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ファクタリングの利用に担保は必要!?ファクタリングと売掛債権担保融資の違いも解説

資金調達手段である融資やビジネスローンを利用する際には、担保や保証人を用意する場合があります。

さらに、ファクタリングと同じ売掛債権を利用した資金調達手段が売掛債権担保融資です。売掛債権担保融資はその名称通り売掛債権が担保になります。

ファクタリングも資金調達手段なので、融資やビジネスローン、売掛債権担保融資と同じように担保や保証人がなければ利用できないと思っている方がいらっしゃいます。

そこで、この記事ではファクタリングの申し込みに担保が必要なのかどうか、ファクタリングと売掛債権担保の違いなどを紹介します。

そもそも担保とは?

担保とはお金の貸し借りをするにあたり、債務者が返済できなくなった時の事を想定して、あらかじめ債権者に提供する事物のことです。

担保は大きく分けて人的担保と物的担保の2つに分けられます。

・ 人的担保:連帯保証人(企業の代表者や資力のある第三者)
・ 物的担保:土地・建物・有価証券(株式・債権)・売掛債権

担保付き融資は、無担保融資より融資金額が大きくなる、資金使途によっては期間の長い融資を受けることが可能です。

ただし、担保付き融資を利用するためには、担保や保証人が必要であり、不動産など評価が必要なものを担保として差し出す場合、融資までに時間がかかります。

ファクタリングの申し込みに担保は必要!?

答えを先に述べればファクタリングの申し込みに担保・保証人は不要です。

ファクタリングは金銭消費貸借契約ではありません。ファクタリング事業者に自社が保有する売掛債権を譲渡しその買取代金を受け取るので資産の売却です。

ファクタリングは融資ではないので、担保や保証人はいりません。利息をつけて元金を返すといった返済義務や金利の負担もないです。

ファクタリング事業者が売掛金未回収のリスクに備えるために担保や保証人を要求すれば、それは融資となり貸金業法に違反する行為となります、

資金需要のある企業がやむを得ない事情で担保や保証人を用意できないのであれば、担保・保証人不要で利用できるファクタリングを利用してください。

担保・保証人を要求する事業者は要注意

資金需要のある企業の経営者の中には、ファクタリングは担保や保証人なしで申し込めることを知らない方がおられます。

資金繰りに困っているという弱みに付け込んで悪徳業者は以下のような方法で経営者を騙します。

・ 「小切手や手形を担保にすれば即日入金します」といった形でファクタリング事業者を装い勧誘する
・ 売掛債権を担保とする貸付の契約を結ばせる

先ほど説明したように、ファクタリングには担保や保証人はいりません。小切手や手形を差し出せばすぐに入金しますという業者は、実際はファクタリングではなくファクタリングを装った貸付をおこなっているので注意してください。

売掛債権を担保とする貸付の契約を結ばせる

悪徳業者は、利用企業に対し償還請求権ありのファクタリング契約を締結するよう話を持ち掛けます。

償還請求権ありのファクタリング契約は、売掛金を担保とする貸付の契約と実質的に同じであり、貸金業としての登録がなければ、そうした行為はおこなえません。

償還請求権ありの契約を締結すれば、万が一売掛先が倒産したなどの理由で、ファクタリング事業者が売掛金回収不能となった場合、利用企業に売掛債権の買い戻しを求めることが可能です。

通常のファクタリングは償還請求権なしのノンリコース契約なので、売掛先が売掛金を支払えずファクタリング事業者が損失を被っても、利用企業に弁済責任が生じることはありません。

悪徳業者は利用企業側の知識不足に付け込んでそのあたりをうまくごまかし、償還請求ありの契約を結ばせ貸付にしようとするので注意してください。

もし、売掛債権を担保にするような契約を求められた場合、その事業者が貸金業者として登録しているかを確認し、登録がなければ偽装ファクタリング業者とみなし契約しない方がいいでしょう。

売掛債権を担保として融資をするサービスは、実は銀行やノンバンクがきちんとしたサービスとしてすでに提供しています。次にその売掛債権担保融資について紹介します。

売掛債権担保融資とは?

売掛債権担保融資は売掛金を担保に銀行やノンバンクなどから融資を受けて資金調達する方法です。

たとえば、銀行から売掛債権担保融資を受ける場合、資金需要のある企業が銀行に売掛債権担保融資の申し込みをします。その後、銀行が信用保証協会に対する売掛債権の保証を申し込みます。

信用保証協会による保証手続きが完了すると、銀行から企業に融資が実行されるという流れです。

ファクタリングと売掛債権担保融資の違い

ファクタリングと売掛債権担保融資はどちらも売掛債権を利用して資金調達するという点は同じです。

しかし、ファクタリングは売掛債権の売却で、売掛債権担保融資は売掛債権を担保とし融資を受けることなので、資金調達をするために方法が違います。

さらに、次の点がファクタリングと売掛債権担保融資の違いです。

・ 審査で重視するポイント
・ 売掛先未回収への備え
・ 信用情報機関への情報登録

審査で重視するポイント

ファクタリングとの審査で重視されるポイントは、売掛先の信用力です。

ファクタリング事業者は売掛先に売掛金を支払う能力があれば、売掛金回収不能のリスクは低いと判断し、審査を通します。

したがって、申し込み企業が業績不振で赤字経営、借入による資金調達で債務超過の状態であったとしても、売掛先の信用力に問題なければ審査に通過できます。

一方、売掛債権担保融資では、売掛先の信用力に加えて申し込み企業の信用力、つまり返済能力も重視されるポイントです。

売掛先の信用力で融資額が変化するのはもちろん、申し込み企業が業績不振に陥っている、債務超過の状態なら返済できる見込みがないと判断されて審査に通過できない可能性が高いでしょう。

売掛金未回収への備え

先ほど紹介したようにファクタリングの契約は原則として償還請求権なしのノンリコース契約なので、売掛先から売掛金を回収できなくなっても、利用企業が弁済責任を負うことはありません。

一方、売掛債権担保融資は、売掛先から回収した売掛金で借りたお金を返済することになります。したがって、売掛先からの入金が遅延すれば、利用企業が返済しなければなりません。

利用企業が何らかの理由で借入金を返済できないときは、信用保証協会が金融機関に貸付残高の9割を代位弁済するとともに、金融機関及び信用保証協会は売掛債権から未回収金を回収します。

信用情報機関への情報登録

銀行やノンバンクでお金を借りる、クレジットカードのショッピング枠やクレジット枠を利用すれば、その情報が銀行やノンバンクが利用している信用情報機関に登録されます。

ファクタリングで資金調達しても銀行やノンバンクが利用する信用情報機関に情報が登録される、審査の際にそこからの情報が参照されるということはありません。

一方、売掛債権担保融資は、銀行やノンバンクからの融資になるので、信用情報機関に情報が登録されます。

返済が長期に渡り滞る、返済ができずに代位弁済してもらうといった金融事故を起こせばその情報も一定期間信用情報機関に登録されるので注意してください。

ファクタリングと売掛債権担保融資を使い分ける

ファクタリングと売掛債権担保融資では同じ売掛債権を利用した資金調達手段でも内容や特徴に違いがあるのでそれらを見分けて使い分ける必要があります。

この部分では、ファクタリングの利用を推奨するケースと、売掛債権担保契約を推奨するケースそれぞれを紹介しましょう。

ファクタリングを推奨するケース

資金調達について以下のどれかに当てはまるものがあればファクタリングの利用をおすすめします。

・ 担保や保証人を用意できないので銀行や公的機関からの融資が難しい
・ 業績不振・赤字経営なので与信審査に通過できない
・ これ以上負債を増やしたくない
・ 信用情報機関に情報を登録されたくない
・ すぐに売掛債権を現金化したい

ファクタリングの特徴は、申し込みから審査、契約、資金調達完了までのスピードが速いことです。オンラインですべての手続きを完結できる事業者を選べば、即日審査・即日入金に対応しているところがあるので、申し込んだその日もしくは次の日には売掛債権が現金化できます。

売掛債権担保融資を推奨するケース

自社の経営状況や財務状況が以下のどれかに当てはまれば、売掛債権担保融資を利用できるでしょう。

・ 担保にできる売掛債権がいくつもある
・ 多額の資金が必要
・ 事業の将来性が認められる

売掛債権担保融資は、信用力の高い売掛先がいくつかあれば、それを担保にし、ある程度まとまった資金を得ることが可能です。

獲得できる資金が多ければ、運転資金の確保だけでなく設備投資にもお金を回せるでしょう。

さらに、開業したばかりで不動産などの担保を用意できない会社でも、売掛債権があり、事業の将来性が認められるのであれば、融資してもらえる可能性があります。

ファクタリングと担保についてのまとめ

この記事ではファクタリングの申し込みに担保が必要かどうか、ファクタリングと売掛債権担保融資の違いを説明しました。

ファクタリングは金銭消費貸借契約でなく売掛債権についての債権譲渡契約なので貸付にはなりません。したがって、申込に際し担保や保証人は不要です。

ファクタリングと売掛債権担保融資はどちらも売掛債権を利用した資金調達手段ですが、ファクタリングは売掛債権の売却で資金を得る、売掛債権担保融資は売掛債権を担保にして融資を受けるという点が違いました。

資金調達手段としてはどちらにもメリット・デメリットがあるので、両方の違いを見分けて自社にふさわしい方法を選んでください。