【両立支援等助成金】育児休業支援コースの内容と活用する際の注意点について解説
目次
育児休業等支援コースは、作成したプランに沿って従業員の円滑な育児休業の取得・職場復帰に取組む事業主を助成する制度です。
具体的には、対象従業員が育児休業を取得した際と、職場復帰した際の2回のタイミングで助成金が支払われます。
ただ、本コースを実際に活用するためには、受給要件や支給申請期間に関して理解を深めていく必要があります。
本記事では、育児休業等支援コースの内容と活用する際の注意点について解説していきます。
活用を検討されている事業主の方にとって非常に有益な情報をご紹介していきますので、ぜひ最後までお読みください。
育児休業等支援コースとは
本コースは、「育休復帰支援プラン」を策定したうえで、育児休業の円滑な取得・職場復帰への取組みを行った事業主を助成するものです。
育休復帰支援プランは、労働者の育休取得・職場復帰を円滑にするために事業主が作成する実施計画のことです。
内容としては、育休前の引継ぎ方法や休業中の情報提供方法などがあります。
近年、育休の取得に対して前向きな意見を持っている方が増加傾向にあります。
女性の取得率に関しては横ばいの状態が続いていますが、男性の取得率に関しては2012年で1.9%だったのに対し、2022年では17.1%を記録しています。
このように男性・女性に関わらず育休の取得が促進されている現代においては、対象従業員が円滑に育休を取得できる、職場復帰できる環境整備が必要となります。
本コースは、上記のような環境を整備する際に活用できる助成金であり、従業員の満足度向上や離職率の低下への効果にも期待できます。
育児休業等支援コースの内容
ここからは皆さんが気になっている本コースの内容について解説していきます。
実際に活用するために必須となる受給要件や支給申請期間について解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
受給要件
本コースで助成金の支給対象となるのは「育休取得時」と「職場復帰時」の2回です。
2回のタイミングで助成金を受給できますが、受給要件を満たしていることが前提となります。
「育休取得時」と「職場復帰時」の受給要件は以下の通りです。
育休取得時
1.育休復帰支援プランを策定することにより、従業員の育児休業の取得・職場復帰を支援する旨を周知していること
2.対象従業員と面談等を行い、その内容を記録したうえで、育休復帰支援プランを作成すること
3.育休復帰支援プランに基づいて、業務の引継ぎを実施していること
4.対象従業員が連続3ヵ月以上の休業を取得したこと
5.取組みに関する制度などを労働協約・就業規則に定めていること
6.次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局へ届け出ていること
7.対象従業員を休業の開始日時点で、雇用保険被保険者として雇用していること
職場復帰時
1.育休復帰支援プランに基づき、対象従業員の復帰までに職務や業務内容に関する情報提供を行ったこと
2.職場復帰前に対象労働者と面談等を行い、内容を記録すること
3.職場復帰後、原則として休業前に就いていた職務に復帰させること
4.対象従業員を職場復帰から6ヵ月以上、かつ支給申請日まで、雇用保険被保険者として継続して雇用していること
5.次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局へ届け出ていること
助成金額
本コースの助成金額は以下の通りです。
1.育休取得時:30万円
2.職場復帰時:30万円
3.情報公表加算:2万円
本コースの助成金の支給は1事業主2回までで、内訳は無期雇用労働者・有期雇用労働者各1回となっています。
3の情報公表加算に関しては、1or2のいずれかの助成金に加算されて支給される仕組みとなっており、加算額のみの受給は不可能です。
支給申請期間
本コースでは助成金を労働局に請求する「支給申請期間」が定められています。
支給申請期間に支給申請を行わなければ、助成金を受給できなくなるため注意が必要です。
1.育休取得時
育休取得時の支給申請期間は、対象従業員の状況で以下の3つのケースに分けられます。
・産後休業から連続して育児休業を取得する場合
産後休業から連続して育児休業を取得する場合の支給申請期間は、産後休業開始日から3ヵ月を経過する翌日から起算して2ヵ月以内です。
例えば、5/10に出産し5/11から産後休業が開始した場合、5/11から3ヵ月を経過する日の翌日8/11から2ヵ月以内、つまり10/10までが支給申請期間となります。
・育児休業のみを取得する場合
育児休業のみを取得する場合の支給申請期間は、開始日の3ヵ月を経過する翌日から起算して2ヵ月以内です。
例えば、7/5に開始日を迎えた場合、3ヵ月を経過する日の翌日10/5から2ヵ月以内が支給申請期間となります。
・産後休業終了から育休開始まで期間が空いている場合
産後休業終了から育休開始までに期間が空いている場合の支給申請期間は、育休開始日の3ヵ月を経過する翌日から起算して2ヵ月以内です。
ケースこそは異なりますが、支給申請期間の計算方法に関しては上記「育児休業のみを取得する場合」と同様です。
育児休業等支援コースを活用する際の注意点
本コースを活用する際の注意点は以下の通りです。
連続3ヵ月以上の育児休業を取得させる必要がある
本コースを活用するためには、連続3ヵ月以上という長期間に渡る休業を取得させる必要があります。
対象従業員が職場から離れる期間が長いため、その間の業務体制整備にも取り組み必要があります。
業務体制を整えることができなければ、他の従業員の負担が大きくなってしまい、不満が生まれることになるでしょう。
対象従業員に気持ちよく休業してもらうためにも、業務体制の整備に努めるようにしましょう。
申請日までの間6ヵ月以上継続的に雇用しなければいけない
本コースの職場復帰時の要件として「申請日までの間6ヵ月以上継続雇用しなければいけない」というものがあります。
6ヵ月以内に対象従業員が離職してしまった場合は、受給要件を満たせていないので助成金を受給できません。
たとえ雇用する事業主が離職に影響を与えていなくても助成金を受給できなくなってしまうので、本コースを活用する際は「育児休業後も継続的に働く意思があるか?」という点を入念に確認しておく必要があります。
というのも休業期間明けに退職を希望する従業員も少なくありません。
数か月間の間子育てをしてみて「子供を育てやすい田舎に引っ越したい」「実家の近くに引っ越して援助を受けながら子育てをしたい」と感じる人も少なくないからです。
確実に要件を満たすためにも、休業後の意思を確認しておくようにしましょう。
【両立支援等助成金】育児休業支援コースの内容と活用する際の注意点について解説
のまとめ
今回は育児休業支援コースの内容と活用する際の注意点について解説させていただきました。
本コースは、育児休業を取得する予定がある従業員を雇用する事業主にとって非常にメリットがある内容です。
支給回数に制限こそありますが、最大62万円の助成金を受け取ることができます。
受け取った資金の用途は自由なので、育児休業に関する環境整備以外にも活用できます。
本コースに興味を持たれている方は、ぜひ一度活用してみてください。