ファクタリングとビジネスローンの違いとは？どちらがおすすめか解説！
目次
銀行融資以外の資金繰りの選択肢には「ファクタリング」と「ビジネスローン」があります。これらの違いはどこにあるのか、それぞれどのようなビジネスに向いているのか、利用したことがない方にとっては知りたいところでしょう。
この記事では、それぞれの違いとメリットを掘り下げ、ファクタリングがもつ資金調達までのスピードやビジネスローンの柔軟性を比較し、最適な資金調達方法を導き出します。事業のスケールアップを図るうえで、確実な資金調達は成功への近道です。企業が直面する課題と、それぞれの資金調達方法が解決できる内容、違いについて知っておきましょう。
ファクタリングの基礎知識
ファクタリングは、企業が保有する売掛債権（売掛金など）をファクタリング会社に売却することで、現金化を早めるサービスです。ファクタリングはキャッシュフローを安定化し、効率的な資金運用を可能にします。
ファクタリングの概要
ファクタリングにより現金が予定よりも早く手に入れられると、資金繰りの改善、売掛金の未回収リスクの回避が可能です。
ファクタリングには、「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」の2つの形態があります。
2者間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社の2者間で、売掛債権が直接売却される契約です。最終的にファクタリング会社は利用者から代金を回収します。
一方、3者間ファクタリングでは、利用者、ファクタリング会社、売掛先（取引先）の3者間での契約です。利用者は債権を売却して代金を受け取ります。2者間と3社間の大きな違いは、ファクタリング会社は取引先に対して代金回収を行う点です。
3者間ファクタリングにおいては、売掛先の承認が必要です。ファクタリングの事実を知られたくない場合には、2者間取引を選択することになります。
ファクタリングのメリット
ファクタリングを利用することで、企業にはさまざまなメリットが期待できます。
もっとも大きなメリットは、売掛金を即時に現金化でき、資金繰りが改善される点です。手元の現金が入り、運転資金として活用できればビジネスチャンスの拡大にもつながります。
また、ファクタリングは自社の経営状態や信用力に依存せず、資金調達が可能です。新規事業や中小企業など、銀行融資が難しい場合に有効な手段となります。このようにファクタリングは、多くの企業にとって有効な資金調達の手段といえるでしょう。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングには多くのメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
ひとつはファクタリングの利用に必要な手数料です。手数料は売掛金に対してのパーセンテージで計算されます。ファクタリング会社は、倒産などによる売掛金の未回収リスクを考慮して、売掛債権の信用力を判断し、パーセンテージを決めています。この手数料は、買い取った売掛債権の金額から差し引かれるため、額面の全額は現金化できないことを理解しておかなければなりません。
企業はメリットとデメリットを比較し、ファクタリングが自社にとって最適なのかを判断する必要があります。
ビジネスローンとは？
ビジネスローンは事業資金の貸し付けサービスです。取り扱いは銀行や消費者金融、信販会社などで、銀行が扱う商品は銀行系、消費者金融や信販会社の商品はノンバンク系と呼ばれています。
現在はオンラインで申し込みから融資まで完結するなど、利用者にとって便利なサービスとなっています。
ビジネスローンの概要
ビジネスローンは、事業者が運転資金として設備投資、事業拡大などの目的で金融機関から借り入れる融資です。
ビジネスローンは大きく分けると「無担保型」と「担保型」の2つに分類されます。
無担保型は、企業が財産を担保にすることなく借り入れできるローンです。一般的には、借り入れ可能金額が小さく、金利は高めに設定されています。
一方、担保型は企業が不動産や設備などの財産を担保にして借り入れるローンです。無担保型と比較して借り入れ可能金額は大きくなり、金利は低めに設定されます。
どちらのタイプも信用状況、借り入れの目的などにより、適用される条件や利率が異なります。ビジネスローンを利用する際には、慎重に検討しましょう。
ビジネスローンのメリット
ビジネスローンを利用するメリットは以下の通りです。
資金調達のスピードが速い
ビジネスローンの資金調達までのスピードは提供元により異なります。しかし一般的にはとくにノンバンク系のビジネスローンにおいては銀行融資よりも手続きがスピーディーといえます。
ビジネスローンの手続きは多くがオンライン化されており、申し込みから審査、資金提供までが効率化されているためです。一部では申し込みから数時間～数日で資金提供されることも珍しくありません。
銀行の融資は、審査に時間がかかることが多く、資金調達までに数週間から数ヶ月かかることもあります。ただし、銀行の融資は低金利で、大きな金額の融資が期待できるため、長期的な資金計画にも適しています。したがって、スピードを重視する場合はオンラインで手続きが完結するビジネスローン、金額の大きさや低金利を重視する場合は銀行の融資を選択すると良いでしょう。
返済計画が立てやすい
ビジネスローンは借り入れ金額や利率、返済期間等が契約時に決まるため、企業は返済計画を立てやすくなり、返済が予定通りに進む可能性が高まります。返済の遅延や、債務不履行といったリスクを低減でき、資金繰りの安定化が可能となるでしょう。
返済計画が立てられる＝将来の支払いが予測可能になるということです。資金流入と流出を適切に管理し、予期していない資金不足を防げます。
税制上の優遇
ビジネスローンの利息は経費として計上できるため、税制上の優遇があります。
ビジネスローンのデメリット
ビジネスローンのデメリットは、返済義務が生じることです。もし返済が滞ると遅延損害金が発生する可能性があり、最悪の場合、債務不履行となり、信用情報に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、ビジネスローンは借り入れであることから、利息の負担も発生します。そのため、返済総額は借り入れ金額よりも大きくなるのが一般的です。
また、ケースにより担保が必要な場合がある点もデメリットといえるでしょう。借り入れ金額が大きい場合や、信用情報が不十分な場合、金融機関は担保を求めることがあります。もし返済ができなければ、担保に指定した財産を失うかもしれません。
ビジネスローンを利用するには、審査を通過する必要があります。審査では財務状況や信用情報などが考慮され、審査が通らない場合ローンの利用はできません。
ファクタリングとビジネスローンの共通点
ファクタリングとビジネスローンは、どちらも企業が資金調達を行う手段ですが、その方法や性質には違いがあります。以下、その共通点と違いを解説します。
共通点1. スピーディーな資金調達が可能
ファクタリングとビジネスローンの資金調達までのスピードは、サービスを提供する会社によりますが、一般的には比較的スピーディーな手段といえます。
ファクタリングでは、売掛債権を売却すると、即座に現金化が可能です。手続きがスムーズに進めば、速いところで数時間～遅くとも数日以内に資金を手に入れられます。
ビジネスローンの場合、とくにオンラインで申し込みから融資まで完結するビジネスローンは、審査などのプロセスが効率化されているため、資金調達までのスピードが速いでしょう。ファクタリング同様、速ければ申し込みから数時間～数日程度で資金が提供されます。
共通点2. 担保・保証人が不要
ファクタリングは、売掛債権を現金化するため、担保や保証人は不要です。売掛金そのものが、ファクタリング会社にとっての保証になるといえます。
一方ビジネスローンも、無担保で借り入れできるサービスがあります。しかしビジネスローンの場合、借入金額や企業の信用状況によっては担保や保証人を要求されることもあるため注意しておきましょう。大きな金額を借り入れる、または信用情報が不十分な場合、金融機関は担保や保証人を求めることがあります。
共通点3. 金利・手数料の発生
ファクタリングでもビジネスローンでも、サービスを利用するための金利や手数料が発生します。そのため、コストと利益を比較・把握し、適切な選択をしなければなりません。
ファクタリングとビジネスローンの違い
ファクタリングは、企業が保有する売掛金を売却、現金化する手段です。一方、ビジネスローンは企業が金融機関から資金を借り入れる形式をとります。
ファクタリングが資産である売掛金を利用した取引であるのに対し、ビジネスローンは負債である借入金が増加するという違いがあります。
ファクタリングでは、債権の未回収リスクは原則としてファクタリング会社の負担です（ノンリコース）。一方、ビジネスローンでは、返済義務は借り入れた企業にあり、返済が滞れば信用情報に悪影響が出る可能性があります。
違い1 オフバランス化の可否
「オフバランス化」とは、ある取引を企業の貸借対照表（バランスシート）から除外することで、財務状況を健全に見せるため、あるいは特定の会計基準を満たすために用いられる方法です。ファクタリングのオフバランス化とは、売掛金をファクタリング会社に売却し、売掛金（資産）を貸借対照表から除外することです。結果、企業の貸借対照表は小さくなり、企業の財政状況や財務比率が改善されることがあります。
違い2 貸借対照表への影響
ビジネスローンの利用は負債として計上されるため、負債の合計額は増加し、ビジネスローンによる資金調達は「現金及び現金同等物」に計上され、企業の資産が増加することになります。
負債の増加は負債比率（負債合計÷総資産）の上昇を招き、借入金の増加は利息の負担を増やすため、財務リスクを高める原因となるため、ビジネスローンを安易に利用するのは控えましょう。
また、ファクタリングには流動資産と総資産が減少で、貸借対照表全体がスリム化できるという違いもあります。
スリム化により売掛金を現金化することで資金繰りが改善し、企業の財務健全性の向上が期待できるでしょう。
資産規模が小さくなることで、負債比率や資本金比率などが改善される可能性があり、これによって企業の財務健全性が向上し、投資家や金融機関からの評価が上がることがあります。
売掛金の現金化によって資金繰りが改善され、経営が円滑になり新たな投資や事業展開に向けての資金を確保しやすくなり、経営の安定性が向上する可能性があるのもスリム化によるメリットです。
違い3 償還請求権の有無
ファクタリングにおいては、償還請求権がないノンリコース契約が一般的です。つまり、ファクタリング会社が売掛金の未回収リスクの一切を負担するため、利用者はもし売掛金が回収できない事態になった場合でも、負担する必要はありません。
ファクタリングを利用すると、リスクをファクタリング会社が負い、利用者は売掛金の回収を当初の期日よりも先に現金を得られます。これにより資金繰りが安定し、企業の運営が円滑になるでしょう。
ファクタリング会社がリスクを負うため、企業は貸し倒れのリスクから解放されます。それにより、経営資源を成長につながる企業活動に集中できます。ただし、償還請求権がないファクタリングは、その分手数料などのコストが高くなることが一般的です。そのため、経営者はコストやメリットを比較検討し、最適な選択をすることが必要です。
一方ビジネスローンは借入であることから、返済義務が生じます。
違い4 利用者の信用度の扱い
ファクタリングでは売掛金の信用が重要であり、経営状態が悪い企業でも利用できる可能性が高いといえます。そのため、開業したばかりなど、資金調達の必要があるにもかかわらず、銀行からの融資を受けづらい企業にとって、資金調達できる可能性が高い方法として注目されているのです。ただし、すべての企業が利用できるわけではなく、時には利用が難しいこともあります。
ビジネスローンでは、銀行ほど厳しくはありませんが、審査を通過できなければ借り入れはできません。審査の際には、利用者の企業の経営状態や財務状況が重視されます。
ファクタリングとビジネスローンの違いとは？どちらがおすすめか解説！まとめ
ファクタリングとビジネスローンは、どちらも事業者にとって資金調達の手段であり、目的は企業の資金繰りを改善することです。しかし、その方法や性質には大きな違いがあります。
ファクタリングは売掛金を早期に現金化する手法で、未回収リスクをファクタリング会社が負担します。企業は資金繰りを改善し、経営リスクを軽減できます。また、償還請求権がない場合、貸借対照表のスリム化も可能です。
一方、ビジネスローンは資金を借り入れます。返済義務があり、利息負担も発生しますが、即時に必要な資金を得ることが可能です。借り入れ金額や信用状況によっては、担保や保証人が必要なケースがあります。
2つの違いを理解し、経営状況や資金調達の目的に合った適切な手段を選択しましょう。