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ファクタリングは掛け持ち可能?二重譲渡との違いなどをチェック

ファクタリングで、2社以上と同時に取引できるか気になっていませんか。
たとえば1社目で売掛金の買取を待ちながら、別の売掛金を2社目で売却する形です。
結論から述べると、ファクタリングは掛け持ちできます。
ただし同じ売掛金を別々の業者へ売ると、二重譲渡として犯罪になるので、注意してください。
今回はファクタリングの掛け持ちを考えている方のため、メリットやデメリットをまとめました。
記事の後半では、二重譲渡との違いや注意点を述べます。
最後まで読めばファクタリング業者の掛け持ちについて、正しい知識を学べ、資金調達の計画につなげられます。

ファクタリングは掛け持ち可能

企業はファクタリング業者の掛け持ちが可能です。
ファクタリングにおいて、複数業者の同時利用は規制されていません。
同じ業者に対し、複数の売掛金を同時売却することも掛け持ちとされますが、こちらもとくに問題ないといえます。
審査過程で信用情報の照会を受けないので、複数社と取引していても、企業の信用に関わりません。
そのため掛け持ちが必要になっても、安心して複数社を利用できるでしょう。
融資の場合は、複数の金融機関を利用していると問題になります。
複数社からお金を借りていると、資金繰りに難があるとされ、信用に関わるのです。
そのため金融機関から融資を受けにくくなるでしょう。
しかしファクタリングは売掛金を出した取引先の信用力が、審査で重要になります。
そのため企業は、信用に関わるリスクを負いません。
たとえば1社目でのファクタリング中に2社目へ申し込んでも、特段のリスクは生じないのです。
このように企業は、必要に応じてファクタリングを掛け持ちできます。

ファクタリングの掛け持ちのメリット3つ

ファクタリングの掛け持ちには、さまざまなメリットがあります。
優良なサービスを見つけやすい点が大きいでしょう。
売掛金や業者のサービスに合わせて、最適な条件での取引も可能です。
掛け持ちのメリットについて、以下の3つを紹介します。

1.優良なサービスを見分けやすくなる
2.買取可能額に合わせて使い分けられる
3.条件面の交渉も可能

1.優良なサービスを見分けやすくなる

最初のメリットは、取引に有利な業者を見つけやすい点です。
業者によって、サービス内容は違います。
複数社を同時に利用していると、どちらで取引すればお得かわかるでしょう。
多くの利益を確保するには、業者の使い分けも選択肢です。
たとえばファクタリング業者に対し、少しでも安い手数料を求めている場合です。
1社目が10%の手数料で、高く感じたとしましょう。
取引が終わる前に、手数料が5%の2社目を見つけたら、そこへ別の売掛金を売却できます。
このように掛け持ちの結果、より優れたサービスを見つけられるのです。
少しでも有利な条件で資金調達するなら、ファクタリングの掛け持ちも選択肢といえます。

2.買取可能額に合わせて使い分けられる

次のメリットは、買取可能額に合わせて複数業者を使い分けられることです。
業者によって、売掛金の買取可能額は異なります。
企業はさまざまな形の取引をしているため、売掛金の金額も違うでしょう。
しかし業者ごとに買取可能額を定めているため、範囲から外れていると売掛金を買い取ってもらえません。
たとえば業者Aの買取可能額が500万円~1億円としましょう。
企業の手元にある売掛金が400万円だと、業者Aへの売却は不可能です。
その場合は、買取可能額が400万円以下の業者Bを頼ることになります。
以上から売掛金の金額に応じて、ファクタリング業者を使い分けるとよいでしょう。
複数のファクタリング業者を利用していれば、買取可能額に応じて適切な依頼先を選べます。

3.条件面の交渉も可能

最後のメリットは、条件面で交渉できることです。
2つの業者を掛け持ちしている場合、片方の業者に有利な条件を相談できます。
たとえば手数料の引き下げを交渉する場合です。
このとき業者Aの手数料が11%で、業者Bが10%とします。
企業はB社の手数料をA社に伝え、10%に下げればB社へ売却予定の売掛金もA社へ売ることを話せるのです。
その結果、A社の手数料引き下げに成功する可能性があります。
上記のような手法は、企業の交渉力やコミュニケーション力がカギです。
それでも複数の業者を利用していれば、一方の業者での取引経験をもとに、別業者に有利な条件を交渉できるかもしれません。

ファクタリングの掛け持ちのデメリット3つ

ファクタリングの掛け持ちには、一定のリスクがあります。
事務コストの増加や、一部の売掛金における不利な取引などに気をつけてください。
掛け持ちのデメリットについて、以下の3つを見ていきましょう。

1.事務コストが増える
2.業者と深い関係性を築きにくい
3.一部の売掛金の売却が不利な条件になる

1.事務コストが増える

最初のデメリットは、事務コストが増える点です。
2つ以上の業者を利用する場合、それぞれで書類提出のような手続きを要します。
業者ごとにオンラインか、店舗でのコミュニケーションも必要です。
そのため事務時間やコストが倍以上に増えます。
事務コストが気になるなら、ファクタリングの依頼先をひとつにまとめましょう。
たとえば2つの業者で、売掛金の取引条件があまり変わらないこともあります。
さらに業者Aの手数料が10%で、業者Bが5%と、明らかに条件が違うこともあるでしょう。
以上の場合、ファクタリング業者をひとつに絞る方が、事務コストを減らせてお得です。
ファクタリングの掛け持ちは事務的な負担につながるので、有効でないと思ったら依頼先をひとつに絞ってください。

2.業者と深い関係性を築きにくい

ファクタリングの掛け持ちは、特定業者と深い関係を築きにくいのが難点です。
1社に絞ることで、複数の売掛金を売却でき、企業を覚えてもらいやすいでしょう。
しかし複数の業者に売掛金を分散させると、ひとつの業者あたりの取引実績が限られます。
そのため特定の業者と、信頼関係を確立しにくいでしょう。
ただし複数の業者との取引は、リスク分散につながります。
一方の業者が不利な条件だと、売掛金を使った資金調達が厳しくなるでしょう。
たとえば手数料が他社より高いと、売掛金を売っても企業の手取りが減ります。
多くの手取りを得るために、手数料の安い別業者との掛け持ちが選択肢です。
このように複数業者の利用で、資金繰りを改善しやすくなります。
ただし1社を集中的に利用する場合より、ファクタリング業者との信頼関係を深く築きにくいでしょう。
特定の業者と信頼関係を深めるなら、1社に絞る形が得策です。

3.一部の売掛金の売却が不利な条件になる

ファクタリングを掛け持ちすると、一部の売掛金の売却が、不利な条件になります。
業者によって手数料や掛け目が異なるからです。
たとえば手数料5%の業者とファクタリング取引をしていた場合です。
別の依頼先を探した結果、手数料が10%だと、5%の場合より調達額が少なくなるでしょう。
掛け目に関しても、業者同士の比較検討が重要です。
たとえば掛け目が90%なら、売掛金の相当額の大部分を得られます。
企業が取引先からの資金回収を行い、業者に渡せば、残りの10%が返ってくるしくみです。
しかし別の依頼先の掛け目が80%だと、売掛金の売却時の入金額が少なくなります。
掛け目が大きすぎて、資金調達が計画どおりにいかない企業もあるのです。
業者ごとの手数料や掛け目などを踏まえながら、ファクタリングを掛け持ちすべきか検討してください。

ファクタリングの掛け持ちでは二重譲渡に注意

ファクタリングの掛け持ちでは、二重譲渡に気をつけてください。
二重譲渡は詐欺罪に問われます。
掛け持ちとの違いを踏まえ、売掛金の管理体制を整えましょう。
二重譲渡に関する注意点を、以下でまとめました。

ファクタリングの掛け持ちと二重譲渡の違い

ファクタリングの掛け持ちとは、別々の業者の利用を指します。
業者Aで売掛金を売り、業者Bで別の売掛金を売る形は可能です。
売掛金を売った直後に、別の業者がお得と気づく企業もあります。
手元に別の売掛金がある場合は、別の業者へ売り、利益を確保できるでしょう。
二重譲渡は同じ売掛金について、別々の業者へ売却依頼を出すことです。
ファクタリングの掛け持ちをしているときに、二重譲渡が起きるかもしれません。
たとえば同じ売掛金について、業者Aへの売却を忘れ、業者Bにも同じ依頼を出すことがあります。
この場合は二重譲渡という違法行為になり、企業の信用低下につながるのです。
ファクタリングの掛け持ちは、別々の業者を同時に利用する状態ですが、その際は売掛金の二重譲渡を避けてください。

売掛金の二重譲渡は詐欺罪にあたる

売掛金の二重譲渡は、詐欺罪にあたります。
先の業者への売却が成立した売掛金は、ほかの業者へ売れません。
そのため二重譲渡は、一方の業者をだます行為です。
同じ売掛金について、複数の業者へ売却依頼を出し、それぞれから買取額を受け取ると犯罪になります。
売掛金はひとつの業者にしか売れないので、それ以外の業者から資金を受け取ることが詐欺にあたるのです。
ファクタリングでは悪質企業が意図的な二重譲渡を行い、業者から現金をだまし取る事件も起きています。
そのためいかなる理由でも、二重譲渡はやめてください。

二重譲渡の回避には売掛金の管理体制を整えよう

二重譲渡を避けるには、売掛金の管理が大切です。
企業内でマニュアルを設け、会計システムやエクセルで適切に管理してください。
管理体制を整えることで、二重譲渡を避けられます。
ファクタリングで取引が成立した売掛金は、すぐに記録してください。
取引の記録がないと、知らず知らずに二重譲渡をするおそれがあるからです。
会計に関するマニュアルをもとに、売掛金を適切に管理しなければなりません。
近年はクラウド型の会計システムやソフトウェアなどにより、売掛金のデータをスムーズに記録できます。
こうしたシステムを使えば、健全な管理体制を整えられるでしょう。

まとめ

ファクタリングの掛け持ちは有効です。
複数の業者を利用すれば、お得な依頼先を見分けやすくなります。
条件面で有利な業者を見つけたら、売掛金の売却先をそこに絞ってもよいでしょう。
またファクタリング業者の掛け持ちでは、二重譲渡のトラブルが懸念されます。
適切な管理体制を整え、売掛金の売却はすぐに記録しましょう。
二重譲渡のトラブルを避けながら、ファクタリングの掛け持ちを有効活用してください。