接骨院もファクタリングは利用可能|資金調達のしくみを解説
目次
接骨院を経営していて、資金繰りに困っていませんか。
そこで選択肢になるのが診療報酬ファクタリングです。
うまく活用すればまとまった資金を調達でき、財務状況を改善できるでしょう。
ただし手数料がかかるため、利用しすぎないように注意してください。
今回は接骨院の経営者のため、診療報酬ファクタリングについて解説します。
これを読めば資金調達のヒントがわかるでしょう。
接骨院は資金繰りが課題になりやすい
接骨院は資金繰りが課題になりやすく、ファクタリングの利用が想定されます。
集客や経費などの問題から、手元の資金が不足しやすいのです。
資金繰りに関する問題として、以下の3点を見ていきましょう。
リピーターの定着が難しい
接骨院の最初の課題は、リピーターの定着の難しさです。
顧客が定着しにくい理由のひとつが、立地条件といえます。
たとえば近くに競合の接骨院があると、新規顧客を獲得しにくいでしょう。
体を痛めた患者が訪れるため、接骨院はアクセスのよさが重要です。
バス停や最寄り駅からの距離が遠いと、患者が集まりにくいでしょう。
こうした背景から接骨院は、リピーターが定着しにくいケースもあります。
人件費や設備費がかかりやすい
接骨院はほかの医療機関と同様、人件費や設備費がかかりやすいでしょう。
たとえば優秀なスタッフを定着させるには、それに見合う給料が大切です。
加えて接骨院の規模によって、一定の人員確保が求められるでしょう。
しかし人員確保の結果、毎月の給料が経費となり、経営上の負担になります。
設備に関しては施術用のベッドや、検査用のレントゲンなどさまざまなものが必要です。
ひととおり揃えたり、交換したりするだけで、経費がかさむかもしれません。
人件費や設備費といった経費がかさめば、接骨院の資金繰りに影響します。
資金不足で新システムを導入しづらい
一部の接骨院は資金不足により、新技術を導入できないことに悩んでいます。
現代社会はデジタル化が進んでおり、医療機関でもオンライン予約や電子カルテが見られるようになりました。
しかし個人経営の接骨院だと、資金不足が原因で、そうしたシステムの導入を見送ることがあります。
サービスの質を上げたり、業務を効率化したりするには、デジタルシステムが重要です。
しかし資金不足が続くと、デジタル化に踏み出せないでしょう。
一方ファクタリングでまとまった資金を得られれば、デジタルシステムの導入が視野に入るかもしれません。
接骨院でもファクタリングを利用できる
接骨院でもファクタリングは利用可能です。
保険診療をしていれば、診療報酬を売掛金として、ファクタリングにかけられます。
ただし保険診療適用の治療法は限られているので、事前チェックが大事です。
接骨院のファクタリングについて、基本的な知識を見ていきましょう。
保険診療をしていればファクタリングを利用できる
保険診療をしていれば、接骨院でもファクタリングを使えます。
保険診療の場合、診療報酬は顧客の自己負担と、医療保険者の支払い分に分かれます。
顧客の自己負担は治療費のうち原則3割で、残りは医療保険者が支払う形です。
接骨院は治療費のうち、保険適用された部分について、医療保険者に請求できます。
ただし請求から入金までタイムラグがあるため、接骨院は医療保険者からの売掛金を抱える形です。
接骨院も診療報酬の売掛金を持っていれば、ファクタリングでの譲渡で、相当額を換金できます。
接骨院での保険診療適用の治療法は限られている
接骨院における保険診療適用の治療法は限られています。
対象は骨折や捻挫などの急性のケガへの施術だけです。
加えて骨折や脱臼などの場合、医師の同意が必要で、柔道整復師だけの判断で施術できません。
このように接骨院での保険診療は、厳しく規定されているのです。
慢性的な肩こりや腰痛の治療は、保険対象外となります。
以上の場合、接骨院は医療保険者に診療報酬を請求できません。
ファクタリングを利用する前に、保険診療の対象を覚えておきましょう。
接骨院による診療報酬ファクタリングのしくみ
接骨院による診療報酬ファクタリングのしくみを解説します。
利用可能な機関や、契約形態などが決まっているので、事前にチェックしてください。
しくみについて、以下で詳しく見ていきましょう。
医療機関向けファクタリングで診療報酬を売却可能
接骨院は医療機関なので、主に医療関連のファクタリング業者を利用します。
ファクタリングでは接骨院に限らず、健康保険を適用している機関が利用可能です。
国家資格取得者のいる接骨院なら、組織としての信用度があるため、ファクタリングを使いやすいでしょう。
医療関連のファクタリング業者は、接骨院の要望に応えやすいといえます。
医療業界に精通しているため、接骨院の事情を踏まえながら、早期入金のように柔軟な対応を見せることがあります。
ファクタリングをスムーズに進めるなら、医療機関向けの業者を利用してください。
3社間ファクタリングが基本
診療報酬を使ったファクタリングは、3社間契約が基本です。
接骨院と業者だけでなく、売掛先も契約に加わらなければなりません。
しかしここでの売掛先は、医療保険関係の公的機関です。
公的機関はあらゆる医療機関と平等に接するため、ファクタリングを理由として、特定の機関を冷遇しません。
一方、一般企業が売掛先の売掛金で、3社間ファクタリングを使ったときは要注意です。
売掛先が企業の資金繰りの悪化を疑い、以後の取引を断るかもしれません。
しかし診療報酬のファクタリングなら、売掛先が公的機関なので、関係性の悪化の心配はないでしょう。
ファクタリングの流れ
診療報酬のファクタリングに関して、大まかな流れは以下のとおりです。
1.接骨院とファクタリング業者で契約締結
2.接骨院と業者の連名で、売掛先の公的機関に債権譲渡通知
3.業者は接骨院に売掛金の約80~95%を入金。ここでの約80~95%は掛け目で、残りは保全
4.接骨院による売掛先への診療報酬請求
5.売掛先は業者へ直接診療報酬を支払う
6.業者は接骨院に対し、最初の入金時の保全額を、手数料差し引きのうえ返金
ここでのポイントは、入金が二度に分かれることです。
ファクタリング業者は掛け目を設けており、最初の入金時は売掛金に対し、一定の割合を支払います。
売掛先からの資金回収が終わり次第、残りの金額を入金するのです。
以上からファクタリングを利用すると、一度に調達できる金額が限られます。
診療報酬ファクタリングのメリット3つ
接骨院も診療報酬ファクタリングを使えば、さまざまなメリットに恵まれるでしょう。
急な資金不足が起きたときも、柔軟に対応できるかもしれません。
ここでは3つのメリットを、以下で解説します。
1.審査に通過しやすい
2.急な資金不足にも対応できる
3.3社間ファクタリングながら安心して利用できる
1.審査に通過しやすい
ファクタリングは、審査に通過しやすいのがポイントです。
主要な審査基準は売掛先の信用力なので、赤字経営の法人でも依頼しやすいといえます。
診療報酬だと公的機関が売掛先なので、審査で問題ないと判断されやすいでしょう。
以上から接骨院も、ファクタリングをスムーズに利用できます。
2.急な資金不足にも対応できる
ファクタリングを利用できれば、急な資金不足もカバーできます。
診療報酬の支払いサイトは、約2か月が相場です。
しかしファクタリングによって、2か月も待たずに換金でき、資金に余裕を持たせられるしくみです。
想定外の出費が起きたときも、売掛金の売却で解決できるでしょう。
3.3社間ファクタリングながら安心して利用できる
診療報酬ファクタリングは3社間契約が原則で、企業と業者、売掛先の同意が必要です。
しかし売掛先が公的機関なら、接骨院も安心して利用できるでしょう。
一般的なファクタリングだと、売掛先の同意を得られないこともあります。
しかし接骨院の売掛先は、診療報酬を支払う公的機関が多く、売掛金の譲渡を認めやすいでしょう。
以上から比較的スムーズに契約を結べます。
診療報酬ファクタリングのデメリット3つ
接骨院が診療報酬ファクタリングを使うには、デメリットにも注意しなければいけません。
調達額が減ることや、依存してしまう可能性などに気をつけましょう。
ここでは以下の3つのデメリットを解説します。
1.額面どおりの資金調達はできない
2.掛け目が100%にならない
3.不安定な資金繰りが続くとファクタリングに依存してしまう可能性
1.額面どおりの資金調達はできない
ファクタリングを利用すると、額面金額いっぱいの調達はできません。
業者からの入金時に、手数料が差し引かれます。
手数料によって、調達額が減る点に気をつけましょう。
2.掛け目が100%にならない
ファクタリングには掛け目というルールもあります。
掛け目100%での取引は見られないので、入金額が減る点に要注意です。
掛け目とはファクタリング業者が決めた、売掛金に対する買取率を意味します。
たとえば診療報酬が100万円で、掛け目が80%なら入金額は80万円です。
掛け目によって、一度あたりの入金額が限られます。
3.不安定な資金繰りが続くとファクタリングに依存してしまう可能性
不安定な資金繰りが続くと、ファクタリングに依存するケースもあります。
たとえば診療報酬は、1か月に一度の支払いが原則です。
しかし一度ファクタリングを利用すると、換金から次の診療報酬の入金まで、間隔が広がります。
その間に資金繰りが悪くなると、またファクタリングが必要になるかもしれません。
売掛金の売却に依存すると、手数料がかさんで、経営に悪影響を及ぼします。
資金繰りに問題があれば、経営コンサルティングを受けるなどして、財務状況の改善に努めてください。
接骨院のファクタリングのまとめ
接骨院もファクタリングを利用すれば、資金繰りを改善できます。
経費のカバーだけでなく、設備投資にもつながるでしょう。
ただし依存しすぎないように、計画的に利用してください。
以上を守れば、ファクタリングを味方につけ、健全な経営を続けられるでしょう。