売掛金買取サービスを利用するメリット・デメリットについて詳しく解説！
目次
売掛金買取サービスとは
売掛金買取サービスとは、保有する売掛金を買取業者に売却して資金調達できるサービスです。
通常、売掛金を回収するまでには商品・サービスの提供から30日～60日ほどの期間を要します。
しかし、売掛金を請求できる権利である「売掛債権」を買取業者に売却すれば、最短即日で売掛金を現金化することが可能です。
また、売掛金買取サービスでは基本的に「償還請求権なし」の契約が締結されます。
償還請求権とは、債権の未回収が発生した際に元の債権者に弁済を求めることができる権利のことです。
売掛金買取サービスでは、買取業者に債権を譲渡した後に未回収が発生しても業者から弁済を求められることがありません。
そのため、売掛金の未回収リスクを回避する目的でも利用されています。
売掛金買取サービスは、資金繰りがシビアである中小企業を中心に人気を集めており、資金調達及びリスクヘッジの手段として活用されています。
売掛金買取サービスの契約方式
売掛金買取サービスには、2つの契約方式があります。
それぞれの契約方式によって、利用の流れや資金調達スピード、手数料が異なります。
本章では、売掛金買取サービスの2つの契約方式について詳しく解説していきます。
2者間で行う売掛金買取
2者間の売掛金買取サービスは、利用者と買取業者の2社で取引を行います。
売掛先が取引に参加しないため、素早く手続きを進めることが可能です。
利用する買取業者によっては、即日で売掛金を現金化できる場合もあります。
ただ、売掛金の支払いは通常どおり売掛先から利用者に行われるため、利用者による売掛金の使い込み・持ち逃げのリスクが生じます。
買取業者としては、売掛金が未回収になってしまうリスクが高まるので、高めの手数料設定をしなければいけません。
しかし、即日で資金調達できる可能性があることや、売掛先に知られずに債権を譲渡できることから、3者間の売掛金買取サービスよりも多く利用されています。
3者間で行う売掛金買取
3者間の売掛金買取サービスは、利用者と買取業者、売掛先の3社で取引を行います。
2者間の取引とは異なり、売掛先が取引に参加することが最大の特徴です。
売掛金買取を依頼する際は、必ず売掛先の承諾が必要となります。
2者間の取引にはない手続きが発生するため、売掛金の現金化までには時間を要します。
また、売掛先から資金繰りが悪いと思われ、取引規模の縮小や取引停止を求められる可能性も否定できません。
ただ、買取業者にとっては売掛先が取引に参加することで売掛金の未回収リスクを下げることができるため、2者間での取引よりも安い手数料を設定することができます。
従って、3者間の売掛金買取サービスは、手数料を抑えたい方におすすめの契約方式だといえます。
売掛金買取サービスを利用する5つのメリット
ここまで売掛金買取サービスの概要や契約方式について解説してきましたが、実際のところ利用することでどのようなメリットを得られるのでしょうか。
本章では、売掛金買取サービスを利用する5つのメリットについて解説していきます。
①即日で資金調達できる
売掛金買取サービスでは、即日で資金調達することが可能です。
通常、売掛金の回収には商品・サービスの提供から30日～60日ほどの期間が必要です。
売掛金の支払いを早めてもらうことも難しいため、支払期日までの期間は資金繰りが悪化している事業者にとって苦しい期間となるでしょう。
しかし、売掛金買取サービスを利用すれば、売掛金を最短即日で現金化できます。
売掛金を早めに回収することで、資金繰りの改善や事業拡大のための投資などに活用できます。
②審査に通りやすい
売掛金買取サービスの審査に通過することは比較的簡単です。
なぜなら、融資やカードローンなどの一般的な資金調達方法と審査基準が異なり、売掛先の信用力が重視されるからです。
利用者側の信用情報や経営状況が審査に与える影響は極めて小さいため、債務超過や赤字決算に陥っている方でも利用できる可能性があります。
そのため、売掛金買取サービスは、信用情報や経営状況に問題を抱えていて融資やカードローンを利用できない方にもおすすめです。
③リスク管理にも役立つ
売掛金買取サービスは、売掛先との取引におけるリスク管理にもつながります。
なぜなら、売掛金買取サービスでは、基本的に「償還請求権なし」の契約が締結されるからです。
償還請求権とは、債権の未回収が発生した際に元の債権者に弁済を求めることができる権利ですが、売掛金買取サービスでは買取業者側にこの権利がありません。
そのため、利用者は売掛金売却後に未回収が発生したとしても、買取業者から弁済を求められることがないのです。
裏を返せば、売掛金買取サービスを利用すれば、確実に売掛金を回収できることになります。
掛け取引では、売掛先の経営悪化や倒産によって売掛金を回収できず、損失を受けてしまうケースも珍しくありません。
リスク管理方法に悩まれている方は、売掛金買取サービスを利用するのもよいでしょう。
④信用情報に傷がつかない
売掛金買取サービスは資金調達方法の一つですが、利用することで信用情報に傷がつくことはありません。
なぜなら、融資を利用する際に締結する「金銭消費貸借契約」ではなく、「債権の売買契約」を締結するからです。
分かりやすく例えると、保有する自動車を中古車買取業者に売却するようなイメージです。
融資を利用した場合は、申し込みを行った事実から借入金額、返済状況まで、全ての情報が信用情報として登録されます。
もし、返済を延滞してしまった場合は、信用情報が傷つくことになり、今後の融資の審査などに影響を及ぼします。
しかし、売掛金買取サービスでは、利用の事実すら信用情報に登録されることはありません。
そのため、信用情報への影響を心配することなく、安心して利用できます。
⑤担保・保証人が不要
売掛金買取サービス利用時は、担保・保証人を用意する必要がありません。
なぜなら、担保・保証人の設定を伴う取引を行うためには、貸金業登録を行う必要があるからです。
売掛金の買取業者は、基本的に貸金業登録を行っている事業者ではありません。
そのため、利用者に対して担保・保証人の設定を求めることができないのです。
利用者は、申し込み時に担保・保証人を用意する必要がないため、少ない手間で利用できます。
売掛金買取サービスの2つのデメリットと対策
上述したように、売掛金買取サービスには様々なメリットがあります。
しかし、利用者にとってデメリットとなってしまう点があることも事実です。
デメリットに関しては利用前に把握して、これから解説する対策を実施するようにしましょう。
本章では、売掛金買取サービスの2つのデメリットと対策について解説していきます。
①手数料の発生
売掛金買取サービスを利用する際は、必ず買取業者に対して支払う手数料が発生します。
手数料の相場は、2者間での取引で10%～20%、3者間の取引で1%～9%ほどです。
例えば、100万円の売掛金を手数料10%で売却する場合、10万円の手数料が発生することになります。
本来受け取れる売掛金の金額が少なくなってしまうため、資金繰りが悪化してしまう可能性があるのです。
ただ、手数料は以下の対策を行うことによって安く抑えることもできます。
対策①：手数料が安い買取業者を利用する
手数料を抑えるためには、手数料が安い買取業者を利用することがポイントです。
売掛金買取サービス利用時に発生する手数料は、買取業者ごとの審査基準に応じて設定されます。
厳しめの審査基準を設けている買取業者では高めの手数料が、緩い審査基準を設けている買取業者では比較的安い手数料が設定されることになります。
そのため、手数料を抑えるためには、手数料の安さに定評のある買取業者を見つける必要があります。
対策②：未回収リスクが低い売掛金を使用する
次の対策は、未回収リスクが低い売掛金を使用することです。
売掛金買取サービスにおける手数料は、買取対象の売掛金の未回収リスクに応じて設定されます。
なぜなら、買取業者は買取後の売掛金が未回収になった場合、全ての損失を受けるからです。
裏を返せば、買取業者の損失リスクが低くなればなるほど、安い手数料を設定することができます。
そのため、売掛金買取サービスの手数料を抑えるためには、未回収リスクが低い売掛金を使用することがポイントです。
②資金調達できる金額に限界がある
売掛金買取サービスでは、資金調達できる金額に限界があります。
なぜなら、その名の通り売掛金をそのまま現金化するサービスだからです。
実際に買取業者から受け取れる金額は、売掛金から手数料が差し引かれた金額となります。
そのため、資金調達を希望する金額よりも売掛金の金額が低い場合は、満足のいく資金調達を行うことはできません。
売掛金買取サービスを利用して満足のいく資金調達を行うためには、以下の対策を行う必要があります。
対策①：複数の売掛金を現金化する
1の売掛金で希望金額に達しない場合は、複数の売掛金を現金化するようにしましょう。
売掛金買取サービスでは、審査さえ通過すれば何個でも売掛金を現金化できます。
いくつかの売掛金を組み合わせて現金化できれば、希望金額を資金調達できる可能性があります。
ただ、複数の売掛金を現金化する場合は、資金繰りの悪化に要注意です。
売掛金の本来の支払期日に得られる収入がなくなるため、資金繰りが悪化してしまう可能性があります。
複数の売掛金を現金化する場合は、きちんと資金繰り計画を立てるようにしましょう。
対策②：他の資金調達方法を利用する
売掛金買取サービスで希望金額を調達できない場合は、他の資金調達方法を利用することも一つの手です。
融資やカードローンの審査に通過することができれば、高額な資金調達を実現できる可能性があります。
ただ、融資やカードローンなどの「借入」による資金調達は、信用情報への影響が懸念されるため、売掛金買取サービスと併用することをおすすめします。
売掛金買取サービスを利用するメリット・デメリットについて詳しく解説！のまとめ
今回は、売掛金買取サービスを利用するメリット・デメリットについて解説させていただきました。
売掛金買取サービスは、早急な資金調達だけでなく、リスク管理にも役立つ資金調達方法です。
有効に活用できれば、様々なメリットを得られるでしょう。
ただし、手数料には要注意です。
高額な手数料は資金繰りを悪化させる要因となってしまうため、できるだけ安い手数料で利用できる買取業者を見つけるようにしましょう。