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開業時に活用できる助成金・補助金は?利用時の注意点についても解説!

開業時は資金調達を検討している方がほとんどでしょう。
金融機関からの融資を活用しようと考えている事業主の方もいると思いますが、開業時に融資の審査に通過することは非常に難しいです。
そこで活用できるのが「助成金・補助金」です。
助成金・補助金は返済不要で受給できるお金なので、開業時に活用できれば事業主にとって大きなメリットになります。
本記事では、開業時に活用できる助成金・補助金と活用時の注意点について解説していきます。

開業時に活用できる助成金5選

開業時に活用できる助成金を5つご紹介します。

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)は、中小機構と都道府県、地域金融機関等が金銭を出し合って基金を作り、その運用益を活用して中小企業等を支援する事業です。
開業や販路開拓に取り組む事業主は、ファンド運営管理法人に対象事業の採択を受けた後、ファンド運用益から資金の助成を受けることができます。
主な対象者は中小企業創業者、創業者の支援機関、NPO法人などです。
助成対象は、各地の農林水産物や伝統技術を活用する商品開発・販路開拓、中小企業者と農林漁業者が有機的に連携する商品開発・販路開拓、その他研究・商品開発・需要の開拓にかかる費用とされています。
ファンドという名前で運営されていますが、助成金の制度なので返済は不要です。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金とは、特定の事情で就職することが難しい状況の方の雇用を促進する目的で設けられている制度です。
例えば、開業時に障害が原因で就職することが難しい労働者を雇った場合、助成金を受給することができます。
そんな特定求職者雇用開発助成金には、以下の5つのコースが用意されています。

コース 内容
特定就職困難者コース 高齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により雇用する
就職氷河期世代安定雇用実現コース 正規雇用の機会を逃し、十分なキャリアを形成できなかった人を雇用する
生涯現役コース 65歳以上の高年齢者を雇用する
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース 発達障害者または難治性疾患患者を雇用する
生活保護受給者等雇用開発コース 自治体から就労支援の要請を受けている生活保護受給者を雇用する

開業時に上記要件に該当する労働者を雇用する場合は活用できます。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者のキャリアアップ支援を目的としており、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善の取組みを実施した事業主に対して助成する制度です。
非正規雇用労働者の正社員化や賃金規定の増額などにかかった費用が助成対象となります。
そんなキャリアアップ助成金には、以下の6つのコースが用意されています。

コース 内容
正社員化コース 就業規則等に基づき、有期雇用労働者等を正社員化する
障害者正社員化コース 商業規則等に基づき、障害を抱える労働者を正社員化する
賃金規定等改定コース 有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定する
賃金規定等共通化コース 有期雇用労働者等に、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定を新たに作成
賞与・退職金制度導入コース 全ての有期雇用労働者等に対して賞与・退職金性を導入する
社会保険適用時処遇改善コース ・社会保険の被保険者になった際に、賃金総額を増額させる取り組みを行う

実際の助成金額は各コースに応じて変動します。
例えば、開業時に雇用した非正規雇用労働者を正社員化する場合、1人当たり最大57万円の助成金を受給できます。

両立支援等助成金

両立支援助成金は、仕事と介護・育児を両立するための労働環境整備に取組む事業主を支援する制度です。
労働者の雇用の安定を図る目的があり、仕事と介護・育児を両立するための制度を取り入れた場合に、助成対象となります。
もちろん開業時に雇用した労働者に対して導入した制度も助成の対象です。
両立支援助成金には、以下の6つのコースがあります。

コース 内容
出生時両立支援コース 男性労働者が育児休暇を取得しやすい環境を整備し、出征後8週間以内に育休開始
育児休業等支援コース 育児休業の円滑な取得・復帰支援の取組みを行い、3ヵ月以上の育休を取得させる
育休中等業務代替え支援コース 育休中の業務体制整備のため、業務の代替えを行う労働者への手当支給や、代替要員の新規雇用を行う
柔軟な働き方選択制度等支援コース 育児期の働き方に関する制度を導入したうえで「育児にかかる柔軟な働き方支援プラン」により制度利用を支援
介護離職防止支援コース 円滑な介護休業の取得・復帰を支援
不妊治療両立支援コース 不妊治療のために利用可能な制度を導入する

助成金額は各コースに応じて変動します。
例えば、出生時両立支援コースの第一種(男性の育児休業取得)の対象になった場合、1人目20万円、2~3人目10万円の助成金を受給できます。

創業助成事業(東京都)

創業助成事業は東京都が運営する助成金制度で、東京都で開業を計画している方や、開業5年未満の企業が対象です。
広告費や賃借料などの「事業費」、「人件費」、市場調査・分析にかかる「委託費」が助成対象経費となります。
上限額は400万円(下限100万円)で、助成率は2/3です。
開業にかかる費用の多くが助成対象経費として取り扱われているため、開業時に適した助成金だといえるでしょう。

開業時に活用できる補助金4選

開業時に活用できる補助金を4つご紹介します。

ものづくり補助金

ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、生産性を向上させるための革新的なサービスの開発、生産プロセス改善のための設備投資を支援する制度です。
「ものづくり補助金」と略称で呼ばれることが多いので、製造業に対する補助金だと勘違いされている方もいるでしょう。
しかし、実際のところはサービス業や小売業、農業など、幅広い業種の方が活用できます。
ものづくり補助金の補助金額は申請枠によって異なりますが、最大で8,000万円です。
ものづくり補助金には以下の4つの申請枠が用意されています。

 省力化枠
 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)
 製品・サービス高付加価値化枠(DX・GX)
 グローバル枠

補助率は事業規模に応じて異なり1/2~2/3です。
高額な設備投資に対して高い補助率で補助を受けられるため、高い費用が必要になる開業時におすすめです。
また開業後5年以内は審査において加点を受けることができるため、審査に通過しやすい傾向にあります。
開業時に高額な設備投資費用が掛かる場合は、ぜひものづくり補助金の活用を検討してみてください

中小企業省力化投資補助事業

中小企業省力化投資補助事業は、中小企業の人手不足解消を目的に売上・生産性向上を実現するための製品・ロボットの導入を支援する制度です。
導入する製品・ロボットに関しては、事前に運営者側がカタログにまとめているので、簡易的に申請・導入を行うことができます。
補助金額の上限は従業員数に応じて変動し、従業員5名以下の場合は200万円、6~20名の場合は500万円、21名以上の場合は1,000万円となっています。
人手不足が生じやすい開業直後の事業者にとっては、ありがたい補助金だといえるでしょう。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、販路開拓や生産性向上に取り組む小規模事業者を支援する制度です。
この補助金を活用する際は、事業計画書の作成に関して地域の商工会議所や商工会で指導を受ける必要があり、その計画に基づいて販路開拓や生産性向上に取り組まなければいけません。
ただ、計画通りに取り組みを実施し、たとえ結果につながらなかったとしても、罰則を受けることはありません。
商工会議所や商工会の方に経営に関するアドバイスを受けることができるので、開業が初めての方にとっては勉強になる補助金の制度だともいえます。
補助金全体の制度の中では補助金額が少ない制度ですが、一人法人や個人事業主でも活用することが可能です。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、事業再編・事業統合を含む事業承継を契機として経営革新等を行う事業主を支援する制度です。
事業承継・引継ぎ補助金には、経営革新枠・専門家活用枠・廃業、再チャレンジ枠の3つの枠があります。
経営革新枠は、新商品の開発・生産を支援することを目的としているので、事業を承継し、新たに開業する際にも活用できる可能性があります。
補助上限額は600万円ですが、賃上げ要件を満たすことができれば最大で800万円の補助金を受給できます。

開業時に助成金・補助金を活用するメリット

開業時に助成金・補助金を活用するメリットは以下の通りです。

資金調達できる

助成金・補助金を活用すれば、開業間もない事業主でも資金調達を行うことができます。
開業直後の事業主は、売上や信用がなく返済能力の判断が難しいため、融資やカードローンの審査に通過することが難しいです。
また、売上がない状態では、売掛債権を現金化するファクタリングの利用もできません。
そのため、開業時は自己資金で事業を運営する必要があります。
しかし、助成金・補助金には開業間もない事業主を支援する制度もあるため、開業間もない事業主でも資金調達を行うことができます。
助成金・補助金を活用する際はそれぞれの制度の要件を満たす必要がありますが、受給できれば大きな進歩につながるでしょう。

返済不要

助成金・補助金は、一度受給してしまえば返済を行う必要がありません。
開業時は、今後の経費や売上の予測を立てることが難しいです。
そのため、金融機関から借入を行ったとしても、思ったように売上を上げることができず、返済に苦しめられる事業主の方も多数存在します。
しかし、助成金・補助金は、補助対象者の取組みを支援する制度であるため、返済に苦しめられることはありません。
金融機関から融資を受けた時のように返済のことを考えなくてよいため、開業した事業に集中することができます。

会社の信頼性を高めることができる

助成金・補助金の受給は、会社の信頼性向上につながります。
なぜなら、助成金・補助金を受給できた会社は、「国が定める要件を満たし、厳しい審査を通過した会社」と評価されるからです。
助成金・補助金の受給が会社の実績となり、融資やカードローン等の審査にも通過しやすくなります。

開業時に助成金・補助金を活用する際の注意点

開業時に助成金・補助金を活用する場合は、以下の点に注意する必要があります。

補助金は要件を満たしても採択されるとは限らない

補助金の場合、あらかじめ予算や採択件数が決められています。
予算や採択件数は応募数に応じて変動するわけではないので、採択件数や予算を応募数が上回っている場合は、たとえ要件を満たしていたとしても採択されない可能性があります。
補助金を充てに開業準備を進めていると、申請が採択されなかった場合に資金不足に陥ってしまうことになります。
ただし、助成金の場合は要件を満たせていれば100%受給することが可能です。
受給できる金額としては補助金に劣るケースがほとんどですが、確実性を優先するのであれば助成金の活用をおすすめします。

補助金の申請には事業計画書の作成が必須

補助金の申請を行う際は、補助金を活用してどのような事業を行っていくのかを記した「事業計画書」を作成する必要があります。
事業計画書には受給後3年~5年の事業計画を記す必要があり、作成には多大な手間と時間がかかります。
事業計画書は補助金の審査で最も重視される項目といっても過言ではないため、相手に分かりやすいように作成しなければいけません。
また、事業計画書を作成したからといって、必ず申請が採択されるわけではないので、事業計画書の作成にかけた手間や時間が無駄になってしまう可能性もあります。

実際に受給するまでに時間がかかる

助成金・補助金は採択されたとしてもすぐに資金を受給できるわけではありません。
助成・補助対象事業が終了したのちに申請することが一般的で、そこから審査が実施されます。
公的な資金が財源となっていることもあり、審査にはかなりの時間を要します。
申請から受給までにかかる時間としては、助成金の場合3ヵ月~半年、補助金の場合は半年~1年が一般的です。
受給時期を分からずに自己資金を使い込んでしまうと、資金繰りの悪化を招いてしまう可能性があるため注意が必要です。

開業に活用できる助成金・補助金は?利用時の注意点についても解説!のまとめ

今回は、開業時に活用できる助成金・補助金を紹介させていただきました。
助成金・補助金は返済不要で受給できる資金です。
そのため、助成金・補助金の活用は、開業間もない事業主にとってメリットが大きいといえるでしょう。
しかし、助成金・補助金の申請には多大な手間が生じるため、実際に申請を行う方はそれほど多くありません。
特に開業を行う際は、助成金・補助金を活用することで資金面の大きなアドバンデージを得ることができます。
今回紹介した内容を含め、最適な助成金・補助金を探してみてください。