収ができなくても、企業がリスクを負わない点です。
多くの業者は償還請求権なしで契約します。
売掛金を売却すれば、持ち主は業者に移行するため、取引先の債務不履行の責任も業者が負うのです。
一方廻し手形では、取引先の不渡りに注意しなければなりません。
不渡りが出た場合、取引先が手形分の金額を、支払い先へ弁済する必要があります。
取引先の不渡りのリスクを考えると、ファクタリングの方が利用しやすいでしょう。

3.未払いリスクを回避できる

ファクタリングを使えば、未払いリスクを回避できます。
未払いリスクとは企業の不手際で、必要な支払いをクリアできない可能性です。
廻し手形は必要事項の記載が必要で、不備があれば無効になります。
つまり企業から支払い先への不渡りのおそれがあるのです。
一方ファクタリングは売掛金の換金により、必要な支払いを現金でカバーできます。
そのため、廻し手形のような未払いリスクが起きません。

廻し手形とファクタリングの違いのまとめ

廻し手形は満期前の手形を、他社へ渡すことです。
これにより必要な支払い分をカバーできます。
ファクタリングと違って手数料はかかりませんが、償還請求権の存在や、手続き不備による未払いなどのリスクに要注意です。
一方ファクタリングは原則として償還請求権がなく、売掛金を現金に換えるだけなので、手軽に資金調達できます。
必要な支払いをすぐにカバーするなら、ファクタリングがおすすめです。