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ファクタリングの二重譲渡は犯罪|そのリスクについて解説

ファクタリングで二重譲渡をするとどうなるか知りたい方もいるでしょう。
結論から述べると、このような行為は犯罪です。
業者から損害賠償を請求されたり、懲役刑を受けたりする場合もあります。
ひとつの売掛金を別々の業者へ同時に売れば二重譲渡となり、犯罪が成立するのです。
今回はその違法性や社会的リスクなどを解説します。
資金調達の際は、二重譲渡を決してしないでください。

二重譲渡とは

二重譲渡は、同一物を複数人物へ譲渡する行為です。
基本的に同一物は、一人または一組しか所有できません。
二重譲渡として二組に譲渡を持ちかけても、相手の片方は対象物を手に入れられないのです。
そのため入手不可能な相手に対し、不正取引をしたことになります。
ファクタリングでは、利用者による売掛金の二重譲渡が見られます。
売掛金を二組の業者に譲渡しても、片方は所有できません。
相手が所有できない状態で、対価を手に入れると、違法行為が成立します。
ファクタリングの二重譲渡は詐欺行為なので、決して許されません。

ファクタリングの二重譲渡は犯罪

売掛金の二重譲渡は詐欺罪に問われます。
有罪判決を受け、懲役刑を受ける利用者もいます。
二重譲渡はそれだけ重大な違法行為です。
詐欺罪で有罪になると、懲役10年以下に処されます。
罰金刑がないため、執行猶予がない限り刑務所へ収容されます。
つまり二重譲渡をした人物は、実刑判決を受けると社会で活動できなくなるのです。
二重譲渡は架空取引にあたり、業者に損害を負わせます。
そのため詐欺罪で逮捕され、懲役にいたる経営者もいるのです。

ファクタリングの二重譲渡が起きる背景2つ

ファクタリングで二重譲渡が起きる理由は、複数あります。
大きく分けて故意の場合と、過失の場合に分かれる形です。
二重譲渡が起きる背景として、以下の2つを確かめてください。

1.ひとつの売掛金で何度も資金調達しようとする
2.利用者が譲渡済みと気づかず同じ売掛金を取引する

1.ひとつの売掛金で何度も資金調達しようとする

故意の二重譲渡は、ひとつの売掛金で何度も資金調達しようとする形です。
手元の資金が足りず、まとまった金額を調達したい経営者がいます。
しかし手元の売掛金だけで、十分な資金を得られないケースもあります。
そのとき悪質な経営者だと、二重譲渡に手を染めるかもしれません。
たとえば手元の売掛金がひとつだけで、金額が500万円の場合です。
さらに経費の支払いが立てこみ、総額1000万円必要だったとしましょう。
そのとき売掛金を二重譲渡し、2組の業者から500万円ずつ、計1000万円を手に入れようとする経営者がいるかもしれません。
しかし譲渡先のうち、1組は売掛金を手に入れられないため、架空請求が成立します。
このような形で意図的な二重譲渡が成立し、経営者は詐欺罪に問われるのです。

2.利用者が譲渡済みと気づかず同じ売掛金を取引する

経営者の過失により、二重譲渡が成立することもあります。
この場合は売掛金の管理体制の不備が原因です。
経営者が売掛金について譲渡済みと気づかず、別の業者と取引することで、二重譲渡が起きます。
上記の場合も、ファクタリング業者は二重譲渡の被害者になります。
損失を理由に、経営者に損害賠償を請求するかもしれません。
経営者はいかなる場合でも、二重譲渡による資金調達をしてはいけません。
意図的でないミスでも社会的責任が問われるので、売掛金の管理は厳重に行いましょう。

ファクタリングの二重譲渡がバレる理由3つ

売掛金の二重譲渡は、業者に気づかれる可能性があります。
二重譲渡は架空取引の一種なので、業者が後から気づきやすいのです。
バレる理由として、以下の3つを見ていきましょう。

1.審査で登記情報を調べられるから
2.売掛先からは売掛金ひとつぶんしか回収できない
3.経理担当者が問い合わせるから

1.審査で登記情報を調べられるから

二重譲渡がバレる最初の理由は、業者による登記情報の調査です。
2社間ファクタリングの場合、債権譲渡登記が行われます。
登記調査で譲渡済みとわかれば、利用者が二重譲渡を試みていたとバレるのです。
審査段階で二重譲渡を試みていたとわかれば、業者に契約を断られます。
不正取引を企んでいたとして、利用者が信用されなくなるのです。
ファクタリング業者は、二重譲渡を試みた利用者に対し、今後の利用を断ることもあります。
利用者が二重譲渡を試みても、業者の審査でバレる可能性があります。
売掛金の登記調査で、利用者が別の業者へ譲渡済みとわかるからです。

2.売掛先からは売掛金ひとつぶんしか回収できない

ファクタリングでは取引後、売掛先から資金回収しなければなりません。
売掛先からの売掛金は、取引1回分しか回収できないため、二重譲渡は発覚しやすいといえます。
二重譲渡された業者は売掛金の回収ができず、詐欺の被害者になるからです。
ファクタリングの二重譲渡は、複数の業者へ同じ売掛金を売る行為です。
また売掛先からの資金を回収できる業者は、1社しかありません。
そのため同じ売掛金を2社へ売ると、1社は資金回収が不可能になります。
業者は支払い期日になっても資金回収ができない場合、売掛先に連絡します。
そこで売掛先が送金済みと答えれば、業者は二重譲渡や利用者の使い込みを疑うのです。
二重譲渡は詐欺にあたり、使い込みは横領にあたるので、いずれも業者は法的措置に出ます。
この時点で利用者は、社会的制裁を避けられません。

3.経理担当者が問い合わせるから

ファクタリング後、売掛先からの支払いがないと、経理担当者から売掛先への問い合わせが想定されます。
そこで売掛先が送金済みと答えれば、二重譲渡発覚の可能性があるのです。
利用者が業者AとBに、同じ売掛債権を売ったとしましょう。
なおかつ売掛先から売掛金を支払ってもらい、それを業者Aへ渡している場合です。
この場合業者Bは、支払い期日までに資金回収できません。
経理担当者が売掛先に問い合わせて、二重譲渡がバレるケースもあります。
以上から二重譲渡をした場合、資金回収できない業者が現れるのです。
その業者が問い合わせに動き、利用者の不正がバレることもあります。

ファクタリングの二重譲渡のリスク5つ

ファクタリングの二重譲渡には、さまざまなリスクがあります。
業者からの法的措置で、社会的制裁が下ることもあるのです。
ここでは以下の5つのリスクを見ていきましょう。

1.売掛先への通知
2.業者からの損害賠償請求
3.業者からの刑事告訴
4.利用者に懲役刑が下る
5.社会的信用の喪失

1.売掛先への通知

売掛金の二重譲渡をすると、一部のファクタリング業者は売掛先へ通知します。
二重譲渡は架空請求なので、売掛先からの資金回収が不可能です。
支払い期日までに資金が支払われないことで、業者が売掛先に問い合わせます。
これがきっかけとなり、経営者のファクタリングが売掛先に知られるのです。
売掛先はファクタリング利用中の経営者について、財務状況が怪しいと疑うでしょう。
その結果、今後の取引を打ち切るケースもあります。
二重譲渡でファクタリングを知られると、ビジネス上の関係が悪化するかもしれません。

2.業者からの損害賠償請求

ファクタリングで二重譲渡をすると、業者から損害賠償を請求されることがあります。
架空請求で業者に損失を負わせているからです。
ファクタリング業者も架空請求被害を受けると、経営に悪影響がおよびます。
そのため不正取引が発覚すると、業者へ法的措置を取るのです。
裁判で損害賠償が確定しても、経営者が応じない場合、資産を差し押さえられます。
損害賠償や資産の差し押さえが周囲に知られると、事業継続が困難です。

3.業者からの刑事告訴

二重譲渡被害を受けた業者によっては、利用者に刑事告訴をします。
利用者が架空取引で業者に損害を負わせることで、詐欺罪が成立するのです。
詐欺罪は10年以下の懲役で、罰金刑が存在しません。
同じ売掛金を2社以上へ譲渡すれば、特定の1社以外は売掛金を受け取れません。
そのため架空取引が成立して、利用者は不正に資金を得る形です。
業者がこれに気づくと法的措置を取り、利用者が詐欺罪に問われることもあります。

4.利用者に懲役刑が下る

ファクタリングで二重譲渡をすると、懲役刑が下るおそれもあります。
たとえば詐欺罪に問われると、懲役10年以下の制裁が下ります。
これにより、一定期間を刑務所で過ごす人物もいるのです。
詐欺罪によっては、執行猶予がつくこともあります。
これは量刑の全体または一部について、1年~5年の猶予期間が設けられるしくみです。
有罪判決を受けても、執行猶予期間中は通常の社会生活を送れます。
執行猶予が満了すると、刑の効力が消え、懲役刑に服さなくてよくなるのです。
ただし執行猶予は、過去に懲役刑や禁固刑に処されたことがなかったり、懲役3年以下だったりなどの条件がつきます。
詐欺罪で懲役3年超の判決を受けると執行猶予がつかず、実刑が決まるしくみです。
懲役刑のリスクを考えると、決して二重譲渡をやるべきではありません。

5.社会的信用の喪失

二重譲渡は犯罪なので、社会的信用の喪失につながります。
違法行為を周囲に知られると、経営者や会社の評判が悪くなります。
評判の悪い個人や組織に対して、頼る人は少ないでしょう。
二重譲渡は詐欺罪に問われることもあり、経営者や従業員などの逮捕にもつながります。
前科がつくと、多くの人に避けられがちです。
ビジネスの基盤は信用なので、一度失うと回復は困難といえます。
とくに二重譲渡は犯罪なので、一度周囲に知られると信用を失い、名誉回復が難しくなるのです。

ファクタリングの二重譲渡のまとめ

売掛金の二重譲渡は犯罪なので、決してやらないでください。
同じ売掛金を別々の業者に譲渡すると、一部業者に対して架空取引が成立します。
架空取引による資金調達は詐欺行為です。
そのため業者が法的措置や刑事告訴を行い、経営者や従業員が逮捕されることもあります。
犯罪に手を染めると社会的信用が失われ、事業継続が困難になります。
資金不足に悩んでいても、二重譲渡は絶対にやめましょう。