介護報酬ファクタリングとは?メリットやデメリットなどを紹介
介護事業でファクタリングができないか考える方もいるでしょう。
介護報酬ファクタリングを利用すれば、早期の資金調達へつなげられます。
財務状況を改善できるので、安心して経営を続けられるでしょう。
メリットだけでなくデメリットもあるので、実際に利用すべきか慎重に考えてください。
今回は資金繰りを改善したい介護事業者のため、介護報酬ファクタリングを紹介します。
これを読めば、手軽に資金調達できるヒントがわかるでしょう。
介護報酬ファクタリングとは?
介護報酬ファクタリングは、早期の資金調達につながるサービスの一種で、介護報酬の売掛金を買い取ってもらえます。
基本的な流れは、通常のファクタリングとあまり変わりません。
準備すべきものを確かめたうえで、手続きを進めてください。
以下で基本的なしくみを解説します。
介護報酬の売掛金の買い取りサービス
介護報酬ファクタリングは、介護報酬を対象とした売掛金買い取りサービスです。
本来は国民健康保険団体連合会が、事業者からの請求に応じて、介護報酬を入金します。
しかし利用者へのサービス提供から支払いサイトまでが長く、受け取り前に資金繰りを悪化させる事業者もいるのです。
そうした問題の解決に、ファクタリングが役立ちます。
介護報酬の売掛金を買い取ってもらうと、早期の資金調達が可能です。
利用しない場合と比べて、約40日も早く受け取れるケースもあります。
以上から介護報酬ファクタリングは、資金繰りに悩む介護事業者の味方になるでしょう。
ファクタリングの流れ
ファクタリングの流れは以下のとおりです。
1.介護事業者が国民健康保険団体連合会に介護報酬を請求し、支払い期日が決定
2.介護事業者がファクタリング業者に売掛金の買い取りを依頼
3.業者が売掛金を買い取り入金
4.業者が国民健康保険団体連合会から本来の介護報酬を回収
以上でファクタリングの手続きは完了です。
ファクタリング契約時に必要なもの
介護報酬ファクタリングへ申し込むには、一定の準備物が必要です。
主要なものを以下に記しておきました。
1.法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
2.介護保険事業者の指定通知書のコピー
3.介護報酬請求書
4.決算書
5.印鑑証明書
6.通帳履歴(過去の入金実績)など
ただし事業所によっては開業直後で、決算書を用意できないでしょう。
該当する場合は、業者へ事前相談してください。
業者によって必要書類の内容や数が異なるので、事前確認のうえ正確に準備しましょう。
介護報酬ファクタリングは財務改善につながる
介護報酬ファクタリングは財務改善につながるため、資金面のあらゆる悩みを解決できるでしょう。
介護事業はさまざまな場面で、厳しい資金繰りが想定されます。
たとえば介護報酬の入金が遅く、入金前に手元の資金が足りなくなるかもしれません。
また介護事業所は法定の人員基準が定められているため、人件費がかさみやすいのです。
業界特有の事情から、資金繰りに苦労する事業者がいます。
しかしファクタリングを利用できれば、介護報酬を早期に得られるため、経費のカバーが可能です。
介護業界に限らず、さまざまな事業者が売掛金を売却し、財務状況を改善しています。
支払いが迫っていて、資金不足に悩んでいれば、ファクタリングを検討してください。
介護報酬ファクタリングのメリット6つ
介護報酬ファクタリングには、さまざまなメリットがあります。
複数の利点を知っておけば、今後利用したいと思えるでしょう。
ここでは以下の6つのメリットを紹介します。
1.スピーディな資金調達が可能
2.初回利用時は2か月分の報酬を入金してもらえる
3.審査に通過しやすい
4.売掛先への通知によるリスクが少ない
5.返済義務が生じない
6.担保や保証人をつけなくてよい
1.スピーディな資金調達が可能
最初のメリットはスピーディな資金調達です。
介護報酬ファクタリングでも、売掛金の売却により、支払い期日より早く資金を得られます。
介護報酬ファクタリングを使わない場合、請求から支払いまで2か月かかるのが難点です。
長期間にわたり事業所への入金がないと、資金不足に陥りやすいといえます。
急な出費が起きて、入金までの資金管理がうまくいかない事業者もいるでしょう。
しかし介護報酬ファクタリングを利用すれば、実質的に請求から入金までの期間を短縮できます。
資金繰りに困ったときも、キャッシュフローの改善に役立つでしょう。
2.初回利用時は2か月分の報酬を入金してもらえる
介護報酬ファクタリングは、一部業者において、初回利用者に特典があります。
初回利用時のみ2か月分の介護報酬を入金してもらえるのです。
たとえば開業直後は、売り上げが少なく、資金繰りに困りやすいでしょう。
2か月分の介護報酬を早めに手に入れれば、運転資金の確保につながります。
以上から事業者も安心でき、利用者へのサービスに集中できるでしょう。
ただし介護報酬を扱うファクタリング業者によっては、直近1か月分の入金しか受けられません。
2か月分の介護報酬が必要な場合、該当のルールがある依頼先を探しましょう。
3.審査に通過しやすい
介護報酬ファクタリングの3つ目のメリットは、審査の難易度が低いことです。
ファクタリングの主な審査基準は、取引先の信用力です。
依頼企業が赤字経営でも、取引先に支払い能力があれば審査を通過できます。
介護事業所の経営状態がよくなくても、売掛金を買い取ってもらえるかもしれません。
介護報酬の場合、売掛先は公的な保険団体です。
信用力の高さが社会的に知られており、業者も倒産リスクが低いと判断するでしょう。
介護報酬ファクタリングは事業者によほどの問題がない限り、業者のサービスを受けられます。
4.売掛先への通知によるリスクが少ない
介護報酬ファクタリングは、売掛先への通知によるリスクが少ないといえます。
3社間ファクタリングは事業者と業者だけでなく、売掛先も契約対象です。
売掛先は売掛金の譲渡を知らされると、事業者の資金繰りを疑うかもしれません。
倒産による損失をおそれて、以後の取引を断るケースもあります。
しかし介護報酬では、売掛先との関係悪化のリスクが少ないのです。
介護報酬の売掛先は公的な保険機関で、ファクタリングの事業者を冷遇することはありません。
今後の取引に影響しにくいので、何度ファクタリングをしても問題ないでしょう。
5.返済義務が生じない
介護報酬ファクタリングの特徴は、返済義務が生じないことです。
通常の融資は金融機関から一定額を借りられるものの、返済義務も負います。
期日までに返済できないと金融機関から融資を断られ、社会的信用にも悪影響です。
しかしファクタリングではそうしたリスクを回避できます。
介護報酬を売掛金として買い取ってもらうだけなので、負債にはなりません。
返済義務が生じないため、財務状況もスムーズに改善できるでしょう。
返済義務なしで資金調達できれば、介護事業者も安心するかもしれません。
手軽な資金調達のために、ファクタリングはおすすめです。
6.担保や保証人をつけなくてよい
最後のメリットは、担保や保証人が不要であることです。
介護報酬ファクタリングは融資でないため、入金額は負債になりません。
借金と違うため、担保や保証人なしでも申し込めます。
一方で融資を受ける場合、担保や保証人を要するでしょう。
仮に返済期限を守れないと、担保となる資産を差し押さえられ、返済に充てられるかもしれません。
保証人が代わりに未返済額を支払うケースもあります。
以上から、事業者が他人に迷惑をかけるリスクが想定されるのです。
しかし介護報酬ファクタリングではそうしたリスクがないため、安心して利用する事業者もいます。
介護報酬ファクタリングのデメリット3つ
介護報酬ファクタリングを利用する場合、デメリットに気をつけなければなりません。
メリットとのバランスを考えながら、利用すべきか判断しましょう。
ここでは以下の3つを、デメリットとして紹介します。
1.手数料に要注意
介護報酬ファクタリングで気をつけるべきなのが手数料です。
手数料は売掛金の換金額から差し引かれます。
売掛先からの直接決済より、事業者の調達額が減るしくみです。
介護報酬ファクタリングの場合、手数料が1%を下回ることもあります。
通常の売掛金の譲渡より安い相場ですが、報酬額の目減りには変わりありません。
以上から何度も利用すると、手数料がかさみ、利益が減ります。
急な資金不足に悩んだらファクタリングを使いつつ、無駄な経費の削減に努めましょう。
経費削減により、手元の資金を確保しやすくなり、ファクタリングを利用しなくても経営を続けられる可能性があります。
2.利用しすぎると利益が少なくなる
介護報酬ファクタリングは、利用しすぎないことも大事です。
手数料のせいで利益が少なくなり、資金繰りがさらに厳しくなるかもしれません。
無駄な経費の削減や、ほかの資金調達方法の確立など、計画的な資金繰りが重要です。
ファクタリングは手軽に資金調達できるため、利用しすぎてしまう事業者もいます。
しかし一回の利用ごとに手数料がかかるため、頻繁な利用は推奨されません。
ファクタリングは年間の利用回数を決めるように、計画的に使うことが大切です。
3.介護報酬債権額が上限
介護報酬ファクタリングは、介護報酬債権額が上限です。
債権から手数料が差し引かれることもあり、上限を超えた金額は得られません。
売掛金の譲渡による調達額を想定しながら、ファクタリングを検討してください。
事業者によっては、1か月分の介護報酬が少ないこともあります。
不足資金を充足したくても、報酬が少ないと、調達額が希望を下回るかもしれません。
介護報酬ファクタリングの調達額には限りがあるので、どこまで財務状況を改善できるか考えてから利用しましょう。
介護報酬ファクタリングのまとめ
介護報酬ファクタリングは介護事業者の味方になります。
本来の介護報酬は公的な保険団体から支払われるものの、請求から支払いまで長いのが難点です。
ファクタリングを使えば早期の資金調達を実現でき、財務状況を改善できるでしょう。
ただし利用しすぎると手数料がかさみ、利益に悪影響です。
年間の利用回数を決めるなど、計画的に使ってください。
以上を踏まえながら、資金調達の手段としてファクタリングを検討しましょう。