診療報酬ファクタリングとは？医療機関の資金調達のヒントを解説
目次
医療機関を経営していて、資金繰りに不安を抱えていませんか。
問題解決の手段として、診療報酬ファクタリングを検討してください。
診療報酬を売掛金として売却すれば、早期の資金調達が可能です。
診療報酬ファクタリングを利用すれば、財務状況を改善できるかもしれません。
今回は医療機関の経営者のため、サービス内容を紹介します。
以上を踏まえ、メリットとデメリットを解説するので、読めば資金調達の手段として検討できるでしょう。
診療報酬ファクタリングとは
診療報酬ファクタリングとは売掛金取引の一種で、診療報酬の債権が対象です。
医療や保険に関する公的機関が医療機関に支払います。
医療費は利用者が病院の窓口で、3割の自己負担額を支払う仕組みです。
残りの7割は保険金からまかなわれます。
医療機関は請求書を作成し、翌月10日までに公的機関へ提出する形です。
保険診療の場合、保険請求金としての診療報酬は、原則約2～3か月後に支払われます。
医療機関は入金を受けるまで、公的機関に対して診療報酬の売掛金を抱えた状態です。
しかし医療機関がファクタリングを用いれば、診療報酬の売掛金を業者へ譲渡できます。
譲渡の結果、診療報酬の相当額を調達できるので、実質的に入金を早められるのです。
以上から診療報酬も売掛金としてファクタリングできます。
診療報酬ファクタリングの流れ
診療報酬ファクタリングは、以下の流れで進められます。
1．医療機関による申し込み
2．ファクタリング業者による審査
3．医療機関と業者による契約締結
4．売掛先への債権譲渡通知
5．業者から1回目の入金（売掛金に対し掛け目の割合分だけ振り込まれる）
6．診療報酬額の確定（業者による売掛金の資金回収の完了）
7．業者による、掛け目で差し引かれた残り金額の入金
ここでのポイントは、入金が2回に分かれることです。
1回目の入金は売掛金全額のうち、掛け目で定められた一定の割合だけが振り込まれます。
たとえば診療報酬が100万円で、掛け目が80%なら、80万円の支払いが決まるのです。
売掛先である公的機関は、診療報酬額の確定次第、その全額を業者へ直接支払います。
業者は資金回収を完了させたあと、残りの20万円を医療機関へ振り込む形です。
このようにファクタリングでは入金が2回に分かれ、一度の調達額が限られる点に注意してください。
診療報酬ファクタリングのメリット6つ
診療報酬ファクタリングには、さまざまなメリットがあります。
スピーディな資金調達や、返済義務がないなどの利点に注目してください。
ここでは6つのメリットを紹介します。
1．負債にならない
2．スピーディな資金調達が可能
3．審査に通りやすい
4．3社間ファクタリングでも安心
5．初月は2か月分の報酬をもらえる可能性
6．経営状況を問わず利用できる
1．負債にならない
最初のメリットは、負債にならないことです。
ファクタリングは売掛金の売買なので、調達額は借入金にあたりません。
返済義務が生じないので、医療機関は安心して利用できます。
負債にならないので、決算書への影響も少ないでしょう。
決算書に返済予定額があると、他社や金融機関から資金ショートを懸念されるかもしれません。
しかしファクタリングを利用しただけなら、負債が発生しないので、決算書の印象も悪くならないでしょう。
返済義務のないファクタリングなら、誰もが気軽に利用できます。
2．スピーディな資金調達が可能
次のメリットは、スピーディな資金調達です。
本来診療報酬が支払われる時期は、請求から約2～3か月後です。
しかしファクタリングでは、売掛金の譲渡から数日後に換金できます。
たとえば人件費の支払いが1週間後に必要で、手元の資金が足りない場合です。
ファクタリングを利用すれば数日で資金調達できるため、人件費をカバーできるでしょう。
ほかにも設備投資や、買掛金の決済などでも、早期の資金調達が役立ちます。
3．審査に通りやすい
3つ目のメリットは、審査に通りやすいことです。
診療報酬ファクタリングの売掛先は、医療や保険に関する公的機関なので、信用リスクが低いといえます。
ファクタリング業者も売掛先の信用力を評価し、積極的に買い取るでしょう。
診療報酬はほかの売掛金と比べて、安全性が高いのです。
他業種の売掛金は、売掛先の事業規模が低かったり、評判が悪かったりするかもしれません。
以上に当てはまる場合、業者の評価が低く、審査に落ちる可能性があります。
一方公的機関が売掛先なら、審査に通りやすく、早期の資金調達に結びつきやすいでしょう。
4．3社間ファクタリングでも安心
診療報酬ファクタリングは3社間契約が原則であるものの、医療機関は安心して利用できます。
3社間契約では、売掛先への債権譲渡通知が必要です。
診療報酬の売掛先は基本的に公的機関で、ファクタリング利用歴のある医療機関を冷遇しません。
通常のファクタリングと違って、医療機関は安心して3社間契約を結べるのです。
以上から売掛金の譲渡後も、公的機関との関係性を良好に保てるでしょう。
5．初月は2か月分の報酬をもらえる可能性
診療報酬は初回のファクタリング利用時に限り、2か月分の報酬を調達できるかもしれません。
公的機関への診療報酬は、前月分を当月10日までに請求するしくみです。
さらに公的機関からの振込は、請求から約2～3か月かかります。
たとえば3月分の診療報酬を4月10日に請求し、5月25日に入金される場合です。
請求から入金までは、約2か月のタイムラグが生じます。
4月にファクタリングを利用した医療機関は、3月分の診療報酬の売掛金を業者へ譲渡する形です。
このとき3月10日に請求した2月分の診療報酬は、通常どおり4月25日に入金されます。
つまり4月は2月分の診療報酬が通常どおりに支払われ、3月分もファクタリングで早期換金できるのです。
以上からファクタリングを初めて利用すると、実質2か月分の診療報酬を得られます。
6．経営状況を問わず利用できる
最後のメリットは、経営状況を問わず利用できることです。
ファクタリングの主な審査基準は、取引先の信用力といえます。
診療報酬の売掛先は公的機関なので、信用リスクが低いのです。
以上から医療機関は赤字経営でも、業者から柔軟な対応を受けやすいといえます。
医療機関によほどの問題がなければ、ファクタリングを気軽に利用できます。
診療報酬ファクタリングは換金しやすいので、小規模な医療機関でも助かるでしょう。
診療報酬ファクタリングのデメリット4つ
診療報酬ファクタリングを利用するときは、さまざまなデメリットに注意しましょう。
取扱業者が少ないうえ、長期的利用による財務状況の悪化などが懸念されます。
ここでは4つのデメリットを見ていきましょう。
1．取扱業者が少ない
2．手数料や掛け目で調達額が少なくなる
3．即日入金は難しい
4．長期的利用による財務状況の悪化に注意
1．取扱業者が少ない
最初のデメリットは、取扱業者が少ないことです。
診療報酬は通常の売掛金と異なるため、業者側も特別な知識が求められます。
専門知識がないために、診療報酬の売掛金を断る業者もいるのです。
以上から医療機関は、診療報酬の取引実績のあるファクタリング業者を探してください。
医療機関に特化した業者なら、依頼者の要望が受け入れられやすいでしょう。
診療報酬の買い取りは対応業者が少ないため、探すのに苦労するかもしれません。
「診療報酬 ファクタリング」などという形でインターネット検索し、適切な業者を調べるとよいでしょう。
2．手数料や掛け目で調達額が少なくなる
ファクタリングは手数料や掛け目によるコストに要注意です。
診療報酬の売掛金は信用度が高いため、手数料が10%を下回るかもしれません。
それでも一定のコストを支払うため、調達額が減ります。
ファクタリングには掛け目もあります。
掛け目によってひとつの売掛金に対し、入金は2度に分けられるしくみです。
最初の入金は売掛金の70～90%が相場となり、ここで決まった割合が掛け目と呼ばれます。
業者の資金回収後に、掛け目から外れた分が医療機関へ振り込まれるのです。
手数料や掛け目のルールがあるため、ファクタリングを利用すると調達額が限られます。
3．即日入金は難しい
診療報酬ファクタリングは、即日入金が難しいといえます。
多くの場合、3社間契約になり、売掛先の同意まで時間がかかるでしょう。
ほかの業種では売掛金を売却すると、即日入金を受けられるかもしれません。
しかしそうしたケースは、企業と業者のみの2社間契約でないと実現が難しいといえます。
以上から診療報酬ファクタリングの場合、申請から入金まで早くて2～3日はかかるでしょう。
入金まで時間がかかることを想定し、早めに申し込んでください。
4．長期的利用による財務状況の悪化に注意
診療報酬ファクタリングの長期的利用で、財務状況が余計に悪化するかもしれません。
診療報酬を得られるのは、ファクタリングを利用しない限り、1か月に一度です。
しかしファクタリングで入金を早めると、次回の振込までの時間が長くなります。
その間は、手元の残りの資金でやりくりするしかありません。
長期的な資金計画がうまくいかないと、ファクタリング後も資金繰りが悪くなります。
結果として売掛金の売却を繰り返すようになり、手数料がかさむでしょう。
以上の影響で財政状況が悪化すると、医療機関の経営に影響します。
ファクタリングに依存しすぎないように、資金計画を常に見直してください。
診療報酬ファクタリングのまとめ
医療機関で資金繰りの厳しい状況は、診療報酬ファクタリングで解決できるかもしれません。
早期の資金調達で、財務状況をよくできるでしょう。
経費のカバーだけでなく、新しい設備への投資にもつなげられます。
ただし利用すると、手数料や掛け目により、一度の調達額が限られるので要注意です。
資金計画を見直さないと、ファクタリングに依存し、手数料により損失がかさむでしょう。
ファクタリングを経営に役立てるなら、計画的な活用が欠かせません。