【早期再就職支援等助成金】雇入れ支援コースの内容と活用する際の注意点について解説
目次
早期再就職支援等助成金は、経済的事情により離職せざる得なくなった労働者の早期再就職を支援する制度です。
「再就職支援コース」「雇入れ支援コース」「中途採用拡大コース」「UIJターンコース」の4つのコースが用意されており、それぞれ内容、助成金額等が異なります。
本記事で解説する「雇入れ支援コース」は、新規人材の雇入れを検討している事業主にとって非常にメリットがある制度ですので、本記事を参考に活用を検討してみてください。
早期再就職支援等助成金「雇入れ支援コース」とは
早期再就職支援等助成金「雇入れ支援コース」は、事業主の経済的事情により離職せざる得なくなった労働者を早期に雇入れ、賃金を雇入れ前の賃金より5%以上上昇させた事業主に対して助成する制度です。
本制度は、余儀なく離職に追い込まれた労働者の早期就職と、雇用継続を目的としており、多くの事業主が活用しています。
早期再就職支援等助成金「雇入れ支援コース」の内容
ここからは本記事の本題である「雇入れ支援コースの内容」について解説していきます。
助成対象となる労働者・事業主の要件、助成金額について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
助成対象となる労働者・事業主の要件
本コースの助成対象となる労働者・事業主の要件は以下の通りです。
・労働者:離職から3ヵ月以内に期間の定めのない労働者として雇入れられること
・労働者:申請者にあたる事業主に雇入れられる前に「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者、もしくは雇用保険の特定受給資格者であった方
・労働者:離職前に雇用されていた事業主の職場に復帰する見込みがないこと
・事業主:支給対象者を離職日の翌日から起算して3ヵ月以内に雇用すること
・事業主:支給対象者を一般被保険者又は高年齢被保険者として雇用すること
助成金額・助成率
本コースは、離職せざる得なくなった労働者を早期に雇入れる「早期雇入れ支援」に対する助成金に、早期に雇入れた労働者に対して所定の訓練を行う「人材育成支援」に対する助成金が上乗せされる仕組みとなっています。
本コースの助成金額・助成率は以下の通りです。
【早期雇入れ支援】
・通常助成:支給対象者1人につき30万円
・優遇助成:支給対象者1人につき40万円
優遇助成とは、一定の成長性が認められている事業所の事業主が、「再就職援助計画対象労働者証明書」に「特例対象者」として記載された方を雇入れた場合に適用されるものです。
【人材育成支援】
人材育成支援に対する助成金額は、実施する訓練がOFF-JTかOJTかで異なります。
また、早期雇入れ支援に対する助成金と同様に、優遇助成では通常助成よりも多くの助成金額を受給することができます。
まずはOFF-JTに対する助成金額から見ていきましょう。
・通常助成
・賃金助成:960円(480円)/時間
・(※1)10時間以上100時間未満:15万円((※2)10万円)
・100時間以上200時間未満:30万円(20万円)
・200時間以上:50万円(30万円)
※1:経費助成区分
※2:()は中小企業事業主以外の助成金額
・優遇助成
・賃金助成:1,060円(580円)/時間
・10時間以上100時間未満:25万円(20万円)
・100時間以上200時間未満:40万円(30万円)
・200時間以上:60万円(40万円)
次はOJTの訓練に対する助成金額です。
・実施助成:20万円(11万円)
申請の流れ
本コースを活用する際の流れは以下の通りです。
計画の届け出
計画実行
支給申請
本コースの助成金受給までの流れは、「早期雇入れ支援」と「人材育成支援」で異なります。
早期雇入れ支援の場合は、再就職援助計画の提出を行い労働局から認定を受けた後に、支給対象者を雇入れる必要があります。
再就職援助計画の提出を行わずに雇入れた場合は、助成金を受給できないので注意が必要です。
その後、支給対象者の雇入れ日から6ヵ月を経過した日の翌日から起算して2ヵ月以内に支給申請を行ってください。
人材育成支援を実施する場合は、訓練を開始する日の前日から起算して1ヵ月前までに訓練計画認定申請書及びその他必要書類を提出し、労働局から認定を受ける必要があります。
職業訓練計画の終了した日にちが早期雇入れ支援の支給申請期限よりも前の場合は、早期雇入れ支援の支給申請と併せて支給申請を行います。
職業訓練計画の終了した日にちが早期雇入れ支援の支給申請期限よりも後の場合は、職業訓練計画が終了した日の翌日から起算して2ヵ月以内に支給申請を行うようにしてください。
早期再就職支援等助成金(雇入れコース)を活用する際の注意点
本コースは、離職せざる得なくなった労働者を早期に雇入れた場合や、雇入れた労働者に対して訓練等を実施した場合に助成を受けられる制度です。
ただ、活用する際はいくつか注意しなければいけない点が存在します。
本章では、早期再就職支援等助成金(雇入れコース)を活用する際の注意点について解説していきます。
「早期雇入れ支援」を実施することが大前提
本コースは、事業主の経済的事情等によって離職せざる得なくなった労働者の早期再就職を支援することを目的としています。
従って、本コースを活用するには「早期雇入れ支援」に関する取組みを実施することが必須です。
本コースの要件を満たしていない労働者を雇用してしまった場合や、既存の労働者に対して人材育成支援を行った場合は、助成金を受給することができないので注意が必要です。
本コースを活用する際は、あくまでも支給対象者を離職日の翌日から起算して3ヵ月以内に期間の定めのない労働者として雇入れる「早期雇入れ支援」を実施する必要があることを覚えておきましょう。
「人材育成支援」に関する支給申請期限は訓練終了日によって左右される
本コースに限らず、助成金・補助金等を活用する際は、あらかじめ定められた期日までに支給申請を行う必要があります。
本コースの「早期雇入れ支援」の支給申請期限は、支給対象者の雇入れ日から6ヵ月を経過した日からさらに2ヵ月以内とされています。
一方「人材育成支援」の支給申請期限は、訓練終了日によって異なります。
もし、早期雇入れ支援に関する支給申請期限よりも前に訓練終了日を迎えた場合は、早期雇入れ支援に関する支給申請と同時に申請を行う必要があります。
早期雇入れ支援に関する支給申請期限よりも後に訓練終了日を迎えた場合は、訓練終了日の翌日から起算して2ヵ月以内に支給申請を行わなければいけません。
このように、「人材育成支援」に関する支給申請期限は訓練終了日によって左右されるため、支給申請期限に関しては事前に確認しておくようにしましょう。
支給決定までに支給対象者を解雇等した場合は助成金を受給できない
本コースでは、離職から3ヵ月以内の求職者を期間の定めのない労働者として雇入れる必要があります。
しかし、雇入れ日から支給決定日までの間に何らかの理由で支給対象者を雇用しなくなった場合、助成金を受給することができません。
また、有期雇用契約で雇入れた後に期間の定めのない労働者として再雇用した場合も同様です。
本コースを活用するには、支給対象者を期間の定めのない労働者として継続的に雇用する必要があります。
【早期再就職支援等助成金】雇入れ支援コースの内容と活用する際の注意点について解説のまとめ
今回は、早期再就職支援等助成金「雇入れ支援コース」の内容と活用する際の注意点について解説させていただきました。
本制度は、失業者の早期再就職を目指す制度です。
要件を満たす失業者を期間の定めのない労働者として雇入れ、継続的に雇用した場合に助成金を受給できます。
また、雇入れた労働者に対して人材育成訓練を実施した場合、支給される助成金が上乗せされる仕組みとなっており、人材確保・育成を検討している事業主にとっては非常にメリットのある制度となっています。
人材確保・育成に注力しようとお考えの事業主の方は、ぜひ活用されてください。