ファクタリング情報

ファクタリングにおける対象債権は?保有している債権がファクタリングできるか確認しよう!

債権の種類

まず、債権とは相手に特定の行為をさせる権利を指します。
商取引における債権とは、商品・サービスを提供した後に代金を受け取ることができる権利のことです。
この債権はいくつかの種類に分かれており、種類ごとに性質が異なります。
本章では、ファクタリングと関連性のある債権の種類を5つご紹介します。

債権①:確定債権

確定債権とは、商品・サービスの提供から検収まで完了しており、支払金額や支払期日が確定している債権のことです。
商品・サービスの提供が完了していても、何らかの不備により返品や改修が必要になった場合は、確定債権にはなりません。
また、支払期日が延期になった場合も同様です。
顧客側の検収が完了するまでは、確定債権とみなすことはできないので、注意が必要です。

債権②:仕掛(しかかり)債権

仕掛債権とは、商品やサービスを受注しているものの、まだ提供できていない状態の債権です。
見積書や請求書により、支払期日や支払金額に関して合意に至っていたとしても、商品・サービスの提供が完了していなければ、仕掛債権として扱われます。

債権③:将来債権

将来債権とは、継続的な契約や取引により、将来的に発生が見込まれる債権のことです。
例えば、1年間で毎月100万円の商品を納品する契約を締結している場合、商品の納品日や代金の支払期日が決まっていなくても、契約書があれば将来債権とみなすことができます。

債権④:給与債権

給与債権とは、ある特定の会社と雇用契約を締結している正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトなどが、労働の対価として給与を受け取るまでに発生する債権のことです。
つまり、入金日が確定しているものの、まだ受け取っていない給与のことを債権として表したものが給与債権となります。
一般的には、税金の滞納や裁判で支払いを命じられた慰謝料の支払いを拒否し、給与の差し押さえが行われる場合に用いられる言葉です。

債権⑤:不良債権

不良債権とは、確定債権が売掛先の経営悪化や倒産によって回収できる見込みが無くなった債権のことです。
確定債権が不良債権化してしまうと、経営状況が悪い企業と取引をしているということで、損失を受けるだけでなく社会的な信用性も失ってしまうことになります。
売掛先の経営状況に不安がある場合は、何らかの方法を用いて売掛金を現金化しておくことをおすすめします。

ファクタリングの対象債権

ファクタリングとは、保有する売掛債権をファクタリング会社に売却することにより、早期に現金化できる資金調達方法です。
利用者の信用情報や経営状況が審査に影響を与えないうえ、素早い資金調達が可能であることから、近年人気を集めています。
そんなファクタリングの対象となる債権は、基本的に「確定債権」のみです。
すでに受注しているものの提供が完了していない「仕掛債権」や売掛先の貸し倒れによって回収できる見込みが無くなった「不良債権」は、対象債権ではありません。
しかし、継続的な取引によって将来的にも発生が見込まれる「将来債権」に関しては、2020年の民法改正を機にファクタリングでも利用できるようになりました。
ただ、ファクタリングにおける将来債権の譲渡は、法律で認められただけであり、対象債権として取り扱っているファクタリング会社はそれほど多くはありません。
対象債権としている場合でも、高額な手数料を提示されるなど、条件があまり良くないケースがほとんどです。
そのため、現段階におけるファクタリングの対象債権は「確定債権のみ」と捉えておいたほうが良いでしょう。

ファクタリングの対象債権以外の取り扱い

ここまで本記事をお読みくださった方のなかには、自身の保有する債権がファクタリングの対象債権に該当せず、どのような取り扱いを行ったらよいか悩まれている方もいるのではないでしょうか。
そこで本章では、ファクタリングの対象債権以外の取り扱いについて解説していきます。

取り扱い①:給与債権は貸金業者で現金化

給与債権を現金化する方法としては「給料ファクタリング」が挙げられます。
給料ファクタリングとは、給与を受け取れる権利、つまり給与債権をファクタリング会社に売却することで、早期に現金を得られる金融サービスです。
事業者だけではなく、一個人が利用することも可能なサービスであり、多種多様な方に利用されています。
ただし、「給料ファクタリング」のサービスを取り扱えるのは貸金業者のみです。
貸金業登録を行っていない業者が給料ファクタリングのサービスを提供することや利息制限法に従わない金利を設定することは、当然違法となります。
違法業者が提供する給料ファクタリングを利用してしまった場合は、警察や消費生活センターが設けている相談窓口を利用するようにしましょう。

取り扱い②:不良債権は債権回収会社で現金化

不良債権は、法務大臣より認可を得ている「債権回収会社(サービサー)」を利用することで現金化することができます。
主な利用者は、金融機関やクレジットカード会社などですが、一般的な法人が売掛先の貸し倒れによって不良債権化した売掛債権を処理する目的で利用することも可能です。
債権回収会社に不良債権を売却すると、不良債権を税務上の損失として計上することができるため、節税できるメリットがあります。
ただし、回収が難しい不良債権なので、買取金額は売掛債権の2%~3%となることが一般的です。
売掛債権が不良債権化してしまうと損失は免れないため、確定債権のうちにファクタリングの利用をおすすめします。

取り扱い③:譲渡禁止特約付き債権でもファクタリングで利用可能

譲渡禁止特約付き債権とは、その名の通り第三者への譲渡が禁止されている債権のことです。
以前までは、譲渡禁止特約付きの債権をファクタリングや債権担保融資で使用することはできませんでしたが、2020年の民法改正により「譲渡禁止特約が付いている債権でも、譲渡を妨げることはできない」ことが明文化されました。
ただし、債務者が債権譲渡の事実を把握していなかった場合は、譲受人への支払いを拒否できるということも、同時に明記されています。
つまり、譲渡禁止特約付きの債権を第三者に譲渡するためには、債権者と譲受人が内密な取引を行う必要があるというわけです。
ファクタリングにおいては、利用者とファクタリング会社で取引を行う2社間ファクタリングでの利用となります。
3社間ファクタリングでは、売掛先も取引に参加するため、基本的に譲渡禁止特約付き債権を現金化することはできません。

ファクタリングにおける対象債権は?保有している債権がファクタリングできるか確認しよう!のまとめ

今回は、債権の種類をはじめ、ファクタリングで対象となる債権について解説させていただきました。
ファクタリングにおける対象債権は、基本的に確定債権のみです。
近年の法改正により、譲渡禁止特約付き債権や将来債権もファクタリングで利用できるようになりましたが、まだまだ対応しているファクタリング会社は少ない状況にあります。
対応している場合でも、高額な手数料を請求したり、違法な契約を結ぼうとする悪質なファクタリング会社である可能性もあるため、注意が必要です。
ファクタリングにおける対象債権を保有している場合や、売掛金の貸し倒れによって不良債権化してしまう恐れがある場合は、ぜひファクタリングをご利用ください。