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ファクタリングの手数料に上限の設定はない!?その理由と手数料を決める4つの要素を紹介

ファクタリングで資金調達すれば、ファクタリング事業者に手数料を支払う必要があります。

同じ資金調達手段である融資やビジネスローン、不動産担保ローンの場合は、利息が発生しますが、利息がいわばファクタリングでいう手数料です。

利息には利息制限法により、借入する金額に基づいて、利息の上限が決められています。したがって、ファクタリングの利用を検討している方の中には、ファクタリング手数料にも上限があると考えている方がいらっしゃいます。

そこで、この記事では、ファクタリングの手数料に上限設定、ファクタリング手数料を決める要素となる4つの点を紹介します。

ファクタリング手数料に上限設定はない

結論を先に言うなら、ファクタリングの手数料は法によって定められた上限規制はありません。したがって、ファクタリング手数料の上限は事業者が各自で決めることが可能です。

ちなみに、銀行でお金を借りた場合の利息は、借入金額と金利に応じて決まります。借入金額や金利が低ければ利息は少なくなり、借入金額や金利が高ければ支払う利息は高くなります。

利息制限法では、借入金額に応じて金利の上限が次のように決められています。

・借入額10万円未満:年20.0%
・借入額10万円以上100万円未満:年18.0%
・借入額100万円以上:年15.0%

さらに、改正された出資法では、貸金業者に対し上限金利は20%を超えてはならいと定めています。これは、利息制限法の15%から20%の水準に対応したものです。

もし、利息制限法の上限金利を超える金利で貸付けをすれば、それは民事上無効となり、行政処分の対象です。さらに、出資法の上限金利を超える金利での貸付けは、刑事罰の対象になります。

一方、ファクタリング手数料については、利息制限法の規制対象外なので、手数料を年利に換算し20%以上になったとしても、違法性を問うことはできません。

ファクタリング手数料に利息制限法や出資法が適用されない理由

ファクタリング手数料に利息制限法や出資法が適用されないのは、ファクタリング事業者が銀行や貸金業者ではないからです。

さらに、ファクタリングの契約は債権譲渡契約であり、金銭消費賃借契約ではないという点も理由になります。

利息制限法や出資法によって定められた金利の規制対象となるのは、金銭諸費契約による契約であり、その性質を持たないファクタリングの契約には、そのルールは適用されません。

したがって、ファクタリング事業者は、手数料の上限設定を各自でおこない、上限を設けなくても問題にならないわけです。

ファクタリング手数料は利息制限法の上限を超えている!?

この部分では、ファクタリング手数料を年利に計算し直して、利息制限法や出資法の上限である20%を超えるかかどうか検証しましょう。

借入は、年率として1年間で〇〇%という形で表示します。ファクタリングは1回の取引ごとに手数料が発生するので、1年間で○○%という形では表示できません。

したがって、1回の取引における手数料率を年率に計算し直す必要があるわけです。

ファクタリング手数料を年率に計算し直す

売掛金の支払期日は、「下請代金支払遅延等防止法」で60日以内、つまり2ヶ月以内にするのが決まりです。

ファクタリングを利用すれば入金待ちの2ヶ月を短縮して売掛債権を資金化できるので、手数料の対象となる期間を2ヶ月とみなすことにします。

したがって、手数料率20%のファクタリング事業者であれば、1ヶ月あたりの手数料率は20%÷2ヶ月=10%です。

1ヶ月あたりの手数料率が10%ですから、これを年率にすると、10%×12ヶ月=120%になります。ファクタリング手数料10%を利率に計算し直せば120%です。

貸金業者が利用者に年率120%で貸付をすれば完全に違法ですが、ファクタリングは利息制限法や出資法の対象外なので、違法にはなりません。

利用期間が短期なので、手数料の高さはあまり問題にならない

ファクタリング手数料を年利に計算し直すなら、法律上は違法な高金利とみなせます。

しかし、ファクタリングの利用期間は数日から数週間という短期です。さらに、ファクタリングは融資よりも申し込みから資金調達完了までのスピードが速く、多くの利用者が急ぎの資金調達のためにファクタリングを利用します。

ファクタリング手数料は年利に換算するとかなり高くなりますが、利用期間が短期であることや、急ぎの資金調達が可能ということで、利用者はそれほど高いとは感じることなく利用するというのが実情です。

ファクタリング手数料が高いかどうかは相場を基準に考える

ファクタリング手数料上限は、各事業者が自由に設定できます。したがって、利用を検討しているファクタリング事業者の手数料が高いかどうかは、手数料の相場を参考に判断できるでしょう。

ファクタリング手数料の相場は以下の通りです。

・2社間方式:5%~20%
・3社間方式:1%~10%

手数料の割合が、この相場の範囲内であれば、良心的なファクタリング事業者とみなせるでしょう。

ファクタリング手数料を決める要素

融資やビジネスローンの金利には固定金利と変動金利があります。ファクタリング手数料も利率と同じように固定されている場合と状況により変動するものがあります。

多くのファクタリング事業者が採用しているのが、状況に合わせて手数料の割合を下限と上限の範囲内で変える変動制です。

以下の状況に合わせて手数料率を決めます。

・売掛先の信用力
・売掛金の額
・入金期日までの期間
・契約スタイル

売掛先の信用力

売掛先の信用力つまり売掛金の支払い能力は、手数料に影響する要素の1つです。

売掛先の業績が好調である、売掛金を入金期日に入金しているという事実があるなら、ファクタリング事業者は売掛先の信用力は高いと判断します。

信用力が高ければ、売掛金回収不能のリスクはほぼないと判断できるので、ファクタリング事業者は手数料下げることが可能です。

一方で、信用力に問題があれば、売掛金回収不能のリスクが高まるので、ファクタリング事業者はリスクを補填するために、手数料を上げます。

取引期間が長い売掛先の売掛債権、大手企業や有名企業の売掛債権は、信用力がある程度保証されているので、事業者は優良債権として低い手数料でファクタリングしてくれるでしょう。

売掛金の額

売掛金の額も手数料に影響する要素です。

ファクタリングで資金調達できる金額は、「売掛金の額×手数料(%)-契約に伴う諸費用=資金調達できる金額」の式で換算できます。

契約に伴う諸経費の部分は、売掛金の額に関係なく一定です。

しかし、先ほどの計算式からわかるように、売掛金の額が高額になれば、手数料として請求するファクタリング事業者の収益の部分が大きくなります。

したがって、売掛金の額が高額であれば、ファクタリング事業者は顧客へのサービスとして手数料の割合をいくらか下げてファクタリングしてくれる場合があります。

入金期日までの期間

売掛金の入金期日までの残りの期間も手数料に影響する要素です。

入金期日がかなり先の売掛債権をファクタリングする場合、ファクタリング事業者は手数料の割合を上げます。

なぜなら、売掛金回収までの期間が長い売掛債権は、倒産などの理由で売掛金回収不能となるリスクが高いからです。

したがって、ファクタリング事業者はそうした売掛債権を買取する場合、リスクヘッジのために手数料を高くします。

契約スタイル

ファクタリングの契約スタイルも手数料率に影響する要素です。一般的に、3社間方式の方が2社間方式より手数料が低く設定されています。

3社間方式は、申し込み企業・売掛先・ファクタリング事業者の3社が契約や取引に関わるスタイルです。

一方で、2社間方式は売掛先が契約や取引に関係しないので、3社間方式よりも売掛金未回収のリスクについて判断するのが難しくなります。

2社間方式の場合、売掛金未回収のリスクが3社間方式よりも高くなるので、2社間方式の方が3社間方式よりも手数料が上がるわけです。

手数料には変動制と固定制がある

ファクタリング手数料は、事業者が売掛先の信用力や売掛債権の額、入金期日などを考慮して、変動させるのが一般的です。

一方で、ファクタリング事業者の中には、手数料を固定しているところがあります。売掛債権の額や入金期日など状況に合わせて、手数料の変動制と固定制のどちらかを選んでください。

たとえば、手数料が下がる見込みのある優良債権を保有しているのであれば、変動制を採用している事業者にファクタリングを依頼することができます。

それにより、手数料のコストを下げることが可能です。手数料が下がれば、手に入る資金の額が増えます。

手数料が固定なら、売掛金の額から手数料を引くことで入手できる資金の額がすぐに計算できます。調達できる資金の額がわかれば、資金の使い道を考えやすいでしょう。

ファクタリング手数料の上限についてのまとめ

この記事では、ファクタリング手数料の上限について紹介しました。

ファクタリングの手数料に上限規制はありません。

債権譲渡契約であり金銭消費貸借契約ではないので、利息制限法や出資法によって定められた上限金利の適用外だからです。

ファクタリング手数料を年率に計算し直すと、利息制限法や出資法によって定められた上限金利の20%を超える場合があります。

しかし、ファクタリングは資金調達完了までのスピードが速いのが特徴です。高いと感じる手数料でも、急ぎの資金調達に利用できるのであればある程度納得して利用できるでしょう。

ファクタリング手数料の割合がふさわしいものかどうかは、手数料の相場の範囲内にあるかどうかで判断できます。

ファクタリングで資金調達する際には、相場の範囲内の手数料でファクタリングしてくれる事業者を選んでください。