リバースファクタリングで買掛金の支払い代行が可能|しくみについて解説
目次
買掛金を抱えていて、期日までに支払えないか不安に感じていませんか。
資金繰りの解決法のひとつが、リバースファクタリングです。
しくみを覚えておけば、いざというときに活用できます。
リバースファクタリングは、企業にとって最悪のシナリオを防げます。
買掛金を支払えず、債務不履行となって社会的信用を失くすと、倒産の危機が訪れるでしょう。
こうした事態を防ぐためのリバースファクタリングについて、今回は基本的な知識を紹介します。
ファクタリングの利用者は買掛金に悩むこともある
ファクタリングの利用者は、買掛金に悩むこともあるでしょう。
買掛金とは、取引先からサービスを受けたことによる、後払いの約束です。
たとえば商品や原材料の仕入れ、設備の購入などが買掛金になるでしょう。
企業によっては資金繰りが苦しくなり、買掛金を期日までに支払えるか不安なことがあります。
仮に支払えないと債務不履行となり、社会的信用を失うでしょう。
手形取引の場合だと、買掛金の期日を破ると不渡りになります。
2回目の不渡りにより、手形法等の規定で銀行取引が打ち切られるので、倒産のリスクが高まるのです。
以上から買掛金の期日内決済は、経営の継続に欠かせません。
手元の資金が足りないときは、ファクタリングの活用が選択肢になります。
ファクタリングによる買掛金の仕訳
ファクタリングによる買掛金の仕訳は、比較的難しくありません。
たとえば自社が他社から商品を仕入れ、200万円の買掛金が発生し、末日締め翌月20日払いの約束だとしましょう。
10月12日に仕入れた段階で、借方と貸方は以下のとおりです。
・借方:仕入200万円
・貸方:買掛金200万円
11月20日までに買掛金を決済すると、以下の内容に変わります。
・借方:買掛金200万円
・貸方:現金(銀行口座)200万円
以上の仕訳で買掛先がなくなり、自社は債務を履行した状態です。
買掛金に困っていればリバースファクタリングが選択肢
買掛金に困っている場合は、リバースファクタリングを検討しましょう。
通常のファクタリングで売掛金から資金調達し、買掛金の支払いに充てる企業もあります。
リバースファクタリングは、業者に買掛金を立て替えてもらい、あとで相当額を支払うしくみです。
定義やしくみについて、以下で解説します。
買掛金を立て替えてもらうサービス
リバースファクタリングが担う役割は、買掛金の立て替えです。
企業は取引先の買掛金の立て替えを、業者に立て替えてもらえます。
企業は後日、業者に立て替え金を支払わなければいけません。
以上から債務不履行を防ぐための選択肢です。
リバースファクタリングのポイントは、実質的な支払いサイトの先延ばしです。
利用すれば、業者が代わりに買掛金を取引先へ支払います。
立て替え金の支払い期日は、業者が買掛金を支払ったあとで決まるしくみです。
実質的な支払いサイトの延長により、企業は資金計画を見直せるでしょう。
買掛金の債務不履行への対策として、リバースファクタリングは有用です。
しくみを紹介
リバースファクタリングでは、買掛金を抱えている企業が利用者です。
通常のファクタリングでは売掛金を持ち込むことから、逆のパターンになります。
業者に依頼すれば、取引先に買掛金の支払いを代行してもらえます。
しかし支払い期日までに、立て替え金を業者へ支払わなければなりません。
ファクタリング業者は依頼を受けると、審査を行います。
審査で問題がなければ企業と契約し、取引先に買掛金を支払うしくみです。
後日企業から、立て替え分の資金を回収します。
取引先は企業に請求書を発行し、売掛金を抱えた状態です。
ファクタリング業者から買掛金を支払ってもらえば、必要資金の回収が完了します。
以上からリバースファクタリングは、通常の売掛金の譲渡と逆のしくみになっています。
リバースファクタリングの流れ
リバースファクタリングについて、詳しい流れを以下で見ていきましょう。
1.取引先が企業へ請求書を発行
2.企業がファクタリング業者へ依頼
3.業者は審査を行い、問題がなければ企業と契約する
4.業者が企業に代わり、取引先へ買掛金を支払う
5.利用者は業者へ買掛金の相当額を支払う
以上の流れで手続きは完了です。
企業は通常のファクタリングと違い、業者へ買掛金を支払わなければなりません。
そのため利用中は、慎重な資金管理が求められるでしょう。
リバースファクタリングのメリット3つ
リバースファクタリングには、経営改善につながる3つのメリットがあります。
利用により、多重債務を回避できるのもポイントです。
ここでは3つのメリットとして、以下を見ていきましょう。
1.資金繰りが安定する
2.支払い先を一本化できる
3.優良企業と取引しやすくなる
1.資金繰りが安定する
最初のメリットは、企業の資金繰りの安定化です。
リバースファクタリングの活用で、支払いサイトを一時的に延長できます。
支払い期限に余裕を持たせれば、資金繰りを改善しやすくなるでしょう。
支払いサイトの延長により、資金計画の見直しが可能です。
商品やサービスの買い手として、必要な資金を確保しやすくなります。
以上から買掛金の支払い代行を利用すれば、経営改善の猶予を持てるでしょう。
リバースファクタリングにより、企業の財務状況を見直すチャンスです。
支払いサイトの一時的な延長を活かし、資金調達の方法を考えましょう。
経営改善のきっかけとして、買掛金の支払い代行を業者に頼むことも選択肢です。
2.支払い先を一本化できる
リバースファクタリングの2つ目のメリットは、支払いをひとつにまとめられることです。
企業によっては、複数の外注先を抱えているでしょう。
すべての企業の同意を得られれば、支払いの一本化が可能です。
リバースファクタリングでは、業者が取引先へ買掛金の支払いを代行します。
企業は立て替えた分を業者へ支払わなければなりません。
そこで複数の買掛金を抱えている場合に、同じ業者へ買掛金の支払い代行を依頼した場合です。
立て替え分の支払い先は、常に同じファクタリング業者なので、支払いの一本化につながります。
企業として債務履行をしやすい点で、買掛金の支払い代行はおすすめです。
有効活用できれば、経費の決済がスムーズになるかもしれません。
3.優良企業と取引しやすくなる
最後のメリットは、優良企業と取引しやすくなる点です。
ファクタリング業者は買掛金の支払い代行の依頼を受けると、すぐに取引先へ必要分を支払います。
取引先から見れば、必要な支払いを早めに受け取れるのです。
以上から資金繰りを改善できる可能性があります。
企業は実質的に、買掛金の債務履行を早く済ませることになります。
債務履行の早さは、企業への高評価につながるのです。
以上から優良企業との取引機会が増えるケースも見られます。
支払いの遅延リスクを抑えられるので、企業と取引先の両方にとって安心できるでしょう。
リバースファクタリングを利用した結果、企業の評価が上がり、優良企業とコミュニケーションを取りやすくなります。
リバースファクタリングのデメリット3つ
リバースファクタリングでは、注意すべきデメリットもあります。
メリットとのバランスを考えながら、本当に利用すべきか考えましょう。
ここでは以下の3つのデメリットを紹介します。
1.でんさいがないと利用できない
2.自社も審査対象になる
3.対応企業が多くない
でんさいがないと利用できない
リバースファクタリングを使おうと思ったら、でんさいを導入しなければなりません。
「電子記録債権」の略称で、手形や売掛金の電子化を通し、債権取引をスムーズにします。
電子化で手続きが簡略化できるため、積極的に活用する企業もあるのです。
業者に買掛金の支払い代行を依頼するなら、でんさいが欠かせません。
でんさいの導入にも、審査の通過が必要です。
企業の経営状況がよくないと、利用を断られることもあります。
以上からリバースファクタリングを利用する前に、企業の信用力を上げなければいけません。
信用力が不十分だと、でんさいを導入できず、買掛金の支払い代行も頼めないからです。
でんさいを導入していない場合、通常のファクタリングで資金を調達し、買掛金の支払いに充てましょう。
自社も審査対象になる
リバースファクタリングの注意点として、自社も審査対象になります。
通常のファクタリングは、売掛先の信用力が主な審査基準です。
しかしリバースファクタリングは、自社の信用力が不十分だと、審査に落ちるかもしれません。
業者に買掛金の支払いを代行してもらった場合、企業がその分を業者へ支払わなければなりません。
そのため企業には、十分な支払い能力が問われます。
仮に財務状況に問題があれば、支払えないリスクから、業者が協力を断るでしょう。
リバースファクタリングは通常と違い、企業の信用力が主な審査基準です。
取引先が健全でも、自社の財務状況に問題があれば、利用は難しいでしょう。
信用力を上げるには、経費削減や増収などを通し、資金力を高めるしかありません。
以上から企業が健全でない限り、リバースファクタリングは利用しにくいといえます。
対応企業が多くない
最後のデメリットは、対応企業が少ないことです。
リバーズファクタリングは、ファクタリングのなかであまり知られていません。
そのため取扱業者を見つけにくいでしょう。
依頼先を選ぶとき、複数の業者を比較検討する企業もあります。
しかしリバースファクタリングは選択肢が少ないため、比較検討が難しいかもしれません。
どうしても利用が必要な場合、インターネット検索だけでなく、他社との情報共有も試しましょう。
情報共有を通して、リバースファクタリングの取扱業者が見つかることもあるからです。
まとめ
リバースファクタリングは通常と違い、買掛金の支払い代行を業者へ依頼します。
代行してもらったあと、企業は期日までに立て替え分を支払わなければいけません。
そのため利用中は、慎重な資金計画が重要です。
一方リバースファクタリングにより、買掛金の決済を早められることがあります。
取引先は早めに資金を受け取れるので、企業に対する評価が上がるかもしれません。
うまく活用できれば、資金繰りの改善だけでなく、優良企業との取引も期待できるでしょう。