ファクタリングに利率はない!?ファクタリング手数料を利率に換算するとどれくらいになるのかを検証
目次
銀行融資や公的融資、ビジネスローンで資金調達した場合、借りたお金である元金に利息分を上乗せして支払わなければなりません。
お金を借りて資金調達した場合、利率がかかるわけです。
ファクタリングも資金調達手段の1つなので、経営者の中には「ファクタリングを利用すれば利率がかかるのでは?」と思っている方がいらっしゃいます。
そこで、この記事ではファクタリングに利率がかかるのかどうかをまず説明し、その後、ファクタリング手数料を利率に換算すればどれくらいになるのかを検証します。
そもそも利率とは?
利率とは、借りたお金つまり元金の使用料として上乗せし支払うお金の割合のことです。「金利」と同じ意味で、利率・金利の両方とも元金に対する追加支払金の割合を指しています。
借りた金額に利率をかけて計算したものは利息です。そして1年間の利息割合を年利率といいます。
たとえば、100万円を1年間借りて101万円返した場合、利息は1万円です。1万円は100万円の100分の1ですから、年利率は1%と計算できます。
ファクタリングに利率はかかる?
結論から先にいえばファクタリングに利率はかかりません。
ファクタリングは金銭消費賃借契約による借入ではなく、売掛債権を売却する債権譲渡契約だからです。
金銭消費賃借契約による金銭の借入であれば、返済義務と金利負担つまり利率がかかります。
しかし、ファクタリングは借入ではなく、売掛債権という自社で保有している資産をファクタリング事業者に売却し、その買取代金を資金とするものなので、利率がかかることはなく返済義務ももちろんありません。
ファクタリング手数料は利率?
ファクタリング事業者の公式ページを見ると「手数料は○%」という言葉を目にします。
ファクタリング事業者に支払う手数料は、利率ではありません。ファクタリング手数料はファクタリング事業者の収入に当たる部分であり、売掛金未回収のリスクを補填するものです。
たとえば、売掛債権の買取額が500万円で手数料率が10%なら、利用企業は50万円を手数料としてファクタリング事業者に支払い、残りの450万円を受け取ることになります。
ファクタリング手数料率は変動する
融資やビジネスローンの金利つまり利率には固定金利と変動金利があります。ファクタリング手数料も利率と同じように固定されている場合と状況により変動するものがあります。
多くのファクタリング事業者が採用しているのが、状況に合わせて手数料率を下限と上限の範囲内で変える変動制です。
以下の状況に合わせて手数料率を上げたり下げたりします。
売掛金回収不能となるリスク
取引方式
売掛先との取引期間や財務状況
ファクタリング事業者は、売掛先が倒産などの理由で売掛金回収不能となるリスクが高いと判断すれば、そのリスクを補填するために手数料率を高く設定します。
ファクタリングの契約スタイルも手数料率の変動に影響します。2社間方式は売掛先が契約や取引に関係しないので、3社間方式よりも売掛金未回収のリスクについて判断するのが難しいです。
そのリスクを補填するため、一般的に2社間方式の方が3社間方式よりも手数料率は高く設定されています。
取引期間が長い売掛先の売掛債権は、売掛金回収不能となるリスクが少ないので、手数料率を低くして買取してくれるケースが多いです。
同様に、売掛先が大手企業や有名企業なら、財政状況が安定しているので、ファクタリング事業者は優良債権として低い手数料で買取してくれます。
変動制・固定制を使い分ける
ファクタリング事業者の多くが手数料率を状況に合わせて下限〇%から上限〇%という形で変化させる方式を採用しています。
一方で、わずかながら、ファクタリング手数料を10%固定というような形で固定している事業者があります。
したがって、それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合わせて使い分けてください。
借入の際に、利率が変化する変動金利を選べば、金利が低いときには返済額が少なくなります。一方で利率が変動し上がったときには、返済額が増えるというリスクを負わなければなりません。
利率の固定される固定金利は金利の変動がなく一定なので、返済計画が立てやすいです。
ファクタリングの手数料率も、変動制なら手数料率の下限を狙えば手数料を抑えることができ、入ってくる資金が増えます。
一方で、「予想以上に手数料が高かった」という結果になり損したと感じることもあるでしょう。
ファクタリング手数料の固定制は、手数料がどれくらいになるのかすぐ計算できるので、資金の使い方の目途が立ちやすい点がメリットです。
利率を変動金利にするか固定金利するかを選ぶように、ファクタリング事業者を選ぶ時には、手数料率が変動制か固定制かを見て選ぶことができます。
ファクタリング手数料率を年利率に換算する
ファクタリングの手数料率は、借入の際に発生する利率とは違います。
しかし、融資やビジネスローンとファクタリングを比較するために、この部分ではファクタリングの手数料率を利率に換算し検証します。
借入の場合、利率はいわゆる年利率として1年間で〇〇%という形で表示されますが、ファクタリングは1回の取引ごとに手数料がかかるので、年間でいくらという形では表示できません。
したがって、1回の取引における手数料率を年率に計算し直す必要があります。
ファクタリング手数料を年利率に換算するための計算方法
売掛金の支払期日は、「下請代金支払遅延等防止法」によると60日以内、つまり2ヶ月以内にするよう定められています。
ファクタリングを利用すればこの2ヶ月を短縮して売掛債権を早期に資金化できるわけですから、ファクタリング手数料の対象となる期間は2ヶ月とみなせるでしょう。
したがって、手数料率10%のファクタリング事業者であれば、1ヶ月あたりの手数料率は10%÷2ヶ月=5%です。
1ヶ月あたりの手数料率が5%ですから、これを年利率と同じように年率となるよう計算すると、5%×12ヶ月=60%になります。
ファクタリング手数料10%を利率に直せば60%になるわけです。
貸金業法では貸付額に応じて15%~20%の上限金利つまり利率を超えてはならないと規定されていますから、もし貸金業者が事業者に年率60%で貸付をおこなっていれば、それは違法となります。
しかし、ファクタリングは貸付ではないので、手数料が年率に換算すると法律で定める上限金利の規定を超えていても違法ではありません。
2社間・3社間方式におけるファクタリング手数料率
2社間・3社間方式という契約スタイルの違いは手数料率の変動に影響します。したがって2社間方式と3社間方式では手数料率の相場が違います。
手数料率の相場は以下の通りです。
2社間方式:5%~20%
3社間方式:1%~10%
たとえば、3社間方式で手数料率3%の場合、先ほどの計算方法を使えば、1ヶ月分の手数料率は3%÷2ヶ月=1.5%になります。
これを年利率と同じように換算するなら、1.5%×12ヶ月=18%となり、利率として考えれば貸金業法で定められている上限金利を超えるか超えないか程度の数字です。
ファクタリングを利用する際の手数料を利率に換算して考えることはまずないので、こうして利率として換算するとかなり高い数字になることがわかります。
融資やビジネスローンの利率との比較
ファクタリング手数料率を利率に換算すると、ほとんどの場合、法定金利の上限規定を超える程度の高い利率になることがわかりました。
事業用融資やビジネスローンの利率と比較するとそれがいかに高いかがよくわかります。事業用融資やビジネスローンの利率(年利率)の相場は以下の通りです。
日本政策金融公庫の中小企業事業:基準金利1.20%~2.20%
銀行のビジネスローン:1.0%~15.0%
ノンバンクのビジネスローン:5.0%~18.0%
不動産担保融資:2.50%~13.00%
これらの利率とファクタリングの手数料率を利率に換算したものを比べると、やはりファクタリング手数料率の方が高いです。
利率が高くてもファクタリングを推奨する理由
検証結果を見るとファクタリング手数料率は利率に換算すると融資やビジネスローンの利率より高いということがわかりました。
それでも、資金需要のある企業にはファクタリングの利用をおすすめします。なぜならファクタリングには以下の強みがあるからです。
申し込みから資金調達完了までがスピーディー
審査が厳しくない
負債にならない
それぞれの強みについて具体的な内容を説明します。
申し込みから資金調達完了までがスピーディー
ファクタリングは申し込みから資金調達完了までを最短で24時間以内に完結させることが可能です。
申し込みから書類提出、審査、審査結果の通知、契約、入金といったすべての手続きをオンラインで完結できるファクタリング事業者を使えば、最短即日で資金調達ができます。
「急な支払いに対応しなければならないが手元にお金がない」という場合、ファクタリングを使えばすぐに問題が解決します。
ファクタリング手数料は利率に換算すると確かに高いです。しかし、その弱点を補うほど資金調達スピードが速いという点が、資金繰りに悩む企業にファクタリングをおすすめする理由です。
審査が厳しくない
ファクタリングの審査は融資やビジネスローンの審査よりも厳しくないという点がファクタリングをおすすめする別の理由です。
融資やビジネスローンの与信審査では、申し込み企業の信用力が審査対象です。申し込み企業が債務超過や赤字経営の状態であれば審査に通過するのは難しいでしょう。
一方、ファクタリングの審査で注目されるのは売掛先の信用力です。売掛先に売掛金を支払う能力があるとみなせれば審査に通過できます。
したがって、ファクタリングでは申し込み企業が債務超過や赤字経営だったとしても、売掛先に信用力があれば審査に通過し売掛債権を資金化できる可能性があるわけです。
負債にならない
ファクタリングは融資やビジネスローンのように負債になることはありません。なぜなら売掛債権という自社の資産をファクタリング事業者に売却する資産調達手段だからです。
負債にならないので、利率を計算し利息を上乗せして支払う必要はありません。
これも資金需要のある企業にファクタリングを推奨する理由です。これ以上融資やビジネスローンで負債を増やしたくないという企業はファクタリングの利用をお考えください。
ファクタリングを利用する際の注意点
ファクタリングは申し込みから資金調達完了までのスピードが速い、審査が厳しくない、負債にならないといった強みがありました。
しかし、ファクタリングは、短期間で頻繁に利用する資金調達手段ではないという点に注意してください。
なぜなら、ファクタリングの利用には手数料がかかるからです。ファクタリングで受け取れる資金は、買取代金から手数料を引かれた分になります。
普通に売掛金の入金期日まで待って売掛金を回収する方が、得られる資産は多いです。
短期間で何度もファクタリングを利用すれば、本来入ってくるはずのお金がどんどん減ることになり、キャッシュフローを悪化させる原因となるでしょう。
したがって、ファクタリングを利用する際には、利用期間や頻度に注意してください。
ファクタリングと利率についてのまとめ
この記事では、ファクタリングには利率がかかるのかどうかという点を解説しました。ファクタリングは金銭消費貸借契約ではなく債権譲渡契約なので利率はかかりません。
手数料はかかりますが、状況ごとに手数料率を下限と上限内で変動させる事業者と手数料率を固定化している事業者がいます。
融資やビジネスローンを利用する際に、利率を変動金利、固定金利から選ぶのと同じように、ファクタリングの手数料も変動か固定か状況に合わせて選ぶことが可能です。
ファクタリングの手数料率を利率に換算すると、その数字は融資やビジネスローンの利率よりも高いものとなります。
しかし、ファクタリングには資金調達のスピードが速い、審査が厳しくないなど弱点を補って余りある強みがありました。
即日資金調達したい、売掛債権を現金化してキャッシュフローを改善したいといった資金繰りの悩みがあればぜひファクタリングを申し込んでください。