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【人材確保等支援助成金】8つのコース内容や活用する際の注意点について解説

人材確保等支援助成金は、人材確保のために労働環境の整備等に取組む企業を助成する制度です。
労働環境の整備等には必ず資金が必要となります。
なかには資金不足が原因で労働環境の整備等に取り掛かれず、従業員の離職に頭を抱えている企業もいるでしょう。
しかし、人材確保等支援助成金を活用すれば、コストを抑えながら人材確保を目的とした労働環境の整備等に取組むことができます。
本記事では、人材確保等支援助成金の8つのコース内容や活用する際の注意点について解説していきます。

人材確保等助成金とは

人材確保等助成金は、人材の確保・定着を目的とした制度です。
具体的には、人材定着のために社員のレベルに応じた教育・研修制度を導入する、テレワーク制度を導入するなどの取組みを実施した場合に、助成金を受給できます。
また、人材確保等支援助成金には8つのコースがあり、それぞれ助成金額や受給要件が異なります。
なかには目標を達成できなければ助成金を受給できないコースもあるので、事前に公募要領をしっかりと把握しておく必要があります。

人材確保等支援助成金の8つのコース

人材確保等支援助成金には以下の8つのコースがあります。
ただ、なかには新規受付を停止しており、未だに再開の目途が立っていないものもあるので注意が必要です。
現在の受付状況も踏まえて8つのコースの内容について解説していきます。

雇用管理制度助成コース

雇用管理制度助成コースは、雇用管理制度の導入によって職場環境の整備を行い、離職率低下に取組んだ企業に対して助成するコースです。
雇用管理制度とは、諸手当制度や研修制度、健康づくり制度などです。
本コースで助成金を受給するために、以下の要件を満たす必要があります。
【受給要件】
1.雇用管理制度整備計画の認定
2.雇用管理制度の導入・実施
3.上記の取組みを実施して、離職率低下の目標を達成すること

本コースの助成金額は以下の通りです。
【助成金額】
離職率低下の目標達成で57万円

離職率低下の目標は、企業に所属する雇用保険一般被保険者数に応じて変わります。

※本コースは令和4年4月1日より受付を休止しています。(令和6年度も休止中)

中小企業団体助成コース

中小企業団体助成コースは、企業団体(事業協同組合など)が所属する中小企業に対して労働環境の整備等を目的とした事業を行う場合に助成するコースです。
本コースで助成金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
【受給要件】
1.改善計画を策定し、都道府県知事からの認定を受ける
2.「中小企業労働環境向上事業」の計画を策定し、労働局長からの認定を受ける
3.認定された計画を実施する

本コースの助成金額は以下の通りです。
【助成金額】
・1年間の経費の2/3

ただし、所属する中小企業者の数によって以下のように限度額が定められています。
【上限額】
・大規模認定組合等(500以上):1,000万円
・中規模認定組合等(100以上500未満):800万円
・小規模認定組合等(100未満):600万円

人事評価改善等助成コース

人事評価改善等助成コースは、定期的な昇給以外の賃金制度を設け、生産性の向上や離職率の低下に取組む企業を助成するコースです。
本コースで助成金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
【受給要件】
1.人事評価制度等整備計画を作成し労働局からの認定を受ける
2.計画に基づいて従業員の賃金アップ等の人事評価制度を導入する

本コースの助成金額は以下の通りです。
【助成金額】
・80万円

助成金を受給するためには、取組みを通じて離職率低下、賃金アップ等の目標を達成する必要があります。

※本コースは令和4年4月1日より受付を休止していましたが、令和6年4月1日より受付を再開しました

建設キャリアアップシステム等普及促進コース

建設キャリアアップシステム等普及促進コースは、建設事業主団体が構成員である中小建設事業主等に対して、建設キャリアアップシステムの事業者登録、技能者登録、能力評価または見える化評価の費用や事務手続きを支援する事業を行った場合に助成するコースです。
本コースで助成金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
【受給要件】
1.事業推進委員会を設置し、計画届を労働局に提出する
2.計画届に沿った事業を実施し、事業推進委員会の主導の下で効果検証を行う
3.支給申請書と「事業目標・効果検証報告書」を労働局に提出する

本コースの助成金額は以下の通りです。
【助成金額】
・中小建設事業主団体:支給対象費用の2/3
・中小建設事業主団体以外:支給対象費用の1/2

また、団体の規模に応じて1事業年度あたりの上限額が以下のように定められています。
【上限額】
・全国団体:3,000万円
・都道府県団体:2,000万円
・地域団体:1,000万円

若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設業)

若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コースは、若年者及び女性労働者の入職や定着を目的とした設備投資や広域的職業訓練に取組む建設事業主や職業訓練法人を助成するコースです。
本コースで助成金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
【受給要件】
1.事業推進委員会を設置し、計画届を労働局に提出する
2.職業訓練推進活動等を実施する

本コースの助成金額は以下の通りです。
【助成金額】
「若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業」
・中小建設事業主団体:支給対象費用の2/3
・中小建設事業主団体以外:支給対象費用の1/2

「推進活動経費助成」
・支給対象費用の2/3

作業員宿舎等設置助成コース(建設業)

作業員宿舎等設置助成コースは、東日本大震災で被災した岩手県・宮城県・福島県、能登半島地震で被災した石川県において、作業員宿舎や賃貸住宅などの作業員施設を貸借する中小建設事業主を助成するコースです。
本コースで助成金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
【受給要件】
・事業実施の2週間前までに計画届を労働局に提出する
・指定の提出期限までに支給申請を行う

本コースの助成金額は以下の通りです。
【助成金額】
「岩手県・宮城県・福島県」
・支給対象費用の2/3

「石川県」
・作業員宿舎:建設労働者の数×25万円
・賃貸住宅、作業員施設:支給対象費用の2/3

また、1年間あたりの上限額は共通して以下のように定められています。
【上限額】
・賃貸住宅:3万円/月
・200万円

外国人労働者就労環境整備助成コース

外国人労働者就労環境整備助成コースは、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取組む事業主を助成するコースです。
具体的には、通訳や翻訳機器の導入経費、弁護士・社労士への委託料が助成対象経費となります。
本コースで助成金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
【受給要件】
・外国人労働者を雇用していること
・就労環境整備に基づき、外国人労働者に対する就労環境整備措置を実施すること
・計画実施後の一定期間における外国人労働者の離職率が10%以下であること

本コースの助成金額は以下の通りです。
【助成金額】
・賃金要件を満たしていない場合:支給対象経費の1/2(上限57万円)
・賃金要件を満たす場合:支給対象経費の2/3(上限額72万円)

テレワークコース

テレワークコースは、テレワーク制度を導入し、労働者の人材確保や雇用改善に取組む事業主を助成するコースです。
テレワークの導入について外部専門家によるコンサルティングを受けた際の費用や、テレワーク用通信機器の導入費用、労務管理担当者に対する研修費用等が対象経費になります。
本コースで助成金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
【受給要件】
「機器等導入助成」
・テレワーク実施計画を労働局に提出し、認定を受けること
・実施計画を実施し、評価期間におけるてれーわく実施対象労働者の状況が以下のいずれかを満たしていること
1.評価期間において1回以上、テレワーク実施対象労働者がテレワークを実施すること
2.評価期間にテレワーク実施対象労働者が週平均1回以上テレワークを実施すること

「目標達成助成」
・離職率に係る目標の達成
1.テレワークに関する制度の整備の結果、評価時離職率が計画時離職率以下であること
2.評価時離職率が30%以下であること
・評価期間初日から12か月を経過した日からの3か月間に1回以上テレワークを実施した労働者数が、同期間における対象事業所の労働者数に、評価認定時点における対象事業所の労働者全体に占めるテレワーク実施対象労働者の割合を掛け合わせた人数以上であること

本コースの助成金額は以下の通りです。
【助成金額】
「機器等導入助成」
・支給対象費用の1/2

「目標達成助成」
・支給対象経費の3/20

また、1企業当たりの上限額は共通して以下のように定められています。
【上限額】
・100万円もしくはテレワーク実施対象労働者1人あたり20万円の低い方

人材確保等支援助成金を活用する際の注意点

人材確保等支援助成金を活用する際の注意点は以下の通りです。

ある程度の自己資金が必要

人材確保等支援助成金を活用する際は、ある程度の自己資金が必要になります。
なぜなら、助成金は作成した計画が完了してから支給申請を行うからです。
計画を実施するためにかかる費用は、一度申請者側で負担しなければいけません。
もし、計画にかかる費用に対して十分な自己資金を保有していない場合は、資金繰りの悪化や債務超過に陥る危険性があります。

創業一年未満の企業は利用不可

創業一年未満の企業は人材確保等支援助成金を利用できません。
なぜなら、人材確保等支援助成金には離職率の低下や賃金の上昇率など、前年度との比較データが支給要件として設定されているからです。
創業一年未満の企業は比較するデータを持ち合わせていないため、支給要件を満たすことができません。
創業一年未満の企業は、キャリアアップ助成金や地域雇用開発助成金など、創業時でも利用可能な助成金の活用を検討するようにしましょう。

計画開始日の1~6ヵ月前までに計画書を提出することが必要

人材確保等支援助成金を活用する際は、各コースで定められている期間までに計画届を提出する必要があります。
計画届の提出が遅れてしまうと、助成金受給までの期間が延びてしまったり、最悪一年先の募集まで待たなければいけない事態に陥ってしまいます。
また、計画自体も実施することができないので、企業成長の機会を逃してしまうことになります。
人材確保等支援助成金を活用する際は、計画届の提出期限を事前に確認して間に合うように提出するようにしましょう。

【人材確保等支援助成金】8つのコース内容や活用する際の注意点について解説のまとめ

今回は、人材確保等支援助成金のコース内容や活用する際の注意点について解説させていただきました。
人材確保等支援助成金はその名の通り、雇用創出や離職率の低下、つまり人材確保を目的とした助成金制度です。
人材確保等支援助成金を活用すれば、従業員にとって働きやすい環境を整備することができ、離職率の低下や雇用創出の実現に近づくことができるでしょう。
人材確保等支援助成金の活用を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。