ファクタリング情報

ファクタリングが決算書に及ぼす影響とは?効果を解説

企業がどれくらい儲かっているのかなどを示す書類が「決算書」です。
決算書は、本来「財務諸表」といい、その企業の成績表であるといえるでしょう。
決算書は確定申告の際に開示の義務があり、事業年度終了後2か月以内に作成しなければなりません。
事業年度は会社により異なり、3月や12月を決算月としている会社が一般的です。

適切なファクタリングの利用は、決算書には良い影響があります。企業の財務健全性が向上し、資金調達のしやすさや経営の安定性が高まる可能性があります。これらは中小企業や個人事業主にとって大きなメリットとなるでしょう。
決算書に良い影響を与えるファクタリングの実行には、ファクタリングを深く理解し、適切なファクタリング会社の選択が必要です。
この記事では、ファクタリングが決算書に及ぼす影響についてさまざまな面から解説します。

ファクタリングの概要

ファクタリングは、売掛金を売却し、早期に現金化して資金を調達する方法です。
ファクタリングは売掛金の回収期間が長く、回収が不確実となっている企業にとって有効な手段で、資金繰りの改善や、リスク管理において多くのメリットがあります。

ファクタリングのしくみとメリット

ファクタリングは、スピーディーな資金調達方法です。売掛金の支払いは通常、ひと月~数か月待たなければなりませんが、ファクタリングを利用すれば即日~数日で現金化が可能です。

ファクタリングはすぐにでも資金が必要な企業にとって、融資よりも資金調達が迅速に行える、便利な手段といえるでしょう。また、貸倒れのリスクをファクタリング会社が負担することが多く、企業のリスク管理が容易になります。

また、ファクタリングは銀行融資などと異なり、資金の借り入れではありません。
ファクタリングは借入れではなく「売掛債権の売却」であることから、企業の信用度が下がりません。将来的に他の金融機関から融資を受けることになった場合にも、マイナス評価にならないのも特徴のひとつです。
さらにファクタリングでは売掛先の信用度が重視されることから、自社の経営状態が悪くても、利用できる可能性が高い点もメリットです。

決算書とは?

決算書は、企業が一定期間(通常は1年)の業績や財務状態を示すために作成する財務の報告書です。決算書には、企業の収益・費用、資産・負債・資本の変動などが詳細に記載されています。

決算書は「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3つが中心です。

・貸借対照表(バランスシート)
企業のある時点での資産、負債、純資産(資本)の状況を示す書類です。

・損益計算書(プロフィット&ロスステートメント)
一定期間内の収益と費用を示し、最終的な利益または損失を計算します。

・キャッシュフロー計算書
一定期間内の現金の流入と流出を示し、企業の現金の増減を報告します。

決算書は株主や投資家、金融機関などの外部利害関係者に対して、その企業の財務状況や業績を報告するために作成される書類です。
また経営判断の基礎として経営者が企業の財務状況を把握し、将来の経営戦略や投資決定のための重要な情報源となります。
また、法人税やその他の税金の申告に必要な情報の提供も決算書の重要な役割です。

決算書は、企業の健全性や成長性を評価するための重要なツールです。
投資家や金融機関だけでなく、その企業にとっても自社の財務状況を正確に把握し、適切な経営判断を下すために不可欠な書類となっています。

ファクタリングの決算書への影響とは

ファクタリングは、企業の決算書にどのような影響を与えるのかについて、書類ごとに解説します。

決算書への影響1 貸借対象表への影響

ファクタリングの利用で、貸借対照表上の売掛金が減少し、現金または預金が増加します。これにより「資産のオフバランス化」が可能となり、財務健全性が向上します。

資産のオフバランス化とは、貸借対照表をスリム化することです。
融資を受けた場合、融資はお金を借り入れることになり、貸借対照表上の「負債」が増えます。しかし、ファクタリングを利用した場合は負債も資産も増えず、貸借対照表をスリム化(オフバランス化)できます。

オフバランス化は「ROA」(ReturnOnAssets)を向上させます。ROAは「総資産利益率」のことです。
オフバランス化により、融資を受ける場合と比べると総資産を減らすことになるため、ROAが高くなります。ROAが高くなると、少ない資本で効率的に利益が出ている企業として、金融機関からの評価が高められるのです。
金融機関は融資の前に融資先のランク付けをしますが、財務状況が良くなればランキング評価が上がるでしょう。将来、金融機関からの融資を受ける際に、現状より好条件で融資を受けられる可能性があるといえます。

売掛債権を売却してオフバランス化させることは、貸し倒れを防ぐ効果もあります。
サービスや商品の提供から売掛債権の回収までに通常数か月かかりますが、この期間に売掛先企業の業績が一気に悪化する場合もあります。
この場合、売掛先企業から売掛金を回収できず、資金繰りに余裕がないと倒産に追い込まれるかもしれません。
ファクタリングの利用で、貸し倒れのリスクをなくせば資金繰りにも影響しません。
売掛先の業績に不安がある場合、ファクタリングは有効な手段です。ファクタリングで貸借対照表をオフバランス化することが、万が一の際に自社を守ることにもつながるといえるでしょう。

・自己資本比率の向上
総資本に占める自己資本の割合を「自己資本比率」と呼び、これは企業の財務の安定性を示す重要な指標です。
総資本には、返済義務を伴う銀行ローンなどの他人資本も含まれるため、負債の増加は自己資本比率の低下につながりがちです。しかし、ファクタリングは借入れではなく売掛金を現金化する手段であり、自己資本比率に負の影響を与えません。実際、ファクタリングによる資金調達で借金を返済することで、自己資本比率の改善が期待できます。

・現金比率の引き上げ
「現金比率」は、企業の流動性、つまり短期的な資金繰りの能力を測る指標で、この数値は流動負債で流動資産を割ることによって求められます。
企業の自己資本比率を高めることは、その企業の信用度を向上させますが、同時に現金比率の改善も企業の評価を高められます。

企業の倒産は、現金が手元にないことが原因です。そのため自己資本が少ない中小企業は、現金を多めに用意しておくと安心です。基準としては、現金比率を30%程度にキープするのが理想でしょう。

売掛金は流動資産に含まれ、これを現金に変えても流動資産の合計に変化はありません。しかし、負債を増やさずに資金を調達する方法は、現金比率の向上に寄与すると言えます。

決算書への影響2 損益計算書への影響

ファクタリングを行った場合、売掛金の売却により得た現金が収益として認識されます。ただし、実際には売上自体のタイミングで収益を認識しているため、ファクタリングが直接収益の増加につながるわけではありません。

その他、ファクタリングには手数料が必要です。これらは費用として損益計算書上で認識されるため、ファクタリングの利用で費用は増加します。
費用の増加は、企業の純利益に影響します。ファクタリングによる手数料などの費用が利益を圧迫する可能性があり、損益計算書上で明らかになることがあります。
ファクタリングによって迅速な現金調達が可能ですが、費用は利益を圧迫するため、損益計算書上での管理と分析が重要です。

さらに、売掛金に対する貸倒引当金の計上が不要となります。貸倒損失が発生するリスクを軽減でき、損益計算書上、費用負担を減らすことが可能です。

決算書への影響3 キャッシュフロー計算書への影響

キャッシュフロー計算書に与える影響は、以下の通りです。

・営業活動によるキャッシュフロー
ファクタリングにより売掛金が現金化されると、営業活動によるキャッシュフローが増加します。売掛金の回収期間を短縮できるため、迅速に現金を手に入れられるため、運転資金の管理が改善されます。つまり、営業活動におけるキャッシュフローは、ファクタリングによって直接的に増加するといえるでしょう。

・投資活動によるキャッシュフロー
ファクタリングは、直接的に投資活動によるキャッシュフローに影響を与えるものではありません。しかし、ファクタリングによって得た現金を使って新たな投資を行う場合、その投資活動によってキャッシュフローが影響を受けます。たとえば、新しい設備の購入や他社の株式の取得などに使われるといったものが該当します。

・財務活動によるキャッシュフロー
ファクタリングに関連した費用や利息の支払いは、財務活動によるキャッシュフローとして扱われることも少なくありません。これらの費用は、ファクタリングの利用で発生する費用であり、財務活動を通じてキャッシュフローが減少する要因となります。

ファクタリングには、営業活動によってキャッシュフローを増加させる効果があり、それに伴う費用や利息の支払いが、キャッシュフローを減少させる可能性があります。ファクタリングがキャッシュフロー計算書に与える影響を評価する際には、こうした増減を総合的に考慮する必要があります。

決算書へマイナスとなる影響を軽減する方法

ファクタリングによる決算書への影響は、良いことばかりではなく、マイナスの影響もあります。
決算書に与える悪影響をできる限り抑えるためには、以下の点に注意が必要です。

手数料が低いファクタリング会社を選ぶ

手数料が安い会社の利用は、ファクタリングによる決算書への影響を少なくするための有効な手段の一つです。
決算書には、以下の点で良い影響が考えられます。

・費用の削減
ファクタリングには通常手数料や利息がかかります。手数料が低いファクタリング会社の選択は、これらの費用を削減し、結果として損益計算書上の費用負担を軽減できます。利益に直接的な影響を与え、収益性を改善できるでしょう。

・キャッシュフローの改善
安い手数料でファクタリングを行うことは、キャッシュフロー計算書においても有利です。手数料が少ないほど、売掛金を現金化した際に手元に残る現金が多くなります。企業の運転資金の管理が改善され、より多くの現金を新たな投資や借入返済に充てることが可能になるでしょう。

・リスクの管理
ファクタリング会社を選ぶ際には、手数料だけでなく、提供されるサービスの質や信頼性も考慮する必要があります。低い手数料でサービスを提供するファクタリング会社でも、その条件やサービス内容が悪く、ニーズに合致していなければ意味がありません。

手数料が安いファクタリング会社を利用することは、決算書への影響を最小限に抑えるための一つの方法です。しかし、サービスの質や信頼性、契約条件なども総合的に評価することが重要です。

短期の利用にとどめる

ファクタリングの適度な利用は、決算書に良い影響を与える可能性があります。ファクタリングはキャッシュフローを改善する一方、過度な依存は以下のような問題が生じることがあります。

・費用の増加
ファクタリングには手数料がかかります。手数料は損益計算書上で費用として認識されるため、ファクタリングを使いすぎると企業の利益を圧迫します。

・財務状況が改善したように見せかける
ファクタリングは一時的に企業のキャッシュフローを改善します。しかしその本質的な財務状況を改善するわけではありません。過度なファクタリングの利用は、資金繰りが実際よりも良好に見える状態を引き起こす可能性があり、長期的には悪影響を及ぼすことがあります。

・信用度の低下
ファクタリングの過度な利用は、金融機関から見て企業が資金繰りに問題を抱えていると解釈される可能性があります。将来、融資を受けようとする場合に機会が制限されたり、高い利息での資金調達を余儀なくされたりする可能性があるため、注意が必要です。

・総合的に判断する
ファクタリングは短期的な資金繰りの改善には有効な手段です。その一方で、企業は長期的な視点から戦略を練らなければなりません。そのためにはファクタリングの利用を適度にするとともに、原因となる資金繰りの問題を解決するための措置(売上の増加・
コスト削減・資産の効率的な活用など)も考えることが大切です。

費用の増加を抑え、健全な経営を行うためにはファクタリングを使いすぎないようにしなければなりません。決算書に良い影響を与えるためには、ファクタリングを含む戦略全体を見直しや、長期的な視点での管理が必要があるでしょう。

ファクタリングが決算書に及ぼす影響とは?効果を解説まとめ

決算書は通常「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3つから成ります。貸借対照表は資産や負債、純資産(資本)を示し、損益計算書は収益と費用、キャッシュフロー計算書はその企業の現金の流れを示すものです。企業内外にその企業の経営状況を表す役割があります。

ファクタリングは資金繰りの改善などに有効ですが、決算書上は利益減少の要因となります。そのため、利用を適度な回数に抑えたり、手数料が安いファクタリング会社を使ったりなどして負担を抑えることで、影響をある程度軽減できます。経営状況を踏まえて、活用の仕方を検討しましょう。