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ファクタリングの業務委託契約書とは?重要な役割をチェック

ファクタリングの業務委託契約書について、知りたいと考えていませんか。
この契約書は、売掛金の取引をスムーズに進めるため重要です。
売掛金の売却後、利用者は取引先からの債権回収をまかされます。
委託の必要性を証明するため、業務委託契約書が交わされるのです。
仮に契約書なしでファクタリングをした場合、トラブルになる可能性もあります。
今回は業務委託契約書の定義や役割を紹介します。

業務委託契約書とは

業務委託契約書とは、特定業務の委託や受託に関する契約書です。
作成時に一定のコストがかかる点にも注意してください。
基本的なしくみを以下で解説します。

業務委託者と受託者による契約書

業務委託契約書は、委託者と受託者の間で交わす書類です。
契約書には委託業務の内容や条件が記載されます。
問題が発生したときの対応方法も盛り込まれるので、よく目を通しておきましょう。
ファクタリングの場合は業者が委託者、利用者が受託者になります。
売掛金の売買の結果、所有権は利用者から業者に移ります。
売掛金は、支払期日までに取引先が利用者に代価を払う約束です。
業者は売掛金の新たな所有者でありながら、取引先からの資金回収を利用者に委託します。
資金回収を利用者にまかせるため、業務委託契約書が重要です。
多くのファクタリング業者は、利用者との間で業務委託契約を交わします。
利用者が契約書にサインしないことで、売掛金を買い取ってもらえないケースもあるのです。

作成時のコスト

業務委託契約書を用意する場合、作成時にコストがかかります。
紙の契約書を用意したら、契約金額に応じた印紙を貼りつけなければいけません。
ファクタリングの場合、売掛金の代価に応じた印紙が必要です。
業者によっては、利用者側が印紙代を負担します。
しかし一部のファクタリング業者は、オンラインでの契約締結が可能です。
上記の場合は、デジタル契約書が交付されます。
デジタルなら印紙も不要で、コストの節約も可能です。
ファクタリングでは業務委託契約書を要する場合があり、印紙代に注意しなければなりません。
しかしクラウドサインを利用すればデジタル契約書が交付され、印紙代を支払わなくてよいのです。
少しでも余分な費用を節約するため、デジタル契約書を利用する方もいます。

業務委託契約書は2社間契約で重要

業務委託契約書は、2社間ファクタリングで重要な役割を果たします。
契約書なしで手続きを進めると、トラブルの可能性もあるのです。
2社間契約における業務委託契約書の重要性を、以下で見ていきましょう。

2社間契約で利用者は債権回収を委託される

ファクタリングには、利用者と業者による2社間契約があります。
2社間契約では業務委託契約書が重要です。
売掛金の取引後、利用者は業者から債権回収を委託されます。
売掛金の売却時点で、取引先はまだ代価を支払っていないからです。
また2社間契約において、取引先はファクタリングの事実を知りません。
以上から取引相手の利用者に対し、いつもどおり代価を支払うことになります。
利用者は取引先から資金を受け取ったら、すぐに業者へ渡さなければいけません。
2社間ファクタリングでは、業者に代わって利用者が債権回収を行います。
売掛金の支払対象である取引先がファクタリングを知らないため、利用者が資金を受け取らなければいけません。
受け取った資金を業者へ渡せば、ファクタリングの手続きが完了します。

3社間ファクタリングでは不要

3社間ファクタリングを依頼した場合、業務委託契約書が使われません。
3社間契約では利用者と業者だけでなく、利用者が持つ売掛金の支払義務のある取引先も契約対象です。
つまり取引先はファクタリングを認知します。
3社間契約の場合、売掛金の所有者が業者に移ったあと、取引先が業者に直接代価を払います。
2社間と違い、売掛金の所有権利の移転に同意したからです。
以上から業者は利用者に対し、債権回収を委託する必要がありません。
3社間ファクタリングでは売掛金の取引が完了した時点で、利用者の手続きは完了です。
あとは取引先が業者に売掛金の代価を支払えば、取引自体が完結します。
こうしたしくみにより、ファクタリングの利用者は資金回収をまかされません。

業務委託契約がないとトラブルの可能性が生じる

業務委託契約なしで2社間ファクタリングを行うと、トラブルの可能性が考えられます。
2社間ファクタリングでは売掛金の売買後、利用者が取引先から本来の代価を受け取り、業者に渡さなければなりません。
しかし契約書が交付されないと、利用者がその事実を認識しないことがあります。
利用者は売掛金の売却での資金調達後、取引先からの支払分まで使い込むかもしれません。
利用者の使い込みでファクタリング業者が資金を受け取れないと、大きな損失につながります。
売掛金は支払期日までに代価が支払われないと、不良債権化します。
そのため業者は、利用者や取引先に法的措置を講じるかもしれません。
金銭的なトラブルを避ける意味でも、2社間ファクタリングにおける業務委託契約書は重要です。
契約書を交付しない業者とはトラブルの可能性があります。
2社間ファクタリングのルールを認識するためにも、業務委託契約書を入念にチェックしましょう。

業務委託契約なしでもファクタリング自体は有効

業務委託契約を締結しなくても、ファクタリング自体は有効です。
ファクタリングは民法上で、自由意志に基づいた契約とみなされます。
取引先からの債権回収を利用者が引き受ければ、契約書がなくても取引が成立します。
つまり法的には業務委託契約書がなくても、口頭での合意が可能です。
しかし多くのファクタリング業者は、業務委託契約書を用意します。
利用者への債権回収の委託は、契約書が根拠になるからです。
利用者の使い込みや、契約上のトラブルを防ぐため、健全な業者は業務委託契約書を出します。
一部のファクタリング業者は債権回収の委託に関して、口頭での合意はしません。
関連の契約書を準備して、債権回収の規約を明示します。

業務委託契約はフリーランス新法にも関わる

2024年秋からフリーランス新法が施行されます。
業務委託契約はフリーランス新法にも関わるので、入念に確かめましょう。
特定企業に属さない人物も、ファクタリングで債権回収に関わるからです。
ここでのフリーランスは、新法において「特定受託事業者」と呼ばれます。
ファクタリングで業者から債権回収を委託された場合、契約書の交付が必須です。
契約時の書面では委託業務の内容や報酬額、支払期日などが示されます。
以上から債権回収の委託において、口頭での合意はできません。
一部のファクタリング業者は、フリーランスの売掛金を買い取ります。
2社間契約の場合、債権回収にあたって業務委託契約書が交付されるでしょう。
フリーランスが書面にサインしないと、売掛金を売却できないこともあります。

ファクタリングにおける業務委託以外の重要な契約4つ

ファクタリングでは債権回収の委託以外でも、重要な契約があります。
どれもトラブル対策のため、契約書の存在が重要です。
業務委託以外の重要な契約について、以下の4つを確かめてください。

1.ファクタリング契約
2.債権譲渡契約
3.秘密保持契約
4.法的承諾契約

1.ファクタリング契約

ファクタリング契約は、売掛金の取引に関係します。
契約書面で示される主な項目は以下のとおりです。

・対象の売掛金
・買取価格
・手数料
・入金日と支払条件
・償還請求権の有無

とくに償還請求権がないか確かめてください。
多くのファクタリング業者は償還請求権を利用者に求めないものの、仮に請求権を行使する場合は要注意です。
取引先が債務不履行にいたれば、利用者が未払分を請求され、大きな損失を受けます。
以上も含めて、ファクタリングに関する契約内容を確かめましょう。

2.債権譲渡契約

債権譲渡契約では、売掛金をファクタリング業者へ渡すために締結します。
契約書面に書かれる主な項目は、以下のとおりです。

・取引対象の売掛金の内容
・譲渡日
・買取金額
・売掛先への通知の有無
・譲渡関連の義務や罰則

2社間契約なら売掛先への通知はありません。
ファクタリング契約の書面に組み込まれることもあるため、こちらも入念にチェックしてください。

3.秘密保持契約

秘密保持契約は、機密情報や個人情報の外部流出を防ぐための契約です。
この契約に同意したら、業者だけでなく利用者も取引関連の情報を外部に漏らしてはいけません。
利用者が秘密保持契約を破れば、今後ファクタリングを利用できない可能性もあります。
債権の取引では数百万円~数億円の代価が想定されるため、秘密保持契約は重要です。
こちらも一部ファクタリング業者において、契約書を交付します。

4.法的承諾契約

法的承諾契約は、ファクタリング関連の法的手続きに同意するのが目的です。
ファクタリング契約や債権譲渡契約などに盛り込まれるケースもあります。
以上から利用者は、見落とさないようにチェックしてください。
法的承諾契約では、トラブルが起きたときの法的手続きが記されます。
たとえば利用者の不正が見つかれば、業者が特定の裁判所に訴えるという形です。
法的措置の特約を入念に確かめ、取引時の不正をしないように注意してください。

ファクタリングの業務委託契約書のまとめ

ファクタリングでは業務委託契約書の交付があります。
2社間契約における売掛金の取引で、所有権が利用者から業者に移ります。
この際、売掛金の新たな所有者である業者が、利用者に債権回収を委託するのです。
業者とのトラブルを避けるため、利用者はこちらの契約書にサインしてください。
業務委託契約により、利用者は取引先から売掛金の代価を回収し、業者に渡さなければなりません。
2社間ファクタリングは資金調達だけでなく、取引先の支払金の管理も重要です。