ビジネスローンの審査と信用情報の関係は?影響と対策も徹底解説

目次
会社の資金調達はさまざまですが、緊急の場合には選択肢が限られます。
そんなとき、迅速な融資が期待できるビジネスローンは頼りになる存在です。
しかし、実際にビジネスローンで借り入れるとなると、不安も多いもの。
例えば、信用情報に不安を抱く経営者は少なくありません。
実際に、
「過去の支払遅延が審査に響くのか?」
「法人なのに代表者個人の信用情報まで見られるのか?」
といった点は、ビジネスローンの審査対策につながる重要なポイントです。
ビジネスローンの審査では、会社の財務状況だけでなく、経営者の信用情報が大きく影響します。
具体的に、ビジネスローンと信用情報はどのような関係にあり、またどう影響するのでしょうか。
この記事では、ビジネスローンにおける信用情報の仕組みや影響、対策などについて深掘りし、分かりやすく解説します。
ビジネスローンと信用情報の基礎知識
ビジネスローンの審査には複数の要素が影響します。
最も重要なのは決算書ですが、信用情報の影響も見過ごせません。
ビジネスローンに影響するのは、会社の信用情報である「法人信用情報」と、経営者個人の信用情報である「個人信用情報」のふたつ。
特に気を付けるべきは個人信用情報です。
会社の借入だから・・・と思って、個人信用情報を軽視すると、思わぬところで悪影響になりかねません。
ビジネスローンを活用するためにも、まずは信用情報全般の基礎知識をおさえていきましょう。
信用情報とは?
そもそも信用情報とは何なのでしょうか。
ビジネスローンに影響する信用情報には、個人信用情報と法人信用情報があります。
いずれも「対象となるものの信用力を裏付ける情報」という意味では同じです。
例えば個人信用情報は、個人の年収や住宅ローン、クレジットカードの利用履歴など、実際の取引の記録から、個人の信用力を証明するデータです。
法人信用情報は、会社の借入状況・返済状況などの取引記録から、法人の信用力を裏付けるデータを意味します。
ビジネスローンにおいて、貸し手となる銀行やノンバンクは信用情報を必ず照会します。
特に重視されるのは、法人信用情報よりも個人信用情報です。
総じて、中小企業の融資審査では、法人と経営者を一体とみなします。
小さな会社ほどこの傾向は顕著です。
法人に貸すことは、経営者個人に貸すことでもあるため、返済の意思が重視されます。
つまり、ビジネスローンの審査は、信用情報から経営者個人の返済意思を判断するわけです。
ビジネスローンは法人の借入ですから、法人の業績から支払い能力をチェックしますが、それはあくまでも大前提。
そのうえで、経営者個人に、借りたお金をしっかりと返済していく意思と能力があるかをみています。
詳しくは後述しますが、信用情報機関その他から信用情報を取得し、紹介することで、貸し手は現在の借入状況や過去の返済トラブルを即座に、確実に把握します。
これにより、不適切な融資を防止しているのです。
ビジネスローンの審査において、信用情報の役割は決して小さいものではありません。
銀行の普通融資も、信用情報を軽視するものではなく、審査に響くことも多いです。
ビジネスローンの審査は定量的・機械的ですから、信用情報の影響は小さいと考える人もいるでしょう。
しかし、定量的・機械的だからこそ、数値化しにくい部分で判断を誤りやすいことも事実。
それだけに、ビジネスローンも普通融資と同じように(場合によっては普通融資以上に)信用情報を重視します。
個人信用情報と法人信用情報の違い
ビジネスローンの審査で最も注意すべきは個人信用情報。
では、法人信用情報はどう影響するのでしょうか?
法人信用情報にはいくつかの種類があります。
まず、日本信用情報機構(JICC)の情報。
JICCは、法人の信用情報を取り扱う、日本唯一の機関です。
取り扱っている信用情報は、法人の基本情報と借入れに関する情報(契約内容や借入残高、返済状況、延滞歴など)です。
銀行の普通融資だけでなく、ビジネスローンでの借入れや法人クレジットカードの利用、リース取引に関する情報なども記録しています。
個人信用情報が「経営者個人の信用を示す情報」であるのに対し、法人信用情報は「法人単体の信用を示す情報」といえるでしょう。
このほか、東京商工リサーチなどの信用調査会社が扱う情報も、信用情報の一種です。
調査会社は、企業業績や取引先データを独自に調査し、保有しています。
しかし、信用調査会社の信用情報は、ビジネスローンに影響することはほとんどありません。
民間の信用調査会社の信用情報を参考にせずとも、JICCの信用情報があればビジネスローンの審査は十分に可能です。
ビジネスローンの審査に影響するのは法人信用情報ですが、個人信用情報はさらに重要と考えてください。
重要度が「個人信用情報>法人信用情報」であるのは、ほとんどのビジネスローンは、代表的個人の連帯保証を前提としているためです。
そのためには、経営者の個人信用情報から保証力を測る必要があります。
経営者が個人的な問題を抱えていれば、この前提が成り立ちません。
審査への影響力でいえば、個人信用情報のほうが重要といえます。
実際に、ビジネスローン(特にノンバンク系や銀行系のカードローン型)では、経営者個人の信用情報を理由に、審査に落ちることが珍しくありません。
例えば、クレジットカードの支払いがわずかに遅れただけで、審査に落ちることもあります。
特に、経営実績が浅いスタートアップなどでは、法人の信用情報はほとんど参考にならないため、経営者個人の信用情報が法人の信用を肩代わりするケースも多いです。
貸し手(銀行やノンバンク)の内部信用情報
「信用情報=信用情報機関に登録される情報」と考える人も多いことでしょう。
しかし、信用情報はそれだけではありません。
銀行やノンバンクが独自に蓄積している、内部信用情報もビジネスローンに影響します。
例えば銀行系のビジネスローンを利用する際、過去にその銀行やグループ会社(リース会社やクレジットカード会社等)で取引したことがあれば、銀行はその情報を必ず保管しています。
内部信用情報に傷がある場合、ビジネスローンの審査に大きなマイナスです。
例えば、申し込み先の銀行に経営者個人の口座があり、その口座で公共料金を引き落とせなかったり、グループ会社のカードで支払い不足が多発していたとしましょう。
この場合、個人信用情報に記録されると同時に、銀行の内部信用情報としても確実に記録されています。
個人信用情報は、ある程度の期間を経過すれば抹消されます。
しかし、内部信用情報は何年で抹消という規定がありません。
悪質なトラブルであれば、半永久的に「社内ブラック」となり、ビジネスローンの審査に不利になるでしょう。
特に銀行系ビジネスローンでは、自行のメイン口座の動きをスコアリングに活用することが多いとされます。
ノンバンク系ビジネスローンも、系列会社での利用実績をみる場合があり、内部信用情報の影響は小さくありません。
ビジネスローンでスムーズに借り入れるには、外部の信用情報と内部信用情報の両方をクリーンに保つことが重要です。
主な信用情報
信用情報機関が記録する情報のうち、特にビジネスローンに影響するのは契約内容・支払状況・割賦販売情報の三つ。
借入状況が健全であれば、現在の借入件数や残高、毎月の入金状況を見られても、なんらマイナスにはならないでしょう。
しかし、利用に問題があれば、信用情報に「異動」と記載される場合があります。
これは、61日以上または3ヶ月以上の長期延滞、債務整理、代位弁済などを意味し、ビジネスローンの利用には致命的です。
このほか、地味に影響するのが申込履歴。
ビジネスローンを申し込むと、その事実が信用情報として登録されます。
短期間に複数のビジネスローンに申し込んだ場合、信用情報は大幅な悪化は避けられません。
資金繰りが切羽詰まっていると疑われ、審査に通らなくなるのです。
いわゆる「申し込みブラック」という状態であり、審査落ちの原因のひとつになります。
ビジネスローンに限らず、経営者個人の信用情報も同様です。
借入残高が大きすぎたり、申し込みが続いていたりすれば、資金管理能力を問題視され、返済余力の低下(=保証力の欠如)とみなされることもあります。
登録期間の考え方
信用情報機関の情報は、永久に残るものではありません。
信用情報の種類によって登録期間が決まっており、その後は抹消されるのです。
例えば、ごく健全な取引履歴や、一般的な遅延に関する信用情報は、契約終了(完済)から5年間に限り保存されます。
気を付けたいのは、「契約終了から(完済を起点として)5年間」ということ。
遅延を続けている限り契約が終了することはなく、いつまでも遅延記録が残り続けます。
その間、ビジネスローンでの借入れはほぼ不可能といってよいでしょう。
また、自己破産などの官報情報は、全国銀行個人信用情報センター(KSC)において最長7~10年間保存されます。
ところが、これは信用情報のなかでも「異動」に関する重大な情報ですから、銀行やノンバンクの内部信用情報として残り続けます。
自己破産した経営者は、登録期間を満了しても新規の借り入れは絶望的です。
ビジネスローンを検討する際は、自身の記録が現在どのような状態にあるか、保存期間が経過しているかを事前に確認することが重要です。
信用情報の影響は様々
以上のように、信用情報はビジネスローンの利用に大きく影響します。
しかしながら、影響の表れ方は一様ではありません。
特に、銀行系・ノンバンク系では信用情報の影響が異なります。
銀行系ビジネスローンの場合、決算書が審査の軸となり、経営者の個人信用情報はそれに付随する位置づけです。
決算書が悪い場合、審査に落ちる可能性が高く、経営者の信用情報によって審査結果が覆ることは基本的にありません。
一方、ノンバンク系ビジネスローンでは、決算書だけではなく信用情報も重視します。
法人の決算よりも、代表者の信用情報を重くみることもしばしばです。
当然、消費者金融やクレジットカードの利用状況まで徹底的にチェックします。
決算書に少々問題があっても、代表的の信用情報がよければ、審査結果が「融資不可→融資可」に覆ることがあるのです。
以上のように、銀行系・ノンバンク系では信用情報の影響が異なるものの、どちらも重視する点は同じです。
少なくとも、銀行の普通融資に比べて、ビジネスローンのほうが個人信用情報の比重は大きいと考えてください。
銀行の普通融資は会社の事業に融資するのに対し、ビジネスローンは安全性や回収可能性に融資するものです。
この違いにより、信用情報の影響度も変わるといえます。
法人借入でも代表者の信用情報を重視する理由とは?
ビジネスローンは事業者向けのローンです。
会社が借り入れるのだから、会社の信用だけで十分にも思えます。
しかし、ビジネスローンの審査で代表者の個人信用情報を重視するのは事実。
その理由をみていきましょう。
連帯保証との関係
ビジネスローンにおいて、法人契約であっても代表者の個人信用情報が精査される最大の理由は、連帯保証にあります。
ほとんどのビジネスローンは、法人を主債務者としつつ、連帯保証人を立てることが前提です。
もっとも、第三者の連帯保証人とするのではなく、代表者個人が連帯保証人になります。
連帯保証人は、主債務者が返済できなくなった場合に、一切の債務を肩代わりする義務を負います。
近年、政府や金融庁の指針により、銀行の普通融資では保証を外す動きも徐々に出てきました。
しかし、ビジネスローンの場合、無保証ということは基本的にありません。
ビジネスローンは、審査のスピードと簡便さを優先するため、代表者個人の信用が事実上の担保として機能しています。
代表者個人に信用がなければ、連帯保証は意味を成しません。
貸し手としては、法人が倒産した場合に、代表者の個人資産や収入によって弁済できるかを見極める必要があります。
そこで、代表者個人の信用情報が重要になってくるわけです。
代表者の信用情報の影響
代表者の信用情報は、様々な意味を持っています。
ビジネスローンにおいては、経営者の誠実さ・堅実さを知るだけではなく、個人の家計状況を把握する上でも重要です。
通常、法人の決算が黒字であれば、ビジネスローンの審査に通りやすいといえます。
しかし、代表者の信用情報に問題があれば別です。
例えば、クレジットカードの支払いを延滞していたり、消費者金融から多額の借入があったりする場合、審査通過率は大きく下がります。
元来、小さな会社の経営ほど、公私の区別が曖昧になりがちです。
経営者個人の家計の乱れが、法人の資金繰りを圧迫するケースも珍しくありません。
これは、ビジネスローンの貸し手にとって大きなリスクといえます。
さらに、自己破産や債務整理などの事故情報は、ビジネスローン審査に致命的なマイナスとなります。
この場合、審査に通る可能性はほぼゼロといってよいでしょう。
銀行の普通融資ならば、事業の将来性や会社の資産背景が主な評価対象ですから、経営者個人の影響はやや低めです。
しかし、ビジネスローンはスコアリング審査が軸であるだけに、信用情報の傷によって機械的に否決されるケースもよくあります。
銀行が信用情報に求めるもの
銀行系ビジネスローンは、銀行の普通融資とはかなり異なるものと考えてください。
貸し手はどちらも銀行ですから、銀行系ビジネスローンは普通融資の簡略版といった趣があります。
大きく異なるのは審査です。
普通融資の場合、決算書などの数値に加えて、担当者が面談し、個別事情を汲みながら判断します。
事業計画書を踏まえて、将来性を測りながら判断することも多いです。
さらに、複数人の稟議制によって判断します。
一方、銀行系ビジネスローンの審査はスコアリングによって行います。
軸となるのは決算書の数値ですが、代表者個人の信用情報にもそれなりの配点を与えており、審査への影響は決して小さくありません。
特に銀行系の場合、系列のクレジットカード会社や保証会社、リース会社などが多いため、信用情報が様々な角度から影響してきます。
ノンバンク系ビジネスローンと比較すると、保守的に判断するのも銀行系の特徴です。
銀行系ビジネスローンは預金を原資としており、リスクを積極的にとることができません。
これも、代表者個人の信用情報が重視される理由です。
このほか、申し込み先の個人口座の利用状況や、各種ローンの返済実績など、内部信用情報の影響もあります。
銀行は公共性を求められる存在ですから、社会的に不都合なお金の動きや、不誠実な情報にはノンバンクよりも厳格といえます。
銀行系ビジネスローンが、代表者個人の信用情報に求めるのは「クリーンさ」です。
ノンバンクが信用情報に求めるもの
ノンバンクも信用情報を重視しますが、銀行とは求めるものが異なります。
基本的に、ノンバンク系ビジネスローンは、銀行から融資を受けられない会社が利用するものです。
銀行系で調達できるならば、あえてノンバンクを選ぶ必要はないでしょう。
同じビジネスローンでも、銀行系ビジネスローンのほうが金利・返済期間・融資枠などの条件が良いためです。
銀行系で審査に通らない場合、ノンバンク系ビジネスローンならば審査に通るかもしれません。
ノンバンク系ビジネスローンは、銀行よりも柔軟に審査します。
審査方式は同じくスコアリングですが、決算書や信用情報の見方が異なるのです。
ノンバンク系ビジネスローンが重視するのは、健全性よりも回収可能性です。
回収可能と判断すれば、多少不健全な会社にも貸し付けます。
例えば、決算が赤字や債務超過の会社は、経営的に不健全といえるでしょう。
しかし、代表者個人の信用情報から、返済の意思や支払い能力を把握できれば審査に通ることがあります。
その意味では、銀行系よりも信用情報の影響は大きいです。
代表者の信用情報次第で、審査に落ちたり、通ったりすることがあります。
信用情報が審査落ちの方向に働く例として、よくあるのが多重債務。
代表者が複数の借入先を抱え、なおかつ総借入額が大きすぎる場合、ノンバンクは厳しく判断します。
この場合、既に複数のノンバンクから借りている状態です。
法人の決算が良くても、代表者個人の家計は火の車、自転車操業になっている可能性が高いです。
保証力が低いとみられても仕方ありません。
代表者に保証能力がなければ、ノンバンクの回収可能性は低下し、審査落ちということになるのです。
ノンバンク系ビジネスローンが、代表者個人の信用情報に求めるのは、クリーンさよりも資金繰り(家計)の余裕です。
保証人の有無と信用情報
ビジネスローンの中には「保証人不要」を謳う商品もあります。
しかし、全くの無保証ではありません。
大抵の場合、「第三者の保証人が不要(代表者個人の連帯保証は必須)」か、もしくは「保証会社を利用(代表者個人の連帯保証はケースバイケース)」という意味です。
代表者の個人保証が前提ですから、代表者の個人信用情報が審査対象から外れることもありません。
ビジネスローンは、信用情報と切り離せないものと考えましょう。
普通融資との違いから信用情報を知る
ここまでの解説の中で、普通融資とビジネスローンでは信用情報の影響が違うと述べました。
これは、商品設計が根本的に異なるためです。
これにより、審査方式・審査項目の違いが生じ、信用情報の影響にも大きな差が出てきます。
審査を軸に考えることも、ビジネスローンと信用情報を知る上で重要です。
基本的な部分を含め、みていきましょう。
商品設計が異なる
まず考えたいのが、商品設計の違い。
普通融資は、銀行と会社が深く関わりながら融資します。
経営者と担当者の付き合い、会社と支店の付き合い、日常取引の状況などを踏まえて、融資先の事業全体を評価するのが特徴です。
会社に貸し付けるというよりも、会社の事業に貸し付けるといった要素が強く、定量的・定性的に評価し、判断していきます。
しかし現実的には、会社の規模や融資額によっては、このように手間をかけることができません。
メガバンクが、年商数千万円の会社を相手に、じっくり取引することは難しいのです。
そこで生まれたのが、銀行系ビジネスローンです。
ビジネスローンは、定量分析をもとに、簡易的・機動的に融資できる商品として設計されています。
したがって、当初のビジネスローンに銀行系・ノンバンク系という区別はなく、メガバンクのビジネスローンだけが存在していました。
現在のように、銀行系・ノンバンク系を区別するようになったのは、「メガバンク→その他金融機関→ノンバンク」と派生した結果です。
銀行系・ノンバンク系も、商品設計自体に大きな違いはありません。
普通融資は融資期間が長く、数千万から億単位の資金使途を詳細に問われますが、ビジネスローンは使途が原則自由で、運転資金の補填など機動的な利用を前提としています。
また、普通融資は、銀行との信頼関係が前提となるため、新規融資は調達に1ヶ月以上を要することも珍しくありません。
一方でビジネスローンは、最短即日から数日というスピード感が最大の特徴であり、制度面では「短期・小口・簡便」という性質が極めて強いのが特徴です。
ビジネスローンと信用情報の関係が深いのは、こうした設計上の簡易性を、信用情報という客観的かつ厳格なデータで補完しているためです。
審査方式の違い
審査方式の違いについては、これまでも述べてきました。
簡単にまとめると、普通融資は人の手で審査します。
決算書などの数値から定量分析を行い、さらに会社の内部情報など数値として表れない要素から定性分析を行うわけです。
定量分析が重視されるのはもちろんですが、定性分析もそれなりに重くみられます。
これに対し、ビジネスローンはコンピューターが審査します。
スコアリング審査は、決算書の数値や信用情報のデータをもとに、コンピューターが機械的に判断するのです。
そもそも「審査担当者」というものが存在しません。
これにより、信用情報の影響も変わってきます。
例えば、銀行の普通融資は、赤字でも融資を出すことがあります。
担当者が「代表者の信用情報にはやや問題あり。しかし資金使途が赤字の補填であり、黒字回復の見通しが立っているのだから、積極的に支援したい」と判断すれば審査に通るでしょう。
「代表者の信用情報は過去に遅延あり。しかし事業内容はいたって健全で将来性もあるため、融資したい」といった判断もしばしばです。
ある意味、担当者の裁量で信用情報を軽くみているわけです。
ビジネスローンの場合、そうはいきません。
スコアリングに忖度や裁量が入る余地はなく、決算や信用情報がそのまま審査結果に反映されるのです。
普通融資は人間の手で審査し、信用情報の影響はケースバイケース。
ビジネスローンは機械で審査し、信用情報は必ず一定の影響。
この違いは大きいでしょう。
重視される審査項目の違い
審査方式に加えて、重視される審査項目も異なります。
普通融資の場合、審査項目のうち特に重視されるのは、事業内容とキャッシュフローです。
どちらも返済能力にかかわる要素ですが、事業内容は将来も含む返済力、キャッシュフローは現状の返済力を表します。
ビジネスローンの場合、重視される審査項目は、まず利益とキャッシュフロー。
これは安全性や回収可能性にかかわる部分です。
直近数年分の決算書から、安全性や回収可能性はある程度わかるでしょう。
しかし、決算書だけでは信用の部分を測りきれません。
やはり「支払い実績」や「借り方(借入れのバランス)」など、決算書に表れない要素も重要です。
事業内容がどれほど優秀でも、代表者個人の信用情報に問題があれば、安全性や回収可能性に大きく響きます。
この違いは、返済力の根拠をどこに据えるかによるものです。
普通融資は、会社の稼ぐ力によって返済力を測ります。
一方、ビジネスローンは、会社の稼ぐ力と代表者の信用情報の両面から、返済力を測っているわけです。
銀行系とノンバンク系の信用情報の扱い
ここから、ビジネスローンにおける信用情報の影響を具体的にみていきます。
実際の活用を踏まえると、銀行系とノンバンク系のそれぞれについて、信用情報の扱いを理解しておくことが大切です。
銀行系ビジネスローンと信用情報
まず、銀行系ビジネスローンにおける信用情報の扱いをみていきましょう。
決算と信用情報の総合審査
銀行系ビジネスローンは、銀行の普通融資のように念入りに審査するのではなく、スコアリング審査を用います。
決算と代表者の信用情報をバランス良く審査するイメージです。
決算書からは財務の安全性を、信用情報からは代表者個人の信頼性や保証能力をみます。
この両方が一定水準を超えていなければ、審査に通ることは困難です。
普通融資のように担当者の意思が働かない分、どちらか一方でも基準を下回ると、システム上で自動的に否決される仕組みです。
特に銀行系は、グループ内のネットワークを活用して多角的にデータを照合するため、情報の整合性も厳格に問われます。
長期的な取引のために
銀行系ビジネスローンにおいて、信用情報はある特別な意味をもっています。
将来的な取引の可能性を測るために、信用情報がひとつの材料になるのです。
現在はビジネスローンで融資していても、将来的には普通融資に移行するかもしれません。
会社の成長に合わせて多額の資金を融資できれば、銀行としてもプラスになります。
この可能性を測る試金石として、信用情報が機能します。
会社と銀行の取引は融資以外にも様々です。
銀行は、経費の支払いや為替、従業員の給与振込などの取引を視野に入れて、総合的な採算で付き合います。
長期的に付き合っていく以上、ある程度信頼できる相手でなければ成り立ちません。
代表者個人の信用情報に問題があれば、長期目線ではとても付き合えず、「ビジネスローン→普通融資」への移行もあり得ないのです。
会社としては、いつまでもビジネスローンに頼るのではなく、少しでも早く普通融資に切り替えたいところ。
しかし、信用情報が悪いために銀行が請け合わず、いつまでもビジネスローンを抜け出せないこともあり得ます。
逆に、クリーンな信用情報を維持している経営者に対しては、ビジネスローンを入り口として、将来的に低金利の普通融資を提案するケースも珍しくありません。
延滞履歴への慎重な評価
銀行系ビジネスローンは、信用情報の延滞履歴を厳しく評価します。
ノンバンク系ビジネスローンよりもはるかに厳しいと考えてよいでしょう。
直近2年以内に遅延がある場合、たとえ数日程度の軽微なものであっても、問題視される可能性が高いです。
銀行は社会的な立場から信用を重んじます。
コンプライアンスや審査基準も保守的ですから、信用情報に延滞という傷がある状態では、まず審査に通りません。
代表者個人が、過去に一度でも延滞したことがある場合、一定期間が経過するまでは銀行系ビジネスローンは利用できないものと考えてください。
金利と信用情報の関係
銀行系ビジネスローンの金利は、ノンバンク系よりも低めに設定されています。
目安は年2~9%。
低金利の理由はさまざまありますが、信用情報もそのひとつです。
銀行系・ノンバンク系を問わず、リスクとリターンは連動しています。
金利を低く(リターン小さく)設定するには、リスク(貸倒れリスク)を低くする必要があります。
ビジネスローンは基本的に物的担保不要ですから、リスク回避のためには人的担保が重要です。
つまり、経営的個人の連帯保証によって貸し倒れリスクを抑え、低金利を実現しているわけです。
実際、信用情報が良好な経営者には、普通融資にかなり近い金利が適用されることもあります。
逆に、信用情報に問題があれば、ノンバンクレベルの高金利で融資するよりも、最初から融資しない仕組みです。
銀行系ビジネスローンは、会社の決算と経営者個人の信用情報がどちらも健全な場合に限り、低金利で融資する商品といえます。
ノンバンク系ビジネスローンと信用情報
では、ノンバンク系ビジネスローンは信用情報をどのように扱うのでしょうか。
銀行系との違いを意識しながらみていきます。
スピード対応と信用情報
ノンバンク系ビジネスローンの大きな特徴は、スピードにあります。
最短即日融資を謳うビジネスローンも少なくありません。
どちらもスコアリング審査であり、信用情報を照会しているにも関わらず、銀行系は1週間程度、ノンバンク系は最短即日という差があるわけです。
その理由の一つに、リスクの取り方があります。
スピードが高まるにつれて、相対的に審査の精度は低下し、リスクが大きくなるものです。
そのリスクには、金利と連帯保証で対応します。
銀行系ビジネスローンよりも高い金利を設定し、リターンの向上を図りつつ、保証人によって回収可能性を高め、リスクの低減を図ることで、スピード融資が実現できるのです。
小口・短期資金がメイン
ノンバンク系ビジネスローンは、少額かつ短期間の融資を基本としています。
1000万円以上の融資に対応するノンバンクもありますが、実際にそれだけの融資を受けるには長い時間がかかるため、あまりあてにはなりません。
少額・短期融資の場合、信用情報の重要性はかなり高いといえます。
代表者の信用情報だけでも、ある程度の回収可能性を確保できるためです。
例えば、数十万円から数百万円程度のつなぎ資金であれば、会社の決算が少々悪くても、代表者の保証力だけで「回収可能」と判断できることもあります。
ある意味、信用情報をメインとした簡易審査でも対応可能というわけです。
短期資金を緊急で調達したい、しかし会社の決算が悪く普通融資・銀行系ビジネスローンは不可能。
そんな場合、信用情報をテコにして、ビジネスローンで調達しましょう。
ノンバンク系ビジネスローンには、「代表者が積み上げてきた信用情報を即時に資金化する」という側面が多分にあります。
軽微な信用情報の扱い
ノンバンク系ビジネスローンも、信用情報の傷には敏感です。
信用情報のウェイトが大きいだけに、信用情報の傷が審査にダイレクトに影響します。
もっとも、ノンバンクがリスクに積極的なのも事実。
したがって、信用情報の傷は「審査落ち」ではなく、「条件の悪化」という形で影響することが多いです。
銀行系では、軽微な信用情報の傷によって即否決ということがあるのですが、ノンバンク系はそこまで深刻ではありません。
例えば、数年前に1回だけ遅延している、事故情報はあるがすでに完済している、といったケース。
この場合、現在のキャッシュフローや個人信用情報が良好であれば、審査に通ることがあります。
過去の失敗に比較的寛容というよりも、それ以上に回収可能性や収益性を重視するスタンスです。
金利設定の指標になる
ノンバンク系ビジネスローンの金利は、銀行系よりも高いです。
回収可能性によって金利を柔軟に変え、リスクとリターンのバランスを取っています。
ノンバンクの場合、経営者の連帯保証も回収可能性の一部とみなすため、信用情報が金利に与える影響は大きいです。
ノンバンク系ビジネスローンの金利の目安を、リスク別に示すと以下の様になります。
- ローリスク(決算・信用情報ともに良好)…6~10%
- ミドルリスク(決算・信用情報のいずれかにやや問題あり)…10~15%
- ハイリスク(決算・信用情報ともにやや問題あり、またはいずれかに深刻な問題あり)…15%
このように、決算と信用情報の両面からリスクを測り、リターンとしての金利を設定します。
銀行系の場合、決算が赤字というだけで即否決ですが、ノンバンク系は金利と信用情報でカバーできる仕組みです。
信用情報が良好であれば1ケタ台で融資することもあり、逆に信用情報に不安があれば上限金利に近い水準を適用し、リスクにあらかじめ備えます。
つまりノンバンク系は、融資の可否を判断するだけでなく、適切な価格(金利)を設定する指標として、信用情報を用いているわけです。
ノンバンク系ビジネスローンを活用する上では、信用情報をクリーンに保ち、調達コストを抑えることがポイントとなります。
選ぶべきは銀行系?ノンバンク系?
現状の信用情報がどうかによって、ビジネスローンの選び方が変わってきます。
決算・信用情報ともに良好であれば、銀行系ビジネスローンを優先しましょう。
銀行系ビジネスローンは、金利が低く、融資枠も大きくなりやすいため、ノンバンク系よりも好条件で調達できます。
逆に、信用情報に不安がある場合、銀行系ビジネスローンの審査に落ちる可能性が高いです。
銀行系ビジネスローンは非常に保守的であり、信用情報の軽微な傷も見逃しません。
したがって、ノンバンク系ビジネスローンの利用が現実的です。
ノンバンク系であれば、信用情報の傷にいくらか寛容であり、会社のキャッシュフローを返済原資とみなし、信用情報の弱点を補ってくれる可能性があります。
まずはノンバンク系で借り、会社の資金繰りを回していく。
その間、信用情報を維持できれば、時間とともにマイナスの影響は緩和されていくでしょう。
ノンバンク系で借入条件が良くなり、銀行系の審査に通る可能性も出てきます。
信用情報で審査通過率が大幅低下!代表的な4つのパターン
銀行系とノンバンク系のどちらも、信用情報が審査に影響します。
信用情報が悪ければ審査に落ちやすくなったり、金利が高くなったり。
では、信用情報が悪いというのは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
まずは、信用情報の中でも、審査通過率に大きく影響するものをみていきます。
延滞履歴
ここまでの解説でも述べた通り、信用情報に延滞履歴がある場合、審査に大きくマイナスです。
自己破産など、そもそも審査対象にならない信用情報を除けば、延滞履歴が最も深刻と考えてください。
延滞履歴の有無は、返済に対する誠実さ測るために重要です。
信用情報機関に「異動」と記録される3ヶ月以上の長期延滞はもちろん、数日の短期延滞であっても直近に集中していれば致命的です。
普通融資ならば、経営者のうっかり忘れや経理のミスなどに対し、担当者が大目にみてくれることもあります。
しかし、ビジネスローンは機械的に審査するだけに、情状酌量の余地はありません。
延滞は延滞、それ以上でも以下でもなく、審査通過率に大きく響いてきます。
多重債務
多重債務も、信用情報を大幅に悪化させるものです。
代表者個人が複数の消費者金融やカードローンから借りている場合、会社自体の借入状況が良好でも、ビジネスローンの審査通過率は著しく下がります。
多重債務に陥っている経営者は、個人の家計がひっ迫していることは明らかです。
とりわけ、多重債務では借入総額が総量規制ギリギリになる傾向があり、中には総量規制を超えるケースも珍しくありません。
なぜそうなるかといえば、収支のバランスが破綻しているためです。
支出が収入を上回り、お金が足りなくなり、借金で埋め合わせた結果、いつしか多重債務に陥ります。
こうなれば、もはや追加の借入れはできません。
とはいえ、健全な収支バランスに戻すことは難しく、日々の返済負担も苦しいため、経営者は「どこからかお金を引っ張れないか」と考え始めます。
さて、このような多重債務者がビジネスローンを申し込んできたとき、貸し手はどう思うでしょうか。
「ビジネスローンで借りて、個人の返済に回すのではないか?」と疑うのが自然です。
その場合、貸したお金が経営に使われることはなく、返済原資(利益)を生み出すこともありません。
あまりにもリスクが高く、融資不可という判断が妥当でしょう。
したがって、信用情報の「多重債務」は、スコアリングで大幅な減点対象となります。
具体的には、経営者個人の借入が年収の3分の1に近い場合や、借入件数が3件を超える場合には、審査のハードルが急激に上がります。
直近の申込履歴
審査落ちの原因として、案外知られていないのが申込履歴。
借入れを申し込むと、信用情報機関に申込情報として6か月にわたり記録されます。
会社としてビジネスローンに申し込んだ場合には、法人信用情報に申込履歴が記録され、経営者個人として消費者金融やクレジットカードに申し込んだ場合には、個人信用情報に申込履歴が記録されます。
注意すべきは、短期間に複数の借入れを申し込んだ場合です。
ビジネスローンの際、貸し手はそのような申込履歴を警戒します。
理由は簡単です。
そもそも、なぜ複数の借入れを申し込んでいるのでしょうか。
大抵、
「A社、B社、C社、D社と審査落ちを繰り返した」
「1社あたりの融資枠が少額のため、複数社で借りる必要があった」
「踏み倒す前提で、借りられるうちに最大限借りようとした」
といったことが多いです。
審査落ちを繰り返したということは、どこでも「貸せない」と判断したわけですから、そのような相手に敢えて貸す理由はありません。
1社あたりの融資枠が少額ということは、返済力を低くみられているのですから、これもマイナスに捉えるべきです。
さらに踏み倒す前提となれば、もはや危険な相手といえます。
信用情報がクリーンでも、「申込履歴が短期間に殺到」というだけで警戒され、審査通過率は大幅に下がります。
6ヶ月経過しなければ、ビジネスローンの審査に全く通らなくなることも。
いわゆる「申し込みブラック」と呼ばれる状態です。
資金調達を急いでいる場合、「どこでもいいからすぐに借りたい」と考え、一度に複数申し込む経営者もいます。
しかし、それで申し込みブラックになっては元も子もありません。
ビジネスローンは、一社ずつ慎重に申し込むのが鉄則です。
クレジット利用状況
ビジネスローンの審査で評価されるのは、法人カードだけではありません。
経営者のクレジットカードのキャッシング枠や、リボ払いの利用状況も参考にします。
これらは個人信用情報に詳細に記録されているものです。
キャッシュレス化が進む昨今、クレジットカードを日常的に使っている経営者は多いことでしょう。
また、クレジットカードのキャッシング枠は一般的に小さく、借入総額を引き上げるものではありません。
したがって、延滞履歴や多重債務に比べると、影響は限定的です。
ビジネスローンの審査において、クレジットの利用は潜在的な負債としてカウントされます。
ごく普通に利用していれば問題にはなりにくいですが、危険とみなされるパターンがいくつかあります。
わかりやすいのが、リボ払いの残高が高止まりしているパターン。
この場合、経営者個人の家計は慢性的な資金不足に陥っており、リボ払いでなければ支払えない可能性が高いです。
延滞や多重債務の引き金になりかねない状況ですから、審査ではネガティブにみられます。
クレジットの利用状況は、ノンバンク系よりも銀行系のほうが影響するようです。
これは、銀行グループにクレジットカード会社が含まれ、内部信用情報も参考にできるためです。
信用情報で融資条件が大幅悪化!具体的な悪化の事例
信用情報があまりにも悪ければ、そもそも審査に通りません。
さほど深刻な傷でなければ審査に通ることも多いです。
とはいえ、信用情報で融資条件が悪化することはよくあります。
具体的にどのように悪化するのか、いくつか事例をみてみましょう。
金利が高くなる
信用情報に傷がある場合、金利が高くなります。
これは、リスクプレミアムの考え方によるものです。
ビジネスローン金利は、決算内容と信用情報から貸倒れリスクを測定し、リスクに応じて設定します。
リスクが低い場合、リスクプレミアムを上乗せすることはなく、逆に金利が下がることも多いです。
信用情報が極めてクリーンな経営者は、銀行系ビジネスローンならば普通融資に近い金利が適用されることもあります。
一方で、信用情報に何らかな問題を抱える経営者には、リスクプレミアムを上乗せします。
過去に遅延履歴があったり借入件数が多かったりする場合、ノンバンク系では年利15.0〜18.0%など、法定上限に近い金利が提示することも珍しくありません。
ビジネスローンの調達コストは、大部分を金利が占めます。
それだけに、信用情報の良否が活用に大きくかかわってくるのです。
保証会社が必要に
信用情報は、代表者以外の追加保証を求められるかどうかの判断基準にもなります。
代表者一人の信用力で十分な返済能力が認められない場合、基本的には審査に通りません。
かといって、ビジネスローンは第三者の連帯保証を不要とする商品がほとんどです。
では、「代表者以外の保証力」をどこに求めるかといえば、保証会社です。
代表者の信用情報に問題があっても、保証会社の保証付きであれば審査に通るケースが多々あります。
注意点は二つ。
ひとつは、保証料が発生し、調達コストが高くなることです。
銀行系ビジネスローンの中には、保証会社の利用を必須とし、保証料込みの金利を年9~13%に設定するものもあります。
もうひとつは、保証会社付きの商品でも、調達できるとは限らないこと。
保証会社の保証付きで融資を受けるには、保証会社の保証審査に通らなければなりません。
この場合、代表者の信用情報に問題があることが前提ですから、保証審査に落ちる可能性も高いです。
つまり、信用情報の傷は「審査に落ちる」か、さもなければ「保証会社の保証付きにより、保証料が発生」となり、どう転んでもマイナスに影響するということです。
融資枠が少額になる
ビジネスローンの融資枠は、スコアリングの結果に応じて機械的に決定されます。
決算内容が良くても、多額の融資枠を獲得できるとは限りません。
銀行やノンバンクは、会社の決算と併せて、代表者の個人信用情報から算出し、「ここまでなら安全圏」「ここまでなら回収可能性が高い」というラインに融資枠を設定します。
信用情報の傷があれば、決算内容に対して融資枠が少額になることが多いです。
実際に、前期とほとんど同じ決算内容であるにもかかわらず、融資枠が減額される傾向があります。
この場合、代表者の信用情報が悪化し、減額につながるケースが珍しくありません。
決算内容だけをみれば1000万円の融資枠が妥当でも、代表者の信用情報を考慮すると500万円が妥当、といったイメージです。。
ノンバンク系ビジネスローンの場合、少額融資に特化しているだけに、信用情報次第で融資枠が大きく変化します。
初回取引の場合、信用情報をふまえて「まずは50万円から」といったスモールスタートになることも。
決算相応の融資枠を獲得するには、代表者の信用情報をクリーンに保つことが重要です。
増枠が困難に
信用情報の傷によって融資枠の減額されたとき、「なんとか増枠できないものか」と考えることでしょう。
しかし、信用情報の悪化は増枠の大きな障害となります。
銀行系ビジネスローンは、増枠という概念があまりありません。
決算と信用情報から「ここまで」という枠を決め、それ以上は貸さない、増枠もしないのが基本です。
決算や信用情報の改善によって枠が増えることはありますが、判断の軸は決算ですから、「増枠」というよりも「融資枠の更新」といった側面が強いです。
ビジネスローン契約後、柔軟な増枠が期待できるのはノンバンク系ビジネスローン。
ノンバンク系は、初回(契約時)はスモールスタートになりやすいです。
決算・信用情報とは関係なく(増枠の余地を残しつつ)融資枠を決めるため、その後の取引に応じて増枠が期待できます。
しかし、信用情報に傷があれば話は別です。
信用情報に傷があるものの審査に通った場合、その傷が増枠の判断についてまわります。
契約後に信用情報が悪化した場合も同様です。
銀行やノンバンクは、契約中も定期的に借り手の信用情報をチェックしています。
信用情報をチェックした際、他社での借入が急増していたり、他社の支払いが延滞していたりすると、信用情報はたちまち悪化。
トラブルを起こしていない借入先も、他社でトラブルを起こしているとわかれば増枠を控えるのが普通です。
信用情報の良好に保ってこそ、ビジネスローンの増枠につながります。
常にモニタリングされているという意識を持ち、個人的な支払いや借入れにも責任を持つことが、ビジネスローンの活用には欠かせません。
返済期間が短くなる
ビジネスローンは、普通融資に比べると返済期間が短いです。
普通融資を「長期返済」とすれば、銀行系ビジネスローンは「短期から中期」、ノンバンク系ビジネスローンは「短期メイン」と考えてください。
代表者の信用情報は、返済期間にも影響します。
普通融資でさえ、リスクのある相手には長期融資を嫌います。
将来的な入金と紐づける形で短期融資とすることも多いです。
ビジネスローンは普通融資以上に返済期間にシビアです。
信用情報が良好でも長期返済のハードルは高く、信用情報に問題があれば容赦なく短縮されるのがビジネスローンというものです。
銀行系ビジネスローンの返済期間は中期よりも短期寄りに、ノンバンク系ビジネスローンの返済期間もより短期になるでしょう。
ビジネスローンの中には、返済期間の設定を「最長5年・60回払い」などとする商品があります。
しかし、これはあくまでも「最長」であって、契約上認められる返済期間の上限にすぎません。
信用情報に問題がある場合、いくら5年返済を希望したところで、認められる可能性は低いです。
短期返済となれば、毎月の返済額が膨らみ、キャッシュフローを圧迫するでしょう。
それを避けるためにも、信用情報の維持を心がけてください。
信用情報に不安がある場合はどうする?
ここまで、ビジネスローンと信用情報の関係を詳しく解説しました。
現時点で信用情報が良好であれば、ビジネスローンの活用は比較的容易です。
問題は、すでに信用情報が悪い場合。
信用情報に不安がある場合の対策をまとめます。
まずは信用情報の開示請求を
信用情報は開示請求が可能です。
ビジネスローンに申し込む段階で、信用情報にすこしでも不安があるならば、信用情報の開示請求・把握が第一歩となります。
「不安はあるが、たいしたことないだろう」「もう数年前のことだし…」など甘く考えてはいけません。
記憶違いということがありますし、数年前の軽微な延滞で審査に落ちることもあるのです。
この場合、ただ審査に落ちるだけではすみません。
信用情報として、申込履歴が残ってしまいます。
資金調達を必要としている以上、審査に落ちれば別のビジネスローンに再度申し込むはずです。
しかし、信用情報に傷があれば、別のビジネスローンでも審査に落ちる可能性が高いです。
その結果、短期間に複数の申込履歴が記録されることになります。
「審査に落ちた」という記録は残らずとも、審査に落ち続けたことは明らかで、少なくとも半年間は申し込みブラックになるでしょう。
事前に開示請求をし、信用情報を把握することで、そのようなミスは防げます。
信用情報に軽微な問題があり、「銀行系は無理だが、ノンバンク系なら大丈夫だろう」と判断するだけでも構いません。
最初からノンバンク系を選ぶことで、銀行系での申込履歴を回避できます。
信用情報の傷が深刻な場合、申し込むとしてもノンバンク系1件のみとします。
その1件で審査に落ちれば、「やはり無理だった」とわかり、申込履歴は1件にとどめておくのです。
「信用情報が悪い→無謀な申し込み→信用情報がさらに悪化」という悪循環を防ぎ、戦略的に申し込むためにも、信用情報の事前把握が重要となります。
誤登録の訂正
ごくまれに、信用情報が誤っていることがあるようです。
例えば、完済したはずの借入が残っているケース。
この場合、現実的に完済しており、月々の返済もしていないわけですから、誤登録と断定できます。
信用情報の開示報告書を確認してみて、明らかな誤登録を見つけた際には、速やかに訂正を依頼してください。
訂正の依頼先は、信用情報機関ではなく借入先です。
そもそも信用情報は、銀行やノンバンクが実際の取引に基づいて記録を申請し、信用情報機関が申請を受理することで記録されます。
誤登録の原因は、銀行やノンバンクの登録ミスや更新漏れにあるわけですから、銀行やノンバンクに依頼し、正しい情報に更新してもらう必要があるのです。
「こちらは悪くない」などと考え、放置してはいけません。
ビジネスローンの審査は、信用情報についても機械的に判断します。
たとえ誤登録であっても、それを事実として判断するだけです。
また、訂正しない限り誤登録は一定期間残り続け、ビジネスローンの審査に悪影響を及ぼします。
なお、訂正に時間がかかることもあるため、訂正依頼は速やかに行ってください。
借入れを一本化する
信用情報の開示を請求したところ、多重債務の現実に直面するケースも少なくありません。
現実に目を背けながらやりくりするうちに多重債務に陥り、開示請求によってそれを改めて認識するわけです。
銀行系・ノンバンク系のいずれにおいても、多重債務では審査に落ちるでしょう。
この場合、審査に通る道筋はふたつ。
ひとつは、追加の借入れを避けて返済を続け、多重債務の解消を目指すこと。
しかし、これでは時間がかかりすぎるため、会社の資金繰りには間に合わない可能性があります。
素早く解消するには、借入れの一本化が効果的です。
多重債務とみなされるかどうかは、「借入先3件以上」が目安です。
50万円のローンを4件抱えている場合、ほぼ確実に多重債務とみなされ、ビジネスローンの審査に響きます。
この債務をまとめ、残債200万円・借入先1社とするだけで、信用情報は大幅に改善します。
ただし、借り換えの審査自体に通らなければ、多重債務は解消できません。
一本化による多重債務の解消は、過去に延滞などのトラブルがなく、「信用情報の欠点は多重債務のみ」という場合に限って有効です。
この場合、「これまで延滞がない→多重債務の中でも支払い能力はある→一本化すれば返済額を圧縮できる→資金繰りに余裕が生まれる→貸倒れリスクは低い」と判断でき、借り換え審査に通る可能性があります。
多重債務さえ解消すれば信用情報はクリーンになり、ビジネスローンの審査に大きなプラスです。
ビジネスローンは成長段階に合わせて活用すべき
信用情報に不安がないということは、信用情報をテコにビジネスローンを活用できるということです。
このとき意識したいのが、会社の成長段階に合わせた活用。
会社の成長段階によって、信用情報の意義が変わってきます。
創業期は信用情報が頼りになる
実績のない創業期において、銀行の普通融資を引き出すのは至難の業です。
不可能ではないものの、現実的とはいえません。
創業期の会社は、総じて決算内容が悪く、最初の数年は赤字覚悟で経営する会社も多いです。
悪いのが前提ですから、決算書だけで判断すれはほぼ融資不可になってしまいます。
しかし、決算内容を補完できる材料があれば融資を検討できます。
つまり、代表者の信用情報が融資のカギをにぎるわけです。
例えば、創業前にクレジットカードの支払いを一度も遅延させず、信用情報を健全に保っている経営者は、ビジネスローンの審査に通りやすいです。
資金調達方法が限られる創業期において、代表者の信用情報は資金調達の大きな武器になります。
創業期、特におすすめなのがノンバンク系ビジネスローン。
ノンバンクは、創業期ゆえの決算内容でも、代表者の信用情報を頼りに融資することが多いです。
ノンバンク系ビジネスローンで資金繰りを回しつつ、徐々に事業実績を作っていけば、黒字決算を期に銀行系ビジネスローンでの調達も拓けます。
成長期の資金調達につなげる
創業期を経て、会社は成長期に入ります。
成長期に突入する段階で、資金調達の軸をノンバンク系ビジネスローンから銀行系ビジネスローンに切り替えていくのが理想です。
成長期は、会社がテンポよく成長していくだけに、資金需要も活発です。
ノンバンク系では融資枠が小さく、資金需要をカバーできない恐れがあります。
その点、銀行系は数千万円の枠にも対応しているため、成長のための資金調達に使いやすいです。
また、成長期はビジネスローンのスピードが輝く時期でもあります。
売上が急拡大する局面では、ビジネスチャンスを確保するために、機動的な資金調達が求められます。
ここで普通融資にこだわったばかりに商機を逃し、失速することもあるのです。
成長期の次には安定期が控えています。
安定期を、文字通り安定した時期とするには、成長期に存分に成長し、体力をつけることが欠かせません。
多少金利が高くとも、信用情報を背景として機動的に資金を調達し、必要な資金を必要なところへ投入することが重要です。
事業内容と信用情報の評価により、成長期の段階で普通融資を引き出せることもあるでしょう。
その場合も、普通融資に依存せず、ビジネスローンを積極的に活用すべきです。
安定期のビジネスローン戦略
成長期、信用情報をテコにビジネスローンをうまく活用し、安定期に突入しました。
ここからは、ビジネスローンから普通融資へシフトしていきます。
銀行は、普通融資とビジネスローンをひとつの与信として管理するため、銀行系ビジネスローンの利用状況が良ければ、普通融資の審査にもプラスになることが多いです。
成長期のビジネスローン活用を通して、銀行の評価を高め、普通融資につなげていくわけです。
普通融資を引き出すことができれば、銀行取引は一気に開けてくるでしょう。
もちろんビジネスローンを手放す必要はありません。
ビジネスローンの与信枠はとっておき、普通融資で対応できない場合に活用します。
安定期というからには、業績・財務も安定しているはず。
加えて、銀行取引の深耕により融資環境はどんどん良くなっていきます。
したがって、安定期のビジネスローンの活用は、条件改善が主眼となります。
普通融資が出るほどですから、これまでの利用実績や信用情報が評価されていることは間違いありません。
ビジネスローンの金利が下がったり、融資枠が増えたりすることは十分に期待できます。
当然、この時点でノンバンク系ビジネスローンの借入が残っていれば、銀行系で借り換えるべきです。
それにより、借入金利が下がり、信用情報はさらにクリーンになります。
まとめ:信用情報はビジネスローン活用の鍵!
この記事では、ビジネスローンにおける信用情報の影響について詳しく解説しました。
ビジネスローンを賢く活用するためには、会社の決算内容と同程度、場合によっては決算以上に、代表者個人の信用情報が重要となります。
信用情報次第で、通るはずの審査に落ちたり、落ちて当然の状況で審査に通ったりすることがあるのです。
信用情報をビジネスローン活用につなげるために、まずは自分自身の信用情報を開示請求し、現状を正確に把握することから始めてください。
現状の信用情報に問題があったとしても、それを踏まえてビジネスローンの活用を探ることができます。
それでこそ、銀行系とノンバンク系を正しく使い分け、普通融資へのステップアップを目指せます。
・ファクタリング実務経験者:審査通過率を上げるためのノウハウ提供
・元ノンバンク担当者:他社融資と比較した最適な資金繰りアドバイス
現場の生の声と、国家資格保持者による正確な知識を掛け合わせ、どこよりも信頼できるファクタリング情報をお約束します。