ファクタリングの審査に絶対通るには?審査の基準も解説
売掛債権を売却して現金化するファクタリングは、新しい資金調達の方法として注目を集めています。借り入れではないため負債が増えない、現金化までの時間が短いなど、さまざまなメリットがあるのがファクタリングです。
ファクタリングは、一般的に金融機関から融資を受けるよりも審査を通るのが厳しくないと言われています。しかし「絶対通る」ファクタリングは存在しません。仮にあるとすれば、いわゆる「闇金業者」「違法業者」が行うファクタリングである可能性が高いといえます。
絶対通るファクタリングはない
申し込みが絶対通る、つまり審査を100%通過するファクタリングはありません。もしファクタリング取引で審査が行われず、すべての売掛債権を買取していれば、中には信用度の低い売掛債権が混ざっていても見つけることができません。
ファクタリングは、利用者(自社)が保有する売掛債権(売掛金)をファクタリング会社へ売却(譲渡)し、期日より早く債権の金額を受け取るサービスです。2社間ファクタリングの場合は支払期日になり、売掛先から入金されたら自社はファクタリング会社へ支払いを行います。3社間ファクタリングの場合は、売掛先から直接ファクタリング会社へ支払いが行われます。
2社間、3社間を問わず、どちらの場合も一旦ファクタリング会社が売掛金を立て替えて支払いを行うことには違いがありません。売掛金が回収できなければ、ファクタリング会社は立て替えた分損をしてしまいます。そのため、売掛金を回収できるかどうかの審査を行うのです。そのため「絶対通るファクタリング」はないといえるでしょう。
ファクタリングの審査通過率
「絶対通るファクタリング」はありませんが、銀行などの金融機関から受ける融資と比較して、ファクタリングの審査が通りやすいのは事実です。審査通過率は、公表されていない会社もありますが、一般的には7~8割程度とされています。審査が通りやすいと言われる公庫融資で5割、銀行融資に至っては4割ほどであるため、ファクタリングの審査が通りやすいのがわかります。
ファクタリング会社の中でもとくに審査が甘いと言われる会社の通過率は8~9割です。絶対通る、とまでは言い切れないものの、早急に資金調達の必要がある場合、大いに頼りになる存在といえるでしょう。
ファクタリングの審査基準
ファクタリング審査の基準について解説します。ファクタリングの審査では、融資とは違うポイントが重視されます。
売掛(取引)先の信用力
ファクタリングの審査でもっとも重視されるのは「信用できる売掛先なのか」です。ファクタリング会社は売掛債権を買い取ったら、売掛金を必ず回収しなければなりません。そのために必要なのは売掛先の信用力です。ファクタリングを申し込んだ利用者がたとえ赤字であったり資金繰りが苦しい状態であったりしても、売掛先が売掛金の支払いをきちんとしてくれるのであればファクタリング会社は売掛金を回収できます。ファクタリング会社にとってみれば、利用者より売掛先の経営状態や信用度のほうが大切です。
売掛金の支払期日
ファクタリング会社にとって売掛金の支払期日は、立て替えた売掛金を回収する日です。支払期日が先になれば、ファクタリング会社には売掛金を回収できない状態が長く続くことになります。さらに、支払期日までの期間が長いと売掛先が倒産する可能性もあるため、未回収のリスクが高くなってしまい、ファクタリング会社にとっては痛手です。できる限り支払期日が早い売掛債権のほうが有利でしょう。
利用会社の信用度
ファクタリングでは一般的に売掛先の信用度が重要であり、利用会社の経営状況は重視されないのは間違いありません。しかし、申し込んだ利用者の信頼度もまったく無関係ではない点に注意しましょう。ファクタリング会社は、ファクタリングを不正に利用されないよう防ぐ必要があります。考えられるのは、架空の請求書で売掛金をだまし取ったり、売掛金をファクタリング会社に納めず逃げてしまったりというケースです。利用者(利用会社の代表者)の最低限の情報はチェックされていると考えておきましょう。
売掛債権の状態
ファクタリング会社にとっては、最終的に売掛金をきちんと回収できるかが重要です。そのため、買い取った売掛債権がどのような状態なのかを詳しく調べます。
ファクタリングの「二重譲渡」は、売掛債権を1社ではなく別のファクタリング会社へも売却し、二度にわたって資金を手に入れることです。二重譲渡は犯罪であり、詐欺罪に問われます。これを避けるために、2社間ファクタリングの場合、ほとんどのファクタリング会社では二重譲渡を警戒し「債権譲渡登記」を行います。
債権譲渡登記が行われると、二重譲渡が起きた場合、一番早く登記した人が譲受人(債権を請求する権利を譲られた人)となります。
そのほか、売掛金の金額が大きすぎたり、小さすぎたりするのも不利になることがあります。偽造債権である場合や、持ち逃げされる危険性が高いと見られることが原因です。また、書類に必要事項の記載漏れや矛盾があるなどの不備があると、審査が進まないばかりか、偽造を疑われかねません。提出時には念入りに必要な書類が不足していないか確認する必要があります。
通りやすいファクタリング会社とは
ファクタリング会社の中でも、審査が通りやすいとされるファクタリング会社にはどのような特徴があるのかについて解説します。
必要書類が少ない
通常、ファクタリングを申し込む場合にはさまざまな書類が必要ですが、必要書類が少ないファクタリング会社は、審査に通りやすい傾向があります。最低利用可能額が高く設定されているファクタリング会社では、売掛債権を証明する請求書以外にも登記簿謄本や確定申告書、財務諸表などの提出を求められることも少なくありません。
必要書類が少なく済むファクタリング会社では、審査が比較的通りやすい傾向です。オンライン完結型の場合、売掛債権(請求書など)と本人確認書類(運転免許証など)と、銀行の口座番号のみで申し込めるケースも増えてきました。
業種別などプランが細かく分かれている
ファクタリング会社によっては、利用者の業種を「建築業者向け」「医療・介護向け」のように細かく分けてプランを設定している場合があります。このような会社も通りやすい傾向にあるといえます。
業種別のプランを設定しているファクタリング会社は、それぞれの業種の事情を理解しているため、他では通らない請求書でもファクタリングが可能な場合があります。プランがあるのは建築、建設業、IT、医療、介護、運送業などに限られますが、条件を満たす場合利用を考えるのも良いでしょう。
手数料が高めに設定されている
手数料が高めになっているファクタリング会社は、比較的審査を通過しやすいといえるでしょう。ファクタリング会社は、手数料によって利益を出しています。そのため手数料は非常に重要です。
手数料は各ファクタリング会社が自由に設定しています。手数料を低めにしている会社は、売掛金を回収できなくなるリスクを回避するために厳しい傾向にあります。一方手数料を高めにしている会社は、その分通過しやすいでしょう。手数料が高いと通過しやすいメリットがある一方、手数料の分引かれる金額が大きく、調達できる資金が減ってしまうことも考慮する必要があります。
少額でも利用でき、買取上限額が低め
債権の買い取りを少額からでも受け入れている会社のほうが通りやすい傾向です。最近では個人事業主を中心に、ファクタリングの少額利用が増えています。
買取金額の上限が高いファクタリング会社は大口の取引を基本にしており、審査も厳しいのが普通です。小口の取引を中心としている会社では、審査を通りやすくしてより多くの人が利用できるようにしています。ファクタリングの利用を考えるときは、買取金額をチェックしておき、少額の取引に対応するファクタリング会社をピックアップし、手数料とのバランスを見ながら会社を選ぶとよいでしょう。
個人事業主に対応している
個人事業主やフリーランスに対応しているファクタリング会社は審査が通りやすい傾向にあります。一般的には法人用のファクタリングがもっとも厳しく、個人事業主やフリーランス対応のファクタリング会社はそれよりも緩めです。 そのため、個人事業主およびフリーランスに対応するファクタリングを選ぶと通過の可能性は高くなるでしょう。
絶対通るためには?
「絶対通るファクタリング」はありませんが、運転資金がどうしても不足する場合など、ファクタリングを申し込む以上は絶対通るようにしたいと考える方もいるでしょう。そこで、絶対通るために注意するべきポイントについてまとめました。
絶対通るためには① 3社間ファクタリングを選択
2社間ファクタリングより自社とファクタリング会社、売掛先の3社間での契約となる3社間ファクタリングのほうが、通る可能性は高くなります。3社間の場合、売掛先から承諾を得る必要があり、また期日には直接売掛先から回収できるため、ファクタリング会社はリスクが少なくなるのです。結果、審査に通りやすくなり、手数料も安くなります。「絶対通るファクタリング」にするためには、3社間ファクタリングを考えましょう。
絶対通るためには② 支払期日が長くない売掛債権を利用
ファクタリングで現金化する売掛金は、支払期日までの期間が短いほうが有利です。企業間の取引では、末日に締め翌月末の支払い、または翌々月の末に支払いという売掛サイトが一般的です。しかし長い企業では3か月後、さらに長い企業では6か月以上先の場合もあります。ファクタリング会社にしてみれば、売掛金の未回収リスクが高い状態のまま何か月も待たなければなりません。
回収までの期間が長いとファクタリング会社にとってリスクが高く、審査が厳しくなり、さらに手数料も高くなる可能性があります。絶対通るためには、入金までの期間が短い売掛金を利用するのが良いでしょう。
絶対通るためには③ 通りやすいファクタリング会社を選ぶ
審査に絶対通るためには、通りやすいファクタリング会社を利用しましょう。手数料が高めに設定されている場合、審査が緩めであることがほとんどです。絶対通りたいと考えるなら、手数料が高めでも厳しくない会社を中心に検討しましょう。
絶対通るためには④ 売掛先の信用度が高い債権をファクタリング
ファクタリングの審査で対象となるのは売掛先の信用度や経営状態です。信用度が高い売掛先の債権は通りやすくなるため、絶対通るためには売掛先の選択に注意する必要があります。信用度が高い売掛先とは次のような場合です。
・法人である
売掛先が個人よりも法人であることは有利にはたらきます。個人は法人と比較してリスクが大きいと取られるため、ファクタリングするなら法人との取引がよいでしょう。
・大企業、国や自治体など
大企業や国、自治体は社会的に信用があり、審査も通りやすい傾向です。
・経営状態が良好
経営状態が良い企業は、倒産の可能性が低く、未回収リスクも低いためファクタリングの審査も通過しやすいでしょう。
・利用者と取引が継続している
自社と長い間取引が続いている売掛先の債権も審査を通りやすいといえます。1回だけの取引であることが理由で通らないわけではありませんが、継続している取引先よりも細かいところまで調べられるでしょう。
絶対通るためには⑤ 適切な利用金額
絶対通るファクタリングのためには、利用金額を自社の規模に見合った金額にすることも大切です。利用会社の規模に対して調達希望金額が大きすぎると、債権を偽造するのではないか、持ち逃げされるのではないかなどと疑われる可能性があります。
逆に、利用金額が少なすぎることにより審査を通過しないことも珍しくありません。売掛金が少ないと手数料も少なくなり、ファクタリングにかかる手間やコストは高額の債権と変わらないにもかかわらず、ファクタリング会社の利益が小さくなるためです。絶対通るために、適切な利用金額に調整しましょう。
絶対通るためには⑥ 書類を確実に揃える
絶対通るファクタリングのために、提出書類の不備に注意してください。必要な書類が不足しているなどミスが多いと審査に時間がかかります。書類に疑わしいところがあるとされた請求書は買い取りされません。書類は要求されたものを確実に提出し、質問を受けたら回答できるようにしておく必要があります。
多少の違いがありますが、一般的に必要な書類は商業登記簿謄本、身分証明書、決算書、印鑑証明書などです。早めに提出できると信頼され、印象が良くなり「絶対通るファクタリング」に近づくでしょう。
ファクタリングの審査に絶対通るには?審査の基準も解説のまとめ
ファクタリングに絶対通る方法は存在しません。ファクタリングを申し込めば、会社により基準に違いはあるものの、審査があるためです。審査ではファクタリング会社が確実に売掛金を回収するために、売掛先の信用度が重点的にチェックされます。
「絶対通るファクタリング」に近づけるためには、審査基準がそれほど厳しくない、通過率が高いファクタリング会社を選び、信用度が高い売掛債権をファクタリングに使うといったことが必要です。