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ファクタリングサービス契約までの流れとは?契約ごとの流れと必要書類を紹介

ファクタリングサービスは、金融機関からの借入以外の方法で資金を増やしたいという経営者におすすめの方法です。

しかし、契約までの流れ、提出する書類や審査の内容などの知識がないので、利用するのが難しいと感じている経営者の方がいらっしゃいます。

さらに、契約後のトラブルを回避するために契約をする際の注意点も知っておく必要があります。

そこで、本記事では、ファクタリングサービスの種類ごとの契約までの流れ、契約に必要な書類や資料、契約書を読む際の注意点を紹介します。

そもそもファクタリングとはどのようなサービス?

ファクタリングの契約についての流れを紹介する前に、ファクタリングというサービスの内容について簡単に説明しておきましょう。

ファクタリングは、資金調達を望む会社が持っている入金待ちの売掛金をファクタリング事業者が買い取りし、会社はその支払い代金を受け取ることで売掛金を現金化できるというサービスです。

ファクタリングの契約形態は、大きく分けると2社間方式と3社間方式の2種類です。

2社間方式はファクタリング事業者と資金調達を望む会社の2社だけが、契約までの流れに関わります。

一方3社間方式は、ファクタリング事業者・資金調達を望む会社・売掛先の3社が契約上の流れに関わります。

2社間・3社間ファクタリングのそれぞれについて契約までの流れを紹介しましょう。

【2社間方式】契約までの流れ

2社間方式によるファクタリング契約では以下の流れで物事が運びます。

① ファクタリング事業者への相談
② ファクタリングサービスの申し込み
③ 必要書類の提出
④ 審査
⑤ 買い取り可能額や手数料率などの条件提示
⑥ 契約

この流れの中にある各工程について詳細を解説します。

①ファクタリング事業者への相談

流れの中で登場する最初の工程は、利用したいファクタリング事業者を選択し、自社が所有する売掛債権の買い取りが可能かどうか相談することです。

できれば複数の事業者を選択してください。

1つのファクタリング事業者で債権の買い取りを断られたとしても、別の事業者に依頼することができるからです。

さらに、申し込み前の相談で、担当者の対応や説明などから継続的に利用できるファクタリング事業者かどうか判断できます。

相談は、ほとんどのファクタリング事業者でサービスとして提供されています。複数の事業者に同時に相談しても問題ありませんので、ぜひご利用ください。

②ファクタリングサービスの申し込み

契約までの流れの中で2番目におこなうことは、利用するファクタリング事業者を決定しその事業者に申し込みをすることです。

一般的に利用されている申し込み方法には以下のものがあります。

 オンライン(ファクタリング事業者の公式サイト)
 窓口
 電話
 郵送

オンライン(ファクタリング事業者の公式サイト)

ファクタリング事業者の公式サイトからオンラインで申し込みをする方法がおすすめです。ネット環境とデバイスさえあれば時間と場所に関係なく、いつでも空いた時間に申し込みができます。

経営以外の仕事にも従事することが多い中小企業のオーナーにはぴったりの方法です。

窓口

ファクタリング事業者の営業所が会社の近くにあれば、窓口で手続きできます。対面なので質問があれば担当者にすぐに尋ねることができるので、安心できる方法です。

ただし、営業所が開いている時間に訪問する、担当者との日程調整をするといった必要があるので、その点には注意してください。

電話

電話での申し込みも窓口と同じように、直接相手と話をして手続きを進めることができます。

注意点は、営業時間内に電話する必要があること、電話対応の担当者と実際の担当者が違う場合があるという点です。

窓口での手続きよりも、相手の顔が見えないので話しやすいという方にはこちらの方法をおすすめします。

郵送

郵送は、ファクタリング事業者の営業所が会社より遠くにあるという方におすすめの方法です。

郵送では、ファクタリング事業者に申し込み書が届くまでにある程度時間がかかる、申し込み書の内容に不備があったら手間がかかるという点に注意してください。

オンライン・窓口・電話・郵送のいずれの場合でも、申し込み完了後のキャンセルは困難です。

したがって申し込み手続き前に、契約内容をきちんと確認してください。

たとえば、審査なしで契約できる、相場を大きく下回る手数料を提示する、保証料や手付金などファクタリングには存在しない手数料を請求するといった事業者は、悪徳業者の可能性が高いので注意が必要です。

③必要書類の提出

契約までの流れの中の3番目の工程は、必要書類の提出です。一般的にはファクタリング事業者に以下の書類を提出します。

 身分証明書
 決算内容確認書類
 売掛先との取引基本契約書
 通帳のコピー
 見積書・発注書・請求書・納品確認書など
 印鑑証明書

代表者の身分を証明するために身分証明書が必要です。本人確認書類として自動車運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなどが使えます。

さらに、売掛債権の買い取りを望む会社(売主)は、決算書や試算表などを提出し、自社の経営状況をファクタリング事業者に証明します。

ファクタリング事業者が、売掛債権の存在や売掛先と継続的な取引があることを確認するために、売掛先との取引基本契約書が必要です。

さらに、事業者側が売掛債権の額、入金時期、会社と売掛先の取引関係などを確認するために、通帳のコピーや見積書・発注書・請求書・納品確認書などを提出します。

契約書に実印を押して契約するので、ファクタリング事業者の中には印鑑証明書の提出を求めるところがあり、必要であれば事前に用意してください。

④審査

契約までの流れの中の4番目の工程はファクタリング事業者による審査です。提出済みの書類に基づく審査と、ヒアリングによる審査がおこなわれます。

提出した書類から売掛債権の存在や金額、入金時期などは確認可能です。したがって、書類だけでは確認できない部分についてヒアリング調査がおこなわれます。

一般的にヒアリングで質問される内容は以下の通りです。
 自社の事業について
 売掛先の事業や自社との取引内容について
 自社がファクタリングで資金調達を希望する理由
 売掛先からのファクタリング利用についての承諾(3社間方式のみ)

審査の結果通知は早ければ即日、遅くて1週間程度かかる場合もあります。それぞれの事業者や契約内容により違いがあるのでその点をご理解ください。

⑤ 買い取り可能額や手数料率などの条件提示

ファクタリング事業者が審査の結果、売掛債権の買い取りができると判断すれば、次の工程としてファクタリング事業者から買い取り可能額や手数料率などの条件が提示されます。

買い取り可能額や手数料率を確認し納得できたなら、次は契約までの流れの最終工程です。

⑥契約

契約までの流れで最後におこなう作業は、ファクタリング事業者との契約です。

契約書に記載されている買い取り可能額や手数料率を含め、すべての項目をきちんと確認してください。

一般的な契約では2通の契約書が作成され、ファクタリング事業者と資金調達を希望する会社のそれぞれが契約書を1通ずつ保管します。

事業者によっては印紙代のコスト削減のため契約書の作成は1通だけというケースがあります。

そのようなケースでは将来のトラブル回避のために、もう1通の作成を依頼する、もしくは作成済みの契約書のコピーをもらうようにしましょう。

契約完了後には、買い取り金額から手数料を引いた金額が、自社の口座に入金されます。

相談から契約までの流れの中で、売掛先にファクタリングサービスの利用について承諾を得る必要はありません。これが2社間方式の大きな特徴の1つです。

【3社間方式】契約までの流れ

3社間方式による契約では、出来事の流れは以下のようになります。

① ファクタリング事業者への相談
② ファクタリングサービスの申し込み
③ 必要書類の提出
④ 審査
⑤ 買い取り可能額や手数料率などの条件提示
⑥ 契約
⑦ 売掛先への債権譲渡通知と承諾

工程①から⑥については2社間方式と3社間方式で流れは同じです。ただし、3社間方式の場合、流れの最終工程として、売掛先への債権譲渡通知と承諾が含まれます。

この売掛先への債権譲渡通知と承諾について説明を加えましょう。

売掛先への債権譲渡通知と承諾

3社間方式のファクタリングでは、契約後に資金調達を希望する会社から売掛先に対し、債権譲渡の通知をおこない、売掛金の支払先が自社からファクタリング事業者に変更になることを伝えます。

そして、債権譲渡について売掛先からの承諾が必要です。

債権譲渡に同意した売掛先は、その後、支払先変更の確認、売掛金についての資料提供、債権譲渡承諾書の記入とファクタリング事業者への郵送といった作業をおこないます。

この作業が完了すれば、ファクタリング事業者・サービス利用会社・売掛先が取り決めに合意したことを意味するので、3社間方式のファクタリング契約が成立となります。

3社間方式には、2社間方式の契約の流れの中にはない、債権譲渡通知と承諾という工程が含まれます。

流れの中でこの工程を必ず踏む必要があるので、3社間方式を選択した場合、2社間方式よりも売掛債権の現金化までに時間がかかるのが一般的です。

売掛先にファクタリングの利用が伝わる

3社間方式のファクタリング契約の流れを見るとわかるように、この方式を選択すれば売掛先にファクタリングで資金調達することが伝わります。

これにより、売掛先や取引先が、「あの会社は資金繰りが厳しく経営状態が悪い」と判断する可能性があります。

こうしたリスクを避けるために、3社間方式を利用する場合は、信頼できる売掛先の売掛債権のみを対象とするようにし、なおかつ売掛先に事前にファクタリングについて説明をおこないましょう。

また、売掛先からの承諾を得ることが困難なケースでは、売掛先からの承諾を必要としない2社間方式のファクタリングを選択することもできます。

ファクタリングの契約書を読む際の注意点

ファクタリング契約の流れについて説明してきましたが、この部分では契約書を作成する際に確認すべきポイントをいくつか紹介します。

以下のポイントに注意してください。
 償還請求権の有無
 債権譲渡通知の有無
 債権譲渡登記の必要性
 報告義務の有無
 損害賠償請求や遅延損害金
 ファクタリング手数料率
 契約解除の条件

償還請求権の有無

償還請求権とは、債務者が金銭債権の支払いをしなかった場合に、金銭債権をさかのぼり直接請求できる権利です。

契約までの流れの中で償還請求権の説明が無かったとしても、契約をするときは償還請求権の有無を確認してください。その確認を怠ると将来大きなリスクを被る可能性があるからです。

たとえば、償還請求権がある契約を結んだ場合、債務者(売掛先)によって債権(売掛金)が支払われなかったら、債権を譲渡した人(利用会社)にファクタリング事業者は弁済請求することが可能になるのです。

償還請求権がない契約では、売掛先が倒産したなどの理由でファクタリング事業者が売掛金を回収できなくても、サービス利用会社が責任を問われることはありません。

償還請求権の有無で、自社が弁済の責任を負うかどうかが決まるので、この点は契約書できちんと確認してください。

債権譲渡通知の有無

3社間方式のファクタリング契約なら売掛先に対して債権譲渡通知は必ずおこなわれます。

しかし、2社間方式の場合、売掛先への債権譲渡通知は不要です。これにより、ファクタリングサービスの利用が売掛先や取引先に伝わることはありません。

2社間方式を選択し、かつ売掛先や取引先にファクタリング利用を知られたくないのであれば、債権譲渡通知の有無について確認し、通知有ならば送付を一旦見合わせてもらうよう依頼してください。

債権譲渡登記の必要性

2社間方式では債権譲渡登記が求められる場合があります。

債権譲渡登記とは、法務局で手続きをすることで債権が誰の所有かを証明できるものです。

ファクタリング事業者は、二重譲渡の防止と売掛金使い込みへの対抗要件として債権譲渡登記を求めます。

登記情報は、法務局で閲覧可能なので、もしかすると金融機関や売掛先、その他の取引先にファクタリングサービスの利用が知られるかもしれません。

すべてのファクタリング事業者が債権譲渡登記を求めるわけではありませんが、もし債権譲渡登記を求められた場合、こうしたリスクがあることをあらかじめご理解ください。

報告義務の有無

契約書の中でサービス利用会社に対し、売掛先の状況について報告する義務を課しているケースがあります。

この報告義務を怠り、ファクタリング事業者側が何らかの損害を被った場合、損害賠償請求をされることがあるので注意してください。

損害賠償請求や遅延損害金

契約書に記載されている義務を果たさないと、損害賠償請求や遅延損害金が発生します。

たとえば、2社間方式では売掛金の回収はサービス利用会社が自社でおこないます。そして、それをファクタリング事業者に支払うという流れです。

サービス利用会社がファクタリング事業者に回収した売掛金の支払いを怠ったなら、「回収委託契約違反」となり、損害賠償請求される可能性が高いです。

契約違反行為があったなら、損害賠償請求とともに遅延損害金も発生します。契約する際には義務を果たせなかった場合のペナルティや支払金額についても確認してください。

ファクタリング手数料率

契約の際には手数料率についても注意してください。

ファクタリングによる資金調達で手元に残る資金は、買い取り金額から手数料を引いた金額です。したがって手数料率が高いとその分だけ手元に残る資金は減少します。

ファクタリング契約の方法や事業者を選ぶときは、手数料率の違いに注目すれば支出を抑えてファクタリングを活用することができるでしょう。

契約解除の条件

サービス利用会社側に契約違反があると契約解除となります。

たとえば、売掛金を回収したのにそれをファクタリング事業者に支払わないという行為は、回収委託契約違反になり契約解除となる可能性が高いです。

どのような行為が契約解除の条件になるのか、その条件が利用者側に過度に不利なものとなっていないかどうかを、契約時には確認してください。

ファクタリングサービス契約の流れについてのまとめ

本記事では2社間方式・3社間方式のファクタリングについて契約までの流れと各工程の内容を説明しました。

3社間方式では、契約の流れに「売掛先への債権譲渡通知と承諾」が含まれます。

したがって、売掛先にファクタリングサービスの利用が伝わることで、良くない印象を持たれるのが心配という経営者の方は、2社間方式でのファクタリングサービスの利用の検討をおすすめします。

2社間方式・3社間方式それぞれの契約までの流れを把握し、自社にふさわしいファクタリングサービスを選択してください。