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ファクタリングで出てくる与信限度額について徹底解説

ファクタリングと与信限度額は切っても切れない関係にあります。なぜファクタリングにおいて与信限度額というのは大事な概念なのでしょうか。また与信限度額は一度設定されると固定されるものではなく、変動するものです。どのようなことが起きると与信限度額は変動するのでしょうか。

与信限度額の「与信」とは何のことか

「与信」とは、「信頼」を「与える」の略です。取引相手に対して商品やサービスを提供し、その支払いを後日にすることを許可すること、つまり平たく言えば後払いを認めることです。このような後払いは日常的に発生しており、掛け取引と呼ばれることもあります。また金融機関が金銭を貸し付けることも与信に当たります。
つまり与信は相手の信頼できる程度に基づき、一定の金額を前もって貸すような行為です。与信の判断には、取引相手の信用、つまりこれまでの支払い履歴や財務の状況などが考慮されます。

1. 与信管理の目的

与信限度額を決めて与信を管理することを与信管理といいます。与信管理の目的は、取引相手が将来的に代金を支払えなくなるリスクを防ぐことです。たとえば、スーパーや小売業者が取引先のサプライヤーから商品を仕入れる際、サプライヤーが与信管理をしっかり行うことで、取引相手が後日であってもちゃんと支払ってくれるのかを確認します。これにより、企業は売掛金の回収リスクを減らし、安定した経営ができるようになります。与信管理は、企業だけでなく、家庭におけるクレジットカード利用にも関連しています。カード会社があなたの収入や支払い履歴を確認し、利用限度額を設定するのも、与信管理の一環です(この場合、利用限度額を与信限度額とご理解ください)。

2. 与信限度額の評価基準

与信限度額を決める際の評価基準には、取引相手の支払い能力や信用度が含まれます。たとえば、金融機関は借り手の過去の返済履歴や収入状況、現在の借金額などをチェックします。この評価は、クレジットカードを申し込む際にも行われます。カード会社は、申込者の収入や職業、家族構成、過去の借り入れ履歴を基にして、その人が今後も支払いを続けられるかどうかを判断します。また、企業間取引でも、与信を評価するために、相手企業の財務諸表や過去の取引履歴を確認することが一般的です。これにより、取引先が支払い能力を維持しているか、経営状況に問題がないかを慎重に見極めます。

3. 与信「限度額」の意味するところ

与信限度額とは、金融機関や取引先が相手に対して設定した、与信の最大金額のことです。たとえば、クレジットカードの利用限度額がこれに該当します。カード会社が設定した与信限度額の範囲内であれば、カード利用者は自由に買い物ができますが、その枠を超えてしまうと、利用が制限され、使えなくなります。
与信限度額は、個人の収入や過去の支払い状況、信用情報に基づいて設定されるため、人によって異なります。企業間取引でも、取引先に対して与信限度額を決め、一定額までの信用取引を許可します。これは、相手がその範囲内で支払いを行えるかどうかを見極めるための管理手法です。

4. 与信のリスクと管理方法

与信は、常に相手が支払い不能に陥るリスクと隣り合わせです。たとえば、クレジットカード利用者が失業や病気で収入が途絶えると、支払いが滞るリスクが高まります。企業間取引でも、取引先が経営破綻した場合、売掛金が回収できなくなるリスクがあります。このリスクを管理するためには、与信管理が重要です。金融機関や企業は、取引相手の信頼できる程度を定期的に評価し、リスクが高まった場合は与信限度額を減らすか、新規取引を控えるなどの対策を講じます。また、債権回収を保険でカバーする与信保険も有効なリスク管理手法の一つです。

与信限度額とファクタリングとの関係

与信限度額とファクタリングは密接に関連しています。ファクタリング会社は、売掛債権を買い取る前に売掛先の信頼できる程度を評価します。この評価により、売掛債権の回収可能性が判断され、ファクタリング契約の成立に重要な役割を果たします。与信限度額の管理をちゃんと行われていることは、ファクタリングを通じた資金調達の安全性を高めてくれるのです。
ファクタリングにおいて与信限度額がどのように使われているのか具体的に見ていきましょう。

1. 与信限度額を作っておく目的とファクタリングの関係

与信限度額を決めておく目的は、取引相手の信用度を評価し、支払い能力の確認を行うことです。ファクタリングでは、売掛先の信頼できる程度が重要なため、ファクタリング会社は与信を通じて売掛先の支払い能力を評価します。この信用評価に基づき、売掛債権のリスクが見極められ、契約内容が決まります。売掛先の信用度が高ければ、ファクタリング会社にとってもリスクが少なく、より有利な条件で契約が成立する可能性があります。

2. 保証型ファクタリングにおける与信限度額の設定

保証型のファクタリング(二者間ファクタリング)においても、与信限度額の設定は非常に重要です。ファクタリング会社は、売掛先の債務不履行リスクを負うため、売掛先が確実に代金を支払えるかどうかを慎重に評価します。与信限度額を作っておくことで、売掛債権のリスクを管理し、過度なリスクを回避します。限度額は、売掛先が信用できるかまた財務状況が悪化していないか、過去の取引履歴はどうか等に基づいて決定され、これによりファクタリング会社は、売掛先が支払いを滞らせた場合の損失を最小限に抑えることができます。また、与信限度額を決めておくことで、ファクタリング利用企業も資金調達額の予測が立てやすく、安定した資金繰りが可能となります。

3. 与信限度額とファクタリング契約

与信限度額は、ファクタリング会社が売掛先に対して設定する貸付の上限額です。売掛先の信用評価に基づいて、この限度額が設定されます。限度額が高ければ、ファクタリング利用企業はより多くの資金を調達できますが、信用リスクが高い場合は限度額が低く設定されます。与信限度額はファクタリングの資金調達力を左右する重要な要素です。

4. 与信の更新とファクタリング契約の見直し

与信評価は一度きりではなく、定期的に更新されます。ファクタリング契約も、与信評価の結果に基づいて定期的に見直されます。売掛先の信用状況が変わった場合、与信限度額や契約条件が変更されることがあります。特に、売掛先の経営状況が悪化すると、ファクタリング会社はリスクを減らすために契約条件を厳しくすることがあります。

ファクタリングで与信限度額を決める要因

ファクタリングにおける与信限度額は、売掛先の信頼できる程度(信用できるか)、取引履歴、売掛債権の金額、取引条件など複数の要因を基に設定されます。言い換えると、これらの要因のどれかが変わると与信限度額も変わります。この要因について詳しく見ていきましょう。

1.売掛先の信用評価

ファクタリング会社は、売掛先の財務状況や信頼できる程度を評価します。これは、売掛債権が安全に回収できるかを判断するための重要なステップです。売掛先が大手企業や信頼できる程度の高い企業であれば、与信限度額が高く設定されることがあります。逆に、中小企業や経営が不安定な企業の場合、与信限度額は低く抑えられます。
保証型のファクタリングではファクタリング利用会社が同じように評価されることになります。

2. 売掛債権の金額

与信限度額は、売掛債権の総額に基づいて設定されます。売掛債権が大きければ大きいほど、与信限度額も高くなる傾向がありますが、売掛先、または保証会社の信頼できる程度が不十分な場合は、売掛債権の全額をカバーしないこともあります。このバランスが、ファクタリング会社のリスク管理において重要な要素です。

3. 取引履歴

ファクタリング利用企業と売掛先の取引履歴も、与信限度額に影響します。長年にわたって安定した取引を続けている場合、売掛先、ファクタリング利用企業の信用度が高まるため、ファクタリング会社はリスクを低く見積もり、与信限度額を高く設定します。一方、新規取引や過去に支払い遅延があった場合は、限度額が低く設定されることがあります。

4. 取引条件

取引条件も与信限度額に影響します。例えば、支払い期限が短い取引であれば、売掛債権が早期に回収できるため、与信限度額が高く設定される可能性があります。逆に、長期にわたる支払い条件の取引では、リスクが高いため限度額が低くなることがあります。

5. 外部信用情報の参照

ファクタリング会社は、信用情報機関から売掛先の信用状況を確認することもあります。これにより、売掛先の過去の借入履歴や支払い履歴が確認され、与信限度額の設定に役立てられます。外部情報を利用することで、売掛先のリスクをより正確に把握し、適切な限度額を設定することが可能です。

ファクタリングで与信限度額が増加する代表的な事例と減少する代表的な事例

ファクタリングにおける与信限度額は、売掛先の経営状況や取引条件の変化によって増減します。信頼できる程度の向上や安定した取引により限度額が増加する一方、信頼できる程度の低下や支払い遅延が発生すると限度額は減少します。

1. 増加する事例:売掛先の信頼できる程度の向上

売掛先の経営状況が改善し、信頼できる程度が向上すると与信限度額が増加することがあります。例えば、売掛先が業績を向上させたり、資産を増加させると、ファクタリング会社はリスクを低く見積もり、より高い限度額を設定することが可能です。また、売掛先が信用格付けを向上させた場合も、限度額が増加する典型的な事例です。

2. 増加する事例:取引履歴の安定

ファクタリング利用企業と売掛先が長期間にわたって安定した取引を継続している場合、ファクタリング会社はリスクを低く見積もります。過去に支払い遅延がなく、取引が順調に進んでいる場合、与信限度額が増加することがあります。これは、ファクタリング会社が売掛債権の回収に対して安心感を持つためです。

3. 減少する事例:売掛先の経営悪化

売掛先が資金繰りに窮したり、破産したり、民事再生を始めたり、そのように経営が悪くなってくると、与信限度額は減少します。特に、売掛先が財務状況の悪化や売上の減少を示す場合、ファクタリング会社はリスクを高く見積もり、与信限度額を引き下げます。
またファクタリングの利用会社が経営不振に陥った場合にも与信限度額は引き下げられます。これは、ファクタリング会社がファクタリングの保証金を回収できなくなるリスクが高まるためです。

ファクタリングは与信限度額に注意して利用しましょう

ファクタリングを利用する際は、与信限度額に注意することが重要です。与信限度額とは、ファクタリング会社が売掛先に対して設定する信用の上限額のことです。限度額は、売掛先の信頼できる程度や取引履歴を基に決まるため、限度額を超える売掛債権はファクタリングでの資金調達が難しくなります。したがって、与信限度額を確認し、無理のない範囲で資金調達を行うことが、事業の安定的な運営に繋がります。