助成金・補助金情報

助成金の申請代行を依頼できる人は?依頼するメリットや費用相場について解説!

助成金とは、国が労働環境の整備や人材育成に取り組む法人・個人事業主を支援する目的で支給するお金のことです。
助成金には返済義務がないため、多くの事業者が助成金の受給を希望しています。
しかし、助成金を受給するためには、申請書のほか多くの書類を準備し、提出しなければいけません。
従業員の少ない企業では、助成金の申請準備が業務に支障をきたしてしまうことも考えられます。
そこで注目されているのが「助成金の申請代行」です。
助成金の申請代行を活用すれば、助成金の申請にかかる労力・時間を大幅に削減できます。
では、助成金の申請代行はいったい誰に依頼できるのでしょうか。
本記事では、助成金の申請代行を依頼できる人は誰なのか、また申請代行を活用するメリットや費用について解説していきます。

助成金の申請を代行できる人

結論から申し上げますと、助成金の申請を代行できる人は「社会保険労務士(社労士)」のみです。
社労士以外の人が申請を代行することは法律で禁止されており、これに違反すると社会保険労務士法が適用され、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
そのため、助成金の申請は、助成金の受給を希望している事業者が行うか、社労士に代行してもらうかのどちらかになります。

助成金は申請すれば必ず受給できる?

助成金は、要件を満たしている事業者であれば受給できるお金です。
補助金のようにあらかじめ採択件数が決められていないため、審査に落ちてしまうことがほとんどありません。
申請書の提出や必要書類の準備をスムーズに行えれば、問題なく受給できるでしょう。
しかし、申請書や必要書類に不備があった場合は、一旦手続きが止まってしまいます。
また、不備の修正が期限内に間に合わなかった場合は、次の公募開始まで待たなければいけません。
そのため、助成金の申請を行う際は社労士に申請代行を依頼し、スムーズな手続きをサポートしてもらうのが得策だといえます。

補助金の申請は社労士以外の人にも依頼できる

補助金は、主に国の政策目標に沿ったビジネスを行う事業者に対して支給されるお金です。
「返済不要で受給できるお金」といった意味では助成金と同じですが、制度の目的や受給できる金額など、内容は異なります。
補助金の場合はあらかじめ採択件数や予算が決められているため、申請を行ったとしても審査に通過できないことが多くあります。
そのため、申請代行を活用し、その道のプロに依頼することが一般的です。
しかし、助成金とは異なり、補助金の申請代行は社労士以外の人にも依頼できます。
具体的には、金融機関や弁護士や会計士などの士業、民間の専門業者などに申請を代行してもらうことができます。
ただ、代行を依頼できる人が多い分、依頼先によって対応品質が異なるので、補助金の申請代行を活用する際は、事前に依頼先の口コミ・評判等を確認することが重要です。

申請代行を活用して助成金を受給するまでの流れ

初めて助成金の申請代行を活用するという方は、助成金の受給までどのような流れで進めていくのか、また申請代行を請負う社労士はどの範囲まで代行してくれるのかなど、疑問に思う点があるでしょう。
実際のところ、依頼内容や依頼先の社労士によってどの範囲まで代行してくれるかは異なります。
本章では、助成金の申請代行を活用した場合の受給までの流れと、社労士が代行する業務について解説していきます。

①:社労士へ相談

助成金の申請を社労士に依頼する場合は、まず助成金の申請代行の対応が可能な社労士へ相談を行うようにしましょう。
相談方法は基本的にオンラインですが、より綿密な打ち合わせを行いたい場合は対面でのご相談をおすすめします。
相談の際は、相談者の悩みやニーズからどの助成金が適しているかを教えてくれます。
自社に合った助成金を活用するためにも、従業員の数や現状の雇用状況、今後の展望についてできるだけ詳しく伝えるようにしましょう。

②:受給診断

受給診断では、相談者の条件や助成金の使用用途から適切な助成金を選定してくれます。
また、相談者によっては助成金の受給要件を満たせていない場合もあるので、助成金の受給要件を満たすためのアドバイスも行ってくれます。
相談から受給診断までは無料で行っている社労士が多いので、自社が助成金の受給要件を満たせているか確認することも含めて、一度社労士に相談することをおすすめします。

③:計画書の作成・提出

受給診断で申請する助成金が決まった後は、助成金の運営元に提出する「計画書」を作成していきます。
計画書に記入する項目は、活用する助成金の種類によって異なります。
例えば、非正規社員のキャリアアップを推進する制度の「キャリアアップ助成金」を活用する場合は、厚生労働省のホームページから計画書をダウンロードし、以下の項目を記入する必要があります。
 キャリアアップ管理者情報
 キャリアアップ管理者の業務内容
 キャリアアップ計画期間
 キャリアアップ計画期間中に講じる措置の項目
 対象者
 目標
 目標を達成するために講じる措置
 キャリアアップ計画全体の流れ
計画書には助成金の申請代行を請負う社労士の基本情報を記入する欄もあり、計画書の作成を社労士に依頼することは可能です。
ただし、計画書の作成代行が助成金の申請代行サービスの範囲内であるかは、各社労士によって異なるので、相談の段階で確認しておくようにしましょう。

④:就業規則の変更

活用する助成金によっては、就業規則の変更が必要になるケースがあります。
就業規則の変更が必要な場合は、労働基準監督署へ届け出を提出しなければいけません。
もちろん自社で届け出を作成することもできますが、社労士へ代行依頼することも可能です。
助成金の申請代行を活用する際は、無料相談の段階で就業規則の変更に関する手続きも代行してくれるか確認するようにしましょう。

⑤:計画の実施・助成金の申請

計画書の作成、就業規則の変更が完了したら、計画を実施して助成金の申請を行いましょう。
助成金の申請を行う際は、いくつかの書類を作成・準備する必要があります。
社労士に申請代行を依頼している場合は、社労士から申請に必要な書類の提出を求められるので、不備のないように対応するようにしましょう。

⑥:助成金の受給

助成金の申請が完了したら、いよいよ受給です。
助成金は補助金とは異なり受給要件を満たせていれば受給できるお金なので、採択件数や予算が原因で受給できないという心配はありません。
ただし、審査には数ヵ月の期間を要するため、申請してから助成金を受給するまでには時間がかかります。
助成金を受給したら、これまで申請代行を請負ってくれた社労士に成功報酬を支払い、一連の流れは終了となります。

助成金の申請代行を活用するメリット

助成金の申請は自社でも行える作業ですが、申請代行を活用するとこれから解説するメリットがあります。
申請代行を活用すると社労士へ成功報酬を支払わなければいけませんが、費用対効果を考えると、助成金の申請代行を活用したほうが良いといえるでしょう。

適切な助成金を教えてくれる

助成金の申請代行を活用すると、社労士が適切な助成金を教えてくれます。
助成金には膨大な種類があるため、全ての助成金について網羅することは不可能に近いです。
調べる助成金の数が増えれば増えるほど労力と時間がかかるので、ほとんどの事業者は有名な助成金を活用しようとします。
しかし、社労士は各種助成金の概要や受給要件、受給できる金額について豊富な知識を有しているため、自社の悩みやニーズに適した助成金を教えてくれます。
助成金の「もらい漏れ」を避けるためにも、申請代行の活用をおすすめします。

業務に集中できる

助成金の申請代行を活用すると、申請に関する労力や時間を省くことができるため、業務に集中できます。
上記で述べたように、助成金を申請する際は計画書の作成や必要書類の準備、就業規則の変更など、手間がかかる作業が発生します。
これらの準備を行いながら本業の業務をこなすことは難しく、助成金の申請期限までに準備を完了できないケースも珍しくありません。
しかし、助成金の申請代行を活用すれば、社労士から求められた書類を提出するだけなので、業務に集中することができます。
社労士に申請代行を依頼すると費用が発生しますが、助成金申請の準備にかかる手間を考えると、申請代行を活用したほうが効率的だといえます。

審査通過率が高まる

助成金の申請代行を活用すると、審査通過率が高まります。
助成金は補助金とは異なり受給要件を満たしていればほぼ確実に受給できるお金ですが、受給するためには審査に通過しなければいけません。
もし審査時に受給要件を満たしていないことが発覚したり、書類に不備があった場合は、審査に通過することができません。
社労士は助成金の申請に関するプロなので、相談者が該当助成金の受給要件を満たしているか判断することが可能です。
また、書類の不備等が発生する可能性も極めて低いので、審査通過率を高めることができます。
助成金の申請は自社で行うことも可能ですが、社労士に代行を依頼したほうが確実性は高いといえます。

助成金の申請代行を活用するデメリット

助成金の申請代行には上記のようなメリットがありますが、実際のところデメリットとなる面も存在します。
助成金受給後のトラブルを防ぐためにも、事前に抑えておきましょう。

費用が発生する

助成金の申請代行を活用する際は、代行を請負ってくれる社労士もしくは事務所に対して費用を支払わなければいけません。
支払う費用の種類は「着手金」と「成功報酬」の2種類であることが一般的で、このうち着手金は助成金の審査に通過できなかったとしても返ってきません。
そのため、手元資金が少ないという方は、助成金を受給できなかった場合に備えて着手金が安いまたは完全成果報酬型の社労士に依頼すると良いでしょう。
ただし、上記のような社労士に代行を依頼する場合、助成金を受給できた際の成功報酬が高めに設定されるケースがあるため注意が必要です。

申請代行の依頼先の選定が難しい

助成金の申請を代行できるのは社労士だけですが、依頼する社労士によって助成金受給の成功率が異なります。
なぜなら、社労士の中には助成金の申請に関する知識・経験が浅い人や、大雑把など性格に問題がある人も存在するからです。
もし、助成金の申請に関する知識・経験が浅い社労士に依頼してしまった場合、自社に最適な助成金を見つけ出してくれない可能性が高まります。
また、大雑把な性格の社労士に代行を依頼した場合は、書類関係のミス等で助成金の受給に失敗してしまうかもしれません。
このように、社労士とはいえ様々な特性を持っていることがあるので「社労士なら誰でも大丈夫」というわけではありません。
助成金の受給に成功するためには、経験が豊富な社労士に依頼することが重要です。

助成金の申請代行の費用相場

上記で述べたように、助成金の申請代行を活用する際は依頼先である社労士または事務所に対して「着手金(手数料)と「成功報酬」の2種類の費用を支払わなければいけません。
これらの費用は一律ではなく、依頼する社労士や事務所ごとに異なります。
着手金(手数料)と成功報酬の一般的な相場は以下の通りです。
 着手金(手数料) :2万円~10万円
 成功報酬     :支給金額の10%前後
完全成果報酬型で申請代行を請負う社労士の場合は、成功報酬が15%~20%となることがあります。
助成金を本来の使用用途に活用するためにも、申請代行にかかる費用はできるだけ抑えるようにしましょう。

助成金の申請代行を依頼できる人は?依頼するメリットや費用相場について解説!のまとめ

今回は、助成金の申請代行を依頼できる人は誰なのか、また申請代行を活用するメリットや費用について解説させていただきました。
助成金の申請代行サービスは、助成金の活用を考えている事業者にとって非常に便利なサービスです。
申請代行を依頼すれば、申請にかかる手間や時間を省けるだけでなく、審査通過率も高めることができます。
しかし、助成金の申請代行は社労士にしか依頼することができません。
社労士以外の人に申請代行を依頼した場合は、罰則対象となる可能性があるので注意が必要です。
信頼性の高い社労士を探し出し、スムーズに受給までの手続きを進めていきましょう。