ファクタリングの割引率とは?割引率を使った資金調達額の計算方法と割引率に影響する要因を解説
目次
ファクタリングで資金調達する際に念頭に置くべきなのが割引率です。割引率が高ければ資金化できる額が減り、割引率が低ければ資金化できる金額は増えるからです。
ファクタリングの利用を検討している経営者の中には、割引率を使って資金調達額を計算する方法を知りたいという方がいらっしゃいます。
そこで、この記事ではファクタリングの割引率について以下の点を解説します。
・ファクタリングの割引率についての説明
・割引率から資金調達額を計算する方法
・ファクタリングの割引率に影響する要因
・ファクタリングの割引率の相場
・極端な割引率を提示する事業者には注意が必要
ファクタリングで出来るだけたくさんの資金を調達したいという方は、この記事を参考にしてください。
ファクタリングの割引率とは?
ファクタリングにおける割引率は、ファクタリング手数料や受取額を計算するために必要な項目です。
ファクタリングと同じように売掛債権を利用した資金調達方法に手形割引がありますが、手形割引にも割引率があります。手形割引おける割引率は手形割引料や受取額を計算するために必要な項目です。
手形割引の場合、手形割引料の中に銀行や手形割引業者の収益となる部分が含まれます。ファクタリングも同様です。ファクタリング手数料の中に、ファクタリング事業者の収益となる部分が入っています。
割引率を使って資金調達額を計算する
具体的な数字を挙げて、割引率を使いどのように資金調達額を計算するのかを説明します。
まずは、手形割引における手形割引料と資金調達額の計算方法です。
手形割引料(手数料)=手形割引×割引率÷365×割引実行日から支払期日までの日数
資金調達額=手形の額面×手形割引料
受取手形の金額が100万円、手数料が3%、割引実行日から支払期日までの日数が90日の場合の手形割引料は以下の通りです。
100万円×3%÷365×90日=7,397円
手形を換金するときに、手形額面より手形割引料が引かれるので、資金調達額は次のように計算できます。
100万円-7,397円=992,603円
ファクタリングの資金調達額の計算方法は次の通りです。
資金調達額=売掛金の額面×割引率-契約に伴う諸費用
額面100万円の売掛金について割引率5%でファクタリングをしてもらい、手数料として1万円がかかった場合の受取額は以下の通りです。
100万円×5%-1万円=94万円
この計算式からわかるように、割引率の高低は資金調達額に影響します。
契約に伴う諸費用の中には一般的に以下のものが含まれます。
・基本手数料
・債権譲渡登記にかかる費用
・印紙代
ファクタリング事業者が債権譲渡契約に伴い債権譲渡登記を求める場合、そのための費用として登録免許税7,500円が発生します。
契約を書面で交わす場合、収入印紙代が必要です。
ファクタリング事業者によっては、こうした契約に伴う諸費用を請求せずに、割引率だけで買取価格を決定しているところがたくさんあります。
契約の際には、割引率に注目することが大切ですが、それ以外の費用の部分にも注意し何にどれくらい費用がかかっているのかを確認してください。
ファクタリングの割引率に影響する6つの要因
ファクタリングの資金調達額を決定するための項目の1つである割引率は以下の要因の影響を受けて高くなったり低くなったりします。
・売掛先の信用力
・売掛金の額面
・支払期日までの日数
・契約形態
・他社からの乗り換え
・継続利用
これら6つの要因がどのように割引率に影響するのかを解説します。
売掛先の信用力
売掛先の信用力つまり売掛金の支払い能力は、割引率の高低に影響する要因です。
売掛先の業績が良好である、売掛金を毎回入金期日にきちんと入金しているという状況なら、ファクタリング事業者は審査の際に売掛金回収不能になるリスクはかなり低いとみなせるでしょう。
ファクタリング事業者は売掛金未回収のリスクが低いと判断すれば、割引率を低く設定します。
一方で、売掛先の信用力が低ければ、売掛金未回収のリスクが高く、ファクタリング事業者がそのリスクを背負うことになるので、割引率は高くなります。
売掛金の額面
売掛金の額面も割引率に関係する要素です。
ファクタリングの買取額は、売掛金の額面×割引率-契約に伴う諸費用で計算しました。
契約に伴う諸経費の部分は、売掛金の額面が高額でも低額でも同じ金額です。
しかし、売掛金の額面が高額であれば、ファクタリング事業者の収益の部分も大きくなります。
したがって、売掛金の額面が高額であれば、ファクタリング事業者は割引率を多少低く設定し買取してくれる場合があります。
支払期日までの日数
売掛金の入金までの残りの日数も割引率に影響します。
買取依頼のある売掛金の入金がかなり先であれば、ファクタリング事業者は売掛金の入金を長く待つ必要があります。
入金待ちの期間が長い売掛債権は、倒産などの理由で売掛金回収不可となるリスクが高いです。したがって、ファクタリング事業者はそうした売掛債権を買取する場合、割引率を高くします。
契約形態
ファクタリングには3社間方式と2社間方式という契約形態があります。どちらの契約形態を選ぶかも割引率に影響します。
一般的に2社間方式の方が3社間方式よりも割引率は高いです。
2社間方式は、申し込み企業とファクタリング事業者の2社だけが契約と取引に関わります。売掛先や契約や取引には関わりません。
3社間方式は、申し込み企業とファクタリング事業者、さらに売掛先の3社が契約と取引に関わります。
売掛先の信用力については、売掛先が契約や取引に関係する3社間方式の方がより詳しく調査でき、売掛金未回収のリスクについてもより正確に判断することが可能です。
したがって、リスクヘッジしやすい3社間方式の方が2社間方式より割引率が低く設定されています。
他社からの乗り換え
他社からの乗り換えの場合、現在利用しているファクタリング事業者の割引率より、新しい利用先の割引率の方が低くなる場合があります。
ファクタリング事業者の中には、他社からの乗り換えキャンペーンサービスを提供しているところがあり、キャンペーンを利用すれば特典として低い割引率でファクタリングを利用することが可能です。
継続利用
信用力の高い売掛先の売掛債権をすでにファクタリングしている場合、再び同じ売掛債権の買取を依頼すれば継続利用として割引率が下がることがあります。
ファクタリング事業者は自社の収益を確保するために、優良債権を持ち込んでくれる優良顧客がいれば、関係を維持しておきたいと考えるでしょう。
そのために、継続利用であれば以前よりも割引率を少し低くして買取するわけです。
同じ売掛先の売掛債権であれば、その売掛先の信用力については以前の審査ですでに調査済みなので、割引率を下げたとしても、過度にリスクを負うことにはなりません。
ファクタリング事業者を乗り換えることで、割引率を下げて手に入る資金がなるべく減らないようにすることができますが、信用できるファクタリング事業者を見つけ、継続利用することで割引率を下げることも可能です。
割引率の相場
先ほど説明したようにファクタリングの契約形態は3社間方式と2社間方式の2つです。それぞれの割引率の相場は以下のようになっています。
・3社間方式:1%~10%
・2社間方式:10%~30%
2社間方式の方が3社間方式より割引率は高いです。
しかし、2社間方式は取引や契約に売掛先が関係しないので、ファクタリングの利用が売掛先に知られないというメリットがあります。
多少割引率が高くても、売掛先に知られることなくファクタリングを利用したいという方は、2社間方式のファクタリングを選択してください。
極端な割引率のファクタリング事業者には要注意!
相場よりも高いもしくは相場よりも極端に低い割引料で契約しようとする事業者には注意してください。そうした事業者は悪徳業者の可能性が高いからです。
たとえば、今日明日中にお金が必要という資金需要のある会社の弱みに付け込んで、相場よりもかなり高い割引料で契約すれば即日入金すると話を持ち掛ける事業者がいます。
相場よりもかなり高い割引率の事業者と契約すれば、資金繰りがさらに悪化することになるでしょう。
一方で、相場よりも極端に低い割引率での契約を提示してくる事業者にも注意してください。
そうした事業者は相場よりもかなり低い割引料を餌にして利用者を集め、契約してから保証金や手付金といった本来ファクタリングでは請求されない費を請求するからです。
割引料が相場の範囲内で、その設定基準にきちんとした根拠があれば、安心して利用できるファクタリング事業者とみなせるでしょう。
ファクタリングの割引率についてのまとめ
ファクタリングの割引率は、ファクタリング手数料や買取額を決めるために必要な項目の1つでした。
割引率が高ければ資金化できる金額は減少します。割引率が低ければファクタリング手数料として差し引かれる分が少なくなるので、手元に入る資金も大きく減ることはありません。
売掛先の信用力や入金期日までの日数、売掛金の額面や継続利用かどうかといった要素が割引率の高低に影響する要素です。
資金繰りの悩みを解決するには、割引率の低い事業者を選ぶことができます。
しかし、割引率の低さだけに注目するなら、悪徳業者と契約し法外な手数料や手付金などを請求され、さらに資金繰りが悪化する能性があるので注意してください。
相場の範囲内で安心できるサービスを提供するファクタリング事業者を選べば、資金繰りの悩みを改善することができるでしょう。