ファクタリングはキャッシュフローの改善にも効果的！利用する際の注意点についても解説
目次
キャッシュフローとは何か
キャッシュフローは、一言で表すと「現金」の流れのことです。
具体的には、企業が得た収入と支出の差異を示しており、事業の健全性を評価するうえで重要な要素となっています。
キャッシュフローはあくまでも「現金」の流れを表すため、営業上の黒字・赤字と合致するとは限りません。
例えば、掛け取引を主としている場合、商品・サービスの提供から代金の受け取りまでに30～60日ほどの期間を要します。
この際、営業活動としては黒字ですが、支払期日までのキャッシュフローは赤字となります。
このように、キャッシュフローは営業活動における黒字と合致しないこともあるので、維持・改善することが難しいです。
キャッシュフローが悪化してしまうと、黒字でも手元資金が減っていき、黒字倒産になるリスクがあります。
キャッシュフローを維持するためには、以下の3種類の見方に分けて考えることがポイントです。
営業活動でのキャッシュフロー
投資活動でのキャッシュフロー
財務活動でのキャッシュフロー
営業活動でのキャッシュフローとは、企業の営業活動における現金の流れのことです。
営業活動でどれだけの収入（利益）を得ることができたか、また仕入費用や人件費など、どれだけの支出（コスト）が発生したかという流れを指します。
投資活動でのキャッシュフローは、企業が本業以外の投資運用でどれだけの利益を得ることができたか、また設備投資などにいくら支出したかなどを指します。
財務活動でのキャッシュフローは、主に借入や株式の発行など、資金調達に関する現金の流れのことです。
また、資金調達による現金の増加だけでなく、借入金に対する返済や配当金の支払いなどの支出も含まれます。
キャッシュフローの良し悪し
キャッシュフローが良い・悪いとは、具体的にどのような状況なのでしょうか。
本章では、キャッシュフローが良いときと悪いときの状況について解説していきます。
キャッシュフローが良いとき
キャッシュフローが良いときとは、手元に十分な現金があり、仕入費や人件費などの支払いを難なく行える状況のことを指します。
また、借入金に対する返済や無理な投資で資金繰りが悪化していないかという点もポイントです。
キャッシュフローが良いときは、手元に十分な現金があるため、仕入費や人件費の支払いに困ることがありません。
借入金に対する返済も無理のない範囲で行えるので、資金繰りが悪化することもないでしょう。
キャッシュフローが悪いとき
一方、キャッシュフローが悪いときとは、手元に使える現金が少ない状態のことです。
キャッシュフローが悪いときは、収入と支出の割合が悪く、どれだけ収入を得ても現金がなくなってしまう状態に陥っていると考えられます。
例えば、営業活動において赤字となっているケースでは、収入が支出よりも低いわけですから、どのようなやりくりをしてもキャッシュフローが悪くなってしまいます。
営業活動が黒字の場合でも、売掛金の回収を予定通り行えていなければ、手元の現金が不足し、キャッシュフローが悪くなります。
キャッシュフローが悪くなる原因
キャッシュフローが悪くなる主な原因は以下の通りです。
①：営業活動での赤字
営業活動での赤字は、キャッシュフローの悪化につながります。
ほとんどの企業は、営業活動での利益が主な収入源です。
しかし、営業活動で赤字の状態に陥っており、収入よりも支出が上回ってしまえば営業活動でのキャッシュフローがマイナスになり、全体のキャッシュフローも悪化してしまう可能性があります。
原因として一番多いのは売上の低下ですが、人件費や仕入費などのコスト増加によって赤字になってしまうことも考えらます。
営業活動での赤字を改善するためには、定期的に支出の見直しを行い、無駄なコストを削減していくことが重要です。
②：売掛金の支払いサイト
売掛金の支払いサイトも、キャッシュフローが悪化する原因になりえます。
日本における企業間取引は掛け取引が主流です。
掛け取引には、商品・サービスの提供から代金の支払いまでに30～60日ほどの支払いサイトが存在するため、すぐに現金を受け取ることができません。
しかし、企業は売掛金を受け取るまでの期間も人件費や仕入費などの支出があります。
この際、売掛金の支払期日よりもコストの支出日が先に来た場合、手元資金が不足し、キャッシュフローが悪化してしまう可能性があります。
③：売掛金の貸し倒れ
売掛金の貸し倒れも、キャッシュフローが悪化する原因です。
売掛金の支払期日や金額が確定していても、支払期日までの期間に売掛先が倒産や経営悪化に陥ってしまった場合、売掛金は貸し倒れになってしまいます。
売掛金が貸し倒れになってしまうと、次回の仕入費や人件費どころか、売上を上げるためにかかったコストも回収できないので、キャッシュフローが悪化してしまいます。
場合によっては、売掛金の貸し倒れが原因で倒産に陥ることも考えられるでしょう。
④：返済金額の増加
借入額の増加に伴い、毎月の返済金額が増えてしまうことも、キャッシュフローが悪化してしまう原因になります。
多額の資金が必要となる設備投資などを行う際、金融機関からの融資を検討される方が多いかと思います。
この際、無理な返済計画を立て、毎月の返済金額が増加してしまうと、キャッシュフローを悪化させてしまう可能性があります。
また、設備投資が必ずしも売上につながるとは限りません。
設備投資が売上につながらず返済だけ残るといったケースも、キャッシュフローが悪化してしまう原因になります。
⑤：在庫過多
商品が思ったように売れず過剰な在庫を抱えてしまうことも、キャッシュフローが悪化してしまう原因になります。
在庫は企業の資産ではあるものの、現金の資産ではありません。
売掛金の保有と同じく、現金ではない資産を多く保有していることは、キャッシュフローの悪化につながる可能性があります。
また、過剰な在庫を抱えてしまうと、それらを管理するための家賃や人件費が発生するので、支出の増加によるキャッシュフローの悪化も考えられます。
キャッシュフローの悪化を改善する方法
キャッシュフローが悪化した際の改善方法は一つではありません。
自社の状況に応じて、取り入れる改善方法を適切に選択することが大切です。
本章では、キャッシュフローの悪化を改善する方法ついて解説していきます。
①：利益を増やす
キャッシュフローの改善方法として、最もシンプルなのが利益を増やすことです。
利益を増やすことができれば、借入金に対する返済や設備投資でキャッシュフローが悪化していたとしても改善することができます。
利益を増やす方法としては「売上を増やす」もしくは「コストを削減する」ことが挙げられます。
企業としての理想は「売上を増やす」ことです。
売上を増やすことができれば、キャッシュフローの改善だけでなく、企業としての評価も高めることができます。
売上を増やせる見込みが少ない場合は「コスト削減」を進めていくことが大切です。
家賃や仕入費などのコストを削減することで、より多くの利益を残すことができます。
②：資産の売却
使っていない土地や過剰な在庫などの資産を売却することも、キャッシュフローの改善につながります。
土地や在庫を売却する際は、基本的に購入時よりも金額が下がります。
利益として考えるとマイナスですが、売上につながる見込みがない資産の売却はキャッシュフローとしてはプラスです。
特に保有しているだけで毎月支出が発生する資産は、早期の売却をおすすめします。
資産の売却によって現金を得ることができるうえ、コストも削減できるので、キャッシュフローの改善につながります。
③：収入は早めに、支出は遅めを心掛ける
収入は早めに、支出は遅めに、を心掛けることでキャッシュフローを改善できます。
分かりやすく例えると、売掛金の回収を早め、仕入費用などのコストの支払いをできるだけ遅らせるということです。
この方法を実施することで、企業は長期間にわたって現金を保有することができます。
手元資金が多ければ急な支出にも対応できるようになり、キャッシュフロー悪化の危険性を下げることができます。
④：資金繰り表の作成
資金繰り表とは、企業の現金の流れを記録した表のことです。
資金繰り表を作成することで現金の流れを視覚化でき、自社のキャッシュフローを正確に把握できるようになります。
一般的な企業が作成している会計上の帳簿は、未回収の売上も含めた利益を計上しているものです。
保有している現金とはズレが生じるので、キャッシュフローの悪化に気づかないことも珍しくありません。
対して資金繰り表は、「現金」のみを記録する帳簿なので、キャッシュフローの悪化にいち早く気づくことができます。
キャッシュフローの悪化が予測される際は前もって対策をとることができるので、キャッシュフローの改善につながります。
⑤：売掛金の早期現金化
売掛金を早期に現金化することで、キャッシュフローを改善できます。
売掛金は発生してから回収までに30～60日ほどかかります。
また、売掛金の支払期日や金額は取引を行う両者間の信用で成り立っているので、売掛先の経営悪化によって回収が遅れてしまう可能性もあります。
売掛金の回収が遅れてしまうと、人件費や家賃の支出によって手元資金が減少し、キャッシュフローが悪化してしまうことになります。
このような事態を避けるためにも、売掛金はできるだけ早く回収する、もしくはファクタリングを利用して現金化することがポイントです。
ファクタリングがキャッシュフローの改善に効果的な理由
ファクタリングは、保有する売掛金を早期に現金化できるサービスです。
売掛先との取引で発生した売掛金を最短即日で現金化することができます。
本章では、ファクタリングがキャッシュフローの改善に効果的な理由について解説していきます。
①：最短即日で資金調達できる
ファクタリングでは最短即日で資金調達を行うことができます。
キャッシュフローが悪化している状態では、仕入費や人件費などの支払いが滞ってしまう可能性があるので、早急な資金調達が求められます。
資金調達方法として一般的に活用されるのは「金融機関からの融資」ですが、申し込みから融資実行までには最低でも2週間、長ければ1か月以上かかることも珍しくありません。
資金調達までに時間を要してしまえば支払いが滞り、倒産に陥ってしまうこともあるでしょう。
しかし、ファクタリングを活用すれば、最短即日で資金調達することが可能です。
短期間で手元資金を増やせるので、キャッシュフローの改善に効果的です。
②：売掛金の未回収を回避できる
ファクタリングを利用すれば、売掛金の未回収を回避できます。
売掛先の経営悪化や倒産によって売掛金の未回収が発生した場合、多大な損失を受けることになります。
本来入る予定だった収入がなくなるわけなので、キャッシュフローも悪化してしまうでしょう。
しかし、ファクタリングは基本的に「償還請求権なし」の契約なので、売掛金の未回収を事前に回避することができます。
償還請求権とは、売掛金が未回収になった際に元の債権者（利用者）に弁済を求めることができる権利です。
償還請求権なしのファクタリングを利用すれば、売掛金を譲渡した時点で未回収リスクもファクタリング会社に移行するので、利用者は確実に売掛金を回収できます。
ファクタリングを利用して売掛金の未回収を回避することにより、企業はキャッシュフローの悪化を防ぐことができます。
③：経営状況が悪くても利用できる
ファクタリングは経営状況が悪くても利用できます。
融資を申し込んだ際の審査では、利用者の経営状況や信用情報が重視されます。
利用者の経営状況も審査に影響を与えるので、キャッシュフローが悪化している状況では審査に通過できない可能性が高いです。
しかし、ファクタリングでは利用者ではなく、売掛先の信用力が重視されます。
なぜなら、ファクタリング会社は利用者から買取った売掛金を売掛先から回収する必要があるからです。
利用者の経営状況や信用情報が審査に与える影響は極めて小さいので、キャッシュフローが悪化している状況でも問題なく利用できます。
キャッシュフローの改善にファクタリングを活用する際の注意点
上述したような理由から、ファクタリングはキャッシュフローの改善に効果的です。
ただ、活用する際にいくつか注意しなければいけない点があります。
本章では、キャッシュフローの改善にファクタリングを活用する際の注意点について解説していきます。
①：手数料の発生
ファクタリングを利用する際は、必ず手数料が発生します。
手数料の金額は売却する売掛金が持つ未回収リスクによって変動しますが、本来受け取る予定だった売掛金の金額が少なくなってしまうことは理解しておかなければいけません。
また、手数料が高すぎると収入が減ってしまい、キャッシュフローの改善につながらない可能性も考えられます。
そのため、ファクタリングを利用する際は、できるだけ手数料を抑えることが重要です。
手数料を抑える方法としては、未回収リスクが低い売掛金を売却する、オンラインファクタリングを活用するなどがあります。
また、複数のファクタリング会社に申し込みを行い、手数料を比較してみることもポイントです。
②：売掛先との関係性悪化
ファクタリングを利用することで、売掛先との関係性が悪化してしまう可能性があります。
ファクタリングは比較的新しいサービスであり「資金繰りに困ったら利用するサービス」との認識を持っている方が多いです。
そのため、ファクタリングの利用が売掛先に知られてしまうと、「キャッシュフローに問題があるのでは？」と疑念を抱かれてしまい、関係性が悪化してしまう危険性があります。
場合によっては、取引の縮小や停止を申し立てられ、売上の低下によるキャッシュフローの悪化を引き起こしてしまうかもしれません。
売掛先にファクタリングの利用を知られたくない場合は、売掛先が取引に参加しない2者間ファクタリングやオンラインファクタリングの利用をおすすめします。
ファクタリングはキャッシュフローの改善にも効果的！利用する際の注意点についても解説のまとめ
今回は、キャッシュフローが悪化する原因や改善方法、改善に効果的なファクタリングについて解説させていただきました。
キャッシュフローを維持・改善するためには、資金繰り表を作成し、常日頃から悪化の危険性が潜んでいないか確認することが重要です。
もし悪化してしまいそうな場合は、ファクタリングをはじめとする様々な改善方法を駆使していきましょう。