償還請求権なしのファクタリングで売掛金の貸し倒れリスクを回避！
目次
償還請求権とは
償還請求権とは、債務者から金銭債権が支払われないときに、最初の債権者に対して弁済を求めることができる権利のことで、「リコース」や「遡求権」と呼ばれることもあります。
ファクタリングで例えると、利用者から買取った売掛金が貸し倒れに陥った際に、ファクタリング会社が利用者に対して弁済を求めることができる権利ということになります。
ファクタリングを利用する際は、この「償還請求権」が契約内容に含まれているかが非常に重要な問題となります。
償還請求権ありの契約だった場合、売掛金の未回収が発生した際には、ファクタリング会社から未回収分の売掛金を請求されることになります。
ファクタリング利用後のストレスと軽減するためにも、ファクタリングの契約は償還請求権なしをおすすめします。
ファクタリングの契約内容は償還請求権の有無によって異なる
ファクタリングの契約には、償還請求権ありの「リコースファクタリング」と償還請求権なしの「ノンリコースファクタリング」があります。
2つの契約の違いは、どちらに売掛金の貸し倒れリスクがあるかです。
契約内容で後悔しないためにも、2種類の契約内容について詳しく見ていきましょう。
【償還請求権あり】リコースファクタリング
リコースファクタリングは貸金業に該当するため、銀行や貸金業者が提供するファクタリングサービスに多く見られます。
償還請求権ありのリコースファクタリングで契約した場合、売掛金の貸し倒れリスクは利用者側が負うことになります。
また、売掛金を現金化する通常のファクタリングではなく、融資と判断されており、手数料ではなく利息が発生することになります。
この場合の利息は、利息制限法に基づいて設定されることになるため、上限となる金利が決まっています。
通常のファクタリングのように、青天井に手数料を設定されることがないため、場合によっては手数料を抑えることができます。
【償還請求権なし】ノンリコースファクタリング
ノンリコースファクタリングは、民間企業が運営する独立系ファクタリング会社で多く見られる契約内容です。
償還請求権なしのノンリコースファクタリングで契約した場合、売掛金の売却と同時に貸し倒れリスクもファクタリング会社に移転することができます。
売掛金の貸し倒れが発生した場合でも、ファクタリング会社がすべての損失を受けることになり、利用者に支払い義務が生じることはありません。
ファクタリング利用時の費用は「手数料」となり、各ファクタリング会社の審査基準によって設定されます。
償還請求権ありのメリット・デメリット
償還請求権ありのファクタリングの実態は、売掛債権を担保にした融資です。
ファクタリング取引後も利用者が貸し倒れリスクを負わなければいけないため、デメリットが多いように思われがちですが、メリットとなる面もあります。
本章では、償還請求権ありのメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
メリット①：安心感が高い
償還請求権ありのファクタリングでは、社会的信用が高い金融機関や貸金業者と契約を結びます。
地元からの信頼が厚い金融機関や名の知れた貸金業者が契約相手となるため、安心感が非常に高いといえます。
対して、償還請求権なしの契約を締結するファクタリング会社のなかには、高額な手数料を請求したり、違法な取り立てを行う悪質なファクタリング会社が存在します。
償還請求権ありのファクタリングでは、上記のような悪質なファクタリング会社を利用してしまう心配がないため、安心してファクタリングを利用することができます。
メリット②：費用が安い
償還請求権ありのファクタリングでは、売掛金の貸し倒れリスクを利用者側が負います。
債権者にあたる金融機関や貸金業者が、売掛金の貸し倒れによって損失を負うことがないため、償還請求権なしのファクタリングよりも費用を抑えることができます。
また、利息制限法によって上限金利が定められているため、どれだけ売掛金の信頼性が低くても、請求される金利の上限が決まっています。
デメリット①：売掛金の貸し倒れリスクを負わなければいけない
償還請求権ありのファクタリングにおける最大のデメリットは、売掛金の貸し倒れリスクを負わなければいけない点です。
ファクタリングの利用によって資金調達した後も、売掛先が売掛金の支払いを終えるまで安心することができません。
場合によっては、売掛先に対して支払いを促さなければいけないケースもあります。
売掛金の支払期日まで安心できないことは、償還請求権ありのファクタリングにおけるデメリットだといえるでしょう。
デメリット②：資金調達までに時間がかかる
上述したように、償還請求権ありのファクタリングにおける契約相手は、金融機関や貸金業者です。
金融機関や貸金業者が提供するファクタリングサービスでは、審査に時間がかかることが多く、資金調達までに数週間待たなければいけないことも珍しくありません。
ファクタリングの最大の魅力である「素早い資金調達」を実現できないことは、利用者にとってデメリットだといえるでしょう。
デメリット③：利用者の信用力も審査される
償還請求権ありのファクタリングは、実質売掛債権を担保とした融資であるため、利用者の信用力も審査で重視されることになります。
そのため、債務超過や赤字決算、税金滞納などの問題を抱えている場合は、償還請求権ありのファクタリングを利用できない可能性が高いです。
償還請求権なしのメリット・デメリット
償還請求権なしのファクタリングは、基本的に独立系ファクタリング会社がサービスを提供しています。
ファクタリング会社ごとに独自の審査基準を持っており、素早い資金調達が可能です。
本章では、償還請求権なしのメリット・デメリットについて解説していきます。
メリット①：最短即日で資金調達できる
償還請求権なしのファクタリングサービスを提供する独立系ファクタリング会社は、金融機関や貸金業者が提供する償還請求権ありのファクタリングよりも審査スピードが早い傾向にあります。
審査状況によっては、最短即日で資金調達することが可能であり、遅くとも数日以内には審査が完了します。
申し込みから契約までの手続きが非常に素早いため、資金繰りの悪化や急な支払いなど、緊急性の高いケースで活用することができます。
メリット②：信用情報が悪くても利用できる
償還請求権なしのファクタリングにおける審査では、売掛先の信用力が重視されます。
自社の信用情報や経営状況が審査に与える影響は少ないため、償還請求権ありのファクタリングや融資の審査に落ちてしまった場合でも、利用できる可能性があります。
特に債務超過や赤字決算など、償還請求権ありのファクタリングや融資の審査においてマイナスとなる要素を抱えている企業にとっては、大きなメリットだといえるでしょう。
メリット③：売掛金の貸し倒れリスクを回避できる
償還請求権なしのファクタリングにおける最大のメリットは、売掛金の貸し倒れリスクを回避できる点です。
償還請求権なしのファクタリングでは、売掛金の売却と同時に貸し倒れリスクもファクタリング会社に移転するため、利用者は確実に売掛金を回収することができます。
資金繰りが悪化しているなど、売掛金を絶対に回収しなければいけないケースにおいては、非常に有効だといえるでしょう。
デメリット①：手数料に関する法律が整備されていない
償還請求権なしのファクタリングは、償還請求権ありのファクタリングと異なり、手数料に関する法律が整備されていません。
そのため、ファクタリング会社はどれだけ高額な手数料を設定しても違法にはならないのです。
しかし、法律が整備されていないファクタリングの手数料にも、相場となるものがあります。
償還請求権なしのファクタリングにおける手数料相場は、2社間ファクタリングで10%～20%、3社間ファクタリングで1%～9%ほどです。
ほとんどのファクタリング会社は、上記の相場内で手数料を設定してくれます。
ただし、ファクタリングの手数料は金利に換算すると年利100%を超えることも珍しくなく、資金繰り悪化の原因にもなりえます。
償還請求権なしのファクタリングを利用する際は、複数の会社で相見積もりを取り、手数料が安いファクタリング会社を利用するようにしましょう。
デメリット②：悪質なファクタリング会社が存在する
償還請求権なしのファクタリングサービスを提供するにあたっては、貸金業登録を行う必要がありません。
独立系ファクタリング会社は、資金さえあれば誰でも開業することができるため、なかには悪質な業者も存在します。
悪質なファクタリング会社は、相場を超える高額な手数料を請求してきたり、違法な取り立てを行ってきます。
資金繰りの悪化やトラブルを招いてしまう可能性もあるため、何としても利用は回避しなければいけません。
悪質なファクタリング会社の利用を回避するためには、ファクタリング会社の実績や口コミを確認する、記載されている住所に実在しているか確認することが重要です。
ファクタリングは基本的に「償還請求権なし」で利用できる
一般的なファクタリングでは「債権譲渡契約」を締結します。
そのため、貸金業者以外が提供するファクタリングサービスは、基本的に償還請求権なしで利用することができます。
ファクタリングを利用する際、償還請求権の有無で悩まれる方も多いかもしれませんが、契約後の安心感を重視したいのであれば、間違いなく償還請求権なしのファクタリングがおすすめです。
上述したように、償還請求権なしのファクタリングでは、売掛金の貸し倒れリスクを負う必要がないため、売掛金売却後は安心して業務に集中することができます。
償還請求権なしのファクタリングで売掛金の貸し倒れリスクを回避！のまとめ
今回は、償還請求権の概要と償還請求権あり・なしのメリット・デメリットについて解説させていただきました。
償還請求権なしのファクタリングは、資金調達後の安心感が高いメリットがあります。
貸し倒れリスクが高い売掛先との売掛金でも、ファクタリングの審査に通過することができれば、確実に売掛金を回収することが可能です。
対して、償還請求権ありのファクタリングでは、利用者が売掛金の貸し倒れリスクを負わなければいけません。
売掛金の支払期日まで安心することができず、資金調達した資金を思うように活用できないケースもあるでしょう。
ファクタリングで資金調達した現金を自由に使いたい場合や、貸し倒れリスクを回避したい場合は、償還請求権なしのファクタリングを利用するようにしましょう。