ファクタリング情報

保証型ファクタリング・債権譲渡型ファクタリング・取引信用保険は何が違う?―サービスごとの用途を紹介

経営者や中には売掛金未回収の回避やキャッシュフロー改善のために保証型ファクタリング、売掛債権を買取してもらう通常のファクタリング、取引信用保険といったサービスの利用を検討している方がいらっしゃいます。

自社の資金需要のニーズにぴったりのサービスを選ぶためには、それぞれサービスについて違いを理解することが必要です。

自社の資金繰り問題を解決できるサービスを選んでいただくために、保証型ファクタリングのサービス内容、保証型ファクタリングと通常のファクタリングの相違点、保証型ファクタリングと取引信用保険の相違点を紹介します。

保証型ファクタリングは売掛金未回収への保険

保証ファクタリングの用途は、売掛債権に保険を掛けることで、信用不安のある売掛先からの売掛金未回収に備えることです。

倒産や経営破綻などの理由で売掛先から売掛金を回収できなくなった場合、保証会社が保証限度額の範囲内で保証金を支払います。

保証型ファクタリングは保証料を支払う

保険に入るときには保険料の支払いが必要です。同じように保証型ファクタリングを利用するためには保証料をサービス提供事業者に支払います。

保証料の相場は、対象となる売掛金の額面の1%~8%です。

保証してもらう売掛金が2,000万円なら、20万円~160万円が保証料の相場になります。

保証型ファクタリングの持つメリット

メリットは以下の通りです。

・連鎖倒産・黒字倒産を回避できる
・与信管理を事業者におまかせできる
・売掛先の選択が可能
・売掛先への通知は不要

それぞれのメリットについて具体的な内容を解説します。

連鎖倒産・黒字倒産を回避できる

保証型ファクタリングは、売掛金未回収による貸し倒れ損失の軽減を目的として利用します。貸し倒れ損失が軽減できれば、連鎖倒産や黒字倒産の回避が可能です。

連鎖倒産とは、取引先の倒産の影響を受けて自社も倒産することです。黒字倒産は利益が上がっているのに支払いに必要な資金が不足することで倒産することを指します。

売掛先が倒産し売掛金未回収になっても、保証型ファクタリングの保証金で未回収分がカバーできるので、連鎖倒産や黒字倒産するリスクを軽減することが可能です。

与信管理を事業者におまかせできる

掛取引をおこなう場合、会社は与信管理の業務が必要です。

保証型ファクタリングには、事業者による審査があり、売掛先の売掛金支払い能力について与信判断がおこなわれます。それを使い、与信管理の業務をサービス提供事業者におまかせできます。

与信管理とは、 取引先の情報を収集・分析し、取引先の信用力やその動向を分析予測しながら、取引額を調整し、損失を抑えながら売掛金を回収できるよう管理することです。

倒産する可能性が低い安全な取引先には、与信を大きくして取引を拡大していき、一方で倒産しそうな危ない取引先に対しては、与信を絞って取引を小さくします。

サービス提供事業者の審査を与信管理の代わりにすれば、業務の一部を減らすことができます。

売掛先の選択が可能

保証型ファクタリングは、保険を掛ける売掛先を選択することが可能です。

たとえば、複数ある取引先の中に、以下のような売掛先があれば、保険を掛けることを検討できます。

・1回の取引での売掛金が高額な売掛先
・売掛金の回収に不安がある売掛先

さらに、保険を掛ける売掛先の範囲や保証限度額について以下のルールを設けている事業者があります。

・保険を掛ける売掛先が1社だけでも利用できる
・保証を掛ける売掛先の追加ができる
・売掛先1社ごとに保証限度額を設定できる

こうした点からわかるように、保証型ファクタリングを上手に利用するポイントは次の2つです。

・保険を掛けるのがふさわしい売掛先を選ぶ
・保険を掛ける売掛先の範囲や保証限度額について自社のニーズに適したサービスを提供してくれる事業者を選ぶ

売掛先への通知は不要

保証型ファクタリングを使っても、サービス提供事業者によってそれが売掛先に通知されることはありません。

したがって、保証ファクタリングを利用していることが売掛先に知られて、関係性が悪くなるという心配は不要です。

保証ファクタリングの利用が売掛先に通知される状況は、売掛先に倒産などで売掛金回収不能となり、サービス提供事業者が保証を履行する事態となった場合に限られます。

保証型ファクタリングで注意するポイント

保証型ファクタリングを利用する際には以下の点に注意してください。

・保証料がかかる
・売掛先の信用力によっては審査に通過できないことがある

保証料がかかる

保証型はファクタリングの利用には必ず保証料がかかります。さらに、売掛金が回収できた場合、保証料の返還はない点に注意してください。

したがって、信用力が高い売掛先の売掛金に保証型ファクタリングを使うことは、コスト面からおすすめできません。

売掛先の信用力によっては審査に通過できないことがある

保証型ファクタリングを利用する際にはサービス提供事業者による審査がおこなわれます。

対象となる売掛先の信用力が低い場合は、審査に通過できないことがある点に注意してください。

さらに、保証開始後に売掛金の支払い遅延が発生した場合、保証を受けることが可能なケースとそうでないケースがあるので、契約時にはどのようなケースで保証を受けられるのかを確認してください。

保証型ファクタリングと通常のファクタリングの違い

保証型ファクタリングと、売掛債権を買取してもらう通常のファクタリングは、ファクタリングという言葉が含まれているので、同じようなサービスと思う方がいらっしゃいます。

しかし、両者には以下の2点で違いがあります。

・サービス内容・用途
・保証料・手数料の相場

それぞれの違いについて詳しく説明します。

用途

保証型ファクタリングと通常のファクタリングではサービス内容や用途が異なる点に注意してください。

・保証型ファクタリング:売掛金未回収のリスクを減らせる
・通常のファクタリング:入金サイトの短縮や早期の資金調達

保証型ファクタリングは、売掛金未回収のリスクに備え、貸し倒れ損失を軽減するために利用します。

通常のファクタリングは、事業者に売掛債権を譲渡することで、売掛金を入金期日より前に資金化できます。したがって用途の1つは、取引先から売掛金を回収できるまでの期間である入金サイトの短縮です。

さらに、通常のファクタリングは、即日入金に対応したサービスもあるので、急に資金が必要になったときの資金調達手段としても利用できます。

このように、同じファクタリングと名の付くサービスでも、保証型ファクタリングと売掛債権を買取してもらうファクタリングではサービスの内容や用途が違います。

保証料・手数料の相場

サービス提供事業者に支払う保証料・手数料の相場が、保証型ファクタリングと通常のファクタリングでは異なります。

・保証型ファクタリング:保証料は売掛金の1%~8%
・買取型ファクタリング(2社間方式):手数料は売掛金の8%~18%
・買取型ファクタリング(3社間方式):手数料は売掛金の2%~9%

保証料・手数料の相場が違うので、保証型ファクタリングか通常のファクタリングのどちらにするかで悩んでいるなら、サービス利用にかかるコストを計算して、サービスを選ぶことができます。

保証型ファクタリングと取引信用保険の2つの大きな違い

保証型ファクタリングと似たサービスが取引信用保険です。

取引信用保険では、売掛先の倒産などで売掛金が回収不可となり損害を被った場合、その損害の一定割合を補償してくれます。

取引信用保険により売掛先が倒産などの理由で債務不履行になっても保険金で損失補填できるので、保証型ファクタリングと同様、貸し倒れ損失に伴う様々な問題を回避することが可能です。

保証型ファクタリングと取引信用保険はサービス内容や用途の点で似た面を持っていますが、以下の点では違いがあります。

・保険を掛ける売掛先
・保証料・保険料の相場

この2点について具体的に何が違うのかを説明します。

保険を掛ける売掛先

保証型ファクタリングと取引信用保険では、保険を掛ける売掛先の範囲が違います。その違いは以下の通りです。

・保証型ファクタリング:取引先の中から対象となる売掛先を選択可能
・取引信用保険:継続的な売買契約または請負契約がある全売掛先が対象、基本的に選択不可

保証型ファクタリングは、全取引先の中から保険を掛ける売掛先を選択します。したがって、保険を掛けた売掛先については、売掛金未回収になるリスクを回避することが可能です。

一方、取引信用保険では、基本的に利用企業が保険を掛ける売掛先を選ぶことはできません。

しかし、一部の保険会社では、利用企業が以下の選定基準で取引信用保険の対象となる売掛先を選ぶことを可能としています。

・全取引先 
・売上高上位〇社 
・売上高〇~〇位 
・債権残高上位〇社
・債権残高〇百万円以上
・特定部門の全取引先
・上場企業を除く全取引先

取引信用保険では1社だけを対象として保険を掛けることはできません。

したがって、1,2社だけに絞って売掛金未回収のリスクを回避したいという場合は、取引信用保険ではなく保証型ファクタリングを選んでください。

保証料・保険料の相場

保証型ファクタリングと取引信用保険ではサービス提供事業者に支払う保証料・保険料の相場が違います。相場は以下の通りです。

・保証型ファクタリング:保証料は売掛債権の1%~8%
・取引信用保険:保険料は保険会社が設定する支払限度額の1%~3%

保証型ファクタリングと取引信用保険のどちらにするかで迷っているなら、保証料・保険料の金額を計算し、費用対効果を比較してください。

目的や用途に合ったサービスを選ぶ

保証型ファクタリングと通常のファクタリング、保証型ファクタリングと取引信用保険をそれぞれ比較しました。

それぞれのサービス内容を踏まえた上で、目的や用途ごとにふさわしいサービスを選択することができます。目的や用途に合わせたおすすめサービスは以下の通りです。

・売掛金未回収へのリスクヘッジ:保証型ファクタリング・通常のファクタリング・取引信用保険
・急ぎの資金調達:通常のファクタリング
・売掛先を選んで売掛金未回収リスクを軽減する:保証型ファクタリング・通常のファクタリング
・一定のコストで売掛金未回収のリスクを軽減する:取引信用保険

保証型ファクタリング、売掛債権を買取してもらうファクタリング・取引信用保険について、それぞれのサービス内容、サービス対象となる売掛先の範囲、サービス利用にかかるコストなどを併せて考え、自社のニーズに適合したサービスを選んでください。

保証型ファクタリングについてのまとめ

この記事では、保証型ファクタリングのサービス内容、保証料の相場などを紹介しました。

保証型ファクタリングは、信用力に不安がある売掛先からの売掛金に保険を掛けることで、売掛金未回収への備えとする保険です。

売掛先の倒産などで、売掛金未回収となれば、保証会社が保証限度額の範囲内で保証金を支払います。

保証型ファクタリングは、通常のファクタリングのように入金サイトの短縮や急ぎの資金調達のための手段にはなりません。しかし、保険を掛けた売掛先が倒産した場合、保証金が入るので連鎖倒産や黒字倒産のリスクを軽減する手段にはなります。

サービスの利用には保証料を支払いますが、売掛金が回収できた場合、支払った保証料が返還されることはありません。

保証型ファクタリングは、取引先の中から信用不安がある売掛先だけを指定して保険を掛けることが可能です。

自社の取引先の状況やサービス利用にかかるコストなどを計算し、自社にふさわしいサービスを選んでください。